※この作品はR-18です。

南雲ハジメは悪魔にエロ技能を与えられた!   作:木崎楓

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 異世界召喚と、ちょっとした晩餐会シーンです。色々とやることが多いせいで、濡れ場シーンが作れませんでした。すみません。


異世界召喚

 両手で顔を庇い、目をギュッと閉じていたハジメは、ざわざわと騒ぐ無数の気配を感じてゆっくりと目を開いた。そしてあり得ない事態に驚愕した。

 

(どういう……ことだ……?)

 

 ハジメの中に浮かんできたのは、漠然とした恐怖だった。なんせ、今までは学校にいたはずなのに、見知らぬ場所にいたのだから。絵画やら何かを崇める人やらから、大聖堂とかそんな感じの、宗教関連の建物だろうとは分かるが。

 しかしすぐに、ハジメは心を落ち着けることができた。というのも地球にいた時は、ハジメに能力を与えてくれた悪魔がいたからだ。そういった規格外の存在を認知しているため、今回の事件もその類によるものだろうと、とりあえず納得することができたのだ。

 

(っとと。それより先に、安全確認だ)

 

 そうして辺りを見ようとしたのだが、その時に気づいた。雫が震えながら腕に抱きついているのだ。また、その近くでは香織がへたり込んでいる。特に雫は、突然のことに怯えているらしい。こんな超常現象を目の当たりにしたら、普通はこうなる。

 

「……大丈夫か? 特に雫」

「う、うん……でも、何があったの……?」

「そうだよ。ハジメくんは、ここはどこか分かる?」

「いや、流石に分かんない。……スマホも圏外、マップも機能しないし」

 

 スマホを確認して、ハジメは答えた。

 

 現状で分かっていることは、ハジメ達は、教会らしき場所にいるということだけだ。特に印象深く映るのは、巨大な絵画だろう。背景には草原や湖、山々が描かれ、それらを包み込むかのように、後光を背負い長い金髪を靡かせうっすらと微笑む中性的な顔立ちの人物が描かれている。今まで様々なモノを見てきたハジメだから言えるが、なんとなく、宗教色が出ているように見える。

 

 しかもそれに加えて、自分達のいる台座の方に向けて、多くの、少なくとも三十人近い人々が、ハジメ達の乗っている台座の前にいたのだ。まるで祈りを捧げるように跪き、両手を胸の前で組んだ格好で。白地に金の刺繍がされた法衣のようなものを纏い、傍らには錫杖のようなものが置かれている。

 この場所がどういった場所か、ハジメはほとんど理解した。それを確信へと変えるため、心を読んでみると、

 

(エヒト様が遣わされた使徒様だ……!)

(ああエヒト様……救いをくださりありがとうございます……!)

 

 明らかに、何かに信仰を捧げているのが分かった。しかも跪いている全員から、似たような思考を読み取ることができた。どうやら彼らは“エヒト様”とやらを崇め奉っているらしい。

 

 ここまで来れば、この場所が宗教施設であることは確定したようなものだ。しかしだからといって、行動を起こすことはできないのだが。

 

「とりあえず、ここは宗教施設っぽいね。大聖堂とかそんな感じのところ」

「えっと、キリスト教みたいな感じ?」

「まぁそうだね。キリスト教ではなさそうだけど。心を読んでみたけど、ここの人達は“エヒト”とやらを崇めているらしい」

 

 香織や雫に尋ねられたことを答えつつも、ハジメは地球上に存在する宗教や神話についてを思い返していた。が、エヒトなどという神は、ハジメの記憶上、宗教の神としても、神話的にも存在しなかったはずだ。

 

(……分からないな)

 

 一分ほど思い出そうと頑張ってみたが、エヒトと呼ばれている神を崇める宗教を、ハジメは知らなかった。そこに関しては、まぁ仕方ないと、軽く済ませた。

 

 そんなことを考えていると、周囲はある程度静かになっていた。どうやら光輝が落ち着けてくれていたらしい。こういう場面では助かると、ハジメは素直にそう思った。

 

