※この作品はR-18です。

オルタはお嫌いですか?   作:濁り丸

13 / 138
 今回、キスシーンで終わってます。
 書きたいことが多すぎて、一話じゃ終わらないので開き直ってしっかり書きます。



評価者50人記念 番外編-1 モルガンは夫に恋をする
番外編:モルガンは夫に恋をする-1


「――――さい。――なさい」

 

 

 氷で作られた鈴のように冷たく美しい声色。

 その女の声は聞くものに安心や高揚では無く、恐怖と冷静を与えた。聞いているだけで、何故か背筋を伸ばしたくなる。

 

 そんな声の持ち主に"彼"は起こされた。

 

 

「――起きなさい、我が夫。いつまで妻を待たせるのですか」

 

「…………あれ、モルガン?」

 

「はい。妻であり、妖精國の女王であるモルガンです。

 さっさと起き上がりなさい。夫の寝顔も流石に"見飽きて"しまいました」

 

 

 言われるがままに我が夫と呼ばれた男は、上体だけを起こした。

 

 モルガンの声で意識を取り戻した人類最後のマスター"藤丸 立香"は、まだボーっとしている脳をぎこちなく回転させる。それは錆びた歯車に油を差しながら、ゆっくりと動かしていくのに似ていた。ギギギと不快な音を立てながら、彼の思考が回っていく。

 

 本当は色々聞きたいことがある筈なのに、脳と意識と口が連動していないせいで、口から出てくるのは取り留めも無い言葉である。

 

 

「ごめん、何だか気怠い感じがして。…………凄い寝坊をしたような感じなんだ」

 

「無理もないでしょう。色々とありましたから」

 

 

 本当に長い間、例えば"数カ月"くらいずっと眠っていたような感覚をマスターは覚えていた。自分が浦島太郎にでもなったかのように、時との"ズレ"を漠然とだが感じている。

 

 全身の筋肉が落ちている訳では無いのだが、何となく動かし難い。

 手を開いたり、閉じたりを繰り返していると、少しずつ自分の思うように腕が動き始める。体調自体はこれまでに無いくらい良かったので、交換可能なパーツを全て最新式に交換した愛車を運転し始めた時の感覚に近いだろうか。

 

 マスターの様子を観察していたモルガンは小さく呟く。

 

 

「…………結果は上々のようですね。ちゃんと定着しています」

 

「んっ、何か言ったかな?」

 

 

 聞き返すマスターにモルガンは素知らぬ顔で「何でも無い」と、短く答えた。

 

 これ以上、聞いても無駄だと直感的に感じたマスターは、自分が今いる場所や意識を落とす前のことを思い出そうと試みる。しかし、頭の中に濃い霧が掛かったように思い出せなかった。その部分だけ隠されているようだ。

 

 何故か疑問に思えない。そういうものだと自然に受け止めてしまう。

 

 カルデアのことや異聞帯のことはハッキリと憶えているのだが、直近のことだけがどうしても思い出せない。

 

 明らかに魔術的なものが使用されているのに、マスターはそのことに気付けない。犯人は目の前に居る魔女しかいないだろう。

 

 マスターが周囲を見回して確認できるのは、異様に豪華な部屋の内装と窓から覗く美しい自然、自分が眠っていたキングサイズの倍はありそうな純白のベッド。

 

 ――――そして、目が覚めるような美人である、モルガンの姿しか確認出来なかった。

 

 パッと見た印象は、涼しげで近寄り難い美人だろうか。

 

 月光のように美しい銀髪のロングヘアーを、黒色の大きなリボンで纏めてポニーテールにしている。目鼻立ちも非常に良く整っているのだが、冬の寒々しい空や氷河のように蒼い瞳が冷たい印象を抱かせた。無表情と言っても良い表情の変化が乏しいことも、芸術品のような美しさの原因だろう。

 整った容姿と冷たい瞳は、男を虜にする魔性の美女である条件を全てクリアしていた。

 

 細い首から下はまた違った意味で極上である。

 女が望む華奢な肩や細く締まったウエスト、長く細い脚。男の欲望を掻き立てる豊かな巨乳と悩ましげな腰つき、ムチっとした太もも、元気な赤ん坊が沢山産めそうな安産型の張りのあるお尻。

