※この作品はR-18です。

南雲ハジメは悪魔にエロ技能を与えられた!   作:木崎楓

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 お待たせしました。

 ちょっとした余談なんですが、光輝は理不尽な相手というイメージの戦闘でした。しかしミレディは、単純に恐ろしく強い相手、という感じのイメージで戦闘を作っています。


罪の代償

「「「地獄の業火に焼かれて消えろ」」」

 

 三回目。それと共に、ミレディの苛烈な攻撃が始まる。とはいえ最初の不意打ちに関してはもう慣れた。掠ることはあれど、直撃はありえない。一発目、二発目、三発目、四発目、そして五発目と、完璧に回避してみせた。

 

「あれ、そこそこ良い不意打ちしたつもりだったんだけどね?」

「アホか死ぬところだったぞ」

「それは願ったりだ」

 

 そうしてミレディは攻撃のクールタイムに入る。攻撃が止み、結界が解除され、ハジメは自由に動けるようになる。

 

 なので攻撃を行う。どんな手段でもいいから、ミレディに膨大な魔力を消費させなければならない。彼女のあらゆる攻撃も、結界も、回避能力も、結局は魔法だ。魔力がなくなれば使えなくなるはず。

 

 そうして攻撃を当てようとするが、やはり当たらない。ミレディが回避している、というよりかは、攻撃が逸れているような、そんな感覚がハジメにはした。

 

「んん〜? そう簡単に攻撃を当てられると思いでもしたかい?」

 

 ミレディの言葉と共に、ハジメは所定の場所に転移させられ、その周りを結界が覆う。そしてやって来るのは、あの茎攻撃だ。

 とはいえ回避は余裕。数こそ多いが、茎は直線上にしか伸びない上、ハジメがいる一点だけを狙い撃ちしてくるので、動き続ければどうにかなるのだ。しかし、

 

――遡行。

 

(きたっ!)

 

 奇妙な技。これを聞いてハジメは足を止める。すると気づいたらハジメは別の場所にいて、茎は、ハジメの目の前を貫いていた。あのまま移動していたら、死んでいただろう。

 

「解放者の目的は、神の支配から抜け出すこと。そして新たな神を生み出さないこと。あんたが神になろうと言うなら、私はあんたを……殺す」

 

 結界を解いた瞬間に攻撃を行う。当てられなくてもいい。ひたすらに攻撃を続けろ。そうすれば、いつかは当たるはずだ。

 しかし聖剣での四連撃をしたところで時間切れ。またしても結界内に閉じ込められる。

 

 今度はコウモリのような何かが飛んでくる。結界内にいる時、ハジメは魔法は使えないので、撃ち落とすことはできず、ただ回避するしかできない。

 しかしそれが非常に難しい。全方位から迫るコウモリは、各々が不規則に飛び交う。ハジメに向かってくるものもいれば、避けるものも、完全無視するものもいる。全てを回避するのは非常に難しい。

 

(くそっ、そろそろまずいか……)

 

 今までも何度か攻撃に当たってきて、今回も何匹かのコウモリが身体に命中する。やはり肉体的な損傷は無いが、自分の中の何かが抉り取られるような嫌な感覚に苛まれる。

 

 だがそんな攻撃は、三十秒もすれば終わった。同時に結界も消えて、自由に動けるようになる。

 

 とはいえ、ハジメの精神も限界ではあった。攻撃に当たれば当たるほど、自分の中の何か、おそらく魂魄が損傷していくことは、ハジメ自身も理解していた。だからまずは回復をしなければならない。

 

「……っと」

 

 魂魄の回復など、普通の人間には中々に難しい技術である。しかしハジメなら、性奴隷を大量に作り、常人を超越した肉体とは頭脳を得たハジメなら、そういう魔法を組み立てるのは容易だった。

 

「あら、回復なんかしている暇があるのかしら?」

 

 回復が終わるのとほぼ同時に、ミレディの声がした。そしてハジメは結界内に閉じ込められる。

 