 すると跪いている集団の中の一人が、法衣集団の中でも特に豪奢で煌びやかな衣装を纏い、高さ三十センチ位ありそうな細かい意匠の凝らされた烏帽子(えぼし)のような物を被っている、七十代くらいの老人が進み出てきた。

 そんな彼は手に持った錫杖をシャラシャラと鳴らしながら、外見によく合う深みのある落ち着いた声音でハジメ達に話しかけた。

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

 そう言って、イシュタルと名乗った老人は、好々爺然とした微笑を見せたが、それを見たハジメは、一気に警戒心を高めた。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 現在、ハジメ達は場所を移り、十メートル以上ありそうなテーブルが幾つも並んだ大広間に通されていた。

 この部屋も例に漏れず煌びやかな作りだ。素人目にも調度品や飾られた絵、壁紙が職人芸の粋を集めたものなのだろうとわかる。

 

 おそらく、晩餐会などをする場所なのではないだろうか。上座に近い方に畑山愛子先生と光輝、それと彼とつるんでいる人達が座り、後はその取り巻き順に適当に座っている。ハジメは最後方だ。両隣には香織と雫が座っている。

 全員が着席すると、絶妙なタイミングでカートを押しながらメイドさん達が入ってきた。様々な女の子を堕としてきたハジメの目から見ても、みんな美女・美少女メイドだ。とはいえハジメは、

 

(こりゃハニートラップだな。まぁ対処は簡単だけど)

 

 イシュタル教皇の心を読み、ハジメはこのメイド達がハニートラップ要員だと分かっていた。実際にメイド達の心を読んでみても、メイドの経験が無い人も多い。完全に容姿で選んで、必死で最低限の作法を身につけさせたようだ。

 が、ハジメにハニートラップなど関係無い。全員堕として従順にしてしまえばいいだけの話だからだ。ハジメはそれに特化した能力を持つが故、あまり気にする必要は無かった。

 

 ただ、普通の男子生徒は別だが。普通の思春期男子には、この美しく可愛らしいメイドの虜となっていた。もっとも、それを見た女子達の視線は、氷のような凍てつくものだったのだが。

 

 一応念のため、ハジメは近くにやって来たメイドを確認する。例にも漏れず美少女だ。一瞬だけ目が合ったが、その瞬間に、メイドは頬を赤く染め上げた。

 

(……多分、能力は問題無しだな)

 

 ハジメは女性を惹き付けるフェロモンを発している。故に近くにやって来るだけで、女性は頬を赤くし、軽い発情状態になってしまう。その効果は、この世界の女性にも適応されるようだ。

 

「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」

 

 ひそかに周囲の様子を確認していると、イシュタル教皇の話が始まった。そしてこの話はあまりにも奇想天外で、地球に住んでいた一般人にとっては、ひどく現実離れしたものだった。

 

 話を要約するとこうだ。

 

 まずこの世界――トータスには、人間族と亜人族と魔人族という、三種の知的生命体がいるらしい。だが亜人族に関しては、今回の話に深く関わってこない。

 

 人間族は、基本的にトータスの南側に住んでおり、逆に魔人族は北側に住んでいる。そして人間族と魔人族は、何百年も続く戦争状態にあった。理由としては、崇める神の違いとかなんとか。言ってしまえば宗教戦争のようなものだろう。

 人口的には、人間族の方が圧倒的に多い。しかし魔人族は、数が少ない代わりに個々の力が人間族に勝っている。それこそ、少数で戦力を拮抗させるほどには。

 

 そう、戦争は拮抗していたのだ。人間族は数という長所で、魔人族は個々の質という長所で戦い続けてきた。あまりにも戦力が拮抗していたので、最近は激しい戦いは行われていなかったらしい。いわゆる冷戦状態のような感じだったとか。

 

 しかし、最近はそれが崩れつつある。その理由が、魔人族による魔物の使役だ。これにより、魔人族の弱点であった数を補うことができた。

 

