愛液の滲んだ秘部にそっと触れる。優一郎は目を細めて軽く栄子のクリトリスをつついた。赤く勃起したその部分は思っていた以上に弾力がある。優一郎は丹念に指先でクリトリスの周辺を弄った。小陰唇もクリトリスも、そして包皮にも繋ぎ目はない。一枚の皮膚がその部位を作っていることがよく判る。感心しながら優一郎は更に指を進めた。栄子の唇から熱いため息が零れる。
意外と作りは雑だなあ。優一郎は呑気にそんなことを考えていた。画像で見たよりも生身の女性器は雑多な作りに見えた。触れる強さの些細な差で反応を違えるヒューマノイドとは大違いだ。優一郎が微妙に指の力に強弱をつけても栄子の反応にさほどの差はない。そうしてみるとヒューマノイドの方がよほど繊細に出来ている。
「あっ、そこ! 上手よ……ああっ!」
しかもどうやら栄子の膣内には感じるつぼのようなものがあるらしい。その部分を弄る時に反応がより強くなる。ふむ、と優一郎は納得顔で頷いた。試しに指先に触れた愛液を口にしてみる。生身らしい独特の匂いときつい塩の味が口に残る。
これが人の雄を触発するのかな。優一郎は口許に微かな嗤いを刻んで内心で呟いた。だが優一郎にとって栄子の女性器は観察の対象にはなるが欲望をそそられるそれではない。それでも優一郎は出来るだけ自然に見えるよう、脳裏にヒューマノイドの女性器を思い描いた。萎えかけていたペニスが力を取り戻す。
そっと右腕を振る。優一郎は左手だけで栄子の女性器を弄りながら右手でジャケットの袖口を探った。仕込んでおいたそれが指先に落ちてくる。カプセルに入ったそれを右の指に挟み、優一郎は静かに立ち上がった。
「そろそろ、入れてもいいかな?」
我慢できない、といった風を装って優一郎は告げた。視線を彷徨わせる。その様子を照れている、と理解したのだろう。栄子は艶やかに微笑んで優一郎の首に腕を回した。
「いいわ……来て」
囁いて栄子が唇を合わせてくる。優一郎は口づけに応えながらペニスを左手で握った。右手で陰唇を割り開きながらカプセルをそっと膣口に挟む。その上からペニスをあてがい、優一郎は一気に腰を前に進めた。
ペニスに押され、カプセルが膣内深くに潜り込む。優一郎は栄子の腰をしっかりとつかみ、ペニスを膣の奥へと突き入れた。カプセルが飛び出して来ないよう細心の注意を払いながら腰を軽く上下させる。
「んっ! そうよっ! もっと……来てぇ!!」
栄子が淫らに喘ぐ。だが優一郎はペニスの抜き差しはしなかった。激しく動けばまだ溶けきらないカプセルが出てくる恐れがある。優一郎は小さく笑って栄子の股間に手を伸ばした。勃起したクリトリスを指で強めに弄る。
膣壁が緊張に僅かに締まる。優一郎のペニスを包み込み、膣壁がひくつく。だがその刺激は優一郎には少し物足りなかった。ヒューマノイドの膣にはあらゆる機能をつけてある。ただ突き入れているだけでヒューマノイドの機体は快楽を感じることが出来るし、それだけで優一郎も達することが出来る。激しい運動をしてしまえば機体が壊れる恐れがあるのだ。もっとも、壊れるほど快楽に溺れたいとヒューマノイド自身が望めば優一郎もそうすることがある。そんな時のヒューマノイドの膣壁は艶かしく優一郎のペニスを扱く。そのことを優一郎はふと思い出した。
「あっ! そこっ……、もっと、突いてぇ! ああっ、んんふぅっ!」
にじるようにペニスに膣の奥を突かれ、栄子がはしたない声を上げる。優一郎はゆっくりと腰を引いた。栄子の腰をつかみ直して腰を前に押し出す。
まあ、これもいいか。優一郎は栄子の絡みつく膣の動きを感じながらひっそりと笑った。最初はゆっくりと腰を前後させる。焦らされていることに気付いたのだろう。栄子は甘えた声で優一郎に快楽を求めた。徐々に腰の動きを激しくする。優一郎は欲求のままに栄子を犯した。
カプセルが溶けきるまで二分。それから仕込んだナノマシンが作動するまで二分。計四分だ。優一郎は壁にかかった時計にちらりと目をやった。挿入してから三分が過ぎている。
「んっ、出るっ!」
掠れた声を上げて優一郎は栄子の腰を強くつかんだ。衝動が一気に身体を駆け抜ける。栄子は声もなく仰け反った。熱い精液が迸り、栄子の膣に満ちていく。優一郎は何度か腰を前後させてペニスに残った精液を全て扱ききった。
かちり、と時計の針が動く。その瞬間、栄子がびくりと身体を震わせた。目から一気に生気が失われる。優一郎は無言でそんな栄子を見守った。ずるりと音を立ててペニスが膣から抜ける。栄子は膣口から愛液と精液の混じった液体を零しながらがっくりと脱力した。
優一郎は片手で栄子を支えながら服を整え始めた。机に置かれたティシュで精液に塗れたペニスを拭う。幸い、服には付着しなかったようだ。優一郎は汚れたティシュをくずかごに放り込み、手早く服を整えた。シャツの外れたボタンをかけ、ネクタイを締め直す。
「……え?」
不意に間近で声がする。栄子は震えながら身体を起こした。慌てたように周囲を見ている。目の前に立つ優一郎に目を留め、改めて栄子は驚きの声を上げた。
「ええ!?」
意識を取り戻した栄子は明らかに取り乱していた。それは当然だろう。知らない間に下着を取り、あまつさえ大股を開いているのだ。しかも秘部は濡れそぼり、今まさに性交していました、と言わんばかりの状況なのだ。これで取り乱さない方がおかしい。
優一郎は冷めた眼差しでチェッカーを見つめた。さっきまで振り切っていた針は今は振れていない。完全に力は遮断できたようだ。
「総一郎……様?」
正気に戻った栄子が恐る恐るそう呼びかける。優一郎は僅かに眉を上げて栄子を見た。栄子はそんな優一郎を見てはっとしたように目を伏せる。ごめんなさい、という苦しそうな栄子の詫びを聞きながら優一郎はチェッカーをポケットに戻した。どうやら完全に正気に戻っているのは確かなようだ。些細な自分の変化をきちんと栄子が見取ったことが何よりの証拠だ。そう思いながら優一郎は小さく笑った。
「ご要件を承りましょうか? 如月さん」
ポケットに手を突っ込んだまま、優一郎は栄子に向き直った。この時、優一郎と栄子の立場は完全に逆転した。
栄子が正気に戻りました。
某スカウターとか作ってしまう総一郎博士って……