※この作品はR-18です。

南雲ハジメは悪魔にエロ技能を与えられた!   作:木崎楓

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 ここまで長い時間がかかりました。もうすぐ本編完結です。


光り輝く一撃

 長い長い戦いは続き、二十一回目。

 

 ハジメは何度も死にまくった結果、ほとんどの感情の機微が消えた。だが唯一、ミレディに対する揺るぎない殺意だけが残った。

 

 その殺意を以て殺す。どんな手段を使っても、この手で。そして最終的に、女として堕とす。解放者として戦った気高き女を性奴隷にする、これほどに高揚することはない。

 

 魔王城を出て、ミレディの前に向かって歩く。無言で、そのゴーレムの体を見据えて。

 

「ねぇ」

「……」

「あんた、随分と急いでるみたいね?」

 

 その目には殺意しか無い。ミレディの言葉を聞く必要も無いことを、ハジメは経験で知っている。結局、最終的には戦うのだ。だから無視でいい。

 

「はぁ……あの時のあんたなら救いようがあったんだけどね……こうなったら、話す必要性も無いね」

 

 ハジメは、ミレディの形成した結界に閉じ込められる。

 

「死ね」

 

 瞬間、結界の下から無数の剣が突き出る。そしてその後に続く宙を浮く黒い傘から放たれる極太レーザーによる連続攻撃。それら全てを、ハジメは避け切った。ある程度ランダム性はあれど、知ってる攻撃だ。

 

 ちなみにだが、ハジメが初回の攻撃を全て避けるのに成功したのは、これが初めてだ。

 

「あはは、全部避けちゃったよ。こりゃあ、私も殺る気出さないとね……!」

「――ッ!」

 

 結界が解除された瞬間、どこからか現れたゴーレム騎士が五十体襲いかかる。これにはハジメも流石に驚いた。

 今までの経験上、結界外での攻撃は後半になってからやってきたから。こんな序盤からしてきたことは、一度も無かった。

 

 しかし経験が身体に染み付いている。ゴーレム騎士を認識した瞬間、ハジメは反射的に一直線に、ゴーレム騎士を完全無視してミレディに接近し、聖剣を振るう。

 

 ミレディも、もう口を開く気もないらしい。速攻で結界へ閉じ込めてくる。

 

 そして上下左右の結界に身体を叩きつけられる。重力が操作されているのか、異常な速度で身体が殴りつけられる。その上同時にコウモリが大量に飛んでいたり、地面から剣が突き出てきたり。

 

 

 

(避けろっ! 避けろ避けろ避けろ!!)

 

 

 

 身体にコウモリが当たっても気にしない。ひたすら避け続ける。死なないように。

 

 

 

 百本の茎がハジメ目掛けて伸びる。

 

 

 

――!

 

 

 

 時間を巻き戻してさらに茎がハジメ目掛けて伸びる。

 

 

 

――!

 

 

 

 時間を巻き戻して別の場所でさらに伸びる!

 

 

 

――!

 

 

 

 結界内の空間に亀裂が発生する。

 

 

 

――!

 

 

 

 時間を巻き戻してもう一回。

 

 

 

――!

 

 

 

 さらにもう一回!

 

 

 

 一瞬で亀裂が消えると、今度は黒傘でのレーザーがハジメを襲う。今までの経験上、黒傘は二本しか同時に出せないっぽいが、そんなのお構い無し。

 

 黒傘が時計回りに出現し、短期間周期でレーザーを放っていく。それに追いつかれないように逃げる、逃げる、逃げる!

 

「ぐぉぉぉぉぉおおお!!」

「ぁぁぁぁぁぁああああ!!」

 

 避けて避けて避けて避けて……

 

 

 

 逃げて逃げて逃げて逃げて……

 

 

 

「あああああああああアアッ!!」

 

 

 

 ズゴン! ズゴンズゴンズゴンズゴンズゴン!!

