BIOHAZARD sexual invasion 作:MIYOSHI
1966年、十二月。
エドワード・アシュフォード、ジェームス・マーカスとその弟子ブランドン・ベイリーらと共にアフリカの古代遺跡の奥地にて、太陽の庭と呼ばれる場所にしか生えない花から未知のウィルスを発見する。
これはトラヴィス商会のヘンリー・トラヴィスが書いたアフリカ大陸探検史"博物総覧"に記されていた、食すことで絶大な能力を得られるという花に違いない。研究して実用化できれば、人類史に名を残せるほどの偉大な功績となる。そう考えた我々はその花を"始祖花"と名付けた。ジェームスとブランドンが始祖花をアメリカに持ち帰り、栽培に着手し始める。
翌年の三月。
ジェームスとブランドンが始祖花の栽培に失敗し、研究は頓挫する。正確には栽培自体は成功したが、目的であるウィルスは現地の、つまり太陽の庭でしか生成されないことが判明したのだ。土壌や水、日照時間などありとあらゆる要素を太陽の庭と同じ環境にしてみたが、結果は変わらず。組織培養さえも遺伝子を変質させるというその特性の影響で思い通りに行かなかった。
加えて、このウィルスは適合できなければ投与された者を死に至らしめる強い毒性を持っていることも分かったのだ。
さらに翌年の八月。
アメリカでの始祖花の栽培を諦めた我々は、それが群生するアフリカの遺跡の一部を先住民であるンディパヤ族から奪うことを計画。無論抵抗はされたが、しょせんは原始人に毛が生えたような有象無象。軍人崩れ達を雇ったことで奪取は無事に成功した。
その場所に研究施設を建設し、ブランドンを所長に任命。現地から輸送した始祖ウィルスをアメリカにいるジェームスが受け取り、研究を進める形を取る。
これを持って、事前に提案していた始祖ウィルス研究を隠蔽するための会社"アンブレラ製薬"の設立の発表に至った。
以上が、後に世界的な製薬企業となるアンブレラが創業するまでの経緯である。
だが、この一連の出来事の中には隠された秘め事が存在していた。エドワードやジェームスにも伝えていない。知っている者は極々僅かの秘密裏に進めていた計画だ。
そして、1971年の三月二十ニ日。
ついにその研究が花咲く日が訪れる。特別な日。彼の誕生日だ。
それは人類にとって節目とも言える歴史的な日であり、私──オズウェル・E・スペンサーの悲願が達成した瞬間でもあった。
☣ ☣ ☣
朝、ジェシカ・トレヴァーは重い瞼を開けて目を覚ました。
部屋自体は豪勢で立派だが、窓が一つもなく、朝日の陽光を浴びることも暖かみを感じることもできない。身を沈めているベッドは安物であることが一目で分かるような粗末な作り。憂鬱な面持ちで起こした体の節々が痛みに悲鳴を上げる。そのまま再びベッドに倒れ込みたくなったが、向かいのベッドから聞こえる寝息を耳にして思い留まった。
両頬を叩き、身と心を叱咤する。ベッドから降りたジェシカはネグリジェを脱ごうとして、ピタリとその手を止めた。自分達を無言で見つめ続ける視線。天井の角に仕掛けられている監視カメラの存在を思い出したのだ。最近になって銀行を初めとした様々な店舗に導入されてきているそれも、今の彼女にとっては不埒な隣人に等しい。
慣れというのも考えものね、と溜息を吐くジェシカ。彼女はバスルームに入ってから改めて全裸となり、気持ちを引き締めると同時に寝汗を流すためにシャワーを浴びる。三十二歳の彼女は僅かに老化の兆しを見せ始めているが、それでもその豊満で肉付きの良い肢体は流水に濡れて瑞々しく震え、男が見れば本能のままに貪りたくなるほどの官能的な造形美を誇っていた。
その媚肉を味わったのは過去においても現在においても、最愛の夫であるジョージだけ。
そして、これからも。
シャワーを終えてバスタオル姿で部屋に戻ったジェシカは、未だ寝ている同居人のベッドに静かに腰を降ろす。彼女は夫ジョージとの間に生まれた愛の結晶。この世で最も大切な、可愛い娘のリサだ。
ジェシカの絹糸のようなブラウンの髪と違って、父譲りの少し癖のある黒髪を優しく撫でる。ふと見れば、リサの頬に涙の伝った跡があった。時折、こうなるのだ。無理もない。ジェシカとて泣けるものなら泣きたいし、今すぐにでもこの場所から逃げ出したいと思っているのだから。
