※この作品はR-18です。

オルタはお嫌いですか?   作:濁り丸

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番外編:愛の神は、愛に溺れる-2

 全てに愛を与える神。

 

 自分以外の全てに無償の愛を与えることで、魔王 マーラが釈迦の悟りを邪魔して堕落させようとした時のような、遍く者を堕落させるという"歪み"を持っている。

 

 そんな本人が望んでいない役割を持った"愛の神"であるカーマに対して、彼女のマスター"藤丸 立香"は愛を教えたいと口にした。

 

 

『――本当に俺で良いなら、カーマに愛を教えて上げたい』

 

 

 本来ならば愛の神に愛を教えたいというのは、釈迦に説法をするような愚行に聞こえるかもしれない。しかし、誰かを愛することは出来ても、誰かに愛される悦びや自己愛を忘れてしまった彼女にとって、この世界で何よりも切望しているものが誰かに"愛して貰うこと"だったのだ。

 

 

 ――子供のような願いに聞こえるかもしれないが、愛するよりも愛されたかった。

 

 

 その定められた全てを愛するという在り方から、これまでのカーマは"誰か"に愛された経験が無い。

 

 だからこそ"自分に与えられる愛"を、心の奥底から渇望してしまう。結果的に愛を与えようと行動するマスターに、彼女は抵抗することが出来ない。いや、逆らおうという考えすら思い浮かばないと、表現するのが正しいだろう。

 

 

 それこそ番となった雄に従順な雌のように、されるがままになってしまうのだ。

 

 

 カーマは愛を与える神という在り方から、誰かに愛を与えることに関しては得意中の得意であった。しかし、依り代となった少女の親族の血筋なのか予期せぬアクシデントに弱い。

 

 彼女の一番の弱点と言っても良いのだが、誰かから愛されることに関しては、まるで防御力という数値が初めから設定されていないかのように極端に無防備だった。

 

 経験と言い換えても良いのだが"慣れ"と呼ばれる経験が全く無いせいで、まるで初心な恋も知らない少女であるかのように、カーマは自分を愛そうとするマスターに翻弄されるばかりである。

 

 じりじりと壁際まで簡単に追い詰められ、碌な抵抗も出来ないままに唇まで奪われてしまう。彼の愛情を伝えようとする優しい口付けに、彼女は混乱と羞恥、そして何よりも強い歓喜が胸中を満たしていた。

 

 まだまだほんの一端でしかないが、カーマが望んでいたものをマスターは与えてくれたのだ。耳の先端まで真っ赤に染まった彼女の耳元で、彼は更に離れられなくなってしまう言葉を口にする。

 

 

『今日の夜になったら、俺の部屋に来て欲しい――そこで答えを聞かせてね?』

 

 

 明らかにキス以上の愛情を伝える行為をするというのが、言外に含まれている言葉であった。その愛という名の糸に絡め取られれば、愛に飢えた愛の神は決して抜け出すことは出来ないだろう。

 

 部屋中に愛の糸が張り巡らされた蜘蛛の巣のようなマスターの部屋に、自分の意思で来てくれとカーマは言われたのだ。彼の巣に捕らわれた彼女という"獲物"が、どのような結果を迎えるのかは、誰にでも分かることだろう。

 

 

 ――巣の主であるマスターに愛という名の"毒"をタップリと注入され、骨の髄までドロドロに溶かされた後に、抵抗も出来ずに貪るように肢体と心を捕食されてしまうのだ。

 

 

 本来ならば彼の元に行く必要などどこにも無いのだが、愛に飢えた神はその誘惑に抗うことが出来なかった。さながら誘蛾灯に惹かれてふらふらと近付く羽虫のように、カーマは夜が訪れると直ぐにマスターの部屋の前に来ていた。

 

 誰に咎められている訳でも無いのに、彼女は自分に対して言い訳をしてしまう。

 

(――わっ、私は答えを伝えるために、マスターのお部屋に来ただけです……っ♡♡ その後のことなんて……全くこれっぽちも期待してません♡♡♡ すっ、直ぐに帰りますから♡)

 

 彼女は透き通るように白い肌を熟した林檎のように真っ赤にして、戸惑いながら部屋の扉をコンコンと控えめに叩いた。結局は色々な言い訳をしながらも、カーマは自分の意思で彼の元へと訪れてしまったのだ。

 

 少しの間があってから、ゆっくりと焦らすように自動扉が開かれる。

 

 

「来てくれたんだね」

 

「こっ、来いと言われたからっ♡♡ 仕方無くです……♡」

 

 

 部屋の中からは当たり前ではあるのだが、彼女を迎え入れるためにマスターが現れた。

 