 

 

 

 ハジメは凄まじい重力の奔流に支配される。今までの叩きつけとは、威力も速度も桁違い。逆らうことなどできない。

 しかし、その他の攻撃も無い。ただ結界に叩きつけられるだけ。痛みはあれど、ハジメの丈夫すぎる肉体にダメージが入ることは無い。

 

 それも、五千回ほど叩きつけられたら……時間で言うと三十秒もすると、ゆっくりになっていき、やがて、ハジメは重力から解放された。

 

 十分も続いたあの激しすぎる攻撃とは真逆の、静寂が訪れる。

 

 そこからどんな攻撃が来るのか、ハジメは身構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、いくら待っても攻撃は来なかった。

 

「ハハ、ハ……この攻撃にも耐えやがるのね、あんたは……」

 

 乾いた感じの笑い声を上げるミレディ。しかしハジメは警戒を怠らない。何が起こるのか、完全に予想することは出来ない。

 

「仕方無い。あまりやりたくなかったけど……これが、私の採れる最後の手段よ」

 

 ハジメはピクッと、身体を震わせる。警戒を極限まで高める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、何も起こらなかった。一分待っても、五分待っても、十分待っても、本当に何も起こらない。

 

「驚いた? そう、これが最後の手段。本当はあんたを殺したかったけど……私じゃ殺すことはできないだろうから、もう攻撃はしない。代わりに攻撃に使っていた魔力を全て、この結界の維持に使う。それによって、あんたを永遠に閉じ込める」

「何だと……?」

「その空間では、魔法すら使うことはできない。私がいくらでも話し相手になってあげるから、もう諦めることね」

 

 それだけじゃない。ミレディのいた空間も、魔王城から切り取られる。ハジメを閉じ込める結界とミレディの存在する空間は、完全に、トータスの空間から切り取られてしまった。

 

「あんたの仲間も、もう絶対に助けに来れない。私がこの空間を、あのクソ神の神域のような状態にした。つまりは、トータスから別の次元へ移動させた。だからここまでたどり着くには概念魔法が必要だけど……あんた以外誰も、概念魔法を作れないものね?」

「つまり、助けは来ないってことか……」

「そう。だからあんたは永遠にここから出られない。じゃあ、暇になったら呼んでね〜」

 

 ミレディはハジメに背を向ける。同時に、ハジメは皮膚が軽く焼けるような感覚を覚えた。感覚の出処は、右手の甲だ。

 

『まだ手段は残されている』

 

 甲には、そう刻まれていた。刻まれた文字は、ハジメが認識すると同時に薄れていく。

 

『今は脱出することだけを考えろ』

 

 そして新たな文字が浮かび上がる。これもまた、数秒で薄れて消えていった。

 

 概念魔法でもなければ干渉できないというミレディの言葉を考えるのであれば、このような方法で干渉できるのは、ハジメには一人しか思い浮かばなかった。

 あの悪魔だ。しかし直接助けるのはしない。それは悪魔やそれに類する者達は、あまり地上の人間に干渉しないからだ。もちろんハジメにも、不用意な干渉は基本的にしない。おそらくは、助かる可能性がコンマ1%でもあったら、直接助けに来ることは無いだろう。今回のように、その可能性に気づかせるだけ。

 

(結界を壊す。いや、概念魔法を破壊する……そうすれば脱出できるはずだ……)

 

 ハジメは聖剣を構え、自分を閉じ込める結界に向かって斬りかかる。しかし結界にはヒビすら入らない。衝撃や音すら発生しない。

 何かに触れているような感覚はするが、その触れているモノを破壊するには至らない。少なくとも聖剣では不可能だと、そうハジメは感じてしまった。

 

「ふっ!」

 

 聖剣をしまうと、今度は自らの拳で結界を破壊しようとする。しかし結界はびくともしない。何度も、何度も、何度も。殴り続けても、拳に軽い痛みと痺れが生じるだけだった。

 

(破壊しろ、破壊しろ……! 破壊するイメージを浮かべるんだ……!)

