シャルロットとラウラを堕としたことで、ハジメは主要な専用機持ちはほぼ全員堕とすことに成功した。
ハジメのISである阿頼耶の単一仕様能力が解禁されたため、やろうと思えばもう千冬を堕とし、世界征服へ動くことも可能だ。
しかし、今はやらない。せっかくだからということで、学年別トーナメントに合わせて動こうと考えたわけだ。
ハジメは、そのための準備を密かに行っていた。いや正確には、行わせているとでも言ったほうがいいか。
寮の自室にて、電話をかける。電話の相手は束だ。
「もしもし束さん」
『あっハジメくーん! 元気してる?』
「それはもう。隣でシャルロットとラウラが寝てますね」
『あーあの二人ね。話には聞いてるわ!』
ハジメが少し横に目を向けると、シャルロットが股から大量の白濁液を漏らして眠っていた。ハジメにハメ潰されて、すっかりダウンしてしまったようだ。
もちろんラウラも同様だ。ハジメのすぐ隣で精液まみれになって、幸せな夢を見続けている。
「まぁそれはそれとして、ISの改造はどうですか?」
『えっとねぇ……あとはセシリアちゃんので終わりだよ。もしかして追加依頼でもある?』
「うん。追加で二人分、改造をお願い」
『わっかりました〜! それじゃあ改造予定のISをこっちへ送っといて。多分三日もあれば終わるから!』
流石は天才とでも言うべきか、束の仕事は早い。箒の専用機作成と、セシリア、鈴、楯無、簪の四人のISの改造を数日前に依頼したのに、もうほとんど完了していた。
もちろん全員、通常のISとは大きく異なる性能をしている。性奴隷になった以上、通常のISではまともに力を発揮できないからだ。ハジメと同じような、特殊な構造にしなければならない。
「それじゃあ今から専用機をそっちへ送るから、改造はしっかり頼むよ」
というわけで、シャルロットとラウラから待機状態のIS専用機を回収すると、束の拠点へと転送した。
『……うん、しっかり届いたよ! それじゃあまったね〜!』
明るい声は途絶える。ちゃんと専用機をワープさせることはできたみたいだ。
「ふぅ……戦力的にはそこそこ揃ったな。一年の専用機持ちと生徒会長、それと
ハジメは作戦を思案する。決行は学年別トーナメントの日。この日の配置を考える必要がある。本来なら、力技によるゴリ押しで全て解決することができるのだが、今回ばかりはそうはいかない。
それは単純に千冬が強すぎるから、というだけではない。一番の理由は、ハジメの専用機“阿頼耶”の単一仕様能力の性質のせいだ。
この能力“
しかも“
そしてもし敵から攻撃を受けそうになると、能力は緊急停止してしまう。その結果、使用予定の魔力は消滅する。こうなってしまえば、魔力をエネルギーに転換して動くハジメのISは、大きく弱体化してしまう。いやそれどころか、実質機能停止してしまう。
つまり、敵からの攻撃を受けた瞬間に、ハジメのISは機能停止し、魔力は枯渇し、敗北が確定するわけだ。残念ながらハジメは、
「千冬は簪とノイントに相手してもらおう……結婚して女神となった二人であれば、なんとか戦えるくらいにはなるだろ」
とりあえず、一番の脅威である千冬をどうにかする必要があるが、ぶっちゃけ生半可な戦力では意味がない。ハジメの直感で、結婚した性奴隷でないと太刀打ちできないと、理解していた。
「そして僕の護衛はまぁ、ISの性質的にラウラは確定。もう一人くらい欲しいけど……やっぱシャルかなぁ」
ラウラのISには
ちなみに残りの一人であるシャルロットは、消去法である。セシリアも鈴も楯無も、そして新たに専用機持ちになる予定の箒も、IS学園組のISは、どちらかというと攻撃性能に寄っている。護衛という役割とは少々ミスマッチなのだ。そんな中で、護衛に最も適していたのが、シャルロットだったというわけだ。
「それで一夏を相手するのは、箒と鈴にしようか。せっかくだ、絶望する顔を拝ませてもらおう」
その他にも、一夏にも警戒せねばならない。ハジメの目から見ても、一夏は特別というか、奇妙な何かを持っているのが分かっていた。ハジメ自身も言葉では上手く説明できないが、自分と同じ何かが、彼の中にもあるように感じていたのだ。
