BIOHAZARD sexual invasion 作:MIYOSHI
「そ、それで……あいつは、ど、どうなったんだ? 殺したのか?」
冬の極寒。山奥に佇む村に建つドミトレスク城。
そのロビーである玄関の入口で、眉雪の高齢者のように腰を曲げた男が辿々しいおぼつかない口調で尋ねた。仰いでも、大きすぎてその上半身が視界に入らない城主に対して。
「あいつ? あいつとは、誰のことかしら? はっきり言いなさいな、モロー」
白いドレスを着た彼女──城主ドミトレスクは苛立たしげにそう返し、煙草を差し込んだシガレットホルダーを振って組んだ腕を叩いている。
いつもなら紫煙を燻らせているところだが、今日の彼女はどういうわけかそれを我慢しているようだ。
無論、その姿は対面の男、サルヴァトーレ・モローには見えない。煙草を吸ったとしてもその匂いを感じ取ることもできないだろう。
彼の鼻は自身が放つ腐敗臭──雑菌を含んだおりもののような臭い──を普段から直接嗅いでいるせいか、完全に麻痺。ようするに馬鹿になっているのだ。
それにしても、ドミトレスクが纏うドレスのスカート部分が僅かに揺れ動いて見えるのは気のせいだろうか?
「だ、だから……あ、あいつだよ。アダ──う゛ッ、ぼおぉぇ!」
返答しようとしたモローは唐突に嘔吐き、アオコが発生した沼のような吐瀉物を撒き散らす。
それを見て、眉をひそめて嫌悪感を露わにするドミトレスク。その醜悪な臭いから少しでも逃れるべく、片手で鼻を覆った。
「この、醜男め! よくも玄関先を汚してくれたわね……!」
「ご、ご、ごめんよっ……ね、義姉さん」
「お前のような穢らわしい存在を弟と思ったことなど、一度もないわ!」
「ひいぃッ! ご、ごめん……ごめん、なさい……!」
既に曲がった腰を地面につけるほどさらに下げて、許しを乞うモロー。
ドミトレスクはこれ見よがしに大きく嘆息する。そして、それでも煙草を吸おうとはしなかった。
「……アダム・スペンサーは電話でも伝えた通り、こちらで処分したわ。この通りね」
そう答え、彼女は玄関の柱の陰から麻袋を持ち上げてみせる。長さは140cmほど。丁度少年一人を丸々包んでいるかのようだ。
「血は一滴も残ってないわよ。昨夜はそれはもう豪勢なパーティで……ん、あぁっ」
「……? ど、どうし──」
悠々と答えていたドミトレスクだったが、どうしたのだろうか? 急にその赤い口紅が塗られた唇から熱の込もった声を漏らし始めた。
怪訝に思ったモローが様子を伺おうとするも、彼女はその怒りに輝く金の眼光で彼を睨みつける。
「さ、さあ! 用はもう済んだでしょう!? さっさとマザー・ミランダに伝えなさい! 早くッ!」
「わ、分かった! 分かったよぉ……!」
尋常じゃない殺意を真正面か浴びたモローは恐れをなし、棒のような脚を支えに転がるようにして雪道を帰っていった。ご丁寧に反吐の軌跡を残して。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
──ズパンッ!
「おお゛ぉッ!!?」
モローの姿が見えなくなったところで、唐突にドミトレスクが溜めていた物を吐き出すような叫び声を上げた。手に持っていた麻袋とシガレットホルダーが地面に落ちる。
ドレスの下から聞こえてくる、くぐもった肉を打つ音。彼女の白いドレスが乱れて盛り上がり、堰を切ったかのように激しく動き始めた。
パッチュッ! バチュッ! ジュパンッ! パンッ!
「あぁっ! ん゛んぅッ! ふぅぅ……!」
続け様の衝撃に内股になっていた脚が震える。立っていられなくなった彼女は玄関の柱に手を突き、揺れる腰を宙に向けて突き出す。
「──チーナ……オル、チーナ……ッ!」
水気に満ちた肉打ち音と共に、股の所からかすかに聞こえてくる呟き声。
その声が呼ぶ相手──オルチーナは、モローに対する怒りで歪ませていたその口元を嘘のように緩ませ、下半身に与えられる快感に身を委ねるようにしてへっぴり腰になっていく。
パンッ! パンッ! パンパンパンパンッ!!