 湯上りなのか彼はTシャツに短パンという、普段よりもラフな格好をしている。黒髪がまだ若干だが湿っており、しっとりとした頬が赤く上気していた。喉仏から胸元に向かって流れる水滴を目にして、カーマはゴクリと生唾を呑み込んでしまう。

 

 マスターに口付けをされた一件があってから、彼女はどうしようもなく"男"を意識してしまっていた。思春期の娘のようなはしたなさに、カーマは身悶えてしまいそうな羞恥を感じてしまう。

 

(~~~~っっ♡♡ ちっ、違いますっ♡♡♡ これはいつもと違うお風呂上りのマスターに、ドキドキしてる訳じゃないですっ♡♡ 本当にこれからエッチなことを始めるんだって、別に意識した訳じゃない……です♡♡♡)

 

 耳元でドクンドクンと五月蠅い位に心臓の音が鳴っている彼女に、マスターは笑顔を浮かべて自分の部屋へと招き入れる。

 

 彼女から見て右側に彼は立ち、部屋の中へと誘うように右腕を伸ばした。さながらドアを開けてお客様を迎え入れる、高級ホテルのドアマンのようである。

 

 

「さぁ……取り敢えず部屋の中に入ろうか。後は中でじっくりと――ね?」

 

「――っ♡♡ は、はぃ……♡」

 

 

 明らかに"含み"のあるマスターの言葉に、カーマは蚊の鳴くような声で返事をしてしまう。

 

 既に彼からの愛が欲しいのかという返事を聞くまでも無い程に、彼女は愛して貰うための行動をしてしまっていた。カーマは自ら糸が張り巡らされた部屋に向かって、戸惑いながらも歩みを進めて行く。

 

 完全に"巣"に入ってしまった彼女を逃がさないために、部屋の自動扉がゆっくりと閉じられた。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 元からあまり広い部屋では無いため、自然と二人はベッドの近くで向かい合うことになる。

 

 パーソナスペースを確実に侵入している距離感であり、カーマはマスターの顔を見詰めるのも恥ずかしくなっていた。いつもより魅力的に感じている彼の顔を真正面から見ることが出来ず、自然と床の方に視線を向けてしまう。

 

 両手を後ろに回してもじもじとする彼女に、マスターは本題を切り出す。

 

 

「――答えを聞かせてくれる?」

 

「~~~~っっ♡♡ そっ、そのっ♡ 私みたいな悪い愛の神に愛を与えるなんて、どうなるか分かってるんですか?♡♡ 絶対に死んでも離さない位に、重くて、嫉妬深くて、依存するタイプですよ……」

 

 

 最終確認のようにカーマは脅しを入れるが、それに対して彼は臆する様子はまるで無かった。

 

 既に神代クラスの魔女や星の聖剣を保持する王、キングメーカーである夢魔や神すら殺す半神など、多種多様な女性達と愛を育んでいる彼にとって、愛によって堕落させる悪神であり愛欲の獣という危険な存在であろうとも、彼女を愛さない理由にはなりえないのだ。

 

 未だに愛されることに慣れていないカーマは、拒否されてしまうかもしれないという不安が拭い切れておらず、彼女の顔には不安な気持ちがありありと浮かび上がっている。

 

 その不安を取り除くように、マスターは彼女を優しく抱きしめた。突然、抱きしめられたことに驚くカーマは、少女のような可愛らしい悲鳴を上げてしまう。

 

 

「――きゃっ♡ いっ、いきなり何するんですか♡♡ びっ、ビックリするので抱きしめる時には、今から抱きしめると事前に言って下さい……っ♡♡」

 

「もしも、嫌だったのなら直ぐにでも離れるよ。それよりもさっきの依存してくれるってことは、ずっと一緒に居てくれるってことだよね?」

 

 

 常人を遥かに上回る膂力を持ったカーマは、振り払おうと思えば簡単にマスターの抱擁を振り払える。しかし、彼女はされるがままに、彼に身体を預けてしまう。その理由はどうしようもない位に、マスターとの肌の触れ合いが甘美なものだったからだ。

 

 肌の触れ合いとは心に安らぎを与えるものだが、人肌を――与えられる愛を心の奥底で求めているカーマは彼の体温に当てられて、肌の触れ合った部分がチョコレートやアイスであるかのように蕩けてしまう。

 

 それでもまだ本当に自分を受け入れてくれるのかという、不安が拭い去ることが出来ていないのだろう。彼女はその不安な心情が手に取るように震える声で、本当に自分を愛してくれるのかを確認する。

 

 

