※この作品はR-18です。

南雲ハジメは悪魔にエロ技能を与えられた!   作:木崎楓

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 濡れ場無し。ついにラスボス戦が始まります。

 あとハーメルン関連で、個人的に悲しい報告を耳にしてしまい、憂鬱な気分になっております。なので一週間か二週間くらい、投稿が止まる可能性がありますが、ご了承ください。


初見殺し

 目の前に立ち塞がるミレディ。しかしハジメにはやることがあった。そのために一歩踏み出そうとした時だった。

 

「ねぇ」

「……」

「あんた、随分と急いでるみたいね?」

 

 以前聞いた時とは比べ物にならないほど冷たい声で、ミレディはハジメに話しかけてきた。

 

 ハジメは無言であった。しかし微かな嫌な予感を感じ取り、警戒心を高める。

 

「あんたに一つだけ、質問するけど……」

「何?」

「……あんたは、どうしようもないクズでも、変われると思う?」

「……」

「誰でもその気になれば、良い人になれると思う?」

「……どんなクズかにもよるんじゃない? まぁでも、人間本来の性質や本能を抑えるのは難しいだろうね」

 

 ハジメは“宝物庫”から聖剣と聖鎧を取り出し、身につける。今この場にある最強の武器を握り、最強の防具を身につけて、ミレディへと近づく。

 

「……じゃあ、質問を変えようか」

「……」

 

 ミレディの言葉で、ハジメの足は止まる。

 

「私と共に、最期に最悪の一日を過ごす気は無いか?」

「……!」

「これ以上進むと言うのなら……あんたは、地獄を味わうことになる」

 

 ミレディは相変わらずのニコちゃんマークでハジメを見つめてくる。その言葉には、隠しきれないほどの嫌悪と殺意が秘められていた。

 

「つまりは、お前は僕のことを極悪人とでも言いたいわけか」

「むしろあんたは、自分のことを極悪人とすら思ってないわけ?」

「いいや、僕は極悪人だ。人間の尊厳を踏みにじった。けど……そんなことにこだわっていたから、解放者は敗北したんじゃないか?」

 

 ピクリと。ゴーレムボディなのに、ミレディが人間のような反応をした気がした。雰囲気が、そう見せかけた。

 

「解放者が敗北した理由は知っている。神に扇動された人間達から逃げた結果、敗北した。だが、その人間達を戦って殺していたら? もしかしたら、お前達は勝てたかもしれない。数が多いとはいえ、神代魔法すら使えない人達だろうから」

「……」

「そんなんだから、お前達は神に勝てなかったんだ。そもそも、犠牲無しに神を倒せると思っていたのか? 神に縋る事でしか心の平穏を保てない人達を切り捨てることができなかった。それこそが最大の敗因だ」

 

 ミレディは何も言わない。表情が分からないので、反論できず悔しがっているのか、怒りに震えているのかも分からない。そんな彼女に、ハジメはさらに続ける。

 

「あとお前は、世界を支配しようとする僕を止めようとしているのだろうけど……こっちにも、理由はある」

「何よ?」

「お前は知っているか? この世界に飽きたエヒトが、僕達の住む世界……地球を侵略しようとしたことを」

「……」

「僕が支配者として君臨することで、そんなことが起こる可能性を完全に無くすこと。僕がこの世界の神となることで、新たな支配者を生み出さないようにすること。それこそが一番の目的だ。まぁでも僕も人間だしね、単純に個人の欲望を満たすため、という個人的な理由もあるのは否定しないし、できない。その点で言えば確かに、僕はクズだ」

 

 ハジメは言いたいことを全て言い終わったらしく、口を閉じた。しかしそれから少し考えるようにして、再び口を開く。

 

「お前は……やっぱり、僕が世界を支配することが許せないのか?」

「違う。いや……新たな支配者が君臨することも、放置はできないことではあるけど……一番の理由は……女から人権を奪い、性奴隷にしようとしているところよ」

「……でもみんな、性奴隷になった子は幸せそうだけど?」

「私も元は女……だからこそあんたの、人としての、女としての尊厳を踏みにじるような行動には、虫唾が走る……!」

「あっそう」

 

