番外編:叛逆の騎士は従順な雌になる-1
『おい、触るな。ブン殴られてぇのか』
叛逆の騎士モードレッドは、マスター"藤丸 立香"が最初は好きでは無かった。
その理由は、自分が剣を預けるだけの人物だとは思えなかったからだ。
最低限の魔術回路を持つだけの、何の才能も無い一般人。
人類最後のマスターというだけで、世界を救うという不相応な使命を背負わされた憐れな凡人だと思っていた。境遇が悲惨過ぎて、内心では同情すら覚えていたのをモードレッドは覚えている。
しかし、数々の苦難をマスターは前を向いて乗り越えてきた。それはどの英霊達にも負けない位の偉業だ。
『ったく、バカマスターめ! 俺がしっかりしてなきゃ、どーしようもないじゃないか! まったく! ……まったく!』
モードレッドはマスターを憐れな凡人ではなく、支えてやらなきゃいけないマスターだと考え直した。弱っちいヤツだが良いヤツだと、騎士である自分が守ってやろうと思えた。
そのことに加えて、王に叛逆した騎士という信用できない経歴を持っており、難儀な性格をしている自分に対して、マスターは誠実に対応してくれることを嬉しく思っていた。
モードレッドは、自分が終わらせた"父上"であるアーサー王が、褒められるのも悪口を言われるのも腹が立つ。自分が女性扱いされたり、露骨に男性扱いされても憤怒する。堅苦しく接されても虫唾が走るし、おざなりにされて自分の意見をちゃんと聞いてくれないのも不機嫌になってしまう。
着火点の多い爆弾のような存在だ。
地雷の多いモードレッドにマスターはある一点を除いて、完璧な対応をしていた。
その一点とは、他のサーヴァントに現を抜かさないことであるが、そこに関してもある程度は許容出来る位に、マスターを信頼出来ていた。
『なぁ……オレは、父を超える騎士になると思うか?』
『なれると思う。自分一人では何にも出来ない俺だって、皆に支えられながら特異点の攻略が出来たんだから。……俺よりずっと凄いモードレッドなら、きっとなれるよ』
『…………ふんふん、そうか』
内心でモードレッドという騎士がアーサー王を超える騎士になれると、心の底から信じてくれたマスターの存在は本当に嬉しかった。自分を信じてくれて、我儘を許してくれるマスターに対して、無意識の内に父性のようなものを感じていたのだ。それは生前にずっと、追い求めていたものだった。
モードレッドは、モルガンがアーサー王を超えるために生みだしたホムンクルスである。
ホムンクルス特有の短い人生の中で父に憧れ、父に認められたいと願っていた。結果的には、本当に認知していない子供であったモードレッドをアーサー王は拒絶した。
――父への憧れが反転し、全てを踏み躙る叛逆の騎士となった。
後のことは有名なカムランの丘の戦いで分かるだろう。
結局、モードレッドは生前に欲したものを何一つとして得られなかった。
生前で手に入れることが出来なかった。自分を認めて受け入れてくれる、父のようなマスター。彼になら自分の"剣を預けて"も良いと思えていた。
そして……
『オレの剣を預け、名誉を預け、命を捧げる。騎士としては三流かもしれねぇが――――それでもいいか?』
モードレッドは騎士の誓いを口にしたが、途中で気恥ずかしくなってしまい。自分を三流だと茶化してしまった。そのことを少しだけ後悔しながら、マスターの返答を待った。しかし、返ってきた答えは意外なものだった。
『…………モードレッドの剣をちゃんと俺に預けて欲しい。
他の時代のやり方とかも混ざってて、上手くできるか分からないけど協力してくれる?』
『――――い、いや。別にいいけどよ……』
真剣な表情で頼んでくるマスターに気後れしながらも、モードレッドは自分の武器である
マスターはクラレントの重さによろめきながらも、騎士の誓いを再現していく。
『モードレッド、跪いて』
『ほっ、本当にやるのか? 別に気持ちだけで良いだろ』
『ううん、俺にとってもモードレッドにとっても、大事なことだと思うから。
俺の我儘に付き合って欲しいんだ…………駄目かな?』
『しょ、しょうがねぇなぁ……』
