「おはよう。モードレッド」
「――っ、なっ! まっ、マスター……」
マスターの予期せぬ来訪にパニックになるモードレッドは、床に視線を落してしまう。
少し前に意外にがっしりとした、マスターの男らしい全裸を見てしまっている。そして何よりも、父上――アルトリアオルタと二人の甘い情事を、数時間に渡って覗き見していた引け目もある。マスターの顔を見るだけの胆力が彼女には無かった。
もじもじとするモードレッドに、マスターは元々近かった距離を更に詰める。少しでも体を傾ければ体が触れ合う距離まで近付き、背の小さい彼女の身長に合わせるために少し屈み、耳元でそっと囁いた。
「俺の部屋……覗いてたよね?」
「~~~~~~っ!?」
あまりの驚きに声にならない声を上げるモードレッドは、床に落としていた視線をバッと上げる。彼女の顔は林檎のように真っ赤に染まっており、動揺からか口がわなわなと震えていた。
ずっと自慰行為をしていたせいか、マスターの顔をハッキリと見ただけで太ももに汗では無い体液が伝う。
「――――なっ! なっ、なんで♡♡」
「全部一から説明するから、モードレッドの部屋に入っても良いかな?」
マスターは今も扉が開かれている、モードレッドの私室に視線を向けた。確かに絶対に廊下で話す内容では無いのだから、近場で誰にも邪魔されない彼女の部屋が適当だろう。しかし、問題が一つだけあった。
「おっ、オレの部屋っ!? いっ、今は駄目だっ! だ、だって――」
そこから先をモードレッドは、口にすることが出来ない。つい数分前まで、自分が自慰行為をしていた場所に、マスターを入れられる訳が無かった。
モードレッドのエメラルドのような碧眼が揺れる。
何か断る理由をモードレッドが探していると、マスターが追い打ちのように違う場所を提案する。そこは彼女が暫く近寄ることすら憚られる場所であった。
「――――それとも、俺の部屋にする?アルトリアオルタが寝てるけど、それでも大丈夫なら良いよ」
「~~~~~っ?! ……おっ、オレの部屋で良い」
「そっか、それならお邪魔するね」
悩みに悩んだ結果、モードレッドは二人が情事を行っていた部屋では無く、自分の部屋に入れることを選んだようだ。例え寝ていたとしてもアルトリアオルタに、どんな顔をして会えば良いか分からなかったらしい。
先にモードレッドが部屋に入り、それに続いてマスターも部屋の中へと消えていた。
――――――――――――――――――――
マスターはモードレッドの部屋に入ると、何でも無い世間話のように呟いた。
「――――何だか良い匂いがするね」
「~~~~~っ♡♡♡ きっ、気のせいだっ!」
「そうかな? ……俺は凄いこの匂い好きだよ」
「――――っ♡♡ ばっ、ばっ、バカ言ってないで、適当に座れ!」
数分前まで自分がオナニーをしていた部屋を良い匂いだと言われて、モードレッドは全身が震える程の羞恥を感じていた。ここにマスターが居なければ、枕に顔を埋めて全力で叫んでいただろう。
そして何よりも、自分の恥ずかしいニオイをマスターに好きだと言われて、心の奥底で喜んでいる自分がいたことに困惑していた。マスターに良く思われて喜ぶ"女"である自分が嫌だった。
(オレは違う! 女である前に騎士だ! 何れ父上を超える王になる……父上は)
心の中で必死に否定をしようとするが、脳裏にはアルトリアオルタの幸せそうな笑みを浮かべながら絶頂する雌の顔や数々の痴態が過ってしまう。
何度も愛を囁き合い、マスターのために下品なフェラチオやお尻の穴まで使って奉仕していた淫靡な父上の艶姿が、どうやっても忘れられないのだ。
モードレッドの尊敬する父上が、王や騎士である前に"女"であると知った今では、確信を持って自分の"女"の部分を否定出来なかった。アレを思い出すだけで、ジクジクと下腹部が疼いてしまう。
モードレッドが思い悩んでいる間にも、時間は平等に進んでいく。
マスターはベッドの近くの椅子に座り、モードレッドはベッドの縁に腰を下ろした。二人は向かい合うような位置である。因みに彼女がベッドに腰掛けたのは、間違っても自分の愛液で濡れたシーツを見せないためだ。おねしょを隠す子供のように見えてしまう。