故に、同族嫌悪的な感情を抱くのだろう。ハジメはなんとなく、一夏のことを良くは思えないのだ。せっかくなら絶望させてやりたい、心をブチ壊してやりたいと、そう思ってしまうのだ。
そして一夏を絶望させるのなら、幼馴染だった箒も鈴が最適だ。それ以外にも、箒のISに関しては、束が全面監修しているので全体的に優秀だし、鈴のISは見えない砲撃を飛ばせる“龍咆”という武装がある。相性も悪くない。
「まぁ残りのセシリアと楯無には、各国からの戦力を相手してもらおうか。そして残りの方々には……雑に日本と中国とロシアと、あと欧米諸国あたりをぶっ壊してもらいましょうかね」
軽い感じに、えげつないことを言うハジメ。ISを作っている国は限られているので、こういう時は攻めやすくて助かると、そう思っていた。
「さぁて、どうなるか。どうせなら真っ向勝負で、千冬を堕としたいよなぁ……!」
千冬に勝利し、性奴隷に堕とす。それこそが、実質的な勝利条件。それを真っ向から立ち向かい、達成する。ハジメはそんなカタルシスを得るために、さらに戦術を練っていった。
◆◇◆◇
そうして学年別トーナメント当日。
更衣室で、一夏とシャルロットの二人は準備をしていた。一応ハジメも一緒にいるが、今回もISの性能がアレなので強制不参加である。
ちなみに、一夏にはシャルロットが女性であることはバレてないので、シャルルと呼び続けている。
「ついに来たな……」
「うん。……誰が初戦の相手になるのかな?」
今回のトーナメントは、一対一戦闘ではなく、タッグマッチ、つまりは二対二の戦闘である。そして一夏とシャルロットはペアを組んでいる。二人は初戦の相手が誰になるのか、緊張しながらモニターを見ていた。
「緊張してるみたいだね?」
その横で、涼しげな顔をしているハジメ。
「そりゃあな。でもできれば……初戦からラウラと簪のペアとは当たりたく無いなぁ」
「一年最強がペアを組んだとなれば流石にね……」
そんな二人の会話をのんびり聞いていると、対戦の組が発表された。
「げっ……」
一夏が顔をしかめる。それもそうだろう。何せ嫌だと言っていた、ラウラ・簪ペアが初戦の相手になってしまったのだから。
隣にいるシャルロットも、一夏に合わせて苦笑いしている。まぁ彼女の場合、本当はハジメの性奴隷なので、嫌だとかそういう感情は特に持たないのだが。
(残念、抽選については色々と細工をさせてもらったよ)
そんな二人を見て、ハジメはさらにニコニコする。抽選やペアの設定は、一部にハジメが干渉しているのだ。今回の抽選結果もそうだが、ラウラと簪にペアを作るように指示したのもハジメだ。
他だと、箒と鈴がペアを組んでいたりするが、これもハジメの指示によるものだ。とにかく、今後に合わせて動きやすいようにしているのだ。
「やべぇよこれ……俺達勝てるかな……?」
「だ、大丈夫だよ一夏。ボクたち、いっぱい頑張ってきたじゃないか。ね、ハジメ?」
「ああ。やることはやったんだから、後は運に任せればいい。人事を尽くして天命を待つ、それだけだ」
「……そうか。そうだな」
そんな一夏の言葉は、ハジメには届かなかった。
◆◇◆◇
アリーナ席は、多くの観客で賑わっていた。やはり一年生が一番多いが、男性操縦者である一夏やシャルルを見るため、他学年からも多くの人が見に来ており、数はかなりのものだ。
そしてアリーナ内で、一夏とシャルロット、簪とラウラが対峙する。
『これより学年別トーナメント、一回戦を始める。選手は規定の位置について――』
響いていた放送が突然消える。そして代わりに、機械のように加工された男の声が響きわたる。
『黒騎士の乱入をお待ち下さい。織斑一夏君、織斑千冬さん、ぜひ僕を楽しませてくださいね』
その言葉が響いた瞬間、喧騒は一瞬にして静寂に包み込まれる。一夏も「なにっ!?」と辺りを見渡すが、何もいない。
敵の気配も無い、破壊音も聞こえない。そんな時間が二分ほど続き、一夏の警戒心が薄れてきた頃、それはやって来た。
ピシャッ!!