ベッドから腰を上げたジェシカは衣装棚を開け、中に入っている仕事着に着替え始める。それは使用人が着るような、黒のワンピースにフリル付きの白いエプロンを組み合わせた、いわゆるメイド服であった。
ここはイギリス。そこの名門貴族であり世界的な製薬企業であるアンブレラの会長、オズウェル・E・スペンサーの別邸だ。生粋のアメリカ人で専業主婦であるジェシカがなぜそんなところで、なぜ使用人紛いな格好をしなくてはならないのか? 全ての原因はそのスペンサー卿にある。
元々裕福な家の出だった夫のジョージは建築の才能があり、学生時代からその頭角を現していた。その才能と意欲を持って、幼馴染のロイ・チェンバレンと共にトレヴァー&チェンバレン建築設計事務所を立ち上げた彼は、瞬く間にアメリカを代表する建築家の一人となったのだ。
そんな彼に、ある日スペンサー卿が私邸の設計建築を依頼してきた。主に社員の保養施設として使うつもりらしいが、それにしては土地がアメリカのラクーンシティ近郊にある森の奥深くと辺鄙な場所となっており、必要とは思えないカラクリを随所に仕込むことを念頭に入れてきていたのである。
自分達も裕福ではあるが、それ以上を行く大富豪の考え方は到底理解できるものではないのだろう。浮かんだ疑念をそう切り捨て、結局ジョージは無制限とも言えるほどの資金提供を受けてその依頼を快諾。元々建築への類まれない熱意を持っていた彼は、この館を建築できるのは自分以外にはいないと意気込み、カラクリ設計にのめり込んでいった。
必然的に完成までは家族の交流も普段と比べて僅かなものとなる。娘のリサは不満げにしていたが、ジェシカはたまに帰ってきて楽しそうに仕事の話をする夫に文句を言うようなことはできなかった。
そして、件の館は五年の歳月を経てようやく完成した。
ジョージにとっても会心の出来であり、依頼主であるスペンサー卿もその出来の良さに感激し、彼を褒め称えたらしい。その完成祝いとして、トレヴァー一家は館へ招待された。だが、ジョージは都合悪く舞い込んできた相談依頼を片付ける必要があったため、ジェシカとリサを先にスペンサー卿の元へ行かせたのである。
彼は館にやってきた彼女らを歓迎し、手厚くもてなした。それこそ貴族の仲間入りをしたような気分となり、ジャガイモばかりかと思っていたのに反して豪勢な食事に舌鼓は打ちっぱなし。
特にスペンサー卿の厚意で最高級のピアノを弾かせてもらったリサは、得意のベートーヴェンの"月光"を演奏してご満悦の様子だった。
弾き終えた途端に部屋の隠し扉が開いた時には吃驚したが、どうやらジョージが設計したからくりの出来を披露するためでもあったらしい。
まだまだ子供であるリサは興奮を隠し切れず館を隅々まで探検したがっていたのだが、唐突に眠気を訴え始め、その場に崩れるようにして寝入ってしまった。ジェシカは慌てて彼女を抱き上げ、スペンサー卿に謝罪して寝室に案内してくれるよう頼んだ。
彼は機嫌を悪くした様子もなく、笑みを浮かべて答えた。
『すまないが、この館に君らの寝室はないんだよ』
言っている意味が分からず、ジェシカが説明を求めようとしたその時、強烈な眠気が彼女を襲った。リサに重なるようにして崩れ落ち、再び意識を取り戻した時には既にこの部屋──つまり、国を跨いでイギリスの屋敷にいたのだ。今にして思えば、あの時のスペンサー卿の笑みからは邪な色が見え隠れしていたような気がする。
部屋にやってきたスペンサー卿の執事によって応接室に案内されたジェシカとリサは、卿からここでメイドとして働くことを命じられた。従わなければジョージを殺すと脅されて。ジョージは別の場所で軟禁状態にあるらしい。
──どうして? なぜ私達なの?
当然、ジェシカはわざわざこんなことをしなくても普通にメイドを雇えばいいじゃないかと反論した。だが、ここで働くということは機密を絶対に外部へ漏らさないことを前提としており、それゆえに通常の雇用ではその信用足り得ないのだという。その点、君らは大事な家族が人質にされている分、裏切るような真似は決してしないはずだと。
『それに、やはり世話をされるなら君のように包容力のある魅力的な女性が一番だろうと思ったからね。お嬢さんも良い話相手になりそうだ』
その言葉を聞いたジェシカは反射的に娘のリサを抱き寄せた。この下劣極まりない初老の男は、私達を性的な目的で誘拐したに違いない。リサなんて、まだハイスクールにも入っていない十四歳の子供だというのに!