「ん゛ンッ、ン゛ン……ア、ダム……様……アダム様ぁ!」
「オルチーナ、オルチーナ! ……あ゛あッ!」
バチュンッ! と、一際強い衝撃がオルチーナの股間から生じ、ドレスがぶわりと舞い上がった。
ドピュルルッ! ブボリュッ!! ビュプッ、ビューーーッ!!
「おおおぉぉッ! んお゛おおぉぉ……」
盛大な射精音と共に、ガクガクと揺れ動く抱き余るほどの腰。
その身体は白い肌が赤みがかるほどに熱が籠もっており、湧き出た汗や涎が蒸気となって立ち込めていた。
「ふぅ……」
オルチーナの足元に雪の白さとは違う白濁とした液溜まりが出来る中、彼女の白いドレスの正面にもっこりと膨らみが出来る。
その膨らみはもぞもぞとドレスの下を移動し、下腹部から上半身へ。そして──
「──ぷはっ!」
胸元から姿を現す、その正体。
アダムだ。オルチーナのお尻から這う形で昇っていき、彼女の爆乳に下から潜り込む形でその谷間から顔を出したのである。
「はぁ、はぁ……アダム様。とっても興奮したわぁ。もう、いつバレるだろうかと心臓が張り裂けそうで……んんぅ、まっ」
「んっちゅ……僕もだよ。でも、よく頑張ったね」
「ンフフ、愛しのご主人様のためですもの。奴隷妻として、このぐらいは当然ですわ」
弾き飛ばされそうな弾力と溶け込みそうなほどの柔らかさ。彼女でしか味わえないその感触に包まれながら、濃厚なキスを交わす。
実際、相手がモローでなければ一発で気づかれていただろう。曲がった腰のせいで頭がまともに上げられないというのもあるが、彼は魚のように視力も悪いのだ。例の麻袋の中身も、厨房の肉を適当に詰めただけの物である。
「……ですが、モローの報告を聞いても、あのミランダが納得するとは思えません。遅からず、さらなる物的証拠を求めてくるでしょう」
「そうだね。どうしようか……」
モローがドミトレスク城を訪れたのは、ミランダからアダム死亡の確認を言いつけられたから。電話でも彼女には処分したと伝えたが、第三者による確認のために派遣されたのが彼というわけである。
もちろん、ドミドレスク一家を陥落させて自由の身になった以上、今すぐにでも御子である娘を助けにミランダのもとへ向かいたい。
だが、肝心の彼女が村のどこにいるのかが分からないのだ。あの廃教会での会議以来、彼女は御子の世話に付きっきりらしく、全く表に姿を現していない。
本人がアダム死亡を直接確認に来ないのは、そのためだろう。同じ母であるオルチーナ曰く、他にも理由があるようだが……
「──ぁぁ……あぁ……」
アダムがオルチーナの胸にペニスを擦りつけながらミランダ対策を考えていると、彼の耳にどこからともなく掠れた呻き声が届く。
声のした方に顔を向けると、そこには襤褸切れのような服を纏った骨と皮だけの亡者のような存在が数人。亡者達は蟻がたかるようにして地面に広がったアダムの精液に舌を伸ばし始める。
一目見ただけでアダムには分かった。その亡者達が女性であることを。
伊達に女性を喰いまくっているわけではない。よく見れば、だぶついた服に僅かな胸の膨らみが認められるのだ。
「この子達は……」
「彼女達はモロアイカ。過去に私が特異菌の実験に使った子達の、成れの果てですわ」
特異菌。
それは全ての元凶とも言える存在。
粘性を帯びた新種の真菌生物であり、見た目はカビに酷似している。感染すれば体細胞を全て菌に置換されてしまい、それによって高い再生能力を身につけることができるらしい。
だが、ミランダやオルチーナのような適合者でない場合、脳幹まで菌の感染が及ぶと完全に自我を失ってしまう。容姿も個人差はあるが、大抵はモロアイカと呼ばれた彼女らのように異形へと変貌する。
ミランダはその脳幹に達した菌を介して、養子にしたオルチーナやモロー達に自身を義母として敬うように暗示措置を行ったのだという。
適合率の高い者ほど菌に対する干渉力が高い傾向にあるのだろう。その証拠として、オルチーナに対するそれはアダムに淫紋を刻まれた影響で解除された。