「そっ、そうなりますけど♡ 本当にずっとですよ……♡♡ 生きてる限りずっとストーカーみたいに張り付いて、たとえ死んでしまっても魂だって逃さないですからね♡♡ ねちっこくて陰険な、愛して堕落させちゃう悪い神に、死んでも付き纏われるんですよ……」

 

 

 『……それでも良いんですか?』と、カーマは最後まで言葉には出来なかった。

 

 ただ紅玉のように美しい朱色の瞳をうるうると涙で潤ませ、言葉にするよりも分かり易い不安げな表情でマスターに伝えている。

 

 彼女の自分に対しての自信の無さが垣間見えており、それは愛の神の依り代となった"少女"の人格も大きく影響しているのだろう。

 

 神霊系のサーヴァントがカルデアの召喚に応じる際に、聖杯に深く関わった人物の中で最も相性の良い存在が依り代となる。その際、依り代となった人物が辿った人生経験や記憶などは反映されないが、人格面は大きく影響されるのだ。

 

 例を挙げれば"金星の女神"は依り代となった少女のお陰で、性格が幾分か"マシ"になっているらしい。生前の関係から不俱戴天の敵である"人類最古の英雄王"が、同じカルデアに所属することに目を瞑る程度には性格が丸くなっていた。

 

 それでも英雄王の親友である神造兵器は、容赦なく天の鎖を振り回すのだが……

 

 金星の女神の例に漏れず愛の神であるカーマも、依り代となった『聖杯に深く関わった少女』の影響を受けている。

 

 愛の神 カーマの依り代となった少女は、穢れた魔術師である自身を嫌悪している部分が根底にあり、自己評価が必要以上に低い部分があった。そして何よりも他者に対する依存心があったため、自身を掬い上げてくれる『誰か』を望んでいたのだ。

 

 自分を助けてくれる"誰か"を望んでいることは、依り代となった少女とカーマは全く同じなのだ。だからこそ二人は、人理が漂白された世界で繋がったのかも知れない。

 

 そんな愛の神を掬い上げてくれる“誰か”が、他でも無い目の前にいるマスター"藤丸 立香"であった。カーマを抱きしめる腕の力を強めた彼は、彼女の赤く染まった耳元で愛しているという気持ちをそのまま乗せた言の葉を紡いでいく。

 

 

「カーマみたいな綺麗な子とずっと一緒に居られて、嫌だと思う男なんてこの世にいないよ。少なくとも俺は……ずっと一緒に居られたら良いなと思ってる。まだちゃんと言葉にしてなかったから言わせてね――好きだよ、愛してる」

 

「――――すッ♡♡ 好きっ♡♡ あぃ♡♡♡ 愛してっ♡♡ ~~~~~~~~~~っっ゛♡♡♡」

 

 

 余りにストレートなマスターの言葉は、飾り気が無いからこそカーマの心の奥深くにまで届いた。

 

 彼女ずっと望んでいた『愛してる』という言葉を口にされ、カーマの歪んで荒んだ心は喜怒哀楽の中の喜に近い感情で満たされる。ずっと想い続けた願いが叶った喜びが、心を満たすだけで済む筈も無かったのだ。

 

 気が付けば彼女の両の目尻から、ツーっと涙が流れていた。生温かい涙が両の頬を伝い、形の良い顎先から雫となって零れ落ちる。

 

 

「あっ、あれっ? おかしいです……嬉しいのにっ。なっ、涙が…………止まら……なぃっ。私は……悪い神様…………なんですよっ。それなのに…………こんな……こんなのっ」

 

 

 彼女は両手の甲でゴシゴシと両目を擦り、溢れる涙を拭っていく。しかし、胸の内に満たされる大きな感情が涙と変わって、途切れることなく流れ続けてしまう。

 

 自分がどうして泣いているのかも良く理解出来ていないカーマは、困惑を隠し切れていない様子であった。嗚咽混じりの声を上げて肩を震わせる彼女の背中を、マスターは親が子供をあやすように優しくポンポンと叩いた。

 

 昔の自分を思い出して遠い目をする彼は、普段よりも優しい声色でカーマに語り掛ける。

 

 

「ううん、おかしいことなんて無いよ。カーマが落ち着くまで待ってる……いっぱい泣いて良いから」

 

「――――ッ」

 

「……俺も自分が壊れそうなくらいに限界だった時があって、その時も同じように抱きしめられたことがあるんだ。誰かに抱きしめられながら泣くと、心が凄いスッキリするんだよ」

 

「そっ、そんなの知らな…………かった……ですっ。もうっ……絶対に離しませんからねっ。嫌だって言われてもっ……絶対っ…………絶対っ」

 