 男の欲望と女の願望を全て詰め込んでいるのに均整の取れた肉体。二つを両立していることは奇跡としか言いようが無い。

 男も女も見境なく欲情させる淫靡がその身体には詰まっていた。

 

 

「…………ここは何処?」

 

「それも忘れたのですか? 私達の城の中ですよ。今はまだ"夢の中"でしか見せられませんが、近い内に本当の生身でも招待します」

 

「――ここは夢の中なんだね」

 

 

 マスターは現状を知る手掛かりを一つ手に入れた。

 リアル過ぎる感覚ではあるが、ここは夢の中であるらしい。本来ならば驚くべき所なのだろうが、マスターは意識だけ違う世界や英霊の心の中に飛ばされることを、何度も経験していた。

 

 本当は珍しいことなのだろうが、本人にとっては良くあることでしかない。

 

 

「あまり驚かないのだな。もう少し面白い反応が見られると思っていたのだが……」

 

「ははっ、慣れてるからね。綺麗で大きなお城だけなら、和と洋のお城とピラミッドがくっついてる建物より、全然マシだよ」

 

「……相変わらず汎人類史は狂ってます」

 

 

 モルガンは汎人類史が狂っていることを再確認した。

 自分が妹とまぐわって、子供を作っている世界線なだけはある。マスターに姉では無い姉がいたり、母では無い母がいたりとおかしい存在も多い。

 

 汎人類史に呆れるモルガンに、マスターはもう一つ疑問に思っていることを口にした。

 

 

「もしかして此処って、妖精郷?」

 

「――――何故分かった?」

 

 

 モルガンの雰囲気がガラリと変わった。

 

 空のように蒼い瞳がマスターを射抜くように見詰める。

 それは真偽を暴き本心を見抜く"妖精眼"の存在をマスターに再確認させている。暗に自分に対して『噓を吐くな』と視線だけで伝えていた。

 

 もしも、ここでマスターが嘘を吐けばモルガンは"怒る"のだろう。冷徹で強権的な独裁者である女王の怒りが、どのような結果を招くか考えるだけで恐ろしい。

 

 先程まではマスターとサーヴァントの関係に基づいたものだったが、今は女王モルガンとただの人間に変化していた。実際にやるかは別にして、マスターを指先一つで呪い殺せる。

 

 この場の全てが凍てつくような感覚にマスターは襲われる。全身に寸分の隙間も無く氷の針を刺されているようだ。しかし、マスターは少しも臆することなく答える。死線を何度も潜り抜け、神霊の相手をしている胆力は伊達では無いらしい。

 

 

「前からモルガンが凄いお城を建てたいって言ってたから、場所の候補はアヴァロンだと思ってたんだ。アルトリアオルタからアヴァロンのことは聞いてたからね。自然が豊かな妖精達が暮らしている所だって。窓から見える景色が綺麗だったから……尚更ね」

 

「……なるほど。嘘は言っていないようですね。

 相変わらず余計なことばかり、ペラペラと口にするアルトリアのせいか。私はまた夫の周りをうろちょろしているマーリンや糞虫の入れ知恵だと……しかし、黒い聖剣に私の名前を付けただけでは飽き足らず、本当に忌々しいっ! 我が夫の恋人気取りの"聖女崩れ"と合わせて、本当に呪い殺してやろうか」

 

 

 先程までの全てが凍りつくような空気が霧散した。

 アルトリアオルタとジャンヌオルタへの怒りはあるのだろうが、マスターへの怒りは消えたらしい。基本的に一部を除いたサーヴァントを疎ましく思っているので、デフォルトの状態である。

 

 苛立たしげに親指の爪を噛むモルガンに、マスターは声を掛けた。

 

 

「――それで、モルガンがここに呼んだんだよね? 目的と……それからこのリアルな"体"についても教えてくれるかな」

 

「…………そこまで分かりますか」

 

「目的は完全に分からないけど、アヴァロンは精神体だけで来れる場所じゃないと思ってたんだ。前にマーリンがアヴァロンから特異点に徒歩で来たって言ってたから、最低でも実在する場所みたいだからね」

