※この作品はR-18です。

BIOHAZARD sexual invasion   作:MIYOSHI

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Ep: Alcina 1(1982)

「……マザー・ミランダ。今、何と?」

 

 ドミトレスク城の城主の部屋にて。

 

 部屋の主──オルチーナ・ドミトレスクは、彼女には少し小さくて頼りない受話器に向けて、その血のように赤い口紅が塗られた唇を尖らせた。

 動揺と、疑問と、失望。様々な感情をその金の瞳に宿しながら。

 

『私に二度同じことを言わせるつもりか? ……まあいい。お前も奴を可愛がっていたようだからな』

 

 電話口のミランダが、彼女にしては珍しく気遣いの色を受話器越しに垣間見せる。

 

 

『──アダムを殺せ。そう言ったのだ』

 

 

 再度伝えられた言葉には、その色は一切見受けられなかったが。

 

「しかし、マザー・ミランダも彼は貴重な存在だと……」

『考えが変わった。いくら貴重とはいえ、エヴァのためにもやはり不安要素は前もって排除すべきだ。精子だけ十分な量を採取しておけばいい。それで奴はお役御免だからな』

 

 ミランダはそう言うが、理由はそれだけではないだろう。

 普段感情をほとんど見せないミランダの声には、明らかな心の揺れが感じ取れた。

 

 スペンサーには用済みになれば返すと言っていたが、ミランダはそんな口約束を守るつもりは毛頭なかったようである。

 

「ご、ご懸念はもっともですが……今も彼は地下牢に拘束している状態です。どう足掻こうと、貴女様の手を煩わせるようなことは──」

 

 ドミトレスクは何とか考え直させようと言い繕う。彼女にとっても、アダムは手放し難い存在だからだ。

 彼の精液を使った白ワインの開発も順調に進んでおり、定期的な精液採取を兼ねた蜜事は、退屈で代わり映えのない城主生活において何よりも楽しみなものとなっていた。

 

 不要だと言うなら、ドミトレスク家の家宝として永遠に傍に置いておきたい。

 

『忠告したはずだ。あの子を……いや、奴を甘く見るなと。情欲に負けて身体を、心を許すようなことがあれば、どんな女でも取り込まれる。例え、お前であろうとな』

 

 まるで自身にも言い聞かせるように、ドミトレスクの楽観的思考に異を唱えるミランダ。

 ドミトレスクは面食らいながらも、彼女の命令ならばとやむを得ずアダム殺害を承諾する。

 

「しょ、承知いたしました……ドミトレスク家の誇りにかけて、必ずや責務を果たしてみせましょう」

『分かればいい。では──』

「たっ、ただ……一つだけ、お聞かせください」

『? 何だ』

 

 暫しの沈黙。

 乾いた唇を舐め、ドミトレスクは意を決して口を開く。

 

「本当に、よろしいのですか? あの子は、貴女の実の──」

『──ブツッ!』

 

 言い切る前に、電話が切れてしまった。

 聞きたくないとばかりに、乱暴に。少なくとも、どうでもいいと思っているならこのような反応は返さないはずだ。

 

 小さく溜息を吐き、受話器を置くドミトレスク。

 

(……確かに、もし何かの間違いで娘達があの子の毒牙にやられてしまえば、マザー・ミランダの言う通り、ドミトレスク家が乗っ取られる危険性がある)

 

 決意を固め、電話が置いてある化粧台から席を立つ。

 今夜が最後の密会となるだろう。その前に、沐浴して身体を清めなければ。そう考え、ドミトレスクは部屋を出て沐浴場へと向かう。

 

「それにしても……あの御方も、やはり母ということね」

 

 ミランダの真意は窺い知れない。

 だが、同じ"母"であるドミトレスクには、僅かなりにも彼女の葛藤を推察することができた。

 

 ドミトレスクは自身を母親と呼称しているが、娘であるベイラ達姉妹の実の子ではない。

 彼女らは人体実験の産物。ミランダが創り出した特異菌の寄生体"カドゥ"を用いて誕生した存在である。当然、その被験体となった女性とは何ら血の繋がりは存在せず。

 