今日だけは強情なマスターにモードレッドが折れて、その場で彼女は跪いた。
マスターはモードレッドの肩にクラレントの刃の平を置いて、騎士就任の宣言をする。
『モードレッド、君をカルデア最後のマスターの騎士に任命する……これからもずっと頼りにしてるよ』
『――――っ』
マスターがモードレッドにクラレントの刃の平を向ける。
モードレッドがマスターに差し出されたクラレントの刃に口付けをして、極めて簡素な騎士の誓いは終わった。傍から見れば騎士の真似事にしか見えなかったかもしれない。
それでも"二人"にとっては十分なものだった。
マスターはモードレッドに剣を丁寧に返して、気恥ずかしそうに赤くなった頬をポリポリと指で掻く。
『…………格好つけすぎたね』
『分かってたんならやるなよ。オレまで恥ずい……』
『でも、モードレッドにちゃんと伝えたかったんだ。
俺はモードレッドのことを信頼してるし、いつでも頼りにしてるって』
『~~~~~っ! もう止めだ、止めだ! これ以上この話は無し! 良いな、マスター!』
『うん。ところで――――』
モードレッドにとって、例え座にいる本体にすら渡したくない記憶である。カルデアに召喚された自分だけが手に入れた、騎士としての誇り。
命ある限りはマスターのために忠義を尽くそうと、心の中で誓っていた。
その騎士の忠義が女の情愛も含んだものになることを、モードレッドはまだ知らなかった。
――――――――――――――――――――――――
「――――あ~~っ! むしゃくしゃすんなぁ!」
モードレッドは一人、両手で頭をガシガシと掻いて金髪を振り乱す。私室のベッドの上で寝転がりながら、駄々っ子の癇癪のように、細くしなやかな足をジタバタとさせている。誰がどう見ても苛立っているのが分かる状態だった。
モードレッドが心を乱している原因は、マスターを取り巻く最近の状況にあった。
「オレより父上の方がやっぱり良いのかよ……マスター」
モードレッドに深い縁のあるアーサー王"アルトリア・ペンドラゴン"のオルタが、この一か月でマスターと急激に仲良くなったのが、彼女の劣等感とマスターが遠くに行ってしまったような寂しさを感じさせたからだ。
アルトリアオルタがマスターの部屋に同棲するようになってから、マスターの無理をしているような感じが無くなり、雰囲気も柔らかくなったのは純粋に嬉しかった。しかし、それは自分にだって出来た筈だと思う自分もいた。
マスターの騎士である自分が、マスターの"特別"にだってなれると思ってしまう。
「オレだって……」
マスターと話でもしようとマイルームに会いに行っても、妙に色っぽい何故か汗だくのアルトリアオルタが常に傍にいるので、最近ではめっきりと話す時間が無くなっていた。心に溜まったヘドロのような感情が、モードレッドを苛立たせる。そのせいで夜も良く眠れなかった。
この行き場の無い感情の解決策として、モードレッドが辿り着いた答えは――
「マスターに文句を言ってやる! 仕える騎士を蔑ろにしやがって、一回怒ってやればマスターも絶対……」
モードレッドはベッドから勢い良く立ち上がって、私室から飛び出す。
現在時刻は夜の十二時を回っていたが、それが彼女を止める理由にならなかった。後のことはなるようになれと、半ばやけっぱちの行動であったのだ。
ドスドスと足音を立てながら、マスターの私室にまで足を進める。特に障害や誰にも会うことなくマスターの部屋の扉の前までこれたのだが、そこで足が止まってしまった。
後は扉でも叩いて部屋の中に入れて貰えば良いだけであるが、勢いだけで来てしまったせいで何を言おうか全く頭の中が整理できていなかったのだ。
もしかすると二人共が既に眠っている可能性に気が付く。
いきなり起こされたことをマスターとアルトリアオルタの二人に、怒られるかもと考えてしまう。しかし、ここで引き下がるもの格好悪いので、モードレッドはこっそりと中の様子を窺って、二人が寝てなかったら少しの間だけマスターを自分の部屋に呼び出そうと考え付いた。
(――――べっ、別に父上が怖い訳では無いからな!)
