与えられた部屋に入るとそこには、悪魔がいた。地球にいるはずの悪魔が。
「そう驚かないでよ。ほら、とりあえず落ち着いてからゆっくり話そう」
そう言って、悪魔はベッドに腰掛ける。ハジメの方も、部屋にあった椅子に座る。
「とりあえず、僕がこの世界に来た事情から話そうか。まず僕が来た理由だけど、一番は『君達の安否を確認すること』だね。特にハジメ君と光輝君の安否が重要でさ」
「……ああ、そういう」
「まぁ、それは問題なかった。そしてもう一つの理由が『君の依頼をサポートすること』だ。異世界だし、少しとはいえ光輝の力は少し弱まるからね。ここで終わらせてしまおうってわけ」
どうも悪魔は、ハジメのサポートを行うためにやって来たのだという。
トータスは、当然ながら地球ではない。故に光輝の能力の一部が弱まっている。大幅に弱まったわけではないが、それでも今が好機、というわけだ。
「なるほど……そういう意味で」
「そう。で、早速だけど……」
そう言うと悪魔は、何もない空間に穴を開けて、そこからスマホ程度の大きさの銀色のプレートを取り出した。
「これはステータスプレート。どうやらこの世界では、様々な強さを数値化できるらしくてね、これはそのステータスを表示してくれるんだ」
「へぇ。……でも、普通なら貰えるんじゃ? 強さを明確化できるのなら、召喚された僕達に渡さないわけがない」
「そりゃ貰えるさ。でもね、君や、君の性奴隷達のステータスはかなり厄介なんだ。それこそ、王宮から追放されかねないくらいにね。だから、今から渡すのはステータスプレートのダミーだ」
悪魔はハジメに向けて、一つのステータスプレートを投げ渡した。キャッチして受け取ると、ハジメはそれを見てみた。
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1
天職:錬成師
筋力:10
体力:10
耐性:10
敏捷:10
魔力:10
魔耐:10
技能:錬成・言語理解
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ステータスプレートには、このように表示されていた。だが今のハジメには基準が分からないため、何を言えばいいか分からない。
「それに表示されてるのは、君が僕から能力を受け取らなかった場合のステータスだ」
「能力を……ああ。地球で能力を与えられてなかったら、こうなってたっていたと?」
「そうそう。それと他の……君が性奴隷にした子達のステータスプレートも用意しといたよ。あの子達も、ステータス的にかなり危ないから、後で渡しておいてね」
「分かった」
自分達のクラスメイトが召喚されたとはいえ、全員が召喚されたわけではない。偶然教室から離れていた人は、巻き込まれずに済んでいたりいる。
とはいえ、召喚された人数はかなりのものだ。その中から、性奴隷の女性の分のステータスプレートを、ハジメは悪魔から受け取った。加えて性奴隷を作る毎に、悪魔がダミーのステータスプレートを作ってくれるらしい。
「さてと、次はこのトータスについてだ」
「なるほど?」
「まずこの世界と地球の違いなんだけど……一番は、神がいるかいないか。地球には神がいるんだけど、この世界にはいないんだよね」
「うん? いや、でも、この世界は創造神エヒトが作ったとか……」
「いいや、残念ながらそうじゃない。というかエヒトなんか、僕達から見たら全然神じゃないね」
悪魔が言うには、エヒトは確かに神性を持っているが、あまりにもその神性が弱すぎるのだという。それこそ、地球の神の半分の半分の半分の半分の……くらいらしい。
「あの神性を鑑みるに……エヒトは元は人間か、それに近しい知的生命体だね」
「そうなんだ。エヒトは厳密には神じゃない……でも、それで世界が成り立つの?」
「案外成り立つよ? というか言っちゃうけど、実は神がいない世界の方が多いんだよね。君達の世界には神がたくさん住んでるけど、それは例外中の例外。だからこそ、地球はどの世界よりも上位に位置してるんだ。神の数が、世界全体の強さに繋がるからね」
要するに、トータスには神は存在しないのだ。皆に崇められているエヒトは、神性こそ持っているが、神としては弱すぎるらしく、大したことはないのだという。
「まぁそういうわけだから、せっかくだし世界征服でもしてみたら? この世界の人間族、亜人族、魔人族全てに、君の能力はよく効くからさ」
「え?」
「この世界の人達を全員女体化させて、君が神として君臨するんだ。別にこの世界には神なんていないし、誰も文句は言わないと思うよ?」
「いやでもなぁ……あなたが言ってることって、あくまで神の基準ですよね? それを人間に押し付けられても……」
「いや、君ならそれくらいできるよ。まぁ、地球の人達に無闇に被害を出さなければ、好きにしていいからさ。クラスメイトとかも好きにしていいよ」
「あっ、はい」
悪魔は話したいことを話し終えると、さっさとどこかへ消えていった。この後ハジメは性奴隷達に、ダミーのステータスプレートを渡して、一人ずつ気絶するまで犯して帰っていった。
◆◇◆◇
翌日、早速訓練と座学が始まった。