 

「答えましょう。それとマーリンと関わるのは止めよ。あれは悪夢そのもの。奴は閉じ込めて、近寄らぬことが重要なのだ。今も私とマスターを覗こうとしている不埒者だ。あのデバガメ夢魔に千里眼ほど、最低の組み合わせも無いだろう」

 

 

 一頻り花の魔術師への文句を言った後に、モルガンはマスターの疑問に答える。

 

 

「先に体について説明しましょう。

 その体は私が"作りました"。最高の素材と高度な魔術を潤沢に使用して、全てが終わった後に"星の終わり"までアヴァロンで共に暮らすための肉体です。ああ、しっかりと魂と肉体で拒絶反応や変質が起こらないように、調整してあります。その証拠に今回は精神体だけでの借り入居ですが、違和感はないでしょう?」

 

「…………ずっと眠ってた感覚はもしかして」

 

「初めてこの体で起きたからですね。完成自体は結構前からしていたので、そのせいでしょう。

 寝顔観賞にしか使用出来ていませんでしたが、ようやく役に立ちました」

 

 

 モルガンは満足気に微笑み、胸を張った。

 

 平然と言ってのけるが、やっていることは常軌を逸している。ブリテン島の"神秘"を継承する『真の王』である神域の天才魔術師モルガンにしか出来ない芸当だった。2000年以上の時を生きた彼女が"最高"と言った素材と、"高度"と言った魔術がどれ程のものであるか、想像するだけで恐ろしい。

 

 近代魔術師が見れば、泡を吹いて卒倒するだろう。

 

 いつの間にかアヴァロンでの永住権と不老と思われる新しい肉体、お城が出来上がっていたことに、流石のマスターも苦笑が浮かぶ。自分が死んだ後に連れていかれそうな閻魔亭や冥界、ヴァルハラや事象の地平の彼方、他にも影の国など候補は沢山あったが、死ぬ前に妖精郷送りになりそうだ。

 

 マスターの苦笑を見たモルガンは、見当違いなフォローを入れ始めた。天然な部分が要所要所で垣間見える。

 

 

「……安心して下さい。ここにも少ないですが人はいます。

 汎人類史の"妹の旦那"なのですが、夫ともきっと気が合うでしょう。マーリンの入城は絶対に許しませんが、他のご近所付き合いを止めたりする程、私は器量が狭い女ではありません」

 

「――アルトリアの旦那さん?」

 

「カルデアに居るアルトリア達とは"完全に切り離された別物"ですがね。

 人々の幻想から騎士王が消えた後に残った、少女としての"アルトリア"です…………自分が少し旦那と幸せだからといって、毎日のように手紙で『2000歳の恋愛処女年増、本当の夫が欲しかったら体での誘惑は止めろ、下半身に脳が付いているのか、私とシロウは今日もラブラブセックスしますが……駄姉は無理そうですね? 別側面の私と竜の魔女に旦那を寝取られている妻(笑)』と、私を煽ってくる愚妹ですっ! ああっ、思い出しただけで怒りが込み上げてきましたっ!

 ――――やはり竜に縁のある女共は私の敵だっ!!」

 

 

 ふーーっ、ふーーっと、威嚇する猫のような息を吐くモルガン。

 アヴァロンに住む旦那持ちの妹と毎日手紙のやり取りをしている事にも驚くが、その手紙の内容がまた酷い。お互いに煽り合って、喧嘩をしているのだろう。……ある意味、仲が良いのだろうか?

