※この作品はR-18です。

南雲ハジメは悪魔にエロ技能を与えられた!   作:木崎楓

45 / 103
 今回は濡れ場はありません。あと描写が転々とするので、そこだけはご注意ください。


襲撃

 神山の大迷宮を攻略したハジメは、気づくと教会の大広間に戻ってきていた。ハッと顔を上げると、そこではノイントが呆然と立ちつくしていた。

 

「……ノイント?」

「ッ! 主様!?」

 

 ノイントは驚いた様子でハジメの方を向く。しかしその顔は少し残念そうというか、とにかく落ち込んでいるのはなんとなく感じ取れた。

 

「ノイントも、迷宮攻略は成功したか?」

「……いいえ。失敗してしまった、みたいです」

 

 その理由がこれだ。彼女は、迷宮の攻略に失敗してしまった。

 

 理由は簡単だ。まずノイントを始めとした性奴隷達にとって、神とはハジメである。彼の作り上げるであろう世界で、ノイントは一身に寵愛を受け、喜んでしまった。

 どうやらこれが、神に縋ったという風に見られたらしく、大迷宮から追い出されたようだ。

 

 製作者が意図したものではないのだろうが、どうやらこの大迷宮は性質的に、性奴隷達には非常に難しい迷宮となっているようだ。

 

 しかし、疑問点もある。大迷宮の中にあった手記には確か、大迷宮攻略に失敗した者は、今までに得た神代魔法を使えなくなり、大迷宮に関連する記憶を失うはず。

 なのにノイントは、大迷宮について覚えている。もし手記の内容が正しければ、最初のハジメの言葉に「大迷宮とは何ですか?」とでも答えていただろう。

 

「……ノイント。他の神代魔法は使えなくなったりしてない?」

「はい? ……いえ、そんなことはありません」

 

 しかしノイントは、何も忘れていない。これは単に、悪魔からもらったハジメの能力が、神代魔法を上回っていたという、それだけのことだ。

 

「なら大丈夫だ。取りあえず、迷宮攻略は後にする。今の僕であれば、神代魔法を使えるようにするくらい余裕――」

 

 その時、ハジメは無数の気配に気づいた。それはノイントと似たような雰囲気ではあったが、微妙に異なっているような、そんな気もした。

 

「ノイント! 教会の外へ!」

「はい!」

 

 急いで教会から出る。するとそこには……軽く数千くらいだろうか、銀髪の、天使の羽を持った人型の存在がそこにいた。ノイントから教えてもらった様々な点が合致しているので、それが神の使徒であることは、ハジメもすぐに理解した。

 

 しかし一つ異なる点がある。ノイントの話だと、神の使徒は全員女性とのことだが、ここにやってきた神の使徒は、全員男性であるのだ。

 

「イレギュラー……まさか生きていたとは」

「ああ、生きていたさ。二ヶ月半もかけてやっと見つけたとは……エヒトも随分と無能なものだ」

 

 ハジメは空に向けて、煽るように言う。エヒトに向けて声を届かせるかのように嗤いながら。

 

「まぁでも、男型の神の使徒を作り出したのは、中々に良いと思うよ。確かに僕の能力は、女性を性奴隷にする能力だからね」

「南雲ハジメ、そしてノイント。主様の命により、排除します」

 

 数千の神の使徒に囲まれた絶望的な状況。しかしハジメは臆することなく、ニヤリと笑う。

 

「……ステータス一万や二万がいくら集まろうが、僕は止められないよ」

 

 その瞬間ハジメは見えなくなる。そして一秒後には、敵の神の使徒の八割は消滅させられていた。

 

「分析……分析、不可能」

「……せっかくだ。死ぬ前に、僕のステータスを教えよう」

 

 ハジメは先程手に入れた魂魄魔法を利用して、まだ生き残っている数少ない神の使徒の頭の中に情報を流し込んだ。

 

 

 