だが、当のスペンサー卿の目にはそのような色目の様子が伺えなかった。学生時代にその肉体的魅力から男子生徒達の劣情の矛先となっていたジェシカ──もしも通っていたのがジョージと同じ私立の学校でなければ、きっと襲われていただろう──が見間違うはずもない。スペンサー卿は愉快そうに笑い声を漏らした。
『いや、すまない。誤解しているようだが、世話を頼むのは私ではないんだ。君らも私のような老人と言って差し支えない男の世話などご免被りたいだろうからね』
自尊心の高そうな卿が予想外にも自身を卑下するような言葉でジェシカの考えを否定する。ならば、一体誰の世話をしろというのか? その疑問に答えるように彼は『入ってきなさい』と応接室の外にいるであろう誰かを呼んだ。
扉を開けて入ってきたのは、スペンサー卿の白髪とは違う綺麗なシルバーブロンドに少し浅黒い肌をした幼児。思わず見惚れてしまいそうなほどの綺麗な赤い瞳と端正な顔立ちをしており、その年齢に見合わないほどの知性を感じさせる不思議な子であった。
『紹介しよう。私の息子のアダムだ』
父親に紹介されて、Bow & Scrapeという貴族の伝統的なお辞儀で挨拶するアダムという子。
『はじめまして。アダム・O・スペンサーです』
自己紹介し、屈託のない笑みを寄越すアダム。リサなどはそんな彼を見て、自身の半分にも満たないであろう歳の子相手に頬を赤らめていた。
『こらこら、その挨拶は身分の低い相手にするものではないと教えただろう?』
『でも、父様。これからお世話になるんだから、ちゃんと挨拶はするべきだよ』
『ふむ……まあ、お前がそう言うのなら構わないか』
どうやらスペンサー卿は息子にすこぶる甘いらしい。それこそジェシカにとってのリサのように、目に入れても痛くないといったほどに。ジェシカとしても使用人となる相手にも礼儀正しく接するアダムに好感を持てた。
──いや、とジェシカは思考を改める。何を考えているの! 相手は愛する夫を人質にしている犯罪者で、あの子もその息子なのよ! そう自身を叱咤して警戒心を奮い起こそうとするが、それでも母親である以上小さな子供に対して敵対的な感情を持つことはできず。
『君らにはこの子の世話を頼みたい。まだ五歳だが、そこらの大人よりも優れた、神童そのものと言える子だ。手を煩わせるようなことはないだろう』
親馬鹿とはまさにこのこと。ジェシカとて娘のリサにピアノの才能があると思っているが、彼女の夢であるピアニストになれるかどうかは努力次第とそこまで過大評価はしていない。ましてや、五歳という年齢で大人よりも優れているだなんて。ジェシカは顔には出さなかったが、心の奥底では呆れた表情を禁じ得なかった。
もっとも、その考えは間違いであったとすぐに思い知らされることになったのだが……
最近ようやく着慣れてきたメイド服を身に纏い、部屋を出たジェシカは真っ直ぐに厨房へと向かう。リサはまだ寝ているが、無理に起こさないことにした。幸い仕事場の小さな主人は優しいし、事情を説明すれば許してくれるはず。
厨房でベーコンや目玉焼き、ベイクドビーンズといった主人の朝食を乗せたワゴンを受け取り、仕事場へと運ぶ。コンコンと部屋の扉をノックすると、少し物音がしてからやや遅れて「……ど、どうぞ」と変にかしこまった返事が返ってきた。ジェシカは小首を傾げながらも、扉を開けて中に入る。
「……坊ちゃま? どうなされました?」
いつもなら既に起きていて読書に勤しんでいるのに、今日に限っては毛布に包まって顔だけ覗かせている小さな主人──アダム。
「う、うん……ちょっと」
「大丈夫ですか? 熱がおありなら──」
「あ、いやっ、違うよ! 昨日夜更かししすぎてまだ眠いだけだってば!」
慌てたように返すアダムにくすりと笑みを零すジェシカ。
「そうですか。では、今日はちゃんと早く寝ないと駄目ですよ。明日はオズウェル様が帰ってくるんですから」
ベッドの傍にあるデスクをチラリと見やる。そこには人体構造学や細胞学、脳科学といった彼女には全く縁のなさそうな小難しい本が積み重ねっていた。信じられないことだが、アダムは五歳という年齢にしてこれらの内容を全て理解しているらしい。
実際に午後には実験室を使って独自に研究を続けており、彼の補佐を任されたスペンサー家直属の研究員が口出しできずに舌を巻くしかないほど。彼のメイドとして仕えるようになってから一ヶ月。スペンサー卿が親馬鹿なのは間違いないが、息子への評価は確かにその通りだったのである。
だが、こうして時折見せる年齢相応の子供っぽさを見せられると、微笑ましい気持ちになってしまう。ジェシカは食器を並べながら、何やら恥ずかしそうに毛布の中で縮こまっているアダムを見やる。