 

 マスターはモルガンを宥めながら、続きを促す。

 

 

「まあまあ、落ち着いて。――――それで俺をアヴァロンに呼んだ目的を教えて欲しいのと、カルデアにある体は大丈夫?」

 

「はぁ……はぁ、カルデアにある夫の体は寝ているだけです。

 目的については――夫が私の夫であることを"再認識"させることです。小憎らしいアルトリアや恋人気取りのジャンヌと別れることを宣言して、私一筋になることを誓うまで、アヴァロンから返すつもりはありません。

 何であの小娘達とは毎夜セックスして、私とは……んんっ、今日こそは私のカラダに溺れて貰うぞ」

 

「えっと、つまり……俺を独占するため?」

 

「その通り。男なんて私と淫蕩に浸れば簡単に堕ちてしまう。覚悟することだなっ♡」

 

 

 マスターはようやく全てに合点がいく。

 ここまで壮大な拉致監禁をしてやりたかったことが、ずっとエッチなことを避けていた自分とのセックスだったのだと。もう少し穏便に事を運べなかったのだろうか。

 

 マスターがモルガンとセックスする関係にならなかったのも、彼なりにモルガンのことを大事に思っていたからだったのだが、それは全く伝わっていなかったようだ。

 

 妹の言うように"恋愛処女"には、難し過ぎたのかもしれない。

 

 今もズボンを脱がそうとしてくるモルガンに対して、どうしても言いたいことがあったが、今の彼女に言っても意味は無いだろう。寝れば簡単に男が堕ちると思っているままでは、永遠に本当の夫婦になれないことを――

 

 気持ちを切り替えたマスターは、モルガンに一つ提案をする。

 

 

「――――モルガン。セックスするなら、俺に任せてくれないかな?」

 

「ふふっ、ようやくその気になりましたか♡ 

 言っておきますが、私は汎人類史の多くの男と寝た淫蕩な私の記憶も有しています。そして、1800年ほど昔のことですが、私自身もそれなりに浮世を流してきました。夫が少し経験が豊富であるからと言って、どうにかなる相手では無いと覚悟して下さい。

 ――――今から夫が私にヘコヘコと腰を振る姿が見えますっ♡」

 

 

 モルガンには絶対的な自信があった。

 

 これまで数多くの男を手籠めにしてきた実績と自分の優れた容姿への信頼。そして、妖精眼の存在。

 

 相手の『愛している』が、全て嘘だと分かってしまう眼で、真実の愛などある筈も無い。逆に『気持ち良い』や『もっとシたい』などの雄の欲望だけは、いつだって本当なのだ。恋愛観が歪むのは必然だった。

 

 なまじこれまで自分が本気を出して、靡かなかった男がいなかったせいで、男はセックスすれば自分の思い通りになるという偏った恋愛観を作りあげた。また、汎人類史の自分も同じ過ちを繰り返していたため、間違いが是正されることも無かった。

 

 2000年以上の膨大な時間を消費して、間違った恋愛観は彼女の中で確固たるものになってしまった。

 

 ――――結果、出来上がったのが生まれてから2000年以上経っても、一度も恋愛をしたことが無い乙女だった。

 

 性知識と性経験だけ貯め込んだ、恋を知らない生娘。

 体だけでは無く、心も通わせる。愛のあるセックスを一度も体験したことが無い悪女。

 

 そんなモルガンは、今までと同じようにマスターを自分に溺れさせることで、支配しようとしていた。支配こそが彼女の愛情表現だからだ。

 

(夫もこれで私の"物"だ♡ 結局は男など肉欲には勝てない獣と同じです。極上のエサを前に貪ることしか出来ない)

 

 

「…………それは楽しみだな」

 

 

 マスターは笑顔を浮かべていたが、その目は全く笑っていない。

 この恋愛処女に愛のあるセックスを教え込んで、絶対に堕とすと決めていた。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 ――――小さな水音が室内には響いていた。 

 

 じゅるっ♡♡ ちゅるるっ♡♡ ちゅっ♡ ちゅぢゅっ♡♡

 

 音の発生源では、大きなベッドの上で男が女の上に覆いかぶさっている。お互いに服は着ているので、まだ本番は始まっていないようだ。

 

 マスターはモルガンにキスを落としながら、右手で慈しむように頭を撫でている。

 

 どれだけの時間、そうしていたのかは分からない。しかし、モルガンの無表情は何かに耐えるような表情に歪み、太ももをもじもじと擦り合わせている。両手でシーツをギュッと掴み、お腹がビクビクと震えさせていた。

 

 頬や額には玉のような汗が浮かび、目尻にも涙が溜まっている。キスで酸素を取り込めていないせいか、顔が林檎のように紅潮していた。

 