 けれども、ドミトレスクは姉妹達を実の娘のように可愛がっている。

 実験の際の輸血に自身の血液を使ったことが影響したのか、彼女らは特異菌による暗示措置を行わずともドミトレスクを母と認識していたし、元よりその実験は夢見続けた娘達(・・・・・・・)を授かるためのものだったからだ。

 

(ベイラ、カサンドラ、ダニエラ……貴女達よりも大事なものなど、存在しないわ)

 

 沐浴場へ向かいながら、三姉妹のことを考える。

 それは、自身が子供を授かった時にと考えていた名前だった。

 

 

 

 

 かつて、この村がある山岳地帯を統治していた四人の領主──ベレンガリオ、グリエルモ、ニコラ、チェザレ。

 オルチーナ・ドミトレスクはその一人、チェザレ公の末裔。しかし、分家であった彼女の家系はその地域に留まらず、本家とはまた別の場所で発展を遂げていた。

 

 彼女は若かりし頃、"ミス・D"という名前で歌手としてデビューし、元々の高身長とその魅惑的なボディも相まって見る見る内に評判に。

 そして、ポールボーイズという有名なバンドとジャズアルバムを出版。それを切っ掛けにバンドメンバーの一人と恋仲になり、彼が婿入りする形で結婚・引退。その短いキャリアに幕を閉じる。

 

 大勢から引退を惜しまれたが、何よりもオルチーナは子供が欲しかったのだ。

 希望は三人。気が早いと言われたが、男の子と女の子の名前も三つずつ考えて。夫と子供達に囲まれた、幸せな結婚生活を夢見ていた。

 

 ところが、望みに望んだその子供を授かることは叶わなかった。オルチーナは先天性の血液疾患を患っており、それによる不妊が発覚したのだ。

 悲しみに暮れ続ける彼女に夫は愛想を尽かし、果ては離婚。畳み掛けるように第二次世界大戦が始まったことで当時の政権が崩壊し、君主制も廃止されてしまう。ドミトレスク家を含む貴族達は国を追われる身となったのだ。

 

 いや、実を言うと、その前からドミトレスク家は既に没落寸前だった。

 家は代々戦場での功績で成り上がった軍人貴族。オルチーナの父も例に漏れず、軍人として活躍することで家柄を保っていた。

 そんな父は隠れて不倫を繰り返した末に性病にかかって死んでしまった。もちろん、その爵位は兄である長男が継承することに。

 

 ところが、彼は母親に甘やかされて育ったために素行が悪く、それでいて親がいなければ何もできない根性なしを絵に描いたような人物だったのだ。

 当然、そんな男が家の発展に貢献するわけもなく。父が死んでからは、ほとんどオルチーナのおかげでかろうじて保たれていたと言ってもいい。

 

 長男は大戦時も戦場に駆り出されそうになって命惜しさに逃亡し、銃殺刑という末路を遂げる。

 母はそのショックで衰弱死し、一人残されたオルチーナは新政権の有力者に元有名歌手の"女"として見出され、何とか追放を免れた。それでも、繰り返される屈辱の日々は彼女にとって耐え難いものだったのは言うまでもない。

 

 そんな彼女の耳にある噂が届く。

 辺境の山岳地帯。そこにどんな病気でも治す預言者がいるという噂だ。奇しくも、その場所は自身と縁のある土地。

 

 もしかしたら、自身の血液疾患を治してもらえるかもしれない。子供を産めるようになるかもしれない。そう考えたオルチーナの決断は早かった。

 新興宗教に支配されているなど他にも黒い噂が多々あったが、それでも藁にも縋る思いで一人出奔したのだ。

 

 そうして出会ったのが、ミランダ。

 彼女こそ噂の預言者であり、例の新興宗教の教祖。

 

 オルチーナはそのまま、治療と称してカドゥの実験台にされた。

 結果的に適合して死は免れたものの、血液疾患を治すことは叶わず。それどころか、症状は悪化。定期的に他者の血液を摂取しなければいけない身体となってしまったのである。

 

 

 

 

(──それでも、私はあの子達を授かることができた)

