ちょっとだけですがw
「あ……!」
声を上げて射精した瞬間、立城はそれまで感じたことのないほどの快感を覚えた。水輝がゆっくりと頭を下げ、立城の喉に食らいつく。立城は身体を震わせて激しく腰を振った。身体が溶けそうなほどの快感に囚われる。
水輝は立城の喉に牙を立て、その血を啜り始めていた。低いうなり声を時折漏らす。立城はそんな水輝の様子をはっきりと見ることは出来なかった。牙を使って穿たれた穴を舌先がなぞる。流れる血を啜る水輝の目は爛々と輝いていた。
もっと奥にきて。立城の耳にささやき声が届く。立城の意識に水輝の力がねじ込まれる。立城は夢中で腰を揺らした。意識と意識が混ざり、どこからが自分でどこからが違うのかが判らない。次第に立城の目の色は暗く沈んでいった。歪んだ力と快楽に囚われ、肉体には直接、水輝の牙が食い込む。
水輝は音を立てて立城の血を啜っていた。真っ白だった立城のシャツが首の部分から赤く染まっていく。締められたネクタイが目に見えない力によって緩み、ボタンが弾け飛ぶ。立城のシャツはずるりとずれ、その肩が剥き出しになる。水輝は新たな場所に狙いをつけて舌なめずりをした。
瞬間、息が止まるほどの衝撃が走る。水輝が立城の肩に牙を立てたのだ。
「あっ、ああっ!」
立城は掠れた声を上げて仰け反った。痛みと快楽が同時に襲ってくる。水輝はその鋭い牙を使って立城の肉を噛み千切っていた。がくん、と立城の身体から力が抜ける。だが立城は辛うじて水輝の肩をつかみ、何とかバランスを取った。水輝は唸りを発しながら立城の肉を食んでいる。
十字架が揺れる。赤い血で出来た十字架を立城は必死でつかんだ。その瞬間、水輝がびくりと身体を震わせて動きを止める。立城は夢中で十字架の鎖を引き千切った。微かに戻った意識を懸命にたぐり寄せる。手の中に十字架がおさまった瞬間、立城はその場から飛びのいた。傷ついた肩を押さえ、腕を振る。手の中の十字架がその形を変える。
立城は腹の底から怒号を発して右腕を大きく振った。十字架は深紅の刀へと姿を変え、狙い違わず水輝の胸へと吸い込まれていった。胸に刀を突き立てられた水輝が断末魔の叫びを上げる。
全霊をかけた立城の叫びがその声を凌駕したその時、水輝の身体が煌きを帯びる。青い光が執務室を満たしていく。立城はそれと共にがっくりと床に膝をついた。
何かが千切れる音がする。立城は眩しい光の中で薄く目を開けた。
「間一髪、ぎりぎりセーフってとこか? お前にしちゃ、珍しく危ない勝負だったな」
聞き慣れた声に立城は苦笑した。木の根とつるを引き千切って幹から解放される。床に座り込む立城の元に歩いてきたのは水輝だった。血に濡れた口許を乱暴に手の甲で拭っている。
「やあ。何とか成功したみたいだね」
視界が霞む。立城は震える手を床について何とか頭を上げた。動こうとした矢先に水輝が軽く手を上げる。するとそれまで執務室を満たしていた光が嘘のように消え失せた。そして水輝は立城に歩み寄るとその場に膝をついた。
「いま治してやるから待ってろ」
そう言って水輝は乱暴に立城の胸元をつかんだ。唇を合わせて目を閉じる。立城も大人しく目を閉じて水輝の力を受け入れた。それまでとは違う、真っ直ぐな力が体内に入ってくる。それと同時に立城の傷は徐々に消えていった。
水輝の着ていた服は衝撃にはじけ飛んでいた。だがその肌には傷はない。立城が突き立てた筈の血の刀はきれいに消えている。
「これで終わり。ったく、どうせなら女の格好で怪我してろ。おれはノーマルなんだよ」
「そうしたら僕は女性同士で交わらなきゃならないことになっていたんだけど」
唇を離した水輝が不服を漏らす。立城は困った顔で水輝にそう言い返した。立ち上がった水輝の股間には男性器がある。水輝はあの瞬間に力を分けられ、男性に変質していたのだ。
「これがそうなのか?」
水輝がそう言いながらソファに寄る。立城は半分だけ瞼を下ろしてため息をついた。
「そうだけど……ねえ。僕の意見は無視?」
「ああ? ばーか。女同士なら男同士よりまだましだろが」
予想はしていたが水輝の答えは簡潔極まりなかった。立城は苦笑して立ち上がり、乱れた服を整えた。横たえられているヒューマノイドの機体に近づく。機体は力の欠片を注がれ、静かに寝息を立てていた。珍しそうに覗き込んでいる水輝の背後に立ち、立城は声をかけた。
「ところで服は着ないの?」
「どうせすぐ脱ぐし。……奈月!」
唐突に水輝が呼ぶ。その瞬間、空間が滲んで奈月が姿を現した。手にはまだバケツを持っている。何が起こったのかを咄嗟に理解出来なかったのだろう。奈月は驚いたように周囲を見回した。
「ほら、ここだって」
水輝が皮肉な笑みを浮かべて声をかける。奈月は途端に嬉しそうな顔になった。
「水輝さんっ!」
手にしたバケツを床に放り捨て、水輝に駆け寄る。水輝は当り前のようにその身体を強く抱いた。
「まあ、とりあえずは落ち着いたかな……。どうでもいいけれど寝室に移動してからにしてよ。一応、ここは僕の執務室なんだ」
再会の喜びに抱き合い、熱烈な口づけを交わしている二人に立城は苦笑した。水輝がけっ、と喉の奥を鳴らして舌を出す。
「ああ、そういえば」
立城に思う存分な悪態をついていた水輝がふと真顔になる。立城は首を傾げてみせた。水輝の性格ならこのままさっさと寝室に移動して奈月と戯れるに違いない、と思っていたのだ。だが水輝は珍しく考え込むような素振りで告げた。
「あおいってなに?」
「ああ、それは」
笑顔で言いかけて立城は口をつぐんだ。そして改めてにっこりとした笑みを浮かべる。
「内緒」
唇に指をあてて立城はそう告げてみせた。すると水輝が渋面になる。その腕の中では奈月が嬉しそうに顔をほころばせていた。
奈月というのは、水輝がもの凄い執着している女の子です。
彼女というか水輝の女?
なのですが、奈月は水輝大好きなのですが、ちょっと変わってます。