ほんの少しだけ間があって、マスターが話し始める。
「――――それで、モードレッドが覗いてたのが分かったのか?についてだけど……その前に、どうして俺とアルトリアオルタが、エッチするようになったのかを話しても良い?」
「……ああ、話せ」
「うん。これは俺も後から知ったんだけど――――」
マスターはアルトリアオルタと自分が、セックスをするようになった経緯を説明する。
花の魔術師マーリンがダ・ヴィンチに夢越しに伝えた。
このまま自分の精神がボロボロのまま、ストレスの発散が出来ない状況が続くと、自分の中に溜まり続ける呪いが自分自身を殺してしまうこと。
そして、メンタルケアとストレス発散のためには、性欲の処理がどうしても必要であり、それにはアルトリアオルタが適任であるとマーリンが推薦したこと。
結果的にアルトリアオルタがそれを受け入れたこと。
そして今では普通に愛し合っていることを、全て包み隠さずにマスターは伝えた。
「――――要点をまとめるとこんな感じだよ。質問は……」
何か質問が無いかマスターが問い掛けようとするが、目の前には花の魔術師に怒りを燃やすモードレッドが居た。床を陥没させる勢いで、地団駄を何度も踏む。
「あのクソ花野郎っ!! 全部アイツのせいじゃねぇかっ! 今度会ったらぶっ殺す!!」
自分が悩むことになった原因であるマーリンに対して、モードレッドは純粋な殺意を漲らせる。
また一人、マーリンに報復を考える存在が現れた。
きっと花畑に囲まれた塔の上から『はははっ、また嫌われたね』などと、暢気に笑っている花の魔術師がいることだろう。機会さえあれば、アルトリアオルタとモードレッドの二人の剣ビームが披露されることになりそうだ。
一頻り怒った後に、モードレッドは何とか落ち着いたらしい。深呼吸をした後に彼女はマスターに話の続きを促した。
「――それで、何でオレが覗いてたって分かったんだよ……」
聞くのは怖かったがモードレッドは、マスターに説明を求める。
そこをハッキリさせておかないことには、喉に小骨が刺さったような状態がずっと続いてしまう。マスターは言い難そうに、頬を指で掻きながら言った。
「自分も後から教えて貰ったんだけど、アルトリアオルタは初めから気が付いてたらしいんだ」
「はっ!? だっ、だって。それじゃ――――」
混乱しながらもモードレッドは、答えが何となく分かってしまう。
答え合わせのようにマスターは説明を続ける。
「うん、"娘"の性教育のためだって。
アルトリアオルタからモードレッドへの手紙を預かってる。読んだ後は自分で決めなさいって言ってたよ」
モードレッドはマスターから手渡された手紙を震える手で掴んで読む。
手紙にはこう書かれていた。
『これからは息子では無く、正式な私の娘として接する。
モードレッドもマスターの騎士を名乗るのならば、私と同じくマスターの"女"になることだ。強制するつもりは毛頭無いが、マスターに構って貰えず寂しそうな顔をしているくらいなら、私と共にマスターに身も心も愛して貰う方が幸せだろう。好きなら好きとちゃんと伝えなさい。
PS.暫くマスターとの夜を譲る。女として仕込んで貰うように』
「――――っ! ちっ、父上!?」
モードレッドは喜んで良いのか分からなかった。
自分のことをしっかりと見てくれていた父上のことは嬉しかったが、いきなり正式な娘と接すると宣言されて、マスターの騎士なら女となって愛して貰えと、書いてあることが滅茶苦茶である。それに加えて、暫くマスターの夜を譲ると事実上の強制だ。
アルトリアオルタの中では、モードレッドがマスターの女になることが殆ど確定事項なのだろう。自分で決めなさいの言伝は何処に行ったのか。
感情を処理できないまま、アルトリアオルタからの手紙を何度も読み返していると、手紙の向こう側から声が掛けられた。当然のことだが、モードレッドに声を掛けたのはマスターである。
「何て書いてあったのか、教えて貰っても良い?
