機械ですがおなにーしーんがあります。
昼食はみんなで外で食べた。バーベキューをしようと立城が言い出したからだ。この涼しいのにバーベキューもないだろう、と多輝は最初は文句を言っていたが、それを一口食べて大人しくなった。奈月が用意したというバーベキューはとても美味かったのだ。
午後の学習時間は由梨佳の解説で始まった。女の子の自慰について、という題目で始まった解説だったが、そんな由梨佳の授業を受けるうちに多輝は恥ずかしさにいたたまれなくなった。由梨佳は自慰についてのテキストを作成し、ビデオの資料を用意し、さらに参考用にと何処かのレンタルショップでそれ系のビデオまで借り出してきたのだ。
一体、どこにそんな暇があったのかと言いたくなるほどの周到ぶりだった。多輝は参考に、とビデオを見せられていた。画面の中では一人の女性が自慰をしている。指での愛撫に続いて器具を用いた自慰、ビデオの女性はとどめとばかりに野菜を持ち出してきて自慰を始めてしまった。
そんなビデオを観ながら、多輝にはいつもとは全く違う感情が芽生えていた。女性器が疼くのはいつものことだ。興奮してくるのも仕方ない。だが、多輝はビデオを観ながらなぜか生唾を飲み込んでいた。女性器とは別の何かが熱を持った気分だ。だがそんなことはありはしない。多輝は妙な感覚に襲われるたびに慌ててそれを否定した。
何本目かのビデオが終了したところで、由梨佳は部屋の電気を点けた。多輝は慌てて居住まいを正し、乱れかけていたスカートを直した。
「どう、簡単でしょ?」
「簡単って……言われても」
まさか全く別のことを考えていました、とも言えず、多輝は視線を彷徨わせた。すると由梨佳がやれやれ、と言ってため息をつく。
「じゃあ、実習してみる?」
百聞は一見にしかずですものね。由梨佳がそう告げて多輝の顔を覗き込む。多輝は慌てて由梨佳に頷いてみせた。要するに自分でやった方が早く理解できる。由梨佳の言った意味を多輝は少々、取り違えていた。
「それじゃ、お手本見せてください」
何本もビデオを観ておきながらそれはねえだろう。多輝も自分でそう思っていた。案の定、由梨佳が眉をひそめて怪訝な顔をする。多輝は赤い顔を伏せて上目遣いに由梨佳を見た。だが由梨佳はにっこりと笑って多輝の手をつかむ。
「わかったわ」
「え、あの?」
ソファに座ったまま、多輝は由梨佳を見上げた。だが由梨佳は微笑んで首を横に振る。
「そんなに力は入れなくていいわ。まず添えるだけでいいから」
そう言いながら由梨佳は多輝の手をスカートの上へ導いた。多輝は由梨佳がスカートを押さえるところまでを見ていたが、次に身体を軽く震わせた。スカート越しに手が多輝の股間に触れたのだ。
いや違う、そうじゃない。多輝はビデオに触発されて頭をもたげた欲望に頭を振った。感じている快楽は確かに本物だ。現に女性器はさっきからずっと疼いていて、何かの刺激が欲しいとは思っている。だがそれとはもっと別に多輝の心を誘惑するものがある。
「どう、スカート越しでも感じるでしょう?」
由梨佳が穏やかにそう言いながら手を動かす。多輝の手がそれに合わせて小刻みに上下する。布越しに柔らかく刺激され、多輝は快感に身震いした。
「ヒューマノイドの女性器ユニットは生身のそれより、ずっと敏感よ」
「ほんと……だ」
自分の股間を弄りながら、多輝は感慨を込めてそう呟いた。柔らかく当たる指の感触がとても心地いい。それに生身よりはるかに敏感であるというのも頷ける。そう自分が思う理由に多輝は自分では気付けなかった。
「さっきのビデオみたいに無茶な刺激を与えなくても、最初はじゅうぶん気持ちいいはずよ」
説明しながら由梨佳はさっきより少し強めに多輝の手を押さえた。軽く押さえられただけで多輝の下半身に快感が走る。多輝は潤んだ眼差しで由梨佳を見つめた。
「気持ち、いい、です」
「逆に言えば、ヒューマノイドの女性器ユニットはとっても繊細だとも言えるわ」
由梨佳は多輝の目の前に膝をつき、スカートを軽く持ち上げた。多輝の下着を静かにずり下ろす。多輝はされるがままに腰を少しだけ浮かせた。由梨佳が下着を足から抜く。その下着の中心には既に愛液の染みが出来ていた。
「直接、弄るときは注意してね、決して、無茶な弄り方はしないように」
それが自慰を開始しろ、という合図だと気付いて多輝は恐る恐る頷いた。心に沸き起こっていた別の欲望に蓋をする。そもそも、何故この身体でそんなことが可能だと思うのだ。自分は男ではないのだから。多輝は懸命にそう自分に言い聞かせた。
ゆっくりと指先でクリトリスを探る。忠告通り、多輝は静かにクリトリスを弄った。えも言われぬ感覚が下半身に溜まる。これが自慰なんだ、と多輝は他人事のように感心した。剥き出しになった陰部は濡れそぼっている。愛液が小陰唇の間から溢れているのだ、という知識はあったが、それを自分の指先で確かめるとなぜか不思議な気がする。多輝は自分の女性器を弄りながら変な感覚に囚われていた。
「濡れてる……」
「ヒューマノイドの女性器ユニットはとても濡れやすく出来ているの」
愛液を指ですくってみる。指を目の高さにかざしてみると、指先に付着した愛液が蛍光灯の光を照り返した。指の間でこすってみる。粘度は低い。多輝は舌先で指を舐めてみた。
「味、しないもんなんだ」
「合成愛液には香料が含まれている場合もあるんだけど、あなたのは無味無臭ね」
へえ、と多輝は感心して頷いた。少なくとも自分の知っているそれは少し味が違っていた。そこまでを考えて多輝は思わず顔をしかめた。なに考えてんだ、おれは。別の味って何なんだよ。だが胸の内で問い掛けても答えは出ない。
記憶がなくなってますが、本性は変わらないということですね!w