 

 素直に『ありがとう』と口に出来ないカーマは、いつものように愛欲の獣――歪んだ愛の神として脅すような言葉を口にしている。しかし、今の彼女が浮かべている表情は、どこにでもいる普通の少女がするような、ただ一人の男性を愛しいと想う恋する乙女の顔であった。

 

 マスターのTシャツの胸元を涙で濡らす彼女は、細くしなやかな両腕を彼の背中に回す。

 

 もう二度と離すつもりが無いことを伝えるように、彼女はマスターのシャツを両手でギュッと握り絞める。子供のように泣きじゃくるカーマを強く抱きしめる彼は、宥めるような優しい声で彼女に告げた。

 

 

「うん、ずっと一緒にいようね」

 

 

 それから暫くの間、幼い子供が泣いているかのような、小さな嗚咽が部屋の中で木霊する。

 

 

 

 ――全てに愛を与えるカーマは、初めて愛を与えられたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――― 

 

 

 

 

 

 

 

「――だっ、誰にも言わないで下さぃ♡♡ 仮にも愛欲の獣であるこの私が、愛されて泣いてしまうなんて……っ♡♡ ――いっ、一生の不覚なんですからっ♡♡♡」

 

 

 目元を真っ赤に染めて腫らしているカーマは、マスターの胸板に頭をグリグリと押し付けていた。

 

 彼女が一生の不覚と言っているように、仮にも愛に特化した神がマスターに愛されて泣いてしまったことが恥かしくなり、全身が震えるような羞恥心に身悶えている。

 

 

「誰にも言わないから安心して? ……俺はカーマの可愛い所が見られて、凄い役得だったけどね?」

 

「~~~~~~~~~~っっっ゛♡♡ かっ、かわ――っ♡♡♡」

 

 

 可愛いとマスターに耳元で囁かれ、カーマは声にならない悲鳴を上げてしまう。彼のことをこれまで以上に好きになってしまっているせいなのか、彼女はどうしようもない位に異性として意識してしまっていた。

 

 スライムやプリンのように全身をプルプルと震わせているカーマを落ち着かせるために、マスターは彼女の白雪のような美しい髪を手櫛で梳くように撫でた。

 

 彼にギュッと抱きしめられながら頭を撫でられているカーマは、全身に伝わるマスターの体温と頭を撫でられる心地良さに、目尻を下げて表情を蜂蜜のように蕩けさせている。

 

 身悶えるような恥ずかしさは有っても、それ以上の幸福感をカーマは感じていた。

 

 彼女の髪を梳いていた手をマスターが離すと、本人は気付いていないがカーマは露骨に寂しそうな表情を浮かべてしまう。子供が拗ねた時のように唇を尖らせる彼女は、彼に撫でて欲しいとおねだりをした。

 

 

「――ぁっ、あのっ♡ ……もっと撫でて欲しいですっ♡♡ ぃっ、いきなり止めないで下さぃ……っ♡」

 

 

 カーマの真紅の瞳を紺碧の瞳でジッと見詰めたマスターは、それだけで良いのかと誘惑するようなことを口にした。

 

 

「カーマは撫でられるだけで十分なの? もっとしたいことは無いかな……例えばキスとか?」

 

「きっ、ききっ、キスですかっ♡ そっ、そのキスもシたいです……っ♡♡♡」

 

 

 普段は相手を誘う側である彼女が、今は彼に誘われる側になっていた。羞恥で顔を林檎のように真っ赤にしながら、それでもマスターとのキスをするという魅力に逆らえなかったのだ。

 

 彼女の言葉にコクリと頷いた彼は、ゆっくり顔を近付けていく。カーマもマスターからのキスを受け入れるために目を閉じて、桜色の瑞々しい唇をほんの少し突き出した。

 

 

 ――そして、二人の唇同士が触れ合う。

 

 

「…………んっ♡♡♡ ――んぅ♡♡」

 

 

 初めて二人が口付けを交わした時には、本当に一瞬の時間であった。しかし、二度目のキスはゆっくりとしたものであり、お互いの唇の温度や感触が伝わり合う。

 

 カーマは今まで生きていた中で、初めての溶けてしまうようなキスを体感していた。

 

(こっ、こんなキス知りませんっ♡♡ マスターの唇から伝わる熱で、ドロドロに溶けてしまいそうです……っ♡♡ 頭が真っ白になってしまいそうでっ♡♡ こんなの好きになっちゃいますっ♡♡♡)

 