淫紋は決してミランダの暗示とは違う。彼女達の身体に宿ったADM細胞は切っ掛けを与えているだけに過ぎず、発現はあくまで本人の意志に委ねられるのだ。
人を暗示で操って意のままにするというのは、アダムの主義に反する。偽物の感情で愛し合っても、真の快楽は得られない。
「……ぁぁ、あ゛、ん……」
地面に這いつくばり、夢中で精液を舐めているモロアイカ達。
その内の一人がイカ臭さの香る白い吐息を漏らしながら顔を上げ、オルチーナの谷間にいるアダムに恍惚とした眼差しを向けた。
「……おいで」
アダムは彼女らを憐れみ、谷間から降りてそのモロアイカの頭を撫でてあげる。
彼女は相変わらず掠れた声を漏らし続けているが、それでも嬉しそうに彼に身体を擦りつけた。
「みんな、元は美人だったんでしょう?」
「ええ。この子達には可哀想なことをしてしまいました。できれば元の姿に戻してあげたいのですが……」
「難しいかもね。でも、余裕ができれば彼女達も愛してあげようと思う」
「ですが、アダム様……」
「大丈夫。この子達も女の子だからね。」
そう返して、射精して縮まった子供ペニスに手を添えるアダム。そのままモロアイカの口元に運ぶと、彼女はご馳走だとばかりにガバリと吸いつき、カサついた唇を窄める。
「ちゅー、ちゅーッ! ん、あ゛ぁぁ……」
「いい子だ……上手だね」
黒い少女によって再起したアダムは、相手が女性であれば例えゾンビであっても愛せるほどの自信と度胸を持つようになった。
自ら自己研鑽を怠って醜くなった者は例外だが、こうして理不尽な理由で女として生きれなくなった子達は、できる限り救ってあげたい。そう考えているのだ。
それに繰り返し愛を交わせば、ADM細胞の力で自我を取り戻す可能性だってある。
ならば、愛さない理由はない。
「お優しいのですね……承知いたしました。他にもサンカという羽が生えた派生個体がおりますので、その子達も含めて身綺麗にさせておきましょう」
「うん。お願いね。ありがとう、気持ち良かったよ」
モロアイカからペニスを離してもらい、二人は城内へと戻る。
精液を舐め取り終えたモロアイカ達は、皆一様に頬を赤くさせてアダムの後ろをひたひたとついてきている。
そんな彼女達を微笑ましく感じながら、アダムはオルチーナから聞いたミランダの話を思い出す。
彼女の話によると、ミランダは六十年ほど前、この村で特異菌の大元となる"菌根"を発見したのだという。
当時世界的に大流行していたスペイン風邪によって最愛の娘エヴァを失った彼女は、その菌根から娘を蘇らせる手段を見出した。
詳細はオルチーナ達四貴族にも明かされていないようだが、エヴァ復活のための儀式には"器"が必要らしく、つまりはそれにアダムとジェシカの娘が選ばれたということだ。
その娘がいるであろうミランダの隠れ家は、四貴族の中で唯一モローだけが知っている。その彼であっても普段は電話でしか彼女とやり取りをしていないらしい。
身柄を拘束して拷問するという手もあるが、ミランダへの忠誠心が最も強い彼がそう簡単に吐くことはないだろう。
(どうにかしてミランダの居場所を特定しないと……)
ドミトレスク一家に誓いを立てさせてから一ヶ月、アダムは彼女らを含む城の者達と乱交三昧の日々を送っていた。
特にオルチーナを前にしてはその有り余る魅力から性欲を抑えることができず、半月ほど繋がりっ放しでまぐわい続けていたほどである。
ミランダの言う儀式まではまだまだ何ヶ月も余裕はあるが、いつまでも快楽に溺れていてはあっという間に時間が過ぎてしまうだろう。
「さ、アダム様。私の背中にお乗りください」
ロビーに入って早々、ドレスを脱ぎ捨てて全裸になったオルチーナがアダムに背中を向け、その場に膝を突いてお尻をぐいっと高く上げた。
「う~ん……それ、僕はいいんだけど、お腹は大丈夫?」
「心配ございませんわ。特異菌と始祖の力を宿した、私とアダム様の子ですもの。それに、お腹にいる間に誰の雌奴隷かを自覚させなければなりませんから」