アルトリアオルタには、モードレッドから聞いてくれって言われててさ」
「いやっ……読んだ方が話が早えか」
手紙の内容を伝えることを拒否しようとしたが、既に色々と"今更"であることに気が付いて、モードレッドはマスターに手紙を手渡す。受け取ったマスターは手紙を読み進めていくが、表情が苦笑に変わっていく。
明け透けなアルトリアオルタに当惑しているのかもしれない。
「――――うん、モードレッドはどうしたい?」
「どうって……」
「俺とエッチなことしたい?」
「~~~~~っ♡♡ ばっ、バカ言うなっ! オレはっ……オレはっ」
『マスターのことなんて別に好きじゃねえ』と、モードレッドは口に出来なかった。
好きか嫌いかで言えば、マスターのことは間違い無く好きだ。それにここで全てを拒否すれば、アルトリアオルタの手紙にも書いてあった通り、マスターが構ってくれなくて寂しいままである。
モードレッドは顔を真っ赤にして、口をパクパクと動かすことしか出来ない。
そんなモードレッドの様子を見て、マスターは椅子から立ち上がって彼女に近寄る。彼はモードレッドの頭を撫でながら言った。
「俺はモードレッドとエッチなことしたいよ」
「――――っ♡♡♡ ふっ、ふざけ――――」
モードレッドが羞恥から怒ろうとするが、それよりも先にマスターが囁いた。
「さっきまでオナニーしてたよね。俺とアルトリアオルタのエッチをオカズにして」
「~~~~~~~~~~っっ♡♡♡」
完全に言い当てられて、モードレッドの頭は沸騰寸前である。
(なっ、なんでバレてんだっ♡♡ オレちゃんと隠して――――)
マスターはモードレッドの股間部分を隠している、前掛けのような赤い布を右の太ももに退かす。
前掛けを退けると女の秘所をギリギリ隠した、際どい角度の黒色のショーツが露になる。そのショーツはびちゃびちゃに濡れており、太ももの内側までヌルヌルの体液で濡れていた。太ももの間に何本かの糸が引いている。
前掛けと太ももの中で籠っていた、雌のムワっとした発情臭が部屋全体に広がる。
正確には、元からしていた雌の淫らなニオイがより濃くなった。
「――――ずっと部屋の中がエッチな匂いだったから分かるよ。こんなに濡らしてたんだ」
「みっ、見んなっ♡♡ 嗅ぐなっ♡♡♡ やめっ、やめろよぉ♡♡」
前掛けを元に戻して両手で押さえ、目尻に涙を浮かべながらモードレッドがマスターを睨みつける。しかし、下腹部が疼いてしまう。お尻がモジモジと忙しなく動く。
折角、マスターと話して治まりかけていた、体の火照りがぶり返してしまう。
自慰行為をしていたことがバレていた、顔から火が出るような恥ずかしさ。下着と愛液で濡れている所を見られただけで気持ち良くなってしまう。羞恥と快感。二つがモードレッドの心の中で、せめぎ合っていた。
表面上だけで本当は嫌がっていないモードレッドを見て、マスターは彼女を抱き締める。前掛けを押さえていたモードレッドは、特に抵抗することも出来ずにマスターの腕の中にすっぽりと収まってしまった。
モードレッドが抗議の声を上げる。
「なっ、何しやがるっ♡♡」
「ずっと寂しい思いをさせててごめんね」
「――――っ♡♡♡ はっ、はな……せっ♡」
言葉では拒絶しているが、声色と行動ではまるで拒否が出来ていなかった。
目尻を下げて顔を蕩けさせながら、両手の置き場所をどうすればいいのか分からず、空中に彷徨わせている。誰かに抱きしめられた経験が無かったせいで、どうしたら良いのか分からないのだ。
その状態のまま、マスターは子供の頭を撫でるように、モードレッドの金髪を手櫛で梳くように撫でた。それは正しく、彼女が生来から求めていた親子のようであり、気を抜けばそのまま眠ってしまいそうな心地良さがあった。マスターの心臓の鼓動を耳と肌で感じて、抵抗する気持ちが奪われていく。
蕩けた表情をするモードレッドに、マスターは耳元で囁く。
「モードレッドは俺のこと嫌い?」
「――きっ、嫌いじゃねぇけどっ……オレはマスターの騎士で、何れ王になるからっ♡」
「女にはなりたくないんだ」
「そっ、そうだっ! オレは――――ひゃっ!?♡♡」
騎士として自分を強く保とうとするモードレッドだったが、マスターが彼女の耳を甘噛みする。それと同時にモードレッドの小ぶりだが張りのあるお尻を布越しに揉みしだかれた。