 そもそも魔物というのは、魔力により変質した動物……ということらしいが、実態はよく分かっていない。どれもが厄介な固有魔法を使える、害獣のようなものだ。

 今までは、使役するにしても一体か二体程度が限界だったらしいがが、その常識が覆されたのである。

 

 まだ本格的な侵攻は行われていないらしいが……このままでは、いつ侵攻が行われ、どれだけの人間族が犠牲になるのか。

 

「あなた方を召喚したのは“エヒト様”です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方という“救い”を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、“エヒト様”の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

 イシュタルはどこか恍惚とした表情を浮かべている。おそらく神託を聞いた時のことでも思い出しているのだろう。

 どうもこの世界では、人間族の九割以上が、創世神エヒトを崇める聖教教会の信徒なのだという。これを聞いたハジメは、思わずため息を吐いてしまったものだ。あまりにも歪すぎる世界だと思わざるを得ない。

 

 しかしそんな中、立ち上がる人物が一人。

 

 愛子先生だ。

 

 

「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

 やはり先生は凄いと、ハジメは愛子の叫びを聞いてそう思った。彼女は本当に、根っからの教師なのだ。生徒を理不尽から守るために、必死で力を尽くしている。

 

(……まぁでも今回の場合、けっこう悪手なんだけど)

 

 ハジメはイシュタル教皇に視線を向ける。表情からは何も読み取れないが、“心理掌握”があれば、容易に隠された胸の内を暴くことができる。

 

(やはり、反論する人は出てきますか……。しかし最悪、魔法で洗脳してしまえば問題ありませんな)

 

 イシュタル教皇は反対されても動じない。その理由は簡単で、反対された時の対策を立てているからなのだ。しかもその対策というのは、洗脳なのだから。

 性奴隷とハジメに関しては、基本的に洗脳というか、精神操作は効かないため問題無い。一応、脳を直接操作されてしまった場合は効果を発揮するが、魔法である以上、そういうこともないだろう。

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

 それに、帰還は不可能ときた。場に静寂が満ちる。重く冷たい空気が空間を支配する。その支配から逃れられている者は、ハジメくらいか。それ以外の誰もが、何を言われたのか分からないという表情でイシュタルを見やる。

 

「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」

 

 愛子先生が叫ぶ。

 

「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」

 

「そ、そんな……」

 

 愛子先生が脱力したようにストンと椅子に腰を落とす。周りの生徒達も口々に騒ぎ始めた。どうしようとか、死にたくないとか、ふざけるな、とか。特に男子の声が大きい。対して女子の声は小さい。これはハジメの性奴隷となり、ホルモン等の都合で落ち着いているからだろう。

 

 だが、最初からこうなることを予想していたハジメは、一切のショックを受けていなかった。というか、そもそもハジメは、エヒトのことを疑っているのだ。

 

(どうして、エヒトが魔人族を殺さないんだろうねぇ? どうしてわざわざ労力かけて、異世界から人を召喚したのかねぇ?)

 

 ハジメはイシュタルの方を向き、そんな風に考えていた。そのイシュタルは、どこか侮蔑するような目でクラスメイトを見ていた。

 そもそもの話、魔人族を倒したいだけであれば、エヒトが直接滅ぼしてしまえばいい。それが最高効率だ。なのにそうしないということは、あえて異世界から召喚するということは、エヒトは単に魔人族を倒したいわけではないのだろう。

 

 自分が言ってもあんまり変わらないというか、面倒になるのは分かっていたので、クラスメイトの叫びを適当に聞いていると、突然ドン、という机をたたく音が聞こえた。

 

 そこには、光輝が立ち上がっていた。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

 拳を握りしめ、堂々とそう宣言する光輝。そして彼のカリスマは異世界でも変わらず、遺憾なく発揮される。

 

「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。危険だけど、だからってそんな人達を見捨てられねぇからな……俺もやるぜ」

「おうおう! 俺達ならできる!」

「魔人族に勝って、元の世界に帰るぞ!」

 

 そうして、男子生徒達は、光輝を中心に団結した。男子生徒は、だが。女子生徒については、態度的には賛同しているように見えても、実際はそうじゃない。彼女らは頭が良いため、心の底では反対していた。この場では迎合しているだけで。