自分に言い訳をしながらモードレッドは、サーヴァントの基本的な能力である体を霊体化させて、マスターの部屋の中に侵入した。
――――モードレッドが日を改めていれば、今後の展開は変わっていただろう。
部屋の中に入るとモードレッドにとって、衝撃的な光景が入り込んできた。サーヴァントになってからを含めても、人生で一番の驚きである。
そこには……
「――マスター♡♡ キスっ♡♡ はぁ……っ♡ あっ♡♡ キスして欲しい♡ んむっ♡♡ ちゅぅ♡ ちゅるるっ♡♡ じゅるちゅっ♡♡ ――ぷはぁっ♡♡ はぁっ♡……はぁっ♡…………はぁっ♡ 愛しているマスター♡♡♡ あっ――」
モードレッドの良く知る二人が、セックスをしていた。
一糸纏わぬ裸体を晒すアルトリアオルタがベッドの上で両膝を着いており、背中を反らせながらマスターにお尻を向けていた。マスターも当然のように全裸であり、アルトリアオルタの両手の手首をがっしりと掴んで、お尻に腰を激しく打ち付けていた。腕を拘束した後背位である。
アルトリアオルタはマスターと繋がったまま、腰と首を回して後ろを向いてキスを強請っていた。愛を伝え合うように舌と舌を絡め合う姿は、正しく愛し合う夫婦や恋人同士のようにしか見えない。少なくともマスターとアルトリアオルタの性行為が、無理矢理のものでは無いのは間違いなかった。
部屋中に女の甘ったるい嬌声と肉同士のぶつかり合う破裂音が響き渡っている。
アルトリアオルタの秘所。しとどに濡れた女の割れ目に、マスターの棍棒のようなペニスが出たり入ったりを繰り返しており、結合部から白く泡立った液体がベッドに零れ落ちている。ベッドには沢山のシミや白く濁った水溜まりが出来ていた。
部屋中に男と女の汗の混じった匂いと、ほんの少しだけ感じる磯のような海の匂い。そして、鼻腔に籠るような雄の饐えた臭いと栗の花に似た精液の臭い。
それら全てが混じったニオイが、部屋中にムワっと籠っていた。
モードレッドはこのニオイを、以前にも嗅いだことがある。以前、この部屋を訪れた時に妙に汗を掻いたアルトリアオルタとマスターがいた時にも、今よりは少し薄かったが同じニオイがしていたのだ。
それ即ち以前からマスターとアルトリアオルタが、セックスをしていたということである。
衝撃的な光景に思考が止まっていたモードレッドだったが、ハッと我に返った。何とか現実を受け入れようと状況を整理しようとするが、今も目の前で繰り広げられる獣同士の交尾から目を離せない。
(まっ、ままっ、マスターと父上がセックスしてるっ♡ あんなにデカイのが父上のナカに……っ♡♡ 部屋の中の匂いがクサイ♡ これ前にも嗅いだこと――――そうか前からっ♡ 父上の尻があんなに波打って、痛くねぇのかな……)
モードレッドは二人の情事を見ながら、太股同士を擦り合わせる。秘所にジワリと湿り気が帯びていく。それは僅かではあるが性的に興奮しているということである。
この場から動くことも出来ずに、二人の情事をモードレッドが見続けていると、ラストスパートに入っていくようだ。
今まで以上にマスターの腰の動きが速くなり、肉同士のぶつかり合う音もパンっ! パンっ!からバチュンっ! バチュンっ!に変わっていく。腰を打ち付ける力も、アルトリアオルタのお尻が潰れてしまうのではと、心配になる程の強さである。
アルトリアオルタの嬌声も更に大きくなり、慎ましやかな胸が上下に激しく揺れる。
「ふっ、ひぃ♡♡ まっ、マスターっ♡♡♡ 射精してっ♡♡ あっ♡♡ イクっ♡♡ ナカに射精してくれっ♡♡♡ マスターの精液っ♡♡ いっぱいぃ♡♡ あっ――――」
「射精すよ! アルトリアオルタのナカに全部っ!」
「はいっ♡♡ あっ♡♡ キて――――っ♡♡」
バッチュンっっ!!!