===============================

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:逋セ荳

天職:覇王

筋力:7098051

体力:6985640

耐性:6899329

敏捷:7025910

魔力:7851093

魔耐:7268001

技能:骭ャ謌深+驩ア迚ゥ邉サ髑大ョ咯[+邊セ蟇?軒謌疹[+驩ア迚ゥ蛻?屬][+驩ア迚ゥ陞榊粋][+驕?髫秘軒謌疹[+隍?」ス骭ャ謌疹[+蝨ァ邵ョ骭ャ謌疹[+鬮倬?滄軒謌疹[+繧、繝。繝シ繧ク陬懷シキ蜉帑ク頑?][+豸郁イサ鬲泌鴨貂帛ー曽[+驩ア迚ゥ蛻?ァ」]繝サ豁ヲ陦薙?遐イ陦薙?荳ヲ蛻玲?晁?ゼ+諤晁???溷コヲ荳頑?]繝サ邵ョ蝨ー[+辟。諡榊ュ疹繝サ蜈郁ェュ繝サ豌鈴?諢溽衍[+迚ケ螳壽─遏・]繝サ鬲泌鴨諢溽衍[+迚ケ螳壽─遏・]繝サ騾剰ヲ悶?遨コ髢捺滑謠。繝サ鬲疲?ケ蛹房+邊セ蜉帛「怜シキ][+邊セ蜉帛、画鋤][+邊セ逾樊判謦?┌蜉ケ蛹望[+蜈ィ螻樊?ァ閠先?ァ][+迚ゥ逅??先?ァ][+鬮倬?滄ュ泌鴨蝗槫セゥ][+豸郁イサ鬲泌鴨貂帛ー曽[+蠢ォ讌ス蠅怜シキ][+蠑キ蛹門柑邇?ク頑?竇ゥ]繝サ菴捺カイ蟐夊脈蛹房+蜉ケ邇?ク頑?][+諤ァ螂エ髫キ蠑キ蛹問?]繝サ豺ォ邏句・醍エЪ+霄ォ菴灘シキ蛹望[+螟画鋤蜉ケ邇?ク頑?竇、][+鬲泌鴨謫堺ス彎[+蝗槫セゥ鬲疲ウ評[+蜈牙ア樊?ァ驕ゥ諤ァ][+謚墓憧陦転]

===============================

 

 

 

「これは……」

「ステータスプレートは、僕の技能を全て表示することができなかった。故に言語は圧縮された。とりあえず、僕は全ての技能を使えると思った方がいいかもね」

 

 そう言いながら、ハジメは片手間で残りの神の使徒を殲滅した。

 

「エヒト、聞いているんだろう? 僕は君の望んでいるモノを持っている。アレーティア・ガルディア・ウェスペリティリオ・アヴァタール……彼女は、僕の手中にある。奪い取れるものなら奪ってみろ、虫ケラが」

 

 ハジメは天に向けてそう吐き捨てた。

 

 ちなみにだが、現在ハジメとノイントはあえて“幻術”を解いているため、エヒトなら容易に認識することができる状態だ。もちろんだが、その二人以外は“幻術”を解いていないので、エヒトには認識できない。というか、あえてエヒトにその様子を見せたのだ。

 ここで幻術を元に戻す。これにより、また外部からハジメ達の姿を認識することはできなくなる。

 

「よし。後で神代魔法は教えてあげるから、今はさっさと王宮にいる性奴隷を回収するよ」

「かしこまりました」

「ここからは本当にスピード勝負だ。天之河が来る前に全員の回収を済ませる」

 

 そうしてハジメ達は神山を下り、王宮へ向かう。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 ハイリヒ王国、王都入口。天之河光輝をはじめとした勇者一行は、その恐ろしい光景に呆然としていた。

 

「なんだ、これは……どうしてこんなことに……」

 

 光輝にとって、こんなものはあり得ない光景だった。自分が頑張れば、すべてを救えると確信していたから。だが実際はどうか? 街は破壊され、いたる場所から火の手が上がっている。死人が出ていないと確信することは、できなかった。

 

「話によると、神の使徒の一人である清水幸利が裏切ったとのことだ。だから俺達のやることは二つ! 一つは魔物を殲滅すること! そしてもう一つは清水幸利を捕縛することだ!」

 

 メルドが光輝達に発破をかける。そうして彼らは、パーティごとに分かれて王都の中へと入っていった。

 

 その中の、光輝達のパーティ。ここのメンバーは、光輝と龍太郎、それと香織と鈴と恵里だ。元は雫も入っていたのだが、ハジメの命令のこともあり、今はここにいない。

 

「清水……何故裏切ったんだ?」

「それは分かんねぇ……だが俺達にできることは、あいつを捕まえることだけだ!」

「ああ、そうだな!」

 

 彼らは魔物を蹴散らして進む。この二ヶ月で、彼らは、その中でも特に光輝に関しては、自らの神の寵愛により、著しい成長を遂げていた。故にそこら辺の魔物くらいは、大したこともなかった。

 

 だがそれ故に、気づかぬ間に警戒心は薄れてしまっていた。

 

キィィィィィン!!