 これまで感じたことの無い口付けの気持ち良さに彼女が酔いしれていると、マスターは更に畳み掛けるように唇の間から舌先を伸ばして、カーマの瑞々しい唇をチロリと舐めた。

 

 

「ん゛ぅ~~~~~~~~~~っっ゛♡♡ ん゛っ♡♡♡ んぅ゛ぅぅ゛♡♡」

 

 

 ――ぷしゅ……っ♡♡

 

 

 唇同士が触れ合った状態でくぐもった声を出し、彼女はビクビクと全身を震わせる。唇から全身に向かって駆け巡るような快感が走り、カーマは秘所から愛液か潮かも分からない体液を噴き出してしまう。

 

(なっ、なにがっ♡♡ 気持ち良くてっ♡♡ ぃ――――ッ♡♡♡)

 

 彼女は敏感過ぎる自分の身体を未だに理解出来ていないが、彼に与えられた"愛"によって既に"出来上がっていた"のだ。簡単に説明すれば、タップリ時間を掛けて愛撫をされた後や全身を開発され尽くした後のように、マスターから与えられる刺激に対して感じやすくなっていた。

 

 元から感じやすい体質もあったのかもしれないが、何よりも彼に与えられる愛に心が悦んでしまい、精神的な部分で身体が敏感になっていたのだ。

 

 女性は男性に比べて精神の高揚で快感を感じやすさが変わるので、特筆すべきことでは無い。しかし、愛の神であるカーマは、この世界で誰よりも精神で快感が左右される存在であった。

 

 誰にも愛されたことが無いことが災いし、愛してくれるマスターの愛撫に過剰に身体が反応してしまうのだ。ある意味で彼という存在そのものが、彼女にとっての最大の弱点に変わっている。

 

 それこそ唇を舐められただけで、意識が保てなくなってしまいそうな程に――

 

(きっ、キスだけでこんなに気持ち良かったらっ♡♡ これより"先"なんて、絶対に耐えられないです……っ♡ 死んじゃいますっ♡♡♡ ~~~~~~~っっ゛♡♡)

 

 マスターはほんの少しだけ唇を離して、赤い瞳をトロンとしているカーマに話し掛ける。

 

 

「んっ……今度はもっと深いキスをするね?」

 

「――――っ♡♡♡ まっ、待って下さぃ♡♡ 今は身体がヘンなんですっ♡♡ これより深いキスをしたら、もっとヘンになってしまいます♡♡♡ ぁっ♡♡ 待っ――んむっ♡♡♡」

 

 

 彼女は本気で駄目だと言っているのだが、男である"彼"にとっては誘っているようにしか感じられなかった。マスターは少しだけ強引に唇を奪い、更に深く激しい口付けをする。

 

 

「んぅ゛ーーーーっ♡♡♡ ちゅぅ♡♡ んぅ゛っ♡♡♡ んちゅっ♡ ん゛~~~~~ぅっ゛♡♡」

 

 

 ――ぷしゅっ♡♡ ぷしっ♡ ぷしゅ……っ♡♡

 

 

 秘所を覆うショーツのような金で作られた装備の隙間から、雌のフェロモンがタップリと含まれた体液が溢れて零れる。女性らしい柔らかさを備えた肉付きのよい太ももの内側が、淫らな体液でびちゃびちゃに濡れていた。

 

 カーマは上唇と下唇を硬く閉じていたが、マスターの唇が触れる度に緩んでいく。遂にはほんの少しだが唇が開いてしまい、彼の唾液に濡れた舌先が彼女の唇の隙間から口内に侵入する。

 

 

「ぅ゛~~~~~っっ゛!?♡♡♡ ん゛ちゅぅ♡♡ ぢゅちゅぅ♡♡♡ ぢゅっ、ちゅるる゛っ♡♡」

 

 

(はっ、反則っ♡♡ ディープキスは反則れすっ♡♡♡ こっ、こんにゃのっ♡♡ あたまが真っ白にぃ――――っ♡♡♡)

 

 

 ――ぷっしゃぁぁああぁぁああぁ――――っ♡♡♡

 

 

 マスターとのディープキスだけで絶頂に達してしまったカーマは、腰をビクビクと跳ねさせながら淫らな淫肉の割れ目から大量の潮を吹き出してしまう。

 

 彼女の足元には湯気の立ちそうな温かい体液で出来た、淫臭を放つ水溜まりが出来上がる。

 

 

 ――そして、カーマはこれ以上の快感を感じることとなる。

 

 

「んぅ゛~~~~~~~~~~っっっ゛♡♡♡♡♡」

 

 

 室内には女のくぐもった嬌声と、いやらしい水音が響き続けた。




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