モードレッドはベッドの縁に座ったままであるため、マスターの両手は彼女のお尻とベッドに挟まれているような状態である。お尻を振って逃げることも出来ず、ガッチリと両方の尻タブをマスターに掴まれていた。
正しく女の子のような悲鳴の後に、嬌声が口から漏れ出る。
「……やめっ♡♡ しりをっ♡ 揉むなぁ♡♡ ひぅ――っ♡ 耳に息掛けんなぁ♡♡ あっ――――」
(自分で揉んだり弄ったりするより気持ち良いっ♡♡ こんなのでっ♡ クソ――っ♡♡ こんなの簡単に振りほどけるのにっ♡)
マスターの合計十本の指でモードレッドのお尻がグニグニと揉みしだかれる度に、彼女の腰が震えて秘所から愛液が零れていく。スカートのような赤い衣装に自分の愛液が染みて広がる。
当然、モードレッドのお尻をスカート越しに揉む、マスターの両手にも濡れた感覚が伝わってくる。
「お尻揉まれて気持ち良くなって。愛液いっぱい出てるね」
「~~~~~っ♡♡ ちがっ、違うっ♡♡ ふぅ♡♡ これは汗だっ♡♡ あせっ♡♡」
自分に言い聞かせるように愛液を汗だと言い張るモードレッドに、マスターの嗜虐心が煽られていく。
マスターはお尻に指を沈めるような単調な動きから、尻タブを左右に開いたり、円を描くような揉み方に変える。それはより感じやすく、羞恥を煽り、愛液をより出しやすくする揉み方だった。
尻タブが左右に開かれる度に、モードレッドの割れ目からピュっ♡♡と愛液が零れる。スカートだけでは無く、ベッドのシーツにも染みが出来ていく。お尻全体を刺激されるような円を描く揉み方により、甘い嬌声が漏れ出てしまう。
「ふぁっ♡♡ やめろっ♡ お尻ひらくなっ♡♡ ぁひっ♡♡ 漏れるぅ♡♡♡」
「気持ち良くなって"汗"いっぱい出して良いから」
「んひっ♡♡ 本当にっ♡ やめぇ♡♡ ゆるさ……ないっ♡♡ あぁっ♡」
桃の果汁でも絞るかのように、マスターが指に力を入れると淫肉の割れ目から汁が漏れる。
両親がアルトリアとモルガンであることを考えれば仕方のないことかもしれないが、モードレッドも汁気が多いようだ。本当にお漏らしでもしてしまったかのように、シーツやスカートが愛液でびちゃびちゃに濡れる。
モードレッドの口が半開きになり、舌がだらしなく口から出ている。目の焦点が定まらなくなり、絶頂が近いせいで腰がピクっピクっと、不規則に震え始めた。
自分ではどれだけ乳房を揉んだり、クリトリスを弄っても絶頂出来なかったのに、初めての絶頂をマスターにお尻を揉まれただけで迎えてしまう。
(――――クるっ♡♡ 父上がビクビクしてたみたいのがっ♡ 自分じゃデキなかったのにっ♡♡ マスターに尻を揉まれただけでっ♡♡♡♡ んぁ――――ぃ♡♡)
「イって良いよ。モードレッドのイクとこ見せて」
「~~~~~っ♡♡ やめっ♡♡ あっ♡♡ ほんとにっ♡♡ あっ♡ あぁっ♡♡ ぁひっ♡♡ ――クっ、イクぅぅううぅっ♡♡♡♡」
マスターに揉まれるお尻を浮かせて腰がヘコヘコと動きながら、モードレッドは初めての潮吹きをする。尿道口から噴き出す透明な体液を黒のショーツが受け止め、尻タブや太ももに流れていく。排尿した時のような解放感と共に、全身に電流が走るような快感を伴う絶頂に達してしまう。
モードレッドは潮吹きの気持ち良さを覚えてしまった。
快感を逃がすためにカクカクと揺らしていたモードレッドだったが、全ての波が引いた後にグッタリと脱力して、ベッドに仰向けに倒れてしまう。全身に珠のような汗を浮かべながら、肩で息をしている。
意識が飛んでしまいそうな程の気持ち良さを、脳と体に刻み込まれてしまう。これを知ってしまった後に、もう快楽から逃れられる訳も無い。
父上がどうしてあんなにも幸せそうだったのか、モードレッドにも分かってしまう。
愛している男とこれ以上に気持ち良いことをしているのだから、幸せに思って当然だった。
初めての絶頂に体力を奪われ、そのまま眠ってしまいそうに微睡むモードレッド。彼女の額に短く口付けをしたマスターは、最後に一言だけ残してモードレッドの部屋から去っていった。
意識を失う寸前にモードレッドが聞いた言葉は……
『――――今夜、俺の部屋で待ってるから』
心の中で『オレは行かない……っ♡』と、強がりながらモードレッドは意識を失った。
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