 

「ッ!?」

 

 彼らの足元に魔法陣が展開される。大迷宮で初めて見かけた、あのトラップのように輝く。

 

「まずいっ、皆離れ――」

 

 光輝が声を出した時には、もう手遅れだった。魔法陣は光を放ち、彼らを別々の場所に散り散りにさせてしまった。

 

 そして光輝が気づいた時には……

 

「皆、大丈夫……って、檜山と永山?」

「うおっ!? って、なんだ天之河か」

「お前達も、まさか……?」

「ああ。トラップにかかって別々の場所に転移した、って感じだ」

 

 先程の転移トラップは、おそらくは清水か、あるいは彼を脅したという魔人族が仕掛けたものだろうと、彼らにも容易に推測することはできた。

 

「……とにかく、今はこの三人でやるしかないか」

 

 転移したものは仕方無いと、そう割り切って、光輝達は進んでいく。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 龍太郎は、王宮へと転移させられた。しかし王宮は完全にもぬけの殻といってもいい状態で、物音一つしなかった。加えて、荒らされた様子すら無い。そこに、後ろから声がかけられる。

 

「坂上か?」

「うおっ!? ……ってなんだ遠藤か」

 

 後ろから声をかけてきたのは、クラスメイトの遠藤浩介だった。非常に影が薄いのもあり、普段はあまり喋らないのだが、こういう場面ともなれば話は別だ。

 

「……ここ王宮、だよな? おかしいくらい静かなんだけど」

「確かにそうだなぁ。これは俺もおかしいと思うぜ」

 

 二人の声だけが響く中、突然足音が響く。龍太郎と浩介は歩いていない。誰が別の人物の足音だ。

 

 そして、その人物は現れた。

 

「……!!」

「おまっ……おまえっ!!」

 

 そこにいたのは……最初の大迷宮訓練の時に死んだはずの、南雲ハジメだった。

 

「久しぶりだね」

 

 五体満足の身体で、彼は生きて帰ってきた。そんな彼に、二人は慌てて近づく。

 

「南雲ッ! 無事だったのか!?」

「……無事だよ。色々あってここに戻ってきたんだけど……とんでもないことになってるね。王宮には誰もいないし」

「あっ、それについて、何か分かったりは……?」

「ああ、分かったことはある」

 

 浩介の質問に、ハジメは分かると答える。するとその答えを急かされるかのように、ハジメは肩をがんがんと揺さぶられる。

 

「じゃあ何だ! 何が起こったんだ!?」

「ちょっ……待て待て待て! 落ち着け! あと一旦離れて!」

「おう遠藤、こりゃ流石に南雲に迷惑だろ!」

 

 龍太郎が引き離してくれたことにより、ハジメはようやく落ち着くことができた。そして何度か深呼吸をすると、彼はゆっくりと口を開いた。

 

「んで、こんなことになった理由なんだけど……」

「おう」

「何だ?」

「……僕が全員を拐った」

 

 パチンッ、という音が響く。ハジメが指を鳴らした音だ。その瞬間、龍太郎と浩介の目からは光が失われた。

 

「さぁ命令だ。遠藤はこれを持って所定の場所まで移動。そして坂上は、今はいつもの態度で天之河光輝と合流するのに専念しろ。それと、ここで起きたことはすべて忘れること。もちろん、僕の命令に逆らえないのは変わらない」

「……ああ」

「……分かった」

 

 すると二人の目には再び光が宿り、彼らはハジメを無視して移動を開始した。

 

 他に誰もいなくなった王宮で、ハジメは彼らに向けて言う。

 

「君達だけは……女体化して性奴隷にはしないよ。代わりに、天之河光輝の無力化には役立ってもらうけどね」

 

 クラスメイトの中でもこの二人だけは、ハジメに対して一切の危害を加えることはなかった。いやむしろ、助けてくれたくらいである。

 龍太郎は真正面から堂々と。浩介はこっそりと心配するように。ハジメからしてみれば、この二人が味方してくれたのは、非常に意外なことだった。

 

 だからこそ、女体化はさせないし、性奴隷にはしない。尊厳を踏みにじるような、そんな行為は行わない。ハジメの中では、以前から決めていたことだった。

 

「さて、やるべきことはやった。魂魄魔法や他の神代魔法も利用すれば、皆に神代魔法を与えることもできる。後はもうノイントやティオ、雫がやってくれてるだろうし……フェアベルゲンに行くか」