 マスターがモルガンの呼吸のために、一時的に唇を離す。

 呼吸を荒くしながら、モルガンは涙目でマスターを睨み付ける。

 

 

「ぷはっ♡♡ はぁっ♡…………はぁっ♡……はぁっ♡ おっ、夫♡ これは、セックスではありませんっ……んむっ♡♡ ちゅっ♡ 良い加減にしないとぉ♡ 怒りますんっ――じゅるるっ♡♡ ぢゅっ♡♡ いつまでキスっ♡♡ んむっ―――っ♡♡」

 

(いつまでキスを続けるのですか♡ こんなっ、こんなに長いキスなんて知りません。頭が少しずつ融けてしまう♡♡) 

 

 

 これまでのモルガンは、キスを儀式的なものとしか捉えていなかった。

 

 相手と唾液を交換する意味や意義が感じられず、そんなことをする位なら、さっさとセックスを始めた方が快楽が得られると思っていた。乳房を揉まれたり、陰部を弄られたりする方が気持ちが良い筈だと。

 

 実際、マスターとのキスにも最初はそこまで快感を感じていなかった。

 唾液の交換も相手に合わせているだけであり、手順を大事にするマスターに付き合っているだけ。

 

 しかし、キスを始めて十分ほど経った頃に、肉体の方が心地良さを感じ始めたのだ。

 唇同士の触れ合いや舌の絡め合い、歯茎や内頬を舌で舐められると小さな喘ぎ声が漏れそうになっていた。

 美味しくも無い唾液が、美味しいような錯覚に囚われ始める。

 

 ――直接的な快感では無く、精神的な充足感から来る気持ち良さ。

 

 モルガンが良く分かっていなかった概念を体の方が先に理解していく。凝り固まった脳は理解を拒んでいるのだが、深層心理が喜びを感じていた。

 

 

「ちゅるるっ♡ ――――んっ♡ まらしゅるきですかっ♡♡♡ んちゅっ♡ しゃっしゃとしぇっくすっ♡♡ ちゅぢゅっ♡♡ するべきれすっ♡♡ んむっ♡♡」

 

(キス程度で気持ち良くなる筈がありませんっ♡♡ 私は誇り高いブリテンの女王! 夫の丁寧で、優しく、愛情を感じるキスなどっ♡♡ あ――っ、舌の甘噛み良いですっ♡♡♡)

 

 

 どれだけ頭が理解を拒否しようが、体の方は正直である。

 

 一方、マスターはモルガンにキスの良さを根気強く教え込んでいた。

 触れ合うようなソフトキスから始まり、最終的にはお互いの口内を舐め合うディープキスまでゆっくり丁寧に好意を持って行う。それは肉欲に溺れた男がする貪るようなキスでは無く、相手と一緒に気持ち良くなろうとするキスだ。

 モルガンに心まで繋がる気持ち良さを教えるために、愛情を持って前戯を続ける。

 

 

 本質的に愛に飢えたモルガンがキスに酔ってしまうのは、当然の帰結であった。

 そして……

 

 

「んちゅっ♡ じゅるるっ♡♡ ――――ぷはっ♡ もっろ♡♡ もっろ欲しい♡♡ 夫のきしゅ♡♡ んちゅっ♡ ちゅぢゅっ♡♡」

 

 

 マスターの伸ばされた舌に吸い付き、唾液を音を立てて啜る。

 モルガンの口の中と舌先も柔らかくなり、表情も蕩けていた。可愛らしい女の子の表情に変わった彼女を愛おしむように、マスターは頭を何度も撫でる。

 

 

「じゅるるるっ♡♡ んちゅっ♡ ちゅっ♡ ぢゅっ♡ あたまなれへっ♡ んむっ♡♡ じゅる゛っ♡♡ もっとなれへ♡♡」

 

 

 マスターに頭を撫でられる度に目を細めるモルガン。彼に父性のようなものを感じて、子供のような甘え方をしてしまう。ずっと、どのような男に抱かれてもしなかった甘えた声が漏れ出る。

 