 

 大理石で制作された四つの像に囲われた沐浴場。

 男女の像の内、男の像は浴槽から背を向ける形で配置されている。

 

「ふぅ……」

 

 全裸となったオルチーナは、黒薔薇が浮かんだその真っ赤な浴槽に浸かって身を清めていた。浴槽の縁に背を預けて寝そべる形で。

 

 肩から腕を撫で下ろすと、水音と共に白い肌に赤湯が滴り落ちる。薄暗い中に朧気な灯りに照らされた巨大な肢体は、中国で謳われた傾国の美女や、ハンガリーの血の伯爵夫人をゆうに超える妖艶さを醸し出す。

 湯気に包まれる中でむせ返るほどの金気臭さと葡萄の匂い、そして薔薇の香りが彼女の鼻翼を擽った。

 

 湯船にたぷんと浮かんだ二つの大きな北半球。残念ながら、その全容は残酷なまでの赤黒さと薔薇に隠れて窺い知ることはできない。

 その下で、自身の下腹部──役目を果たさなかった子宮を、肌の上から名残惜しげに瞼を閉じて擦る。

 

 あの三姉妹を生み出した実験は、元々ミランダの発案によるもの。つまり、彼女のおかげで授かった娘達と言っても過言ではなかった。

 不妊を解消して子供を授かりたい。その一心で自身の元を訪ねたオルチーナに、同じ母であるミランダも思うところがあったのかもしれない。

 

 それに、オルチーナに施された実験も悪いことばかりではなかった。

 元々長身だった体躯がさらに巨体となり、老化は当時の四十四歳のままで停止。身体は不死の血肉と言えるほどの強靭さを秘めたものとなったのだ。

 

 最初のカドゥ適合者となったことでミランダに養子として迎えられ、彼女からこのドミトレスク城を賜った。

 ここは元々、始祖の一人であるチェザレ公の直系の末裔──つまり本家が所有していた城。それを追い出す形で、オルチーナが娘達と共に住み着いたのである。

 

 元々の居住者であった本家の当主──ミランダが来る前は村の実質的な統治者でもあった──から抵抗を受けたが、それはまた別の話。

 彼の親族は村の屋敷に身を落ち着けており、ミランダの統治下のもとで、今でも畑を耕しつつ村人達のまとめ役を務めているのだとか。

 

 何はともあれ、紆余曲折ありつつも、オルチーナはついに幸せを勝ち取ったというのだ。

 頼りにならない男達など必要ない。愛する娘達だけに囲まれて、怠惰な日々を過ごす。時折、刺激的な催事を交えて。

 

 アダムも、そんな刹那的な存在だったと思えばいい。

 

 

 

「──こんばんは。ドミトレスク夫人」

 

 

 

 バシャリと、反射的に。

 閉じていた瞼を開き、湯船に寝そべらせた身体を起こして赤い水飛沫を散らす。

 

 対岸に、いるはずのない彼がいた。

 アダム・スペンサー。毒の如く蠱惑的な、男の頂点に立つ少年。

 

 憂いの的であった彼が、浴槽の階段に腰を下ろす形で湯船に浸かり、オルチーナのことを真赤な瞳で見つめている。

 感じる熱は、決して暖まったことによるものではないだろう。

 

「なぜ、お前がここに……」

「いつも貴女には気持ち良くしてもらってましたから。今夜は僕がお返しして差し上げようかと思いまして」

「何をふざけ──」

  

 文句を返すべく立ち上がろうとして、気づく。

 湯船から顔を出した、彼のペニスに。血薔薇の池から浮かんだ、幾人もの処女を貫いてきた聖剣。その剣先となる亀頭が、涎を垂らしてオルチーナのことを指し示していた。

 

「そんなに見つめられると、照れるな。貴女みたいな魅力的な女性だと尚更ね」

「──ッ!」

 

 無意識の内にペニスに釘付けになっていたオルチーナの視線に対し、アダムは口説き文句で投げかける。

 思わず白い肌に朱を注ぐ。思えば、そんな言葉をかけられたことなど人間でなくなった頃から終(つい)ぞなかった。定期的に城へやってくる外商の男のお世辞文句を除けば。

 