彼はあの極悪人であるスペンサー卿の息子とは思えないほどに純粋で優しい子だ。特に無理難題を押し付けたりといったこともなく、父親の言ったように全く手を煩わせない。リサから自分が同じ年頃だった時と比べてどうかと聞かれて、正直に答えるわけにもいかず曖昧な返事を返してしまったのは記憶に新しい。
「……リサはどうしたの?」
「ああ、その……申し訳ございません。娘は今朝から少し体調が悪いみたいで、勝手ながら休ませているんです。でも、昼には元気になっているかと思いますわ」
「そっか。いいよ、無理させないで。今日は一日休んでもいいって伝えてくれる?」
「はい、ありがとうございます。坊ちゃまは本当にお優しい方ですね」
ジェシカはスカートを片手で摘んで持ち上げ、感謝の気持ちを込めて
正直に言うと、彼の優しさと幼さに付け込んでいるような気がして罪悪感が湧いたが、こちらは人質を取られて強制的に仕えさせらている身の上なのだ。せめて娘の体調管理だけでもさせて欲しい。そう心の中で言い訳するジェシカ。
もっとも、アダムはジェシカ達が脅されてこの場にいること自体を知らない。ジェシカも賢いとはいえまだ幼い彼にそんな残酷な事実を伝える気にもならず、リサにも口止めしている。
「──あっ」
食事の準備をしながらお礼をしたため、ジェシカはティーポットを持ったもう片方の手を滑らせてしまう。ポットはそのまま重力に従って落ち、乾いた音を立てて割れる。中に入っていたハーブティーが丸ごと床にぶち撒けられた。
「も、申し訳ございません! すぐに片付けますので……!」
慌ててドレスの裾が濡れないよう捲り、その場に屈んで割れたポットの破片を集め始めるジェシカ。
「ジェ、ジェシカ? だいじょ──」
さすがに心配になったアダムは毛布をはだけさせ、ベッドの上からジェシカを見下ろした。彼女はテーブルの下に転がった破片を拾おうと四つん這いになっている。
──ドクンッ、と胸が波打つ。
アダムの目の前にはジェシカの大きなお尻。黒いドレス越しだが、それでも、いや、だからこそその桃の形は扇情的に見て取れた。
とは言っても、アダムはまだ五歳の幼児である。物心付いたばかりで、そんな性的な視覚刺激は興味はあれど理解できない。男としての反応は皆無に近いはず。
ところが、アダムの股間は勃起していた。
本来の五歳のそれとは違い、パジャマにテントを作ってそのまま突き抜けかねんほどに。
何もジェシカの尻を見ただけでそうなったわけではない。昨日ある出来事があってから今までずっと、この勃起した状態が続いていたのだ。
彼はこの現象について本を読んで熟知しており、病気でないことは分かっていた。それでも、やはり知識と実際に経験するとでは訳が違う。悶々とする意識の中で、この状態を他でもない彼女に見せるのが恥ずかしく毛布から出れないでいた。
だが、まるで誘うようにゆらゆらと揺れるジェシカの尻を見て、考えが変わった。ドレスを捲った先は? その内にある下着のさらに先は? あの尻を直に触りたい。揉みしだきたい。
そして──この怒張を思いっ切り突き入れたい。
なけなしの幼い理性が崩壊。元来持っている知的好奇心と、幼児の持つ性に対する好奇心が爆発した。
(……ふぅ。大きな破片はあらかた拾い終えたわね)
破片拾いが一段落したジェシカ。残りの細かい破片を集めるために箒を持ってこようと思ったが、このハーブティーに沈んだ状態では雑巾で拭いてからの方がいいだろう。そう考え、腰を上げようとする。
「──ッ!?」
が、上げようとした腰を止めざるを得なかった。
幼い主人が、優しくて純粋なアダム坊ちゃまが、自身の尻をその小さな手で鷲掴みにしたからである。
「ぼ、坊ちゃま!?」
昨日も似たようなことがあった、と思い出す。椅子に座っていたアダムがおもむろに手を伸ばして胸を触ってきたのだ。
純粋に好奇心からの行動だったのだろう。彼は生まれつき母親がいないらしく──スペンサー卿は詳しく説明してくれなかった──屋敷にも執事と研究補佐員といった必要最低限の人材しかいないため、ジェシカ達に会うまで女性という異性と話はおろか顔を合わせたこともなかった。だからこそ、目の前で揺れる女性の象徴に興味津々だったのだ。
ジェシカはその際驚きはしたものの、きっと男児を儲けた母親も似た経験をするのだろうと思い、そっと彼の手を退けて優しく説いた。女性は大事に扱わなければならないこと。そして、女性のデリケートなところを触っていいのはお互いに愛し合っている者同士だけだと。
アダムは素直に聞き入れ、その日の内は再び触ってくるようなことはなかった。だが、やはり好奇心が抑えられなくなったのだろうか? 他は完璧と言ってもいいのに、唯一の欠点がまさかこんなところとは!