ガラスの割れるような音。それと同時に、ISにより強化された一夏の聴覚は、アリーナの中央に降り立つ存在を認識する。
「黒騎士ッ!!」
それは一ヶ月半ほど前、突如として襲撃してきた黒騎士だった。四人の専用機持ちを、いとも簡単に撃破した怪物、そして世界の敵。
黒き衣を身に纏い、仮面で顔を覆い隠した、世界に破壊を振り撒く怪物。前回IS学園にやって来た時には、全世界に対して実質的な宣戦布告を行った。
「やぁ一夏」
「これが、黒騎士……」
「色々と噂は聞いていたが、まさか来るとは……」
「他のみんなもこんにちは。まぁ君達は分かっていると思うけど、僕は一夏と千冬以外は狙う気は無いから、今は楽にしているといいよ」
とは言うが、一夏以外の三人は警戒を解かない。もちろん、攻撃対象になっていると思われる一夏もだ。
「お前は、一体何をする気なんだ?」
一夏は黒騎士を睨みつけ、尋ねる。普段の能天気な雰囲気は無い。まだ未熟ではあるが、戦士の瞳をしていた。
「一夏と千冬を堕とす」
「おとす……堕とす、だと?」
「ああ。前回襲撃した時は、一夏はともかく、千冬を堕とす手段はまだ持っていなかった。だから手は出さなかった。一夏を堕として千冬を怒らせるわけにもいかなかったしね」
黒騎士は言う。前回の襲撃は、いわば偵察と準備だったと。そして今回が本番だと。
「前回言ったと思うけど、僕の目的は世界征服。その準備が整ったのさ。お前と、その姉である千冬を堕とせば、あとはウィニングランだ……!」
「……! 千冬姉に、いやシャルルやラウラ、簪も、この学園の皆に手出しはさせない!」
「ふ、ふふ……フッハハハハハハハハハ!!!」
一夏の宣言を嘲笑うような態度を取る黒騎士。宣言を馬鹿にしたのかと、一夏は怒りに震える。
「何がおかしいんだ!」
「ハハハハハ……学園の生徒達を守る、か。それならば……」
黒騎士は仮面を外し、黒き衣を脱ぎ去り、真の姿を見せる。
「なっ……ウソ、だろ……」
そこにいたのは、IS学園の男子制服を着た男。一夏にとっては数少ない、心の底から気を許した友人の一人。そんな彼が、南雲ハジメが、ニヤケ笑いを浮かべて立っていた。
「僕のすることにも、手出しはしないでくれよ?」
「は、ハジメ……ハジメェッッ!!」
驚愕から怒りへ、一夏の感情が激動する。衝動の身を任せ、一夏はハジメへと突撃する。
「フッ」
だかそれは、ハジメに届く前に止まる。だがそれは、黒騎士の、いやハジメの用いる魔法と呼ばれる技術によるものではない。
「なっ……ラウラ!?」
止めたのは、ラウラだ。AICの力で、一夏の身体は空中で停止してしまう。
「我が主に、そう簡単に手出しさせるものか!」
「どうして……ッ!?」
そうして停止した一夏を、味方のはずのシャルルが、いやシャルロットが銃撃により攻撃する。
「ぐあぁっ!? シャル、ル……!」
「ごめんね一夏。ボク、ハジメの女になっちゃったんだ」
「女!? な、なんだよ……どうして黒騎士の! ハジメなんかの味方をしてるんだよ!?」
守るべき仲間が、敵に寝返る。一夏にとっては想像すらしていなかった状況に、彼は困惑を通り越し、半ばパニックしたかのように叫ぶ。
「一夏、これが堕とすということだよ。彼女達は、みんな性奴隷にしたのさ。もはや君の味方は――」
「ハアアァッ!!」
ハジメの真後ろから放たれる、異常な速度の斬撃。それはハジメに向かう。常人なら、いや普通のハジメの配下――性奴隷ですら、まともに反応して動くのが困難なそれだが……。
「させないっ!」
ハジメの妻となった簪なら、反応できる。守れる。
「くらいなさい」
「温い!」