 しかし、おかげで逆に正気を取り戻すことができた。意を決して、水の落ちる音を響かせながら湯船から立ち上がる。

 露わとなる、隠されていた巨大な女体。火照った白肌に血水が滴り、視界からはみ出んばかりの身体に艷やかな光沢感が加えられて、より超自然的な魅力を放っていた。

 

「ヒュー。いつ見ても眼福なボディだね。見てるだけ達しちゃいそうだよ」

「黙りなさい。お遊びはここまでよ、坊や」

 

 感激したように口笛を吹くアダムに一喝し、右手を持ち上げる。黒く染まった五本の爪が急速に伸びていき、三日月型の鋭い鉤爪が作り出された。

 カドゥに適合した影響で、体組織の変異をある程度任意で操作する能力を持っているのだ。

 

「マザー・ミランダはお前の処分を決定したの。残念だけど、今夜で貴方とはお別れよ」

「そうか……母様が」

 

 自身を死に至らしめる凶器よりも、実の母親から殺害命令が下されたことに悲しげな表情を浮かべるアダム。

 オルチーナはそれを見て動揺したようにピクリと反応したが、迷いを振り払うように爪で湯船を薙ぎ、彼に近づくべく肉厚な腿を動かす。

 

 しかし、彼女は前に進むことができなかった。僅かな抵抗を受けて。

 この感触には覚えがあった。それもそのはず。毎夜その柔らかさを堪能していたのだから。

 

 

「「「フフフ……」」」

 

 

 腰に、最愛の娘達──ベイラ、カサンドラ、ダニエラの三姉妹が抱きついてた。

 自身やアダムと同じく、全裸で。

 

「あ、貴女達……!?」

 

 三人共、まるで夢見心地のような表情で母を見上げている。

 親子の証である金の瞳からは、内に秘めた熱情を現すような赤い輝きがチラついてる。その色には嫌でも見覚えがあった。

 

「フフ……お母様、のぼせてしまったのぉ?」

「ただ殺すなんて、とても愚かな考えですわ。大物を相手するなら、私達も覚悟を決めなくては」

「お母様。どうか、お考え直しください」

 

 濡れた肢体を艶かしく擦りつけ、誘い込むように母親の身体に腕を絡める娘達。

 彼女らの下腹部にアダムの瞳と同じ輝きの紋様が垣間見えた瞬間、オルチーナの中で憤怒の怒りが激しい波となって弾けた。

 

 金の瞳を竜のようにギラつかせ、元凶を──アダムを射殺さんばかりに睨みつける。

 

「……お前ぇッ! 私の、私の可愛い娘達に、何をしたあぁッ!!?」

 

 勢いで髪が乱れるほどの怒号を受けても、アダムはそれを涼しい顔で受け止めて笑みを返す。

 

「何って、貴女もよく分かってるんじゃないですか?」

「そうよねぇ。お母様ったら、生娘じゃあるまいし」

「お互いを魅力的に思う雄と雌が相まみえれば……」

「することは一つ。フフ……」

 

 三姉妹はアダムと目を合わせた。

 まるでそれだけで意思疎通をしているかのように、お互いを分かり合っているかのように。

 

 間違いなく、彼女らは母の言いつけを破り、アダムと身体を重ねた。

 結果はご覧の通り。案の定、彼の虜となってしまったのだ。変質した遺伝子が何よりの証拠である。

 

 許せない……! 私が丹精込めて育て上げた大事な娘達を……ッ!!