「い、いけません! そのようなことはっ、昨日お教えし──」
叱咤の言葉が途切れる。肩越しに振り向いたジェシカは絶句していた。
自身の尻を揉みしだいているアダム。着ているパジャマのズボンは脱ぎ捨てられ、下半身が外気に晒されている。それだけならまだいい。しょせんは五歳児の身体だ。だが、彼女が言葉を失った理由はその股間にある。
────お、大きい!
そのサイズはもはや幼児のそれではない。ジェシカの尻の向こうで、大人顔負けにそそり勃っている男の象徴──立派なペニスが、その存在を自己主張していた。包皮はズル剥けで、赤々と染まった亀頭が震えている。決して五歳児から生えるような一物ではない。
スペンサー卿はイギリス人にしては珍しく毎日風呂に浸かっており、それは息子のアダムも例外ではなかった。だが、ジェシカ達は仕えてからのこの一ヶ月間、彼の風呂の世話はしていない。執事から頼まれはしたが、躊躇しているジェシカとリサを見てかアダム本人が一人で入れると断ったからだ。せめてその時の理性を少しでも働かせて欲しいが、一度崩れたそれを組み直すのは大人でも難しい。
「……ジェ、ジェシカッ!」
ジェシカが硬直している間に、辛抱堪らなくなったアダムは彼女のドレスを捲り上げる。そして、制止する間もなく白いガーターベルトの下にあるレースの下着を一気にズリ降ろした。
露わになるジェシカの尻穴と、軟禁生活で陰毛を処理できていない女性器。男性にとっての秘境。妊娠を経験して少し黒ずんだその肉唇を、アダムは食い入るように見つめている。
ああ……! 見られてる! 夫以外の人、それも……五歳の男の子に!
ジェシカは恥ずかしさと情けなさで顔から火が出そうだった。
手で顔を覆いたくなるのを抑え、ハーブティーが零れた床を這いずってアダムから離れようとするが、幼児とは思えないほどの力で掴まれているためにビクともしない。
「ひぅっ!?」
くちゅり、とおもむろに鳴った水音と股間から広がる刺激に、ジェシカは少女のような悲鳴を上げてビクリと身体全体を震わせる。
アダムがその指を直接、魅惑の秘裂に入れて弄り始めたのだ。
「はぁ、はぁ……ジェ、ジェシカのここ、びちゃびちゃだよ……」
わざとなのか無意識なのか、荒い息を漏らしながら言い聞かせるようにして呟くアダム。
「ちがっ、違うわ……違う……」
否定の声を繰り返すジェシカだが、アダムの言葉は事実で、彼女の女陰はこの短い間で物欲しげに蜜を滴らせてていた。その反応は恐らく、犯されるということへの防衛本能から来るものだろう。だが、それだけでは説明のつかない量なのは否定できない。
要因はこの異常な状況に対する無意識からの興奮。それにリサが生まれてからの十数年もの間、子育てと夫が多忙になった影響で全くと言っていいほど夫婦の時間を取れていなかったため、勇ましささえ感じるペニスを見せつけたアダムに内なる女の部分が呼び覚まされてしまったのだ。少なくとも、ジェシカの本能が幼いアダムを完全に男として認識しているのは間違いなかった。
「はぁ、はぁ……! っ、はぁ……!」
生唾を飲み込んだアダムは衝動に流されるまま腰を動かし、己の分身をジェシカの蜜壺の入り口へと宛てがう。性交についての知識は本を読んで得ている。子を成すためだけではなく、快楽を求めて行うことだということも。
彼女は膣液を分泌させている。それはつまり、男性器を迎え入れる準備が出来ているということだ。
「……ぼ、坊ちゃま? こんなこと、いけないわ。あなたは、優しい子だもの。ね? そっ、それが辛いなら、一人の、や、やり方を……」
ジェシカが止めるべく必死に声をかけるが、その言葉は全く届かない。
魅惑して止まない穴が、僕を迎え入れようとしている。でも、挿れたらどうなる? もし膣内で射精というのをしたら、本に書いてあったように彼女を妊娠させるかもしれないのか?
