窓に手をついて息を殺す。要は唇を軽く噛んで窓枠を指先で強く握った。腰を揺すられるたびに心地のよい快感がこみ上げる。
要のスカートをめくり上げてペニスを抜き差ししているのは周藤だ。一方、野木はそ知らぬ顔で雑誌を読んでいる。要は掠れた声を上げて腰をひくつかせた。周藤に腰を抱え上げられているため、要の足は宙に浮いている。揺れる度にそのつま先が頼りなく壁を蹴る。
「か、要様……そろそろ……」
苦しげな声が背後から聞こえてくる。要は肩越しに振り向いて首を横に振った。甘い快感が下腹部に溜まりつつある。だが絶頂にはまだ遠い。
「まだ、まだだめよ! もっと……突きなさい! あうんっ!」
潜めた声で要は命じた。視線を動かして野木を見つめる。野木は要の視線に勘付いたのか、静かに雑誌を閉じた。音もなく立ち上がって近づいてくる。
「要様。私にもご奉仕させていただけますか」
足元に跪き、野木が頭を垂れる。
「かまわなくてよ……さあ、来なさい」
艶やかな微笑みを浮かべて要は周藤に合図を送った。周藤が要の腰を抱えたまま身体の向きを変える。ペニスを挿されたまま、要は半ば宙吊りの状態で野木と向き合う形になった。野木が静かに頭を上げる。
「失礼いたします」
そっと囁いて野木は要のスカートを持ち上げた。露になった要の股間に顔を寄せる。要はクリトリスに吸い付かれて必死で声を殺した。
あれほどわたくしが声をかけているのに振り向かないなんて。要は先日、転入してきた水輝のことを思い浮かべた。どんな方法を用いても水輝はなびこうとはしない。それどころか日に日に水輝の態度は冷ややかになっていく。
あの男に奉仕させたらきっととてもいいのに。要は唇を噛んで息を殺した。自然と水輝に抱かれる自分の姿を思い浮かべる。
野木が要の乳房を優しく弄る。同時にクリトリスを舌先でくすぐるように愛撫する。要は前と後ろから攻められて思わず掠れた声を漏らした。目を閉じて水輝を思う。それだけでこれまでとは違う、強い快感を得ることが出来た。
「要様……失礼します」
そう呟いて野木がクリトリスに強く吸い付いた。要は激しく頭を振り、野木の肩を強くつかんだ。周藤の動きが徐々に速くなる。
「んっ、周藤、いって良くてよ!」
はっ、という掠れた声と共に周藤は激しく腰を前後させ始めた。一気に快感が増す。要はペニスに突かれながら絶頂に達した。周藤が荒い息をつく。
疲れた面持ちで要は床に降りた。周藤がペニスに装着していたコンドームを素早く片付ける。野木は足を開いて椅子に腰掛けた要の陰部を丁寧に洗浄し始めた。人肌に温められた純水が要の愛液を洗い流していく。
野木が立ち上がって一礼する。要は下着を身につけて深く椅子に寄りかかった。洗浄の器具を片手に野木が部屋を出て行く。入れ替わりに戻ってきたのは周藤だ。すっかり平静に戻った周藤が一枚の紙を要に差し出す。要は気だるい面持ちでそれを受け取った。
今日一日の食堂の売上状況にざっと目を通す。特に問題はないだろう。要は机の中から印鑑を取り出して所定の場所に捺印した。周藤が頭を下げて退室する。一人きりになると急に生徒会室が広く感じる。要はため息をついて印鑑を戻すついでに双眼鏡を取った。
せめて体育の授業を受けている男子生徒の姿を見て自分を慰めよう。そう思いながら要は双眼鏡を片手に窓辺に寄った。いつものように双眼鏡を覗き込む。グランドでは確かこの時間、マラソンをしている生徒がいる筈だ。そう思いながら要は何気なくグランドに双眼鏡を向けた。
見慣れないものが目に留まる。水色のスカートが風に翻る。んー? と眉を寄せて要は目を細めた。
一人の少女がグランドを無邪気に横切っている。体育の授業を受けていた生徒たちが放心したような顔で少女を見つめている。が、少女自身はそのことに気付いていないらしい。見たところ、要と同じくらいの年だろうか。なのにその少女の足取りは頼りない。手にした紙を覗き込み、周囲を見回している。そのうちに少女は気付いたように一人の男子生徒に近づいていった。放心していた生徒が真っ赤になって頭をかいている。
「ああっ、もう!」
見ているうちに段々と腹が立って来る。少女は嬉しそうに顔をほころばせて頭を軽く下げた後、再びグランドを横切り始めていた。時折、つまづいては慌てて身体を起こす。要は苛々と唇を噛んで少女の行く手を双眼鏡で追った。
メイドというものを形にしたら、きっとああなるに違いない。少女は水色のワンピースにフリルのついたエプロンを身につけていた。頭にはフリルつきのカチューシャをつけている。風に翻るスカートはあくまでも柔らかく、ふんわりとしている。きっと中にペチコートを重ねているに違いない。要は少女を見守りながらコスプレ? と呟いた。
要が命名したコスプレ少女はそのまま校舎に入ってしまった。要は眉を寄せて双眼鏡を下ろした。端末を立ち上げる。該当する生徒がいないかチェックする。だがどのクラスにも少女のような愛らしい外見を持つ生徒はいなかった。
校舎内に生徒たちのどよめきが走る。だがそのことをこの時の要はまだ知らなかった。
このエピソードで九章は終わりです。