「ハハ、そうだね」
笑みを返し、アダムはオルチーナのお尻に乗る。
彼女はああ言っているが、煙草を止めている辺り、お腹の子の健康を気にしているのは丸分かりだ。丈夫であることは分かっていても、何だかんだで母として心配してはいるのだろう。
彼女は主人が乗ったことを確認すると、そのまま四つん這いで移動し始めた。
「ぁ、ぁぁ……」
「ンフフ……お前達はここで待ってなさい」
モロアイカ達をロビーに待機させ、主人を乗せて廊下を這い進むオルチーナ。
後ろから責められながら四つん這いで城中を散歩するというプレイを楽しんで以来、彼女はこのお馬さんごっこに夢中になってしまったのだ。
誇りもプライドも捨てた、傍から見たら無様極まりない格好。
だが、アダムという至高の存在の女となり、淫紋と共に彼の子を授かった彼女は、今までの人生で最も幸福に満ちた純粋な笑みを浮かべていた。
「お帰りなさぁい。ご主人様、お母様」
「ひとまずは上手く誤魔化せたみたいね」
「主様。もしよろしければ、次は私の背中に……」
揺れる尻肉を堪能している間に、気がつけばオルチーナ号はメインホールに到着。
二人を迎えた三姉妹はもはや服を着る気がないとばかりにその美肌を露出させており、下腹部の紋様の輝きを見せつけるようにして晒している。
「オルチーナ様ぁ」
そこへ、頬を上気させた下着姿のイングリドがふらふらと千鳥足で歩み寄ってきた。
彼女の手には真っ白なワインが入ったグラスが握られており、見れば他の使用人達もおずおずといった様子で同じように手に持ったワイングラスを口をつけている。
その首元には、母親の形見である首飾りが揺らめいていた。
「このワイン、とっても美味しいれすぅ~。でも、いいんですかぁ? 私達使用人も飲んじゃってぇ……」
「あら、当然でしょう。サン・ヴィエルジェを超える私の最高傑作だもの。アダム様で繋がった家族である貴女達にも、味わう権利はあるわ」
ワインの銘柄は、エリジール・ダモーレ。
その材料は言わずもがな。彼女らも知った上で舌鼓を打っているのだろう。
「えへへ、ありがとうございますぅ~。アダム君、今日もお姉ちゃんとお風呂でたくさんエッチしようね~」
優雅な一時を楽しみ、悦に浸っている玉の輿狙いのイングリド。
今まで恐怖の対象だったオルチーナ達の前でも堂々と酔えるその楽観的思考こそ、彼女の魅力だ。逞しささえ感じてしまう。
「オルチーナ、降ろしてくれる? ベイラ達を可愛がってあげたいんだ」
「かしこまりました。貴女達、しっかりとご奉仕してさしあげるのよ」
「「「はい、お母様」」」
アダムは腰掛けと化したベイラの美しい背中に降ろしてもらう。
次いで、正面に並んで座ったカサンドラとダニエラを挟むようにして彼女らの肩に両脚を乗せると、二人は喜々としてお互いの間で熱を帯びている竿に舌を這わせ始めた。
「んン……ぇろっ」
「はあぁ……ちゅ、じゅる」
絶世の美女三人から成る全自動の奉仕椅子。
弱冠十歳でこれほどの高級家具に腰を降ろした少年は、彼以外には存在しないだろう。
びくりとペニスが揺れる度、アダムは昂りを示すようにペシンッと腰掛けのお尻をひっ叩く。
「あぁんっ」
歓喜の喘ぎを漏らすベイラ。もはや完全な性感帯でしかないその尻穴を指でほじくり、吸盤のようなその吸いつきを楽しんだ。
「ンフフ……」
対面の大きなソファに身を沈めたオルチーナは、そんな娘達と主人を見て笑みを浮かべる。
手に持ったワイングラスを傾けながら、思う。
この一家団欒の幸せな時間がずっと続けばいいのに。
だが、現実はそうはいかない。仮にも年長者として、そして愛しい主人の妻として、彼を補佐しなくては。
オルチーナはワイングラスをテーブルに置き、口を開く。
「アダム様。ミランダの件ですが、私に良い考えがありますわ」
「え? 本当に?」
ふいの進言に、思わず顔を上げるアダム。