幼いながらに蓄積された知識から展開される思考。
だが、今のアダムにはそんな理性的な考えは邪魔でしかなかった。余計な情報は掻き消し、頭の中をただ一つのことで埋め尽くす。
──ジェシカと、セックスしたい!
心の中で叫ぶと同時に腰を前へと動かし、秘裂に宛てがっていたペニスでジェシカを貫く。
「あっ! あ、ああぁ、ぁぁぁ……」
自身の中へと侵入してきたアダムの怒張に、ジェシカは呻くように泣き声を上げる。守るものなどない女陰は、まるでそうあるべきと言っているかのように易々とそれを迎えた。
(入る! 入ってくる! ああ、あなた、ごめんなさい……!)
何処にいるかも分からない夫へ、彼以外のモノを迎えてしまったことに許しを請う。目元からは涙が零れ落ち、後悔の淵へと落とされる。
やっぱり、あのスペンサー卿の息子。あいつの血を引いているのだ。どうして警戒もせずにあんな無防備に接してしまったのか。いくら悔やんでも全ては時既に遅しである。
(す、すごい! これが……これが、セックス!)
一方で、アダムは女性器から与えられる初めての性的快楽を享受して歓喜の渦に浸っていた。
気持ちいい! 気持ちいい! 気持ちいい! 願望が叶ったことともたらされる快感によって、脳髄からは大量のドーパミンが分泌される。もっと、もっと気持ちよくなりたい。さらなる願望が渦と共に湧き上がる。
それだけではない。心の奥底から、全く知らない新たな感情が芽生えてくるのを感じたのだ。子供らしい好奇心に加え、その聡明な頭脳から貪欲に知識を求めるアダム。その正体を探るため、全身全霊を込めて腰を突き出し、一気にジェシカの最奥を穿つ!
「許して、あな──お゛ッ!?」
涙を流しながらひたすら夫に謝り続けていたジェシカは、唐突に一番深いところを突かれて淑女らしからぬ無様な声を上げてしまう。
信じられないとばかりに瞠目する。ジョージのペニスでも奥を突かれたことはもちろんある。だが、こんなにも力強く、膣奥を押し広げるかの如く突き穿たれたのは初めてだった。それに膣自体も大きく拡張されているのが分かる。幼いアダムの大きなペニスは、大人であるジョージのそれをはるかに上回っているのだ。
パンッ! パンッ! パンッ! パンッ!
セックスは男女がお互いの性器を結合させる行為であり、それによって男性が射精して女性が受精、妊娠する。アダムが読んだ学術書に書かれていたセックスの説明はそのような簡易的なものしかなく、もっぱら精子や卵子といった生殖細胞を用いた受精の仕組みを科学的に説明した内容ばかりであった。性行為の細かい方法が書かれた別の意味で大人向けな本はさすがに屋敷に置かれていなかったのだ。
にも関わらず、アダムは本能に従って腰を振り始めた。ジェシカの安産型の尻に両手両足でしがみつきながら。その力強さを示すように肉打つ音が部屋に響き渡る。もはや天才児の知性を欠片も感じさせない、犬のような性行為。そんな乱暴なやり方では、女性は快感より痛みを訴えるはず。
「──ふっ! んぅ! ッ、ぁ、お゛!?」
が、当のジェシカにその様子は一切見受けれらない。床を突いていない方の手で口を覆って、必死に喘ぎ声を出さないようにしているが、それでも勢いに負けて都度漏らしてしまっている。
ただひたすらに快楽を求める暴力的なセックス。どういうわけかそれによってもたらされるはずの痛みは快感に変わっていた。まるで感覚神経から脊髄に伝わった刺激が全て性的なものへと変換されているように。夫相手では味わえなかった未知の快楽を前に頬は紅潮し、手に隠れた口端からは涎さえも垣間見える。完全に一人の女として発情しているのだ。
「おっ! ほっ! おお゛、おおぉぉッ!」