 あっけらかんとした感じに軽く言うと、ハジメはさらにミレディへと近寄る。

 

「……清々しい空だ。鳥は囀り、花々は咲き乱れ……エヒトも、この世から消え去った。本当に、今日は素晴らしい日だ」

「……」

「そんな日にこそ、お前のような罪深き人間は……」

 

 ゾクリと背筋が震えたと思ったその時、ハジメの身体を、罪が重くのしかかる。おぞましい重圧とプレッシャーに、ハジメの肉体や脳が異常なほどに萎縮する。

 

 刹那の視界の暗転。気づいた時には、ハジメの周囲十メートル程度が、四角の結界で囲まれていた。そして気づく……魔法が、使えないことに。

 

「「「地獄の業火に焼かれて消えろ」」」

 

 そして、七つの声が響く。

 

「ッ!?」

 

 結界の下から無数の剣が突き出る。足が貫かれた……ような気がしたが、傷は何も無い。代わりに悪寒のような何かと、力が抜けるような感覚を覚える。

 

 急な攻撃と嫌な感覚、そして肉体に発生した違和感。それらに困惑していると、頭上からレーザーが放たれる。

 

「ッ、逃げないと……!」

 

 宙を浮く黒い傘から放たれる極太レーザーによる攻撃。ハジメはそれを無視して結界を殴る。百万を超える筋力と敏捷を利用して思い切り。

 

ブンッ!

 

「あっ、まず――」

 

 しかし、結界に触れることは叶わない。通り抜けることも叶わない。レーザーを一身に受け続けたハジメは、痛みすら感じることなく、意識を手放した。

 

 

 

 

 

『南雲ハジメの魂魄が破壊されました。修復を開始します』

 

 

 

 

 

『魂魄の修復を完了しました。セーブファイルをロードします』

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 心を破壊されるような苦痛、ハジメはそれを一瞬だけ味わうと同時に、魔力が抜けるような感覚で、目を覚ました。

 

「……あれは」

 

 ミレディの結界が形成された瞬間、魔法が使えなくなったことを確信した。さらに言うと、ステータスが減少した気がする。そしてあの、自分の中にある何かが削り取られていくかのような攻撃。

 

「あいつは、何をした?」

 

 ミレディが何をしたのか、どんな魔法を使ったのか、全く分からない。様々な魔法、おそらくは概念魔法を使っていたが、いくつもの概念魔法を同時に発動できるとは思えない。あのボディ的に、魔力はそこまで無いはずだから。

 

 とりあえず、ステータスが減少した気がした。具体的にどれくらい減少したかは分からないが、肉体の感覚的に、これはほぼ確実だ。

 次に結界について。普通に考えれば、破壊ができないものと考えておくべきだろう。というかそもそも触れることすらできなかった。出ようと突撃しても、あるラインで力が分散していく気がした。

 最後に攻撃全般。あれはおそらく魂魄攻撃。肉体ではなく、魂を削り取るような攻撃だろう。肉体とは違い、魂に丈夫もクソもないため、確かに有効的ではある。魂魄が破壊され尽くされれば、それは死と同義だから。

 

 何もしないわけにもいかないので、とりあえずハジメは魔王城の外へ出る。そしてミレディを視認すると、聖剣と聖鎧を身に着けて、空間魔法を用いてミレディの真後ろに回り込む。

 

「……は?」

 

 その瞬間、いや、ミレディとの距離がある一定まで近づいた所で、強制的にミレディの数十メートル手前に転移され、結界が形成される。

 

「これは……あんた、もしかして……」

「ああ、こりゃ避けるのは不可能か?」

「……やっぱり。まぁやることは決まっている」

 

 その瞬間、足元から無数の剣が突き出る。それを予測していたハジメは、事前にジャンプして刃を回避する。次に黒傘による極太レーザー。一発目は即座に回避成功するが……

 

(ッ、横……!)

