※この作品はR-18です。

魂の座 一部 凍えた魂   作:伊駒辰葉

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バトル以前に絵美佳がアヤシイものを作りました。
エロシーンがちょっとだけあります。


ちなりと巴のバトル開始? 2

「ねえ、羅木くーん。そういえば」

「あっ、羅木先輩! おかえりなさい!」

 

 同時に前と後ろから声がかかる。絵美佳は交互に彼女たちを見てああ、と手を上げた。が、彼女たちは互いの顔を見合わせて硬直している。ちなりはうろんな眼差しで巴を見つめ、巴は驚いた顔でちなりを見ている。

 

「ちょっとぉ……。何なの、あんた!?」

 

 先に反応を示したのはちなりだった。不機嫌そうに顔を歪めて大股で巴に近づいていく。研究室から出たばかりだった巴は目を丸くしてうろたえた。

 

「あの、え!? ええっと、あなた、誰?」

「訊いてるのはちなりなの! あんた、羅木くんのナニ!?」

 

 言い合いを始めた二人をのんびりと横目に眺め、絵美佳は研究室のドアを開けた。まさかしょっぱなから鉢合わせになるとは思わなかったが、丁度いい。どうせこれから二人は始終、顔を合わせることになるのだ。

 

 ドアを静かに閉める。廊下ではちなりの金切り声が響いている。どうやら巴も応戦することにしたらしい。それに応えて上ずった声が響く。やれやれ、と肩を竦めて絵美佳は端末に向かった。

 

 生徒たちの出欠状況は生徒会の管理するメインコンピュータに入力されている。毎朝、ホームルームを終えた担任たちが各自の端末に入力、そのデータは逐一メインコンピュータに送られる設定だ。そして絵美佳は生徒会のメインコンピュータへ不正アクセスする経路を確保している。絵美佳はのんびりと端末の電源を入れ、キーボードを叩いた。

 

 見慣れた画面が切り替わる。生徒たちの出欠表がずらりと表示される。その中から絵美佳は優一郎のクラスのそれをピックアップした。画面に二列の表が出る。絵美佳は目を細めて優一郎の名前を見た。

 

 吉良優一郎、病欠。絵美佳はそれを見て目を細めた。廊下からはまだ言い争いの声が聞こえている。絵美佳はドアをちらりと見やってから画面に目を戻した。

 

 とりあえず今日はいないのか。それとも研究室にこもっているのか。どちらにしろ、学校に出て来ない優一郎と会うことは難しいだろう。絵美佳は低く呻いて胸のポケットに手を伸ばした。無意識に伸ばした指がポケットの中を空振りする。そこで絵美佳は我に返った。どうやらもう一人の方の癖が出てしまったらしい。

 

「羅木くぅん! 夕食は何がいい?」

 

 言いながらちなりが研究室に飛び込んでくる。そのすぐ後から巴も入ってくる。

 

「鍋が食いたいな」

「鍋ですね! 判りました!」

 

 今度は巴が返事をする。二人は互いに顔を付き合わせて同時にそっぽを向いた。そのまま研究室を駆け出して行く。二人の後姿を見送りながら絵美佳は小さく笑った。きっと今日の夕飯は二食分が目の前に並ぶのだろう。一体、誰がそんなに片付けるんだか。そう呟いて画面に目を戻す。

 

 これ以上、出欠表を眺めていても仕方がない。絵美佳はキーボードを弾いて別のウィンドウを開いた。兼ねてから実験しようと思っていたのだ。表示された設計図と画面の隅の時計を見比べる。これなら何とか間に合うだろう。

 

 昼の休憩が終わり、巴が教室に戻る。ちなりは今日は地上に戻るつもりはないらしい。絵美佳の傍で嬉しそうにしながら手伝っている。絵美佳は白衣を着たちなりに指示をしながらとあるものを作っていった。

 

 部員の人数分のそれが出来上がったのは放課後になってからだった。科学部の部員たちが次々に地下に入ってくる。その中に巴の姿もあった。絵美佳はさりげなく巴だけを呼んでこっそりと実験内容を耳打ちした。途端に巴が真っ赤になる。が、巴は判りましたと返事をして研究室を出て行った。

 

 科学部の部員たちは絵美佳が男になってしまったことを知っている。知らせた当初、彼らはとても動揺した。が、すぐに納得した。何故なら絵美佳の奇行は今に始まったことではないからだ。故に絵美佳は地下ではわざわざロボットを使う必要がない。白衣に身を包んだ部員たちを眺め、絵美佳はにやりと笑った。

 

 部員の数だけ椅子を並べたのはちなりだ。部員たちは見慣れないちなりに不思議そうな顔を向ける。その度にちなりは愛想よく笑って自己紹介をしていた。科学部に新しく入った悠波ちなりでえっす。何度かその声が聞こえてくる。

 

 やがて椅子が並んで部員たちがそれぞれに座る。絵美佳が着用を命じた特殊機能付きの下着を各自は身につけている筈だ。ちなりは出しっぱなしになっていた試験管などを洗っている。巴は研究室の隅の端末に張り付いている。準備は整った。絵美佳は窓辺から離れて部員たちの前に立った。

 

「今日の実験内容はわかってるわね? 決して、早漏君コンテストではないので注意するよーに」

 

 そう告げると椅子に腰掛けた男子部員たちが顔を見合わせて困ったように笑う。女子部員たちは一様に真っ赤になった。だが笑っていられるのは今のうちだ。絵美佳は巴に目で合図を送って静かに歩き出した。鼻歌を歌いながら試験管を洗っているちなりに近づく。

 

 後ろから近づいてちなりを抱きしめる。ちなりは驚いたように手を止めた。えっ、と声を上げて肩越しに振り返る。

 

 部員たちには下着の着用と同時にある指示を出している。絵美佳の作った試薬を飲むこと。カプセルに入ったそれはもうすっかり胃で溶けている筈だ。絵美佳は薄く嗤いながら部員たちを眺めた。落ち着いた顔をしている男子部員たちと困ったような顔で見ている女子部員たちを見比べる。

 

「あ、あの、羅木くん? どうしたの?」

 

 ちなりには何も知らせてはいない。部員の数だけ椅子を並べてくれと頼んだだけだ。ちなりはうろたえながらも試験管洗いを再開した。絵美佳は小さく笑ってちなりの白衣に手をかけた。ボタンの外れた白衣の内側に手を入れる。

 

 科学部の部員たちはこうした絵美佳の行動に慣れている。だがそれでも動揺したのだろう。巴が静かに彼らの状態を報告する。彼らの身につけた下着からは細いコードが伸び、それは絵美佳の作った箱状の機械に繋がっている。そしてその機械は有線で端末と接続されているのだ。

 

「あっ、ちょ、ちょっと、羅木くん! みんなが見てるよっ」

 

 それまで平静を装って試験管を洗っていたちなりが慌てた声を上げる。絵美佳が唐突に胸を弄ったからだ。




さわっとだけエロですw
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