 

「ちっぽけなガキの分際でよくも……バラバラに切り刻んでやる!」

 

 大切な物を奪われたのだ。もはや情など不要。

 

 怒りに顔を歪ませたオルチーナは自身を囲う娘達だったものを振り払い、階段に腰を下ろしているアダムに乳房と尻肉を揺らしながら猛然と歩み寄る。

 そして、今度は一切の迷いなく、少年の体を餌食にするべく身を捻って黒の鉤爪を振り下ろす。

 

 しかし、その瞬間。

 アダムの瞳が一層輝き出し、オルチーナの視界を赤く覆った。

 

「ッ゛!?」

 

 弾け飛ぶような衝撃を受けて、大きく仰け反る。

 反射的に閉じた瞼を開くと、アダムを葬るはずの鉤爪が指の先端部分まで見事に切られてしまっていた。

 

「ん゛ぅ……! な、何が──ッ!?」

 

 気づけば、目の前にいたはずのアダムの姿がない。

 どこに行ったと思っていると、臀部を撫でるイヤらしい感触に腰を震わせる。

 

「あっ!」

「ごめんね。でも、今の僕じゃ単純な力で貴女に敵わないから」

 

 いつの間にか背後を取っていたアダムによって、ドレスを着込んでいても自己主張が激しかったどでかいお尻をねっとりとした手つきで触られていた。

 身長はほぼ二倍差。二人が立って並ぶと、丁度アダムの目の前にオルチーナの腰下周りが来るのだ。

 

「初めて見た時から思ってたけど、本当に素晴らしいお尻だなぁ。大きさも、弾力も、柔らかさも、まさに規格外だ」

「こ、この……! 小汚い手で私に触る、な……あ゛ぁ、ぅッ!」

 

 ふいに、人差し指と中指で灰色の陰核をキュッと挟まれた。

 続けて襲う、膣全体を襲う五つの刺激と膣壁を広げる感触。

 

「あ、ああ……っ!」

「すごいや。腕ごと食べられちゃった」

 

 腕だ。アダムがクリトリスを弄りながら、もう片方の腕を丸ごと膣にぶち込んだのだ。

 巨体ゆえに元々少年の腕ぐらいであれば容易に迎え入れられるオルチーナの膣奥は、触手のように軟体的な動きをする指によって、縦横無尽に五重の責めを受ける。

 

 ぐちょッ! ぐちょッ! じゅぶぶ! じゅぽッ!

 

「あっ! あっ! ん゛ぅっ、ぁあっ!」

 

 初めての感覚に為す術もなくへっぴり腰となり、よがるオルチーナ。

 その間にも続く、クリトリスへのフェザータッチ。彼女の陰核は見る間にズル剥けとなり、プリプリに勃起していく。短小ペニス並みに大きさだ。

 

「まあっ! お母様ったらご主人様の腕を丸ごとなんて、欲張りさんね」

「お豆さんだって、まるでおちんちんじゃない」

「ウフ……お母様、可愛らしい」

 

 すかさず、周りを囲み直した三姉妹が煽るように腕が刺さった女陰と勃起した肉芽に注目している。

 オルチーナは顔が熱くなるのを感じながらも、股間を弄るアダムを退けようと今度は左手の爪を伸ばす。

 

「ぐっ、ぅ! 離しな、さいっ!」

 

 振り返って爪を薙ぐが、膣から腕を抜いたアダムは素早く彼女の背後に回ってその猛攻を避ける。

 そして──

 

 ビシィッ! 「あぁっ!」

 ペンッ!  「んあ!」

 バチンッ! 「あ、う゛ぅッ!」

 

 避ける度、目の前でプルプルと震えるお尻を引っ叩き、その尻肉を波立たせる。オルチーナは悲鳴を上げながらも負けじと爪を振るい続けるが、一向にアダムを捉えられない。

 気づけば、彼は再び階段に立っている。双方の立ち位置は元に戻っていた。

 

 彼女の攻撃は悪く言えばただの力任せ。

 的となる相手が小さく機敏なだけに、まともに当てるのは至難の業なのだ。

 

「はぁ……はぁ……ば、馬鹿にして! んんぅッ!?」

 

 激しい動きに湯船を浴槽から溢れさせながらも、オルチーナは今度こそアダムを切り裂くべく右手の爪も再生させようとする。

 が、それを邪魔するように彼女の顔が塞がれた。

 

「ぇろ、ちゅ……駄目よ、お母様。そんなに暴れちゃ」

 

 ベイラがオルチーナの首にぶら下がって、その口紅が落ちた唇を貪り始めたのだ。

 