 

 二発目を認識した時には遅かった。とにかく動きが遅い。普段なら回避できるはずの攻撃が回避できない。今の状態だと、最初から攻撃を予知していなければ回避はできるかもしれないが。

 とはいえ二発目を派手に当たった代わりに、三発目は回避成功、四発目はまた当たってしまった。そして五発目は、結界内のほぼ全域を吹き飛ばすような攻撃だったが、溜めがあったので回避に成功した。

 

「あれ、そこそこ良い不意打ちしたつもりだったんだけどね?」

 

 ミレディが結界の外側で声を上げる。

 

「ま、解放者の叡智を集めた概念魔法も万能じゃない。ちょっとチャージに入らせてもらおうかな」

 

 すると結界が解除される。攻撃も止んだ。

 

(トラップ? いや、分からないなら動くべきだ)

 

 トラップの可能性も考慮したが、結局ミレディを倒さなければならない気がした。故に聖剣でミレディを縦に斬り裂こうとする。しかし、

 

「えっ……?」

 

 攻撃は空を切る。ミレディがいたはずの所には残像だけが残り、いつの間にか、その横に立っていた。

 

「んん〜? そう簡単に攻撃を当てられると思いでもしたかい?」

 

 またしても、ハジメは所定の位置に転移させられ、結界に閉じ込められる。同時に無数の植物の茎か根か、そのような何かが、ハジメを狙って突き刺すかのように接近する。が、ギリギリ反応できるし、移動を続ければ回避は余裕。

 

――遡行。

 

 そう思った瞬間、ハジメは二秒前にいた場所にいた。そこから今までと同じ方向に移動しようとしたが……そこへ移動するのを読んだかのように、植物は攻撃をしてきた。

 

「まずっ――」

 

 ハジメの目に最後に映ったのは、百本近くの植物のような何かが、目の前にやって来たという事実だった。

 

 

 

 

 

『南雲ハジメの魂魄が破壊されました。修復を開始します』

 

 

 

 

 

『魂魄の修復を完了しました。セーブファイルをロードします』

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 ハジメは二度死んだ。しかしミレディの使う魔法はよく分からなかった。

 

 ただ今回で、ミレディは常に攻撃を行えないことは分かった。また、結界も長時間の維持はできないように思える。

 おそらくは、魔力消費が激しいのだろう。そしてミレディのボディ的に、魔力はそこまで多くない。だから何らかの手段で補給を行う必要があるのだと予想できる。

 

(とはいえなぁ……)

 

 あの戦闘では、ハジメは思うように高速移動ができない。そんな状態で速い攻撃を見切って、完璧に回避するなど、難しいにも程がある。ハジメからしてみれば、タチの悪い初見殺しにしか見えない。

 

「でもやるしかない。攻撃パターンが無限、ということは無いはずだ。覚えて回避をして、攻撃を続けろ……!」

 

 ハジメは三回目のミレディ戦に挑むため、魔王城の外へ出た。




・南雲ハジメ∶恐ろしいほどのデバフを受けた結果、身体が思うように動かせない。

・ミレディ∶概念魔法を使うと考えると、魔力量がかなり少ない。



《おまけ∶ミレディの概念魔法について》
 ミレディの概念魔法は、他の解放者の魂魄を取り込み一体化する、というものです。この際、魔法適性や知識等はすべて吸収してしまうので、まぁ強くなります。
 んで、今回のお話で使った魔法についての簡単な説明を行います。ちなみに、全部概念魔法の範疇です。
①結界∶空間魔法と昇華魔法を利用。触れないし壊せない、かつ外に出られない結界を形成する。ただし魔力消費量はかなり多い。
②黒傘∶生成魔法と魂魄魔法、昇華魔法を利用。オスカーのアレを真似た感じのレーザー攻撃。ちなみにだが、攻撃には全て、魂魄魔法が利用されている。
③遡行∶再生魔法と昇華魔法を利用。数秒前の状態へ時を戻すことができる。ただし記憶等に関しては持ち越しする。
④蔓∶変成魔法と再生魔法と魂魄魔法と昇華魔法を利用。異常な速度で、棘のついた植物を成長させ、それで攻撃を行う。



 ここからは、それとはちょっと別の話になります。今回のアンケートで、男子生徒達をどうするのかを決めます。その半分以上が、人としてのどうなの? って選択肢ですが、面白そうなのを選んでいただけると幸いです。
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