まず集まった生徒達に、スマホ程度の大きさの銀色のプレートが配られた。……とはいえど、ハジメと女子達に関しては、それがステータスプレートだと事前に知っているので、大きな反応をすることはない。そのステータスプレートについて、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。
騎士団長が訓練に付きっきりでいいのかとも思ったハジメだったが“勇者様一行”を半端な者に預けるわけにはいかないのだろう。半端者に預けたら預けたで、後の戦闘に悪影響が出るかもしれないから。
メルド団長本人も、「むしろ面倒な雑事を副長に押し付ける理由ができて助かった!」と豪快に笑っていたくらいだから大丈夫なのだろう。副長のストレスが溜まっていくだろうが。
「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」
非常に気楽な喋り方をするメルド。彼は豪放磊落な性格で、「これから戦友になろうってのにいつまでも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告するくらいだ。
ハジメ達からしても、わざわざ様付けで呼ばれるよりは、こうして気軽に話してくれると助かった。歳上からよそよそしい態度を取られると、流石に居心地が悪いというものだ。
「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」
「アーティファクト?」
アーティファクトという聞き慣れない単語に光輝が質問をする。
「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその
なるほど、とハジメは頷く。ステータスプレートについては聞いていたが、アーティファクトについては知らなかったので、頭の中に知識を詰め込んだ。そして、本来のステータスを見るために、プレートを起動させる。
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:1
天職:覇王
筋力:6260
体力:8050
耐性:8780
敏捷:9910
魔力:19300
魔耐:10440
技能:錬成・武術・砲術・並列思考・縮地・先読・気配感知・魔力感知・透視・空間把握・魔根化[+精力増強][+精力変換][+精神攻撃無効化][+全属性耐性][+物理耐性][+高速魔力回復]・体液媚薬化[+効率上昇]・淫紋契約[+身体強化][+変換効率上昇Ⅴ][+魔力操作][+回復魔法][+光属性適性][+投擲術][+火属性適性][+調理術][+水属性適性][+氷属性適性][+操鞭術][+風属性適性][+隠業][+降霊術][+闇属性適性][+複合魔法][+結界術適性][+魔力付与][+魔法付与][+土壌管理][+土壌回復][+範囲耕作][+成長促進][+品種改良][+植物系鑑定][+肥料生成][+混在育成][+自動収穫][+発酵操作][+範囲温度調整][+農場結界][+豊穣天雨]・心理掌握[+読心][+遠隔発動][+同時発動][+発動速度上昇]・幻術[+消費魔力減少][+効果範囲拡大]・女体化変異・性奴隷変異[+変異速度上昇]・言語理解
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すると、このように表示された。ダミーのステータスと比べると、異常な数値だ。一般人の平均値を知らないが故に、どれくらい強いのかは分からないが、平均以上の強さであろうことなら予想できた。他の生徒達も、マジマジと自分のステータスに注目している。
「全員見れたか? 説明するぞ? まず最初に“レベル”が――」
そうしてステータスプレートの説明が始まるが、ハジメはそれを聞きながら、やっぱり一緒にいた香織と雫にステータスを聞いてみる。
「ねぇねぇ、ステータスはどんな感じ?」
「私達の? ほら」
そう言って、二人は本当のステータスを見せてくれたのだが……
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白崎香織 14→2歳 女→雌 レベル:1
天職:治癒師→性奴隷
筋力:560
体力:680
耐性:580
敏捷:610
魔力:1500
魔耐:1000
技能:回復魔法・光属性適性・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・淫紋[+身体変異][+感度上昇][+魅了][+精神攻撃無効化][+全属性適性][+全属性耐性][+身体強化][+変換効率上昇Ⅴ][+魔力操作]・隷属[+絶対服従(南雲ハジメ)][+感情支配][+行動支配][+隠蔽]・言語理解
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八重樫雫 14→2歳 女→雌 レベル:1
天職:剣士→性奴隷
筋力:500
体力:620
耐性:850
敏捷:980
魔力:980
魔耐:900