 

 何度も何度も、諦めることなく殴り続ける。諦めない限り、可能性があると信じて。

 

 そうして、百回ほど殴り続けた時だった。

 

 一瞬だけ、たった一度のインパクトの瞬間、拳と結界の間に光が発生し、衝撃が走った……気がした。

 

(ッ!? い、今のは……)

 

 本当に、気のせいのような変化だ。しかし確実に何かが起こると、ハジメはそう確信できた。

 

 それからも、さらに殴り続ける。だがあの時のインパクトと同じように、攻撃が光を纏う回数が多くなった。何度も何度も殴り続けると、どんどん頻度が増えていく。

 

 そしてある時、ハジメは確信した。

 

「……概念破壊(デストラクション)

 

 突き出した拳は光を纏う。その拳で勢い良く結界に殴り掛かる。

 

 その光は、拳は、概念を捉えた。実体ではなく、それに込められた想いを破壊する。想いが消えれば、それにより維持されていた結界も同時に破壊される。

 

ビキビキビキッ!!

 

 そんな音がしたと思った時には、結界は破壊されていた。

 

「――え」

 

 ミレディの眼前に拳が迫る。光を纏った拳は、今まで触れることすらできなかったミレディを捉え、完全にミレディの内に存在する概念は破壊された。

 

「うそ、でしょ……」

 

 壊れた機械のような声を上げるミレディ。その体は完全に実体に戻っていたが、代わりに魂魄は完全に破壊され、ゴーレムの体は動かなくなった。

 

 結局の所、ミレディはあのフルパワーの攻撃のせいで、概念魔法を維持するのに重要な魂魄にも影響が出ていたのだ。だからこそ、わずかに結界に綻びが生じ、そこからハジメが概念を新たに紡ぎ出したのだ。

 

 

 

 ハジメが作り出した概念は“概念破壊(デストラクション)”。文字通り、その物質等の内側に込められた概念や意味を破壊する。結果的に、普通なら破壊できないモノですら破壊できてしまうというものだ。

 

 

 

「ハハハ……これで、終わりだ……!」

 

 しかしハジメはまだ喜ばない。ミレディの破壊された魂魄を回収して、即席で作り出した魂魄保管用の瓶に保管していく。回収するだけであれば、概念魔法など必要無い。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!

 

 だが、魂魄の回収を終えるとほぼ同時に、空間が音を立て始める。この空間を制御していたミレディが死んだことで、空間が崩壊しつつあるのだ。

 

「これはまずい……どうやって逃げるか……」

『こっちこっち』

 

 ハジメの呟きに対応するように、悪魔の声が耳に入る。声の方向を向くと……そこには黒い穴ができていた。

 

「おっ、めっちゃありがたい」

 

 ハジメはその穴に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 豪奢な部屋の一室。そこでミレディは目を覚ます。彼女の記憶では、封印を破ったハジメに殺されたはずだった。

 

 しかし今、生きている。一度は死んだ気がしたが、何故か生きていた。どういうことだと、身体を起こそうとした時、その大き過ぎる変化に気がついた。

 

「えっ……えええっ!?」

 

 なんと、完全に人間の肉体となっていたのだ。ゴーレムの無機質な体ではなく、肉と骨と皮で構成された、熱を持った身体へと変わっていた。

 金髪のポニーテールの髪に、まだ発展途上の身体。あの時から全く変わらない身体に、いつものゴスロリチックな服装を身に纏っていた。

 

「お、落ち着いて……まずは色々確認しないと」

 

 部屋を確認するが、どう見ても豪奢な寝室にしか見えない。別に鉄格子とかがあるわけでもなく、拘束されている気分ではない。ハジメ様に敗北したにも関わらずこの扱いなので、ミレディは拍子抜けした。

 

ガチャ。

 

 部屋を観察して扉の方へ近づくと、勝手に扉が開いた。そしてその向こうには、ハジメ様がいた。

 

「おっ、起きたみたいだね」

「っ……!」

「そう睨まないでよ。とりあえず“部屋に戻って”」

 

 ミレディはハジメ様を睨みつける。しかし命令には逆らうことはできず、ハジメ様に背を押されながら部屋へと戻されてしまった。




・南雲ハジメ∶概念破壊の概念魔法を獲得した。呪術廻戦の虎杖の黒閃みたいな要領で使う。武器を使っての再現も可能。

・ミレディ∶最初に本気モードの一撃をやった結果、ハジメに殺されて女として生き返させられた。



あぴおー様

評価していただきありがとうございます。
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