 結界の外側に、黒傘が現れる。それはちょうどハジメの足元に狙いを定め、光線を放つ。

 とはいえ、これ自体は最初に見た攻撃だ。ハジメはすぐにジャンプして避けるが、その目の前にさらに黒傘があった。さらには空間内では剣が飛び交っている。

 

「うおっ!?」

 

 間一髪で避けるハジメだが、今度は複数の剣に当たってしまう。これではまずいと、そう思ったのも束の間。ハジメは真後ろからやって来た光線により、魂魄は完全に破壊されてしまった。

 

 

 

 

 

『南雲ハジメの魂魄が破壊されました。修復を開始します』

 

 

 

 

 

『魂魄の修復を完了しました。セーブファイルをロードします』

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 四回目、五回目、六回目、七回目、八回目と……ハジメは何度も何度も繰り返した。少しずつ回避の精度が上がっていっているのは自覚していたが、それでも非常に難しい。

 そもそも、全方向に対して極限まで警戒しなければならない、というのがまず辛い。相手の攻撃に、ほんの少しでも当たってしまえば、まるで毒に侵されるかのように、しばらく持続的に魂魄を抉り取られる。

 

 とはいえ、進展が無いわけじゃない。敵に攻撃を当てようとすればするほど、敵に攻撃をさせればさせるほど、ミレディの魂魄が軋んでいるような様子を見せた。

 

 これは七回目の話だが、この回は、ハジメの集中力がかなり続いたため、全体的に上手く回避を成功させ、十二回の攻撃を行うことができた。その時、ミレディの魂魄に若干の軋みのような何かが見えたのだ。

 おそらくは、魔力不足だ。ミレディは人間の体ではなく、ゴーレムの体だ。魔力供給の方法は用意してあるのだろうが、概念魔法級の魔法を連発するとなると、心もとないのだろう。だから攻撃の合間に魔力供給の為にクールタイムを用意していたと考えると、全ての辻褄が合うのだ。

 

「ねぇ」

「……」

「あんた、随分と急いでるみたいね?」

 

 そんなことを考えながら、ハジメはミレディに相対する。そして一つ、尋ねてみた。

 

「ミレディ、一つ聞きたい」

「何?」

「自らの命を犠牲にしてでも、僕を止めたいのか?」

「当然よ」

 

 即答。その答えは、ミレディは自分の犠牲を厭わないということを示していた。元々が解放者なのだ、その頃から相当な覚悟があったのだろう。

 

「死んででも止めたい、か……」

「何か、言いたいことでも?」

「いいや。素晴らしい考えだとは思うよ。自らの命を、利益を犠牲にしてでも未来の世界を想って行動する。そんな殊勝な人間はそうそういない。少なくとも僕達の住んでいた世界では、希少種と言ってもいいタイプの人だった」

 

 ハジメとしては、そういう人間は素晴らしいと思っている。しかし同時に、少しだけ哀れに思っていたりもする。

 

「でもそういう人達は大抵、権力者や、それに騙された民衆によって潰される。それを見ていると思うのが……『結局人間は、どこまで行っても利己的な存在だ』ということだ」

「へぇ?」

「改革を推し進める人達ってのは、大体権力や力を持っている人だ。そういう人達の行う改革の多くは、同様の権力者にとってはあまり好ましくないものだ。だから潰される」

 

 解放者だって同じだ。神代魔法を操る者ともなれば、その力は強大だ。エヒトに逆らわず、その力を存分に教会やエヒトのために利用すれば、莫大な利益を享受できたことだろう。

 だが世界の歪さと、それを作り出すエヒトに反逆したらどうなったか。最終的には潰されたのだ。エヒトや、エヒトがいることで利益を被る人々によって、解放者は倒され、反逆者として伝えられることになった。

 

「さて、話はここまでにしよう。軽い息抜き程度にはなったよ」

 

 そうして、ハジメは結界に閉じ込められる。ここからが九回目だ。全方位に警戒して、攻撃に備えるのであった。

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 ミレディの攻撃パターンは、ある程度決まっている。ハジメは何度も死に、攻撃内容を覚え、瞬時に判断し、シビアな攻撃を掻い潜っていった。