そこにさらに、天使の如きISを纏った未知の女性、ノイントが現れて双大剣による追撃を与えようとするが、千冬は容易に回避してしまう。
「僕の敵は、一夏と千冬の二人だけだ」
「今だッ!!」
ハジメが振り向く瞬間の隙を突く一夏。しかし無意味である。攻撃は届かない。だが今回、一夏の攻撃を止めたのはラウラじゃない。
「なっ……!?」
止めたのは、一夏の幼馴染だった箒と鈴。鈴だけでなく、箒も見知らぬ紅の専用機を纏っている。一夏にとっては親しい二人が、一夏の敵となる。
そしてハジメの振り向いた先には、千冬がいた。第一回モンド・グロッソにて使用したISである“暮桜”を身に着けた、ハジメにとっては名実共に最強の敵。
ドイツ軍に侵入した際に、千冬の“暮桜”に細工をして、まともに使えない暴走状態にしていたはずの機体。それを普通に使用してきているのは、ハジメが少し前に使用した単一仕様能力である“新世界秩序”の副作用のようなものだ。これにより、ハジメがドイツ軍に侵入し、千冬の“暮桜”に細工を施したという事象が消え、ISが完全な状態となっていた。
「やぁ千冬。君は覚えてないだろうけど、僕にとっては二回目の本気の戦闘だね」
「……何を言いたい?」
「いいや、こっちの話だ。ただ戦闘を始める前に、君達の勝利条件についてを話そうと思う」
ハジメは「阿頼耶、起動」と呟き、ISを身に纏う。相変わらず、鎧としてあまりにも薄いものではある。だがハジメにとっては、これこそが最適な戦闘フォームであった。
とはいえ、ハジメ自身が戦闘を行う気は無いらしい。実際、武器は一切出していないし、殺意の類も、そういうのに敏感な千冬ですら感じ取れなかった。
「僕のISの
「それの発動を阻止してみろ、ということか?」
「そうだ。
「だが、発動を許してしまえば……」
「そうだ。君達の敗北は確定する」
その言葉を聞き、千冬は笑う。
「一夏。南雲ハジメに……黒騎士に、一撃を当てるぞ。そうすれば私達の勝ちだ」
「なっ……だけど千冬姉……」
「なに、簡単な話だ。ここにいる奴らを蹴散らして、黒騎士に一撃を当てるだけだ。……一夏。世界を、皆を守るぞ」
「……ああ!」
戦況は最悪。それでも、千冬は笑ってみせる。それを見てハジメも、思わず笑みがこぼれてしまう。やはり、素晴らしい女だと。
戦士としてもさることながら、女としても素晴らしい。ここまで力強い人を、ハジメは知らなかった。何としてでも性奴隷に堕としたいと、改めて思った。
「いい啖呵だ、千冬。もう援軍は期待できないことは分かっているだろうに……本当にカッコいいよ」
「お前なんかに褒められたくはないな」
「さて、お喋りはここまでにして……始めようか」
ハジメは
ハジメは単一仕様能力の準備。それを守るはシャルロットとラウラ。
それを相手にするのは織斑一夏と織斑千冬。しかし彼らを止めるのはそれぞれ二人。一夏は箒と鈴が、千冬は簪とノイントが止める。
一夏と千冬が全員を蹴散らし、ハジメの能力の準備が終わる前に攻撃を与えれば、彼らの勝利。それができずに、能力の発動を許してしまえば、ハジメ達の勝利。
そしてハジメ達が勝てば、この世界は終わる。
――世界の命運をかけた戦いが、始まった。
・南雲ハジメ:黒騎士の中の人。一夏の百面相と千冬の勇敢な姿を見れて大満足している。
・ノイント:束特製の天使のようなISを身に纏って登場した。メイン武器は双大剣で、他にもエネルギー消滅結界などを利用して戦う。
・織斑一夏:まさかの黒騎士の正体を見て、驚愕と絶望に震えてしまう。
・織斑千冬:なんか書いていたら「オールマイトみたいだな」と思うようなキャラになっていた。