マスターが掴んでいたアルトリアオルタの両手を引き寄せ、腰を思いっきり叩き付けた。
恐らくアルトリアオルタのお腹の中では子宮が完全に押し潰されており、深々とペニスが突き刺さっているだろう。その状態でマスターの大きな睾丸で大量に生産された、お粥のような精液がドプドプと音を立てて吐き出される。
びゅっぷっ♡♡ どぷぷっ♡♡ どぷっ♡ どびゅるるるるるるっ♡♡♡ びゅぷっ♡♡ びゅるるるるるるるっ♡ びゅぶぶぶっ♡♡ ぶぴゅぴゅっ♡♡♡
「――――ぐっ♡♡ いぐっ♡♡ いっくぅっ♡♡♡ いくいくいくぅぅ゛う゛ぅぅう゛ぅ゛ぅぅぅう゛ぅぅ゛っっっ゛♡♡♡♡」
モードレッドが聞いたことの無い絶叫をアルトリアオルタが上げる。彼女の引き締まったお腹が大量の精液で膨らむ。膣口とペニスの隙間からぶぽっ♡♡と、放屁のような間抜けな音が鳴り、ドロドロに煮だったお粥のようなザーメンが噴き出す。それと同時に尿道口からも透明な液体が飛び散る。
アルトリアオルタがサーヴァントでなければ、絶対に赤ん坊を孕んでしまうような射精である。
首を限界まで反らして、腰をガクガクと震わせながら、絶頂するアルトリアオルタは幸せそうに笑みを浮かべていた。アルトリアオルタの淫靡な雌の顔を目にしたモードレッドは、今までの自分が崩れてしまうような感覚を味わった。
自分が憧れた王としてのアーサー王とは違う。マスターの愛と交尾に耽る雌のアルトリア・ペンドラゴンを目にしてしまって、どのような感情を持てば良いのか分からなくなる。ただ自分の下着が濡れて、内側の太ももにヌルヌルとした液体が伝っていることだけは、頭の一部だけ冷静な部分が感じ取っていた。
(あっ、あんなに射精てるっ♡♡ 父上のお腹が膨らんでっ♡♡♡ あぁ……アソコからオシッコみたいなのと白いのがっ♡♡ ――――父上、幸せそう……)
モードレッドは淫らなアルトリアオルタを羨ましいと思ってしまった。
マスターのペニスにお腹を貫かれ、お尻が真っ赤に腫れるまでピストンをされて、シチューのような白くてドロドロな精液をお腹が膨れるまで注がれる"父上"を羨ましいと思ってしまう。
そんな自分を必死に違うと否定するが、今も秘所からは愛液が溢れて太ももに伝っていた。自分がマスターにされる光景が脳内で浮かび上がるが、何故か嫌悪感は感じていなかった。
苦悩するモードレッドを余所に、マスターとアルトリアオルタは繋がった状態で、最初の時のようにキスをしている。
「ちゅるる゛っ♡♡ ちゅぢゅっ♡ ぢゅるる♡♡♡ れろ――――ぉ♡♡ ちゅぷっ♡ じゅるちゅっ♡♡ んっ――ぷはぁっ♡♡ お腹がぁ♡♡ 精液でタプタプっ♡ ……幸せです♡♡♡」
「俺も幸せだよ……もっとシたい」
「~~~~っっ♡♡♡ 私は朝まで大丈夫だっ♡♡♡ 確認なんてしなくて良いからっ♡♡ マスターが好きなだけ――――あっ♡♡ お腹っ♡ 膨らんだままっ♡♡ このエッチすきぃ♡♡♡ あぁ♡♡ あっ――」
その後もアルトリアオルタの言葉通りに、朝まで二人は様々な体位でセックスを行った。下品なひょっとこ顔でのお掃除フェラや開発されたお尻の穴を使ってのアナルセックス。マスターの性欲を文字通り、全身を使ってアルトリアオルタは処理していた。
途中何度もアルトリアオルタが絶頂し過ぎて失神をしたが、その度に別の快感で叩き起こされてずっとまぐわっていた。
彼女の全身が精液塗れにされ、ベッドも同じような惨状を迎える。
二人は午前五時頃に気絶するように、繋がったまま眠りについた。
モードレッドは約五時間に渡って、マスターとアルトリアオルタのまぐわいを見続けた。その後に、こっそりと霊体化したまま私室に戻る。その時のことはよく覚えていない。
色々と思う所があったようだが、部屋に帰ると直ぐに体の火照りを抑えるために、初めての自慰行為を行った。やり方も良く知らなかったが、マスターとアルトリアオルタの行為を見て学んだ自分にも出来そうなことをする。
胸を揉んでみたり、秘所の小豆をクリクリと指先でモードレッドは弄る。体の中に指を入れるのは怖かったらしく、膣内を弄ることはしなかった。しかし、触り方の問題なのか一向に絶頂出来ない。
気持ち良いとは思えるのだが、何かが足りなかった。
結局、二時間ほど自慰行為を試したが、イけないまま秘所とベッドのシーツを濡らしただけである。部屋中に女の淫らな臭いと汗の甘酸っぱい匂いが籠っていた。
「――――クソっ♡♡ 何でイけないっ♡ 同じように弄ってるのにっ♡ んっ♡」
体の疼きと情けなさで涙を流しながら、体を弄っていると扉をコンコンと叩かれる音がした。
モードレッドは体を猫のようにビクッと震わせる。急いで乱れた衣服を整え、ベッドのシーツが見え無いように掛け布団で覆う。部屋の換気すら出来ていないが、今の慌てる彼女にそこまでは考え付かなかった。
自分に大丈夫だと言い聞かせながら、扉を開けると――――
「おはよう。モードレッド」
「――っ、なっ! まっ、マスター……」
モードレッドの目の前には、自分が忠義を誓うマスターが現れた。
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