 

 そして十二回を超え、今までで最高の十三回目の攻撃をミレディへ放つ。だがやはり攻撃は当たることなく、ミレディの体をすり抜けた。

 

 しかしその時……

 

「ぅ、ぐぅ……」

 

 ミレディは呻き声を上げた。無機質な機械音ではあるが、ハジメには苦痛を含む音だと分かった。同時に、距離が強制的に離された。

 

「あんた、本当に私を殺す気なのね……」

「……」

「人間の頃の身体ならまだしも、このゴーレム体じゃあ、概念魔法を連発するのは辛すぎる」

「……」

 

 ハジメは無言でミレディの言葉を聞く。喋るミレディに近づこうとしたが、近づけない。それなら聞くしかない。

 

「私には分かる。あんたの中には優しさがあることを」

「……!」

「あんたは確実に、あのクソ神とは違う。道徳心を、慈悲を持っている」

「……それで」

「もう、やめにしない? こんなこと」

 

 ハジメの心が揺さぶられる。ハジメも戦いたいわけではない。特にこれと、その前の光輝との戦いでは、何度も死に、苦痛を味わった。それが終わるというのなら、どれだけ嬉しいことか。

 

「……」

「もしあなたが、戦いを止めることを決心してくれれば……私も楽になるから」

「そうか」

 

 ハジメはポツリとそれだけ言った。そうして魔法を利用して、今までに消耗した魂魄を修復しながら心を落ち着かせる。

 

(止めたいよなぁ……でも、これは決めたことだ。ミレディは確実に敵。だから……)

 

 ハジメは一度、深呼吸をする。そしてミレディを見据えると……

 

ブンッ!

 

 急接近し、手に握られた聖剣を振り下ろす。しかしそこにはミレディはいない。いつの間にか、ハジメのすぐ隣に立っていた。

 

「まぁ、言ってみただけ。こうなることは、大体分かっていた」

 

 ハジメは結界に閉じ込められる。そして両端から襲いかかる大剣。それを慌てて回避すると、

 

――!

 

 次は黒傘による極太レーザー。全く異なる攻撃に反応が遅れ、掠れるどころか、まともに当たってしまう。

 

――!

 

 そして飛び交うコウモリに、ハジメを狙い撃つ植物の茎のような何か。茎に集中し過ぎて、不規則に飛び交うコウモリに当たり、魂魄を削られてしまう。

 

――!

 

「っ、はぁ!?」

 

 結界から解放され、落ち着ける時間ができたと思って一息ついた瞬間、ハジメに向かって二体のゴーレム騎士が襲いかかる。形状はライセン大迷宮にいたそれと同じだが、異常なほどに強化されていた。不意打ちじみた攻撃に当たってしまったが、やはりと言うべきか、魂魄にダメージを与えてくる。

 もはや休む時間どころか、これからの戦略を考える時間すら無い。ただミレディを殴り続けるか、回復するか。できるのはそれくらいだ。

 

 すかさずハジメはミレディに斬りかかる。しかしやはり攻撃は当たらず空を切る。そしてミレディは喋ることもなく、すぐにハジメを結界内へ閉じ込める。

 

(黒傘……!)

 

 今までよりは広がった結界。その外側で黒傘は開かれ、そこからレーザーが放たれる。加えてレーザーからはねじれた弾道の弾幕が放たれるので、回避が中々に難しい。そして弾幕に命中した瞬間、ハジメの意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

『南雲ハジメの魂魄が破壊されました。修復を開始します』

 

 

 

 

 

『魂魄の修復を完了しました。セーブファイルをロードします』




・南雲ハジメ∶初見殺し攻撃の度に死ぬ。ぶっちゃけ、光輝戦よりも精神的に辛い。

・ミレディ∶光輝よりは理不尽じゃないけど、単純に強いので非常にやりにくい。



騒霊様
らびさま様

評価していただきありがとうございます。
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