種付けファイター達也くん(未公開シーン&ボツシナリオ) 作:minnie_remon
今回の話は達也がknock outで連戦連勝を続け石井幸三選手に勝つ前後ぐらいに組み込むつもりで書いたものです。
「実は達也くんにツイッターを始めてほしいと思ってるんだ」
「…はい?」
晴香の提案は、達也が全く考えもしていないものだった。ツイッターのアカウントを開設して、ファンとの交流の場を作ろうというのである。
「いやいや、俺そういうの全くやらない人間なんで無理ですよ」
達也はやんわりと断ったが、晴香はどうしても達也にツイッターを始めてほしいと言って譲らなかった。とはいえ、晴香の提案は至極頷けるものだった。というのも今の時代、不特定多数のファンを相手に商売する身の者にとって、SNSを活用してファンと交流したり自身のPRや宣伝をするのはもはや当たり前となっているのだから。もちろんプロスポーツ選手も例外ではなく、特に格闘技のように個人の人気がチケットの売り上げに直結するような競技ではSNSの活用は特に重要と言えた。
晴香としても、達也をこれまで以上に前面に押し出していきたいと強く考えていた。まだ加入1年とちょっとだが達也はもはや名実ともにFAILYのエースと呼ぶに相応しい存在となっていた。達也の更なる活躍無くしてFAILYの躍進は無い。晴香はFAILYの命運を達也に託していると言っても過言ではなかった。
「でも、ツイッターなんて言われても、何を呟けばいいか全く分からないですよ」
「何言ってんの、呟きの内容なんて何でもいいから」
結局、達也は晴香に押し切られる形でツイッターを始める事になってしまった。しかしいざ始めてみたは良いものの、達也自身はスマホをあまりいじらないアナログ人間なものだからツイートの数は少なく、内容もつまらないものばかり。フォロワー数は100人ちょっと、『いいね』やリツイートもほとんど付かないような状態だった。
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「達也、ツイッター始めたの?」
ある日、充希にそんな事を言われた。
「え、何で知ってんの?」
「何でって、通知が来たからに決まってるじゃない」
「通知?何それ?」
充希が教えてくれる。ツイッターに電話番号を登録すると、その番号を登録している知人にツイートの内容が通知されるような機能があるという。
「…てことは俺の番号知ってる人はみんな、俺がツイッター始めたってのを知ってるって事?」
「そういう事。まあ、その人自身がツイッターをやってなけりゃもちろん分からないけど」
「……」
全然知らなかった。マジかよ…
途端に、自分のくだらな過ぎるツイートが恥ずかしくなってきた。知り合いに見られてるなんて全然知らなかったから…
「いや、別にやりたくて始めた訳じゃないんだ。ただ、晴香さんがやれってうるさくてさ」
「晴香さん?」
「あ、ああ、ジムの責任者の人ね。俺も一応プロの選手だから、SNSでファンとの繋がりの場を作る必要があるからって」
「ふーん。ま、そんな事だろうと思ったよ」
充希は小さくため息をついて。
「アナログ人間の達也が自発的にツイッター始めるなんて思えないし、ツイートの内容自体もくだらないもんね」
「う…」
自覚してた事だけど、改めて充希に言われるとちょっとショックだった。
「ていうか俺のツイートを見てるって事は、充希もツイッターやってるって事だよな?」
「…そうだけど?」
「こっちにはそんな通知全然来なかったんだけど?」
「そりゃそうでしょ。私は電話番号登録してないし、通知機能もOFFにしてるから」
「そんな事できるの?」
「まったく、ホントに何も知らないよね達也は…」
そんなの知ってる訳ないっての。というか教えといてくれよ晴香さん…
「通知OFFにしてあげるよ。ほら、スマホ貸して」
「あ、ああ…」
スマホを渡す。
「ていうか、充希もツイッターやってるってんなら、アカウント教えてくれよ。フォローするからさ」
「……」
「あの…聞いてる?」
すると、充希は俺のスマホをいじりながら。
「…やだ」
「えぇ、何で!?」
「ハイ、できたよ」
無造作にスマホを返される。
その後も粘っこく充希のアカウントを聞いたけど、結局最後まで教えてくれなかった。
当初は達也が有名になるに連れてツイッターのフォロワー数も爆増して超インフルエンサーになるような展開を考えてましたが、やっぱりそんな必要無いなと考え直してボツにしました。今ではツイッターさせなくて良かったと普通に思ってます。やっぱりアナログ人間の方が達也くんらしい気がしますから。