次女と三女に奉仕を続けてもらいながら、話を聞く態勢に入る。
「覚えていらっしゃいますか? あの廃教会にいた喪服の女を」
喪服の女……というと、あのアンジーという摩訶不思議な喋る人形の持ち主と思われる女性のことだろう。アダムは頷いて答える。
「名前はドナ。私やあのモローと同じ、ミランダに付き従う四貴族の一人です。もっとも、四貴族の中でも新参者なので、私もそこまで詳しくはないのですが……」
教祖ミランダの膝元で、この土地を牛耳っている四貴族達。
アダムの雌奴隷妻となった巨女、オルチーナ・ドミトレスク。
先ほど城まで使い走りにされていた醜男、サルヴァトーレ・モロー。
乱暴な物言いが目立っていたサングラスの髭面、カール・ハイゼンベルク。
そして、ドナ・ベネヴィエント。
彼女達は全員、始祖たるかつての領主達の血を引いているのだという。ドナはその一人、ベレンガリオの末裔である。
普段は村の奥、霧深い谷に架けられた橋の先にある屋敷に籠もっており、ミランダに呼ばれた時以外ほとんど表に出てくることはないらしい。
「彼女は人形使いであると同時に、類まれない技術を持った人形師でもあります」
「そうなんだ。あのアンジーって人形も、彼女が作ったってこと?」
「いいえ、あれは父親が作った物だそうです」
アンジーにはドナに投与されたカドゥの一部が移されており、それによって遠隔操作が可能となっているのだという。
本人は極度の対人恐怖症を患っているらしく、普段は人形を介してでしか言葉を交わせないらしい。
つまり、人形に自我があるというわけではなく、あの賑やかな言動はあくまでドナ自身の言葉ということだ。
声を発せられる理由は、カドゥから媒介された特異菌によって声帯が形成されているからだろう。全くもって万能な菌である。代用臓器になることからして、研究次第では医療分野でも活躍できるかもしれない。
「話の腰を折ってごめん。それで、そのドナって子がどうしたの?」
「彼女に人形を作ってもらうのです。アダム様の人形を」
「人形? それも、僕の?」
腕の良い人形師であれば、材質はともかくその気になれば本物と見間違うほどの物にできるかもしれない。しかし、それをどのように利用するというのだろうか?
「まさか……」
既に身体と心を通わせ合った二人。
オルチーナはアダムの瞳を見ただけで彼の考えていることを察し、ニタリと笑みを浮かべる。
「お察しの通りです。恐らく、そう遠くない内にミランダが再びモローを寄越し、貴方様を処分した証拠として遺体の提供を求めてくるでしょう。その際に貴方様に似せた死体人形を棺桶に入れて手渡すのです」
少し調べればすぐ看破されるような細工だが、少なくともあのモローには通じるに違いない。
筋書き通りに行けば、彼はそのままアダムの死体人形をミランダのもとへと運ぶだろう。その跡を追えば、居所を探さずして彼女の隠れ家に辿り着くことができるのだ。
どうやってドナに協力させるか。そんなことは言わなくとも分かるだろう。
まだ見ぬ女の身体を想像して、アダムは姉妹に奉仕させている股間をビクリと跳ねさせる。
「少し不安はあるけど、いい考えだと思う。さすがはドミトレスク家の家長だ」
「ンーフフ、ありがとうございます。ですが、私はもう貴方様に雌奴隷として嫁入りした身。もはや家名は捨てたも同然ですわ」
「それなんだけど……」
アダムはベイラ椅子から降り、カサンドラとダニエラの頭を撫でて奉仕を止めさせる。
そして、ゆっくりと対面に座るオルチーナの傍に歩み寄った。
「オルチーナはいいの? あれだけ家長としての誇りを持って、家を守ってたのに」
「そんな、お気になさらないで。元々大した家柄ではございませんし、目先の欲求に駆られて使用人達に手をかけるという暴挙までしでかしたのですから……当然の報いです」
そう返す彼女だったが、その瞳には寂しげな影が宿っている。
親兄弟はとても愛せるような人達ではなかったが、腐っても家族。貴族の家系であるという事実こそ、血の繋がった彼らが残した唯一の遺留品だったのだ。