 

 ハジメのいた場所が揺らめき、ハジメはその揺らぎと共に消えた。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 魔物は殲滅完了。しかしその首謀者と予測される清水幸利を発見することは叶わなかった。

 

 しかしそんなことよりも、さらに恐るべき事態が起きていた。そしてそれが、光輝の心を激しく揺さぶった。

 

「なんだこれは……どういうことだッ!? 街の住人が一人もいない!? しかも王宮にも誰も……何が起きたんだ!!」

「おっ、おい光輝! 怒るのも分かるけど、怒りすぎだ!」

「そんなこと言ってる場合か!! 香織が! 雫が消えたんだぞ!?」

 

 そう。王都からはあらゆる人々が消え去っていたのだ。市街地で暮らす平民も、王宮で仕事をしている貴族や王族、その使用人が消え去った。

 それだけではない。先程まで一緒にいたはずのメルド団長をはじめとした騎士団の人達や、クラスメイトの女子もまた、全員消えてしまっていた。

 

 この“何の痕跡も無く”というのは、文字通り、血痕すら残さず、まるで最初からそこにはいなかったかのように、消えていたということだ。

 

「クソッ……!!」

 

 光輝は地面を殴る。こんな状況を起こしたのは誰か。誰がこんな酷いことをしたのか。歯ぎしりをしながら考える。

 

 考えて考えて……考えて考えて考えて……さらに考えて考えて考えて……ふと、思い出したのだ。あの、最初の大迷宮遠征の時に死んだ、南雲ハジメのことを。

 

「まさか……」

 

 もしハジメが生きていたら。あの性格が悪く不真面目で傲慢な人間のクズであるあいつが生きてたならば……もしかしたら、この事件を起こしたのは彼かもしれない。

 いや、清水幸利が事件を起こしたのはおそらく事実なのだろうが、それをあいつが裏で操っていたら。それならば、全ての辻褄が合う。魔人族と共謀していたから、こんなことを起こせる力を持っていたのだ。確実に教皇は言っていた、ハジメは裏切り者であると。

 

 結局、南雲ハジメが全て悪い。

 

「……分かった」

「ん? どうしたんだ光輝」

「龍太郎! この事件の裏には……南雲がいる! 絶対だ! あいつが清水を操って事件を起こさせた! あいつは魔人族と手を組んで、俺達を殺そうとしているんだ!」

 

 常人から見れば、あまりにもぶっ飛んだ思考の飛躍だ。そして常人の龍太郎には、その言葉が理解できなかった。

 

「はぁ!? いや待てよ! 確か南雲あの時に死んだだろ!? あれで生きてるって言うのかよ!?」

「ああ。確かに普通に見れば、南雲は死んだように見える。けどそもそも、あのトラップは魔人族と手を組んだ南雲が仕掛けたものだったんだ! イシュタル教皇も言っていただろう!」

「えっ、ああ……確かに言ってはいたな……」

 

 龍太郎も、イシュタル教皇がハジメを裏切り者認定した時の言葉は覚えていた。が、その言葉は嘘であると、彼は直感的に確信していた。だからこそ、こんなしどろもどろな返事となっていた。

 しかしそんなことは知らないとばかりに、光輝はさらに続ける。

 

「あのトラップによって起きたパニックに乗じて、南雲は上手く俺達から抜け出したんだ! そうして魔人族側に合流した!」

「……おう」

「こんなことをして……ここからあいつは、世界征服を企んでいるに違いない! 色々調べた感じだと、他の街もいくつか消えているみたいだ! そこも南雲がやったに違いない! 悪いのは全てあいつなんだ!!」

 

 力を込めて、光輝は言う。まるでハジメに責任転嫁するかのように。

 しかしそれで、周囲にいる男子クラスメイトの多くが、ハジメへの憎悪を燃やすのであった。




・南雲ハジメ∶エヒトにその姿と圧倒的な強さを見せつけた。とある目的のために、ユエをチラつかせる。

・天之河光輝∶地味にハジメの行動をほぼ言い当てていたり、目的の半分を見破っていたりする。そこへ至るまでの思考がぶっ飛んでるけど。

・エヒト∶巧妙に隠蔽されたハジメの情報をなんとか手に入れ、それを元に男型の神の使徒を作ったが、あえなく瞬殺、さらに煽られて顔真っ赤になってる。



 短かったですが、第三章はここで終了です。次話にて、少しゴチャついてきたキャラとかに関する一旦のまとめを行います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。