「獲物は抵抗してこそだけど、往生際が悪いのは良くありませんわ……じゅる」

 

 続けて、カサンドラが爪を伸ばした左手に舌を這わせて愛撫。

 

「あむっ。んぅ……さあ、お母様。力を抜いて」

 

 もう片方の右手の指に、ダニエラが諭すように言葉を投げかけながら吸いついている。

 

「は、あ……や、止め、な、ふぁいっ……貴女、達ぃ……!」

「ああ、もうこれで仕舞いだよ。お仕置きはね……ちゅっ」

「むっ! も、おぉっ!?」

 

 ダニエラとキスを交わしていたオルチーナの口が尖り、くぐもった喘ぎ声が沐浴場に響く。

 アダムがふやけ切った花弁を按摩しながら、ボリュームたっぷりの尻肉に隠れた肛門にキスを落としたのだ。

 

 唐突な刺激に彼女は腰を抜かし、浴槽に向かって倒れかける。

 そこへ、三姉妹が両腕、頭を支える形で湯船の上に浮かす。通常ならとても支えきれないが、水の浮力もあってさほど難しくはなかった。

 

 浴槽の底に膝を突く形で赤い湯船に大の字となるオルチーナ。

 長女の胸に顔を埋めて、両腕は次女と三女の胸に挟まれて拘束されて。振り払おうと思えばできるが、愛する娘達の柔肉に包まれては力も入らない。

 

「ああ……とっても綺麗だよ。オルチーナ」

 

 周りに浮かんでいる黒薔薇のデコレーションも相まって、その山のような火照った白い巨体はまさに芸術品にも匹敵する垂涎物だった。

 

「チロ、チロ……じゅるっ、ちゅっ、じゅぞぞぞッ!」

「あっ! ああっ! あっ、アッ、おぉッ!!」

 

 アダムは抱えきれないほどのお尻を掴んで大陰唇を広げ、唾液を乗せた舌で丹念に解していく。そのまま、止めどなく溢れてくる愛液を砂漠で見つけたオアシスのように貪り啜った。

 

「可哀想に……んっ、ぇろ、こんなに物欲しそうに蜜を垂らして……本当にずっと我慢してたんだね」

「が、我慢、なんて……してな──ぬ、ん゛ぅぅッ!」

 

 小さいながら、信じられないほど伸びる舌。

 激しくも労るようなその愛撫を受けて、身体の大きさに比例した野太い喘ぎ声が漏れてしまう。

 

 崩れ落ちそうになって、耐える。

 負けるわけにはいかない。誇り高きドミトレスク家の当主が、男に、こんな子供に好き放題されるなんて……!

 

「お母様……」

 

 負けじと快楽に抗う中、眼前のベイラが口を開く。

 乳房でオルチーナの顔を包み込みながら、慈愛に満ちた瞳で。

 

「今まで、ずっと女の幸せを忘れようとしてたのですね……でも、もうそんな必要はありませんよ?」

 

 カサンドラも。ダニエラも。

 

「お母様。私達はご主人様の女となれて、とても幸せなの」

「そう。だからもう、お母様もこれ以上気負わなくても良いのですよ」

 

 ああ。この子達は。

 決して私を捨てたわけではない。まだ、私のことを母と慕ってくれているのだ。

 

 だけど──

 

「わ、私は……ドミトレスク家の当主として、男に屈するわけには……」

「じゃあ、僕の恋人に……ううん、お嫁さんになってよ」

 

 

 ……え?

 

 




もちろん、オルチーナの過去話は捏造ですのでご了承ください。

当初は三人の娘を産んだが戦争で亡くしてしまったという設定にしようかと思ってましたが、不妊の方が血液疾患という設定を活かしていて良いかなと思い、この形となった次第です。

前者であれば、城のロビーに飾られている三令嬢の肖像画はオルチーナの実子をモデルにした絵ということにするつもりでした。が、そうではなくなったので、元々城に飾られてた絵にベイラ達三姉妹の名前をつけたという解釈をしてもらえれば(現実に存在する肖像画みたいですし)。

次回は日曜に投稿いたします。よろしくお願いいたします。



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