もはや床を突いていられず、上半身は濡れた床にへたり込んで腰だけを上げた状態。口を塞ぐ手は役目を果たさなくなり、抵抗する意識とは裏腹に身体は正直に反応して悦びの声を上げるジェシカ。
それゆえに、部屋に近づいてくる足音に全く気付けないでいた。
「ごめん、お母さん! 寝坊しちゃ────え?」
慌てていたのだろう。ノックもせずに無遠慮に部屋へと入ってきたのは、もう一人のメイドであるリサ・トレヴァー。ジェシカの娘。
彼女は扉を開けた先の光景を見て、我が目を疑った。優しくて大好きな自身の母親が、アダムに犯されている。疑うなと言う方が無理な話だ。しかし、いくら瞬いても、目を擦っても、見える光景は変わらない。
本来なら来年からハイスクールに通い始めるリサ。当然性知識は人並みに得ている。
思春期真っ只中、彼女の通う私立のジュニア・ハイスクールでもそういった話題は日常茶飯事。ボーイフレンドがいるとか、見栄か事実かは定かでないがもう経験済みだと言う友達もいる。リサ自身はそういった色恋沙汰に関しては少々夢見がちなところがあり、母のような淑女を目指していれば、いつかきっと素敵な男性が迎えに来てくれると少女らしい淡い期待を寄せていた。
ところがどうだ。その憧れである母親が、自身の夫を人質に取っている男の息子に、それも五歳児相手に喘ぎ声を上げている。生まれてこの方見たこともない、快楽に蕩けた顔を浮かべながら。
ふいに、リサとジェシカの目が合った。ジェシカの火照った顔が見る間に青褪めていく。
「あ、あっ……リ、リサ……見な、いで……!」
アダムに突かれながらも、ジェシカは呆然としているリサに必死に懇願する。叫ぶ力も出せないのか、喘ぎと共にようやく振り絞れたような声で。
「…………ッ!」
リサは後退りし、脱兎の如く逃げ出した。
──見たくない。見たくない! あんなお母さん、嘘だ! 嘘だッ!!
振り返らず、ひたすらに無我夢中で走る。混乱と動揺の中、目まぐるしく過ぎていく豪華絢爛な廊下。平衡感覚を失っているせいか何度も壁にぶつかってしまいながらも、なんとか元の部屋に戻って飛び起きたばかりのベッドへ再び潜り込む。
頭から毛布を被ってガタガタと震えながら、痛いくらいにきつく瞼を閉じるリサ。あれは夢だ。本当の自分はまだこのベッドで寝ていて、悪い夢を見ているに違いない。そう自身に言い聞かせて。
「──あっ、あっ……ジェシカ。な、何かッ、出そう!」
腰を振り始めてから、ただの一度でさえその動きを緩めずにいたアダムが呻くように訴え始める。尿ではないことは彼自身も既に分かっていた。
「これって、せ、せーえき、だよね? 出していい? ぼく、ジェシカの中に、出したい!」
その欲求を示すように腰の動きをさらに速めるアダム。どう考えても幼児の体力ではない。
加えて、五歳の年齢で射精など。普通ならまだ精通していないはず……しかし、彼は普通ではない。ペニスの大きさといい、明らかに異常だ。
「ああ、あぁぁ! 出る! 出るよ!」
もう射精寸前だ。初めてのセックスで、初めて放つ精液を、女性の子宮に注ごうとしている。
「んっ! あっ、だ、駄目、よ! な、か、ぁっ! 中に、出し、たら──」
最愛の娘であるリサに見られたせいで我に返ることができたジェシカは、力の入らない身体に鞭打って声を絞り出す。
「──嫌いになりますよ!!」
瞬間、アダムはしがみついていたジェシカの尻から弾けるように離れた。と同時に、膣から解き放たれたペニス、その極限まで膨れ上がった亀頭の先端から精液が発射される。
ドピュゥゥーー!! ドピュッ!! ビュルルルルゥゥーー!! ドビュルルルルルーー!
