※この作品はR-18です。

幼馴染を忘れられなくて童貞34年極めたらリア充になれた話   作:味噌村 幸太郎

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最終話

「おはよう、ヒロくん♪」

 眠たそうにしながらも微笑むあすか。

 服を着る音で起こしたようだ。

 

「ごめん、起こした?」

「ううん、もうすぐ学校いかないとだし」

 そっか、あすかは高校生だったんだな。

 

 

 俺はまた1人で篭るのか……イヤだ、さびしいな。

 

「寂しいって思ってるでしょ?」

 起き上がってキスをする。

「口臭くない?」

「俺の臭いしかしない、あすかに出したザーメン」

「もう!」

 バシッと叩かれ、「今、朝ごはん作るから」とすぐにずっと来ていたセーラー服の袖に腕を通し、髪をくくってキッチンに向かう。

 

「ごめんね…お母さんに何も言ってなかったね。学校に行く前に謝らないと」

 作り置きしていたものか、鍋に火をつける。中は見なくてもわかる。味噌汁のいい香りがする。

 冷蔵庫から卵を3個取り出し、割ってボウルの中を箸でかき混ぜる。

 

「ヒロくん甘口が好きだよね?」

「うん♪」

 キッチンに立つあすかを後ろから抱きしめ、髪の毛を匂う。

 

「もう臭いよ! ホテルでしかお風呂入ってないんだもん」

 肩で嫌がるあすかを無視してずっと匂いを楽しむ。

「あすかと離れたくない…」

 箸の動きが止まる。

 

「私も…」

 ボウルをシンクの上に置き、俺の腕を掴む。

「ねぇ、朝ごはん食べたらお母さんに謝って一緒に高校行こう」

「え!? 俺が?」

 あすかの目は輝いている。

 

「面接に行こうよ! あの弁当屋のおじちゃん、顔見知りだし、私が行った方がハードルさがるかもよ?」

 正直、昨日見せられたチラシを見てずっと怖かった。

 だがあすかといけるならいけそうな気がする!

「だといいけど。じゃあスーツにするかな?」

「え? スーツ? やりすぎじゃない?」

 

「そんなことないだろ? 俺はもう34歳だぜ? 逆にジャージで行くのも失礼だよ。親父の葬式の時に買ってもらったスーツでいくわ! でも、あすかいいのか? 学校中で噂になるかも知れないぞ?」

 あすかはぎゅーっと俺を強く抱きしめた。

 

「噂になっていい! 噂になった方がヒロくん盗られないもん!」

「俺みたいなやつを他のJKが? こんなデブオヤジ興味ないよ」

 俺がそう言うと、眉間にしわを寄せる。

「私もリアルJKなんですけど?」

 睨むあすかに焦る。

 

「ごめんごめん!」

「ヒロくんだって、確かに今は太っているけど、忙しい弁当屋さんで働いたらやせちゃうよ! それにヒロくん、痩せてる時は芸能人みたいにかっこよかったもん!」

 そう思ってもらえると光栄です。

 

「わたしのもんだもん!」と言いたいばかりに、俺の胸に顔を埋める。

 ていうか、忙しいということは繁盛しているのか、キツそうだな…。

「でも、弁当屋で働いたらさ。太っちゃいそうだな、脂もんばっかだろ?」

「私が毎日、ヒロくんの弁当作る! それとも食べてくれないの?」

 そういうと上目遣いで俺を見つめる。「そんなわけないだろ?」とキスを交わす。

 だが、味噌汁がふきだしたので中断してしまう。

 

   ※

  

 

「お母さん、すみません! 私がヒロくんを呼び止めてしまったので」

「いいんよ! でもご両親は?」

「うちの親はほとんど2人とも出張が多くて、だからヒロくんが来てくれて別れが惜しくなってしまって…」

 

「うちはいいとよ! でも今度からはお泊りは禁止たい? ご両親には内緒にしとくけん。まあ私も昔死んだ父さんと似たようなことしてたからね」

「は、はい! 必ず守ります」

「広! あんたは早よ用意せんね!?」

 

 俺は着慣れないスーツに手こずっていた。

「ふふ、ヒロくん。こっち来て♪」

 パシャッとスマホで一枚撮られてしまった。

「ネクタイ曲がってるよ」

 顔上げて、ネクタイを調整するあすか。まるで新婚夫婦みたいだ。

 それを見て少し後ろから母がすすり泣きしていた。

「バカ息子が。こんな立派なお嬢さんをね」

「母さん、まだ結婚したわけじゃないよ」

「あらごめんね、あすかちゃん」

「いえ、私はそう思ってもらった方が嬉しいですよw」

「本当、広にはもったいない!」

 うるさし、母。

 

 

「んじゃ、行ってくるわ、母さん!」

「いってきます、お母さん」

 手を繋ぎ、走って駅まで向かった。

 2人とも慌てているのに、なぜか笑いが止まらなかった。

 今の俺なら何でもできそうな気がする。

 この子が、あすかが俺の隣りにいてくれる限り。

 

 

「あすか」

「なぁに、ヒロくん?」

「ありがとう、あすか」

「私もありがとう」

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