※この作品はR-18です。

魂の座 一部 凍えた魂   作:伊駒辰葉

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キャラがブレブレー!!!www
すみません……。ちょっと思い出して……。

エロシーンはありません。


燃える怒りの炎 1

 見えない障壁が消える。優一郎は寒さに震えながらゆっくりと歩を進めた。今は光も殆ど見えない。淡い仄かな灯火のように紅い光が残っているだけだ。優一郎は誘われるように光を目指して歩いた。

 

 やがて人影が見えてくる。ぼんやりとした光に包まれるようにして立っていたのは立城とあの機体だった。そして立城の腕には誰かが抱えられている。どうやら少年らしい。誰だろう。そう考えてから優一郎は目を見張った。少年の姿をしているが、それは紛れもなく絵美佳だ。そのことに気付いて優一郎は慌てて立城に駆け寄った。

 

 立城の腕に抱えられ、絵美佳は寝息を立てている。優一郎は思わず胸に手を当てて息を吐いた。

 

「大丈夫。今は眠っているだけだから」

 

 立城が微笑みを浮かべて頷く。優一郎も何とはなしに頷き返した。どうしてここに絵美佳がいるのかは判らないが、とりあえず命に別状はなさそうだ。

 

「いったい、何があったんですか? 揮われた力の量が異常です」

 

 チェッカーは針を振り切るどころか、その力の大きさに耐えかねて壊れてしまった。少なくともこれまで計測しようとしたことのない大きさの力が揮われたことは間違いない。優一郎は訝りをこめて立城を見た。続いて少女を見る。この少女は地下に眠っていた機体だ。目覚めの前とは少し顔つきが変わっている。作った時のままの優しげな面立ちではあるが、視線はあくまでも冷たい。浮かんでいる表情も決して穏やかとは言いがたいものだ。実際の顔形が変わらなくても、それだけで機体の持つ印象は以前とは全く異なっていた。

 

 苦笑のようなものを浮かべ、立城が空を仰ぐ。降りしきる雪にその身を晒している立城を見ていると、何故か落ち着かなくなる。質問をしたのは自分なのに、その答えを聞きたくなくなってしまう。優一郎は自然と俯き、彼らから視線を外した。

 

「転生の輪廻から外れて彷徨っていた魂をね。断罪したんだよ」

 

 事もなげに立城が告げる。弾かれたように顔を上げ、優一郎は立城の腕の中で眠る絵美佳を凝視した。紅い光に照らされているからはっきりとは判らないが、絵美佳の顔色は余りよくない。もしかして断罪されたのは絵美佳なのだろうか。

 

 口には出さなかった優一郎の疑問に応えるように立城が首を振る。

 

「肉体的には絵美佳さんだったんだけれどね。……その点については詫びなければならないかな。それなりの負担はかかっただろうし」

 

 それから立城はここであった出来事を語り始めた。意外なほどそっけない言葉の連なりで構成されたその話は、実に端的に事実だけを述べていた。それ故に優一郎も自分がまるで機械になってしまったかのように錯覚しそうになった。淡々と必要事項だけを入力されている気分とでも言えばいいだろうか。そう感じさせるほど、立城の言葉には温度がなかった。本当に感情のこもらない言葉を聞いたのはこれが始めてだ。優一郎は話とは全く別のところに感心していた。

 

 立城の弟の真也の魂は、絵美佳の魂の隙間に無理にねじ込まれた。それが始まりだったのだと立城は語った。だがそうしなければならない理由が絵美佳の方にもあったいう。絵美佳は誕生した時、とても魂が脆弱でそのままでは生きてはいられなかったという。絵美佳を生かすため、という表向きの名目で真也はこの世に降ろされた。

 

 話を聞きながら優一郎はようやく理解できた。絵美佳が急にペニスを生やしてみたり、性別が変わったりしたのは、彼女が紫翠の魂の一部を持っていたからではない。その肉体にねじ込まれた真也が原因だったのだ。

 

 真也は既に冥界に旅立ったという。だがそれならどうして絵美佳の身体は女性のものに戻らないのだろう。優一郎は思った通りに疑問を口にした。すると今度は立城ではなく、少女の方が反応する。

 

「これは元々、男だった。肉体的にも魂も男性だったのだが、補填の意味でこめられた別の魂の影響を受け、性の別を変化させたようだ」

 

 脆弱な魂が最後の希望を求めて肉体の質を変化させる。その過程の説明をした少女の表情はぴくりとも動かない。優一郎は疲れたため息をついてそうですか、と返した。実際、様々なことが重なり過ぎて優一郎は肉体的にも精神的にも疲れ果てていた。それでなくとも巨大ロボットの製造は遅れている。期日が迫っているという焦りも加わって、優一郎は疲れている上に珍しく苛立っていた。

 

 さらにこの始末だ。優一郎は歯軋りしたい気分に駆られながら息をついた。確かにこの緋色の彼女の目覚めは望んだ。絵美佳が変質してしまった理由についても知りたいとは願っていた。だが、決してこんな形での答えを求めていた訳ではない。

 

 不意にぐらりと視界が揺れる。気付くと優一郎はその場に腰を落としていた。濡れた地面に胡座をかいて二人を交互に見やる。

 

「優一郎くん?」

 

 柔らかな立城の呼びかけに優一郎は唇を歪めるだけの返事をした。その腕にはまだ絵美佳が納まっている。




たまにキャラがぶれます。すみません。
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