大量の白濁液がジェシカの尻に、背中に、髪に降りかかる。まるで熱いシャワーを浴びているよう。ジョージの射精どころか、人間とは思えないほどの量だ。
部屋中に香る濃厚な栗の花の匂い。あれだけ激しい肉打ち音と喘ぎ声が響いてたのに、打って変わって聞こえるのは二人の荒い息のみ。
終わった……ようやく終わった。息を整えながらも安堵するジェシカ。
そして息を整え終えると、女性をレイプするというとんでもない非行をしでかした相手を糾弾すべく上半身を起こし、振り返る。
「ひっ、ひっぐ、うっ……」
だが、そこには嗚咽を漏らして大粒の涙を流す幼児しかいなかった。
精液を垂らす萎びたペニスとその幼児らしからぬ大きさが際立つのは確かだが、それでも目の前にいるのは叱られて泣く子供に他ならない。
「ごめっ、ごめんな、さい……きらいに、きらいにならないで……」
嫌われたくない。その思いだけで本能から沸き上がる性欲を振り切り、懸命に理性を働かせて膣内射精を回避したのだ。
これは母性から来る感情なのか。ひどいことをされたにも関わらず、ジェシカは思う。これ以上アダムを苦しめてはいけないと。
そして、考えた。
この子は愛情に飢えているのでないだろうか?
唯一の肉親であるスペンサー卿は彼を溺愛しているが、それでもアンブレラ会長として世界各国を飛び回っている以上、常日頃傍にいることはできない。
数代に渡ってスペンサー家に仕えている執事が親代わりになりえたのかもしれないが、彼は卿に連れ添わなければならない身。各教科毎の教育係もいたらしいが、もはや教えられることがないとお役御免になっている。
そこへ母親代わりとなれる包容力に満ちた女性が現れれば、反動で必要以上に愛情を求めてしまっても仕方がないだろう。
それが性欲に変わってしまったのも、ペニスがあんなにも大きいのも、もしかしたらあの極悪人から生まれながらに何か特殊な薬剤を投与された影響だとしたら? 非現実的ではあるが、製薬会社の会長であるあの男ならやりかねない。
ジェシカは一つ深呼吸した後、泣き続けるアダムをそっと抱きしめた。
「……大丈夫。大丈夫ですよ」
「あ……」
豊満で柔らかい胸。女性特有の甘い香りに包まれて、その心地良さに身を委ねるアダム。彼の記憶にはないが、生まれる前の胎児というのはこんな気分なのかもしれない。
沸き上がる安心感。それに、ペニスを挿入した時に感じた未知の感情と同じものが自身に注がれていくのを感じた。
「嫌いになんかなったりしません。ちゃんと外に出してくれたんですから……偉いですよ、坊ちゃま」
宝石のように綺麗なシルバーブロンドの髪を優しく撫でる。ハーブティーに濡れた手だが、今更そんなことは気にならなかった。既に汗とそれ以外の液にまみれてしまっているのだから。
この子に愛情を与えよう。男の子である以上、リサと同じようにはいかないだろうが、それでも自分ならできるはず。
(そうすれば、きっとあのスペンサー卿のような存在にはならない。いえ、させるものですか……!)
アダムの額にキスを落とし、見上げる彼に微笑む。
「さ、沢山汚れちゃいましたから、シャワーを浴びに行きましょうね」
「だ、大丈夫だよ! ぼく一人で……あ」
ふいにジェシカのお腹を押すような感触が。視線を下に向けると、アダムのペニスが再び反り勃っていた。
「ごめん。ジェシカ……」
「お、男の子はこうなっちゃうのが普通よ。しょうがないわ」
言うことを聞かない相棒に再び涙目になるアダム。
それにしても、見れば見るほど立派なペニスだ。ジェシカは頬を赤く染めながら、この鬼金棒ならぬ聞かん棒も躾けないと駄目ねと決意し、咳払いする。
「それじゃあ、バスルームに行きましょう…………おちんちんも、ちゃんとスッキリしてさしあげますから……ね?」
その囁くような言葉に、アダムのペニスはぴくりと反応するのだった。
バイオ村の動画が面白くて、最近バイオハザードにハマった者です。
それ以前に初代をプレイしたことはあったのですが、当時は怖いのと謎解きが分からなくてクリアできなかったと記憶してます。
色々な二次創作を書いていたものの軒並み途中で詰まってしまっていたので、一度思い切ってR-18物を挑戦してみようかなと思い、投稿いたしました。
主人公はスペンサーの息子で、アダム・オズウェル・スペンサーとなります。
アダムという名前のキャラクターは原作でもアメリカ合衆国大統領として6で登場(即死亡)しますが、恐らくこのSSでは登場しないと思うのであしからず。
ストーリーラインは一応決まっており、大まかな下書きはラスト数話前まで出来ているのですが、本文への書き上げに時間がかかるので一応不定期更新となります。
R-18物は初めてなので至らないところが多いと思いますが、読んでいただける方がいれば幸いです。