 

 それを見ていたハジメだったが、ふと、妙な雰囲気を感じ取った。それがした方へ向くと、そこには一人の修道女がいたのだが……そこから、心の声が聞こえた。

 

(……了解いたしました。イレギュラーの可能性のある人間――南雲ハジメの監視を行います)

 

 ハジメはゾクリと、背筋を震わせた。その機械的な心の声に。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 それからハジメ達は、神の使徒を受け入れてくれるという“ハイリヒ王国”の王城へと向かった。話によると、そこで暮らすことになるらしい。

 

 王城へ着き、国王に謁見した際も、宗教国家らしい一面を見させられたが、それに関してはどうでもいい。最初から、宗教が凄まじい力を持っていることは予想できたから。

 

 それから、国のお偉いさんの紹介がされた。とりあえず、国王はエリヒド・S・B・ハイリヒ、王妃はルルアリアというらしい。

 その二人の子供は、一人は十歳前後で金髪碧眼の美少年、ランデル王子。もう一人は、十三、四歳くらいの、王子と同じく金髪碧眼の美少女、リリアーナ王女がいる。

 

 その後は晩餐会なのだが……ハジメは食事を少しだけ食べると、テラスのような場所で佇んでいた。一人で、情報の整理を行っていたのだ。

 

(……状況は危険だな。そもそもエヒトが信用できない。それを信じる教会も人間も、信用できない。女性に関しても、別世界だから、必ず性奴隷にできる保証が無い)

 

 ハジメの考察だと、とりあえず全世界が潜在的な敵であると判断したのだ。今は味方だが、いつ敵となるか分からない存在。

 女性に関しても、明確に異世界だと確信できたが故に、心配していた。堕とすことができるのか、と。堕とすことができれば、味方を多く作る事もできるが……。

 

「すみません……」

(そもそもだ。この国で情報収集をしようにも、信用できるモノが無い。本とかも多分、教会の検閲を受けてるだろうし、本当に面倒というか……)

「あのぉ……」

 

 そんなことを考えていたら、隣の方から聞き慣れない声がした。そこにはなんと……リリアーナ王女が立っていた。

 

「先程からずっと、お一人でどうされましたか? 食事がお口に合いませんでしたか?」

「あっ……リリアーナ王女。いえ、少々考え事を。それと食事は美味しかったですよ」

 

 王女との会話。これには流石のハジメも緊張してしまう。こんな目上の人と話す機会などそうそう無い。あの悪魔との会話も最近は慣れてきて、かなりラフな感じになってきたので、本当にこういうのは久しぶりなのだ。

 

 それにしても……と、ハジメはリリアーナを見る。この国の第一王女、頭の上にちょこんと乗ったティアラ、月の光に照らされ輝くような金髪、純白の清楚なドレス姿。とても可愛らしい。

 

「あっ。私、お邪魔しましたか?」

「いえいえ! 邪魔だなんてとんでもない!」

「そうですか……? では、少しお話をよろしいでしょうか?」

「それくらい全然大丈夫ですよ」

 

 というわけで、リリアーナ王女との会話が始まった。どうやら彼女は、他の神の使徒、つまりはクラスメイトとも話をしていたらしい。

 

「それで、先程は何を考えていたのですか? かなり深刻そうな顔でしたが……」

「ああ、はい。……急にこの世界に召喚されて、その変化に戸惑っていたという感じです。昨日はこんなことになるなんて、思いもしませんでした……」

 

 内心では心臓をバクバクさせながらも、ハジメはある程度平静を装いながら、リリアーナの疑問に答える。すると予想とは違った表情で、予想とは違ったことを言い出した。

 

「……大変申し訳無いと思っています。他の使徒様からも少しお話を聞いたのですが、皆様と私の年齢は殆ど変わらないとか」

 

 これは本心だった。心を読めるハジメだからこそ確信できる。彼女は心の底から、召喚されたハジメ達に罪悪感のようなものを感じているのだ。愛子とは少し異なる気がするが……これはこれで、とても真面目で心優しい人だと、ハジメは感じた。

