これも足してあります……。
爽やかな朝だった。その日も立城はいつもと同じ時間に目が覚めた。窓から差し込む明かりはカーテンを通っているために柔らかい。大きなベッドの中で身じろぎし、立城はゆっくりと身体を起こした。
寝室にはクラシック音楽が流れている。立城は腕を上げて大きく伸びをした。
「おはようございます、立城様」
静々と紅梅が入ってくる。立城は朝の挨拶を交わし、差し出された新聞を手に取った。ぬるめに入ったハーブティを片手に新聞にざっと目を通す。素早く株価計算をしつつ立城はベッドサイドに手を伸ばした。小皿に盛られたチョコレートを一つつまむ。それを口に放ってから立城はあれ、と首を傾げた。
「これ、もしかして多輝が作った?」
「はい。昨日、奈月様とご一緒にキッチンで」
「へえ。けっこう上手いじゃない。うん、美味しいよ」
二個目を口に入れて立城は頷いた。何事もない平穏な朝の始まりだった。紅梅が静かにカーテンを引き、日差しを寝室に招き入れる。窓を開けると少し冷たい秋の風が寝室に入ってきた。紅梅はいつもこの窓から小鳥に餌を与えているのだ。今日も紅梅はパンくずを片手に小鳥を呼んだ。
高い指笛の音に呼ばれ、小鳥たちが集まってくる。立城はそれを横目にのんびりと新聞をめくった。記事を頭に叩き込む。特に必要という訳ではないが、それは立城の習慣になっていた。
朝の時間はゆっくりと過ぎる。姿見に向かってネクタイを結び、立城はよしと頷いた。力は大分戻ってきている。今まで早く回復するために力を使うことを控えていたのだ。だがさすがに一週間も経てば問題はない。立城は姿見から視線を外し、ドアの横を見た。丁度、その位置に花瓶に活けられた花がある。
おもむろに手を伸ばす。立城は狙いをつけて極度に絞った力を指先から放った。力は過たず花目掛けて飛んでいく。だが力が弾けた瞬間、立城は目を見張った。
花瓶が粉々に砕けて散る。活けられた花の一輪、しかも花弁の一片だけを飛ばすつもりだった立城はその光景に絶句した。
「……立城様?」
姿見を支えていた紅梅がため息混じりに呼びかける。立城は力なく笑いながら姿見に向き直った。
「何だか嫌な予感がするなあ」
鏡に映った立城は困惑気味な笑みを浮かべていた。
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また900字!
当時は字数とか考えずに段落切ってたので、当然短いのもあるんですが……。
狙ったように二話!!><
立城のしもべ? 的存在の使い魔ですが。
前に水輝が愚痴ってたように女性しかいません。
紅梅というのも女性の使い魔です。
900字……。
すみません、これもちょっと足しました。
ネタバレというほどではない小ネタです。