 十分に蕩けたモルガンの唇から、マスターは唇を離した。

 二人の唇の間には名残惜しそうに銀の糸が掛かっている。

 

 呆けたモルガンは直ぐに口付けが再開すると思っているのか、口を開き、舌を舌を伸ばしていた。親鳥からのエサを強請る小鳥のような彼女に、マスターは狂おしい程の愛おしさを感じていた。

 

 敢えてマスターはモルガンの潤んだ瞳を覗き込みながら、彼女が望んでいる言葉を与える。

 

 

「――愛してるよ、モルガン」

 

「~~~~~~っ♡♡♡」 

 

 

 妖精眼は嘘を見抜く眼だ。

 その眼を持った女に愛を囁くことは、本心から相手のことを愛していなければ不可能なことである。もしも、マスターが本心からモルガンを愛していなければ、血を見るような事になっていただろう。

 

 結果は、言葉だけで絶頂したモルガンを見れば一目瞭然だ。

 

 

「モルガンのこと愛してる。体じゃなくて心が欲しい。好きだよ」

 

「ぃひっ♡♡♡♡ まっれっ♡♡ まっれ゛ぇっ゛♡♡ ぁひぃぃぃい゛い゛ぃぃ゛い゛ぃぃ゛っ゛♡♡♡♡」

 

 

 この始めて絶頂を迎えた生娘のような嬌声をモルガンが出していると言って、信じる者は誰一人としていないだろう。

 

 畳み掛けるようなマスターの愛の言葉に、モルガンは身を捩りながら悶える。

 長い人生で初めて受けた、異性からの本物の愛情に脳が誤作動を起こしているのだろう。幸せホルモンが分泌され過ぎて、興奮した犬のように尿道口から潮を吹いてしまう。両脚がつま先まで一直線に伸びて震えている。

 

 これまでに感じたことの無かった心も体も満たされる絶頂に、モルガンの女王としての誇りは瓦解していく。支配することこそが愛情表現である彼女が、マスターのモノに成りたいと思ってしまっていた。

 

 マスターに全て捧げさせる人生では無く、マスターに全てを捧げる人生を幸せと思ってしまう。

 

 

(――――我が夫っ♡♡♡ 私が夫のものにっ♡♡ 心も捧げるっ♡ あっ――――良い♡♡)

 

 

 妖精國の女王 モルガンはこの日、初めて恋をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うふふっ……異聞帯とは言え、あの支配したがりの妖妃モルガンが形無しじゃないか。面白そうだと思って、見に来て正解だった。それにしても――――彼、美味しそうだね♡ "ボク"も食べたいなぁ♡♡』




 創作活動を継続していくため、FantiaとpixivFANBOXを開設しております。

 月額300円で支援サイト限定作品(500作品以上)の閲覧が可能。
 週に一回以上の作品投稿があります。


【Fantia】
https://fantia.jp/fanclubs/245259

【pixivFANBOX】
https://nigorimaru77.fanbox.cc/


 応援の程、よろしくお願いします!

祝!!! 評価者300人記念 番外編アンケート

  • 上乳上 ハメ撮り 噴乳羞恥プレイ
  • イシュタル 淫乱だけどセックスクソザコ
  • エレシュキガル イチャラブ交尾
  • バーゲスト 弱々アナルで屈服
  • バーヴァンシー 壊れた心を愛で満たす
  • 酒吞童子 味見のつもりが屈服交尾
  • カイニス 甘々セックスで女の幸せ
  • アタランテ 発情子作りエッチ
  • メイヴ セックス勝負で惨敗ラブエッチ
  • マルタ 神に懺悔しながらドスケベエッチ
  • マリー&黒マリー ドスケベ3P
  • コヤンスカヤ 調教 屈服交尾
  • ブラダマンテ ドスケベアナルセックス
  • 清姫 大好きなマスターとハメ乞いセックス
  • メドゥーサ 食べるつもりが食べられる
  • キアラ マスターとの愛情エッチに堕ちる
  • 男の娘キャラアンケート
  • プリヤ ロリキャラアンケート予定
  • 番外編の後日談アンケート予定
  • 本編優先!(五話程度)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。