極悪人の父に対しても家族の情を持っているアダムには、その気持ちがよく分かった。だからこそ、彼女のことがとても魅力的に感じてしまう。
そのまま、雌奴隷妻の膝の上によじ登って立ち、彼女の大きな顔に両手を添えて間近で視線を合わせる。
「それでも、だよ。どんな家柄だろうと、ドミトレスク家はオルチーナが今まで必死に守ってきた大事な家名だ」
「アダム様……」
お互いに見つめ合う二人。
自身の半分ほどしかない少年の真剣な瞳。そのどんな宝石よりも美しい赤色に、オルチーナはどうしようもなく惹かれてしまう。
改めて思う。例え子供を孕めなかったとしても、私は彼の女となっていただろうと。
「こうしよう。今日から君の名前は、オルチーナ・
「えっ!?」
思ってもない言葉に、素っ頓狂な声を上げてしまった。
頬は赤く染まり、顔が熱くなっていく。目の前の少年と目を合わせられなくなり、少女のように視線を背ける。
「お、お戯れを。妻である前に雌奴隷である私が、アダム様の家名を名乗るなんて。それも、自分の家名も残すなんて贅沢ですわ……」
「僕は本気だよ。僕の私邸の傍に、ここと同じ城を建ててあげたっていい。今までの貴族生活を超えるぐらい、贅沢な暮らしをさせてあげる」
アダムはオルチーナの顎に手を添え、再び自身の方を向かせる。
「雌奴隷は今日でおしまい。正真正銘の僕の恋人に、奥さんになってくれる?」
「ああ……アダム様!」
感極まり、返事とばかりに愛しの主人に唇を押しつけるオルチーナ。
彼女の下腹部の紋様が歓喜を示すように一層輝く。
「おめでとうございます。オルチーナ様」
「おめでとう! お母様!」
二人を祝福するように、使用人達と三姉妹がパチパチと拍手を送った。
「う゛ぅ、うッ……ア、アダム君! 私は!? お姉ちゃんのことは捨てるの!? お嫁さんにしてくれないのぉ!?」
が、一方で、酔っ払いのイングリド。
彼女は嗚咽と共にボロボロと涙を零して自身の思いを叫んでいる。
「捨てたりなんかしないよ、イングリド。ベイラも、カサンドラも、ダニエラも、そしてみんなも。全員、僕の大事な恋人。お嫁さんだから」
「わあぁん、アダム君ぅぅ!」
泣き喚きながらすっ飛んできた彼女を、アダムは優しく抱き留めて撫でてあげた。
そこへダニエラとカサンドラも飛び込み、母の膝の上にいる彼に甘えるようにして抱きつく。
「あぁん、ご主人様ぁ。私も撫でてぇ」
「ちょっと、ダニエラ! 私が先よ! そこのメイドも、私にスペースを譲りなさい!」
「嫌で~す」
お互いを押しやってアダムを取り合う美女達。
「あの……お母様」
その喧騒の横で、ベイラがこっそりと母親に耳打ちし始める。どうしたのだろうと首を傾げ、様子を見るアダム。
「……そうね」
長女の話を聞き終えたオルチーナは、膝の上で暴れるダニエラ達が邪魔なのか、彼女らを引っ掴んで床に降ろした。
降ろされてなお揉み合っている雌達をよそに、ゴホンと一つ咳払いをして居住まいを正す。
「アダム様……私は今日から、オルチーナ・D・スペンサー。貴方様の申し出、謹んでお受けいたしますわ」
「良かった。これからもよろしくね」
「はい。それで、なのですが──」
もじもじと、恥ずかしそうにしながらも続ける。
「雌奴隷扱いは、できればこれからも続けていただけると……」
その言葉に、思わず呆気に取られてしまうアダム。オルチーナの横には、頬を赤らめたベイラがチラチラとアダムに視線を送っている。
──やれやれ。本当に、我儘な女達だ。
だが、そんな女達を満足させてこそ、真の男というもの。
もう一日くらい、乱交パーティを続けても構わないだろう。そう考え、アダムはニヤリと口端を歪めるのだった。
ドミトレスクのせいで熟女・巨女好きになってしまった方も多そう。
それぐらいインパクトがあるキャラクターでしたしね。
次回からドナ攻略を始める予定ですので、よろしくお願いいたします。