技能:剣術・居合・縮地・先読・気配感知・魔力感知・隠業・淫紋[+身体変異][+感度上昇][+魅了][+精神攻撃無効化][+全属性適性][+全属性耐性][+身体強化][+変換効率上昇Ⅴ][+魔力操作]・隷属[+絶対服従(南雲ハジメ)][+感情支配][+行動支配][+隠蔽]・言語理解
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狂いに狂っていた。とりあえず、年齢と性別と天職がおかしくなっていた。
まず年齢。二人はもう既に17歳のはずだが、何故か2歳と表示されている。というかそもそも、14歳で停止している。これはすなわち、本来の香織と雫は、ハジメの性奴隷になった年齢で、別の存在として生まれ変わったということだ。故に2歳となっている。彼女らを性奴隷にしてから二年が経過しているから。
性別についても、まるで家畜のように“雌”と表記されているが、これも暗に、二人がハジメの性奴隷という、人間以下の存在に堕ちたことを示していた。天職も同様だ。もはや彼女らに、人間の天職など必要無い。
これは、他の女子や愛子も同じだった。全員がハジメの性奴隷、人間以下の存在であると、プレートには示されていたのだ。しかし、それを嘆く人はいない。
「性奴隷、か……」
「そうだよ。これに書いてある通り、私達はハジメくんの性奴隷だから、何をしてもいいんだよ?」
「うん……ハジメの命令なら、何だって聞くよ?」
嬉しそうな香織と、少し恥ずかしそうな雫。二人の頭を軽く撫でつつ、メルドの説明を聞くのであった。
まずはレベルだが、これは日々の鍛錬で少しずつ上がっていくらしい。最大値は100だが、後述するステータスの数値とは対応していないようだ。
次にその五つのステータスについて。これに関してもやはり鍛錬をすることで上がっていく。ちなみにだが、一般人のステータスは各10程度である。
最後に技能。普通の人は三つくらい持っているらしい。基本的には増えることはないが……日々の積み重ねで、派生技能というものが増えることはあるらしい。
というわけで、説明が終わったところで、ステータス報告をすることになった。ステータス情報は、今後の訓練に活かすらしい。
そうして最初に光輝がステータスを見せに行ったのだが、そのステータスが……
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天之河光輝 17歳 男 レベル:1
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・寵愛[+強運][+超成長][+活性化][+思考誘導][+奇跡]・言語理解
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案外普通だった。ように感じたのだが、ハジメはこのステータスが大器晩成型ではないかと感じた。
ハジメは一度、光輝に攻撃されているのだが、その時にあり得ない現象を起こされている。彼は当たり前のように、その場その場に適した力を引き出してしまう。かつ、いくらでも成長する上、その速度も異常ときた。今すぐ攻撃して殺すにしても……その瞬間に能力を引き出してくる可能性すらある。
「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」
「いや~、あはは……」
ただ態度的に、光輝はそれを知らない。だが彼の心の底からの願いを叶えるための能力を持っているため、油断は禁物。ハジメを殺したいと思えば、それを可能にするステータスを得ることだろう。
ちなみにだが、他の人達も、光輝には劣るが戦闘職であり、そこそこ強かったらしい。それでも素のステータスという意味では、性奴隷の女子に劣っていたが。
そしてハジメの番。ハジメはダミーのステータスプレートをメルドに見せる。今までが凄まじかったため、ホクホク顔だったメルドだが、ハジメのを見たとたん、表情が「うん?」と笑顔のまま固まり、ついで「見間違いか?」というようにプレートをコツコツ叩いたり、光にかざしたりした。そして、ジッと凝視した後、もの凄く微妙そうな表情でプレートをハジメに返した。
「あー、その、なんだ……錬成師というのはまぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」
歯切れ悪くハジメの天職を説明するメルド団長。確かに、強い兵士になり得る人材を欲していたメルドにとっては、微妙な評価になるだろう。
その様子にハジメを目の敵にしている男子達が食いつかないはずがない。鍛治職ということは明らかに非戦系天職だ。クラスメイト達全員が戦闘系天職を持ち、これから戦いが待っている状況では役立たずの可能性が大きい。
学校でのイジメの主犯格のような人物――檜山大介が、ニヤニヤとしながら声を張り上げる。
「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か? 鍛治職でどうやって戦うんだよ? メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」