 それに加えてだが、このリリアーナ王女には、他の人達にあるような、エヒトに対する信仰心がそこまで強くないように感じた。

 

「それはリリアーナ王女が謝られることではありませんよ。リリアーナ王女が召喚されたわけでは無いのでしょう?」

「そうですが……でも、トータスの住人として……」

「そのお気持ちだけで、僕は嬉しいです。戦うために呼ばれた僕達のために、心を痛めて心配してくれて……リリアーナ王女は優しいのですね」

「えっ?」

「……リリアーナ王女は自覚はないかもしれませんが、本当に優しい心を持っていると思います。僕達……いわば兵士となる予定の一人一人と向き合う姿勢は、本当に素晴らしいとおも――」

 

 ハジメは普通に褒めているつもりだった。こういった優しさを持つ人間は、ハジメの周りでは本当に貴重だから。だから気づかずに、意図せずにべた褒めになってしまっていたらしい。

 リリアーナ王女はここまで褒められ、しかも経験上、お世辞ではなく本心からだと理解できる態度のハジメだからこそ、顔を真っ赤にしていた。

 

「あっすみません! 流石に不敬すぎます、よね……」

「い、いえ……ここまで心の底から褒められることは、本当に久しぶりだったので……」

 

 そんな風に言いつつ、リリアーナは少しだけ呼吸を整える。が、すぐに「あっ」と、何かを思い出したかのように言った。

 

「そういえば、お名前をお聞きしていませんでしたね」

「確かにそうですね。改めまして、南雲ハジメといいます」

「私はリリアーナ。でも流石に王女と呼ばれ続けるのもあれですし……気軽に“リリィ”と呼んでください」

「えっ!? いや、それ大丈夫、なんですか……?」

「私は大丈夫ですよ?」

 

 とは言うものの、ハジメとしては心配でならなかった。リリアーナは良いと言っているが、それを見た周囲がどう思うかは分からない。

 

「……なら、公の場では“リリアーナ王女”で、他の公の場出ない場所では“リリィ”と呼びます」

「はい。それで構いませんよ、南雲ハジメ様。えっと、ハジメ様……の方がいいですか?」

「あー……後者の方でお願いします」

「はい。ではこれからよろしくお願いしますね」

 

 テラスでのそんな一幕もあったりした。が、ハジメとしては、信頼できそうな人と会えたこと、しかもそれが王女だったことを、少しだけ嬉しく思っていた。

 

 晩餐会の方へ戻ると、もうすぐ終わるといった頃だった。そこで、王宮ではハジメ達の衣食住が保障されている旨と、訓練における教官達の紹介もなされた。教官達は現役の騎士団や宮廷魔法師から選ばれたようだ。いずれ来る戦争に備え親睦を深めておけということだろう。

 

 晩餐が終わり解散になると、各自に一室ずつ与えられた部屋に案内された。ハジメも案内され、部屋に入ったのだが……天蓋付きのベッドなどもあり、それにも驚いた……そして、それよりも驚くべき存在が、そこにはいた。

 

「やぁやぁ。ようやく世界を特定できたからやって来たよ」

 

 そこには地球で何度も見た、美少年の顔をした悪魔がいた。




・南雲ハジメ∶トータスの住人では現状、リリアーナだけしか信用していない。

・白崎香織∶割とメンタルは強い。色々なことに驚くが、一瞬で恐怖は過ぎ去るので精神衛生上は良い。お化け屋敷でビビりまくるタイプ。

・八重樫雫∶メンタルよわよわ。あまり驚かないが、一定ラインを超えると恐怖に支配される。お化け屋敷でガン泣きするタイプ。

・リリアーナ∶ハジメの近くにいると、胸がドキドキする。が、王女として平常心を保っていた。

・????∶とある存在に、南雲ハジメに警戒するようにと命じられた。



愚A様  MRE様  高坂皐月様  一色刹那様
薄味ラーメン様  ランス提督様  エル258様

評価していただき、ありがとうございます。
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