「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」
「ギャハハハ! そんなんでどう戦うんだ!? クッッッソ無能じゃねぇかよなァ!!」
檜山が、実にウザイ感じでハジメと肩を組む。見渡せば……いや、見渡さなくても、周囲の男子達はゲラゲラと嘲笑い、ハジメに罵声を浴びせる。
例外は龍太郎と浩介くらいか。龍太郎は止めようとしたが、流石に多勢に無勢で止められず。浩介は今後のことを思うと動けずにいたのだが。まぁ仕方ないというものだ。
メルドも大声を出していたが、しかし男子生徒達の声の方が大きい。なんせ十人以上の嘲笑と罵声だ。かき消されてもおかしくはない。
だがハジメの方は何とも思っていないのか、涼しい顔をしていた。本当のステータスでは、ハジメは男子生徒を圧倒しているからだ。いわば強者の余裕である。
だが、鬱陶しいのは確かだ。ハジメとて、学校で馬鹿にされるのには慣れてきているが、嫌なものは嫌だし、不快になる。嫌気が差し、ため息を吐いたその時だった。
「お黙りなさい!」
そこに、女性……というか女の子の声が響いた。この場に合わない声に、全員の視線が声の方向に向く。すると、何もない場所が陽炎のように揺らめき、そこから二人の女性が現れた。
「リリアーナ姫!?」
片方に関してはメイドだろう。だがもう片方は、ドレスを着た金髪の女性、神の使徒であるハジメ達ですらよく知る人物――リリアーナ王女だった。どうやら姿を消すアーティファクトを利用して、この場に忍び込んでいたらしい。
「使徒様のことを知っておきたいと思い、この場に忍び込ませてもらいましたが……何ですか、この醜い有様は?」
彼女は明らかに、怒っている。表情はほとんど動かないが、前日の笑顔とは比べ物にならない冷たさが、怒りの強さを物語っていた。
「貴方達は戦争に参加すると言った、その時点でこの国の騎士なのです。そして騎士である者が、一人の人物を集団で罵倒する? そんなことは、許されるはずがありません」
「で、でも……」
「では、何ですか? 生産職だからという理由で、南雲様を罵倒してもいいとおっしゃるのですか?」
檜山は何かを言おうとするが、しかしリリアーナの言葉と怒気に押され、思わず「あ、あぁ……」と答えてしまう。
「確か檜山様でしたか? 生産職だから南雲様を罵倒したと言うのなら……今この場で、同じく生産職である畑山様も罵倒し、嘲笑いなさい」
「そ、それはっ……!」
「おや、できないのですか? 貴方が言うには、生産職の畑山様も罵倒されて然るべき存在では? ああ、もちろんこれは檜山様だけに言っているわけではありませんよ? 南雲様を罵倒していた全員に言っているのです。さぁ皆様、南雲様を罵倒できて、畑山様を罵倒できないのですか?」
そう言われても、だ。彼らに先生を罵倒することなどできるわけがない。彼らは、ハジメが相手だから罵倒していたに過ぎないのだ。
「……メルド。二人は今後、どのように扱う予定で?」
「はっ……畑山愛子様は、各地の農地周りの巡回へ。南雲ハジメ様は、そのまま戦闘訓練を……」
「なるほど。では、南雲様の戦闘訓練を中止にして、代わりに工房へ所属させなさい」
「で、ですが南雲ハジメ様も立場的には神の使徒……」
リリアーナは、ハジメを錬成師として鍛えようと画策する。しかしそうしてしまうと、魔人族と戦うための神の使徒が戦いに使えないと証明することになってしまうのだ。故にメルドは、一瞬だけ逡巡した。
「神の使徒だから、戦わねばならないと? では畑山様も戦場に出しなさい。もしそれが嫌ならば、南雲様が錬成師として鍛えるように取り計らいなさい。これが、戦争においては最良です」
リリアーナの完全なる正論。これに反論する人など出るはずもなく、メルドは周囲の何人かの教官に指示を出していく。
そんな中、リリアーナはハジメの方へ近づいてくる。
「南雲様。大丈夫でしたか?」
「ああ、はい。ありがとうございます。流石にあそこまで言われると、煩わしかったもので……」
「煩わしい……?」
リリアーナはハジメの言葉に疑問を感じた。あそこまでの大勢の罵倒を、何故煩わしいで済ませることができるのか、と。そんな彼女の心を読んだハジメは、フフッと軽く笑って言う。
「この程度のこと、日常茶飯事ですから。別に気にするほどではありませんよ」
「えっ」
「囲まれて殴られなかっただけ、今回は良い方です」
大したことなさそうに、笑いながらそう言うハジメに、リリアーナは動揺を隠せなかった。同時に、ハジメのことを知りたいと、そう思うのであった。
・南雲ハジメ∶男子生徒に殴られても罵倒されても、鬱陶しいくらいにしか思ってない。全く痛くないし、アザにすらならないし。
・メルド∶彼の立場的に、戦闘員はあまり減らしたくなかった。減らすと『神の使徒は戦えない』みたいなレッテルを貼られる可能性があるから。
・リリアーナ∶召喚されたほぼ全ての男子達に不信の感情を抱く。そしてハジメのことが気になるようになる。
今回は同時投稿なので、次話に続きます。次話では濡れ場があるのでよろしくお願いします。