――――奴はロクでもないものを残していきました。転生特典三つです。
要らないって言ったんだよ、俺は。御大層なチート能力なんか貰ったところで厄ネタにしかならないもの。飛ばされる世界によっては幼児の頃から研究解剖待ったなし、むしろチート無しの方がほうが生き延びる公算が大きいって言うのに。
いっそ転生なんかさせずにそのまま解脱させてくれた方が何倍もマシだ。仕事と趣味と年に一度の風俗、ただそれだけをルーチンのように繰り返す前世だったし、同じモノをくれてやると言われても御免被るとしか返せません。
しかし自称神様はこちらの都合なぞ一切顧みてくれなかった。えーでもこれ先週の企画会議で決まっちゃったことですしぃなんて意味不明な戯事を垂れ流し、問答無用で俺を送り出してくれやがったのである。
幸いにして、ダークファンタジー系はやめてくれという懇願は聞き届けてくれたのか、転生した先は一見すると何の変哲もない現代世界。ちょっと年代表記が2×××年とバグってるせいで何とも言えないが、文明的には21世紀初頭くらいだろう。
両親にも恵まれた。夜泣きもしない無愛想な赤ん坊だった俺を、不気味だったろうに施設に入れるでもなく不自由なく育て上げてくれた。遠からず恩返ししたいし、その目途も立っている。
でもなぁ……でもなぁ……
あの邪神に押し付けられた転生特典が俺のこれからの人生を台無しにしてくるのはなぜなのか――――!
最初はそれはまぁ喜んだものよ。他の二つはともかく、肉体面において並ぶものない無双の身体なんて、男なら誰だって憧れる代物だ。
高層ビルから落ちたところで傷一つない強靭さ。ライフル弾くらいなら撃たれたあとで軌道を見てから躱せる俊敏性。拳ひとつで岩を割り、走れば海面を十傑衆のごとく走り抜ける脚力。
特技は空中ジャンプです。ぶっちゃけ新幹線くらいなら走って追い越せます。
幼稚園の頃から脱輪した送迎バスを持ち上げるくらいに力持ちで、この力さえあれば肉体労働で食うに困ることなど一生あるまいとひそかにほくそ笑んだものである。
――――事件はしばらく後、十代の前半に起きた。
精通である。
朝起きて勃起している我が息子を見たときから嫌な予感はしていたのだ。
この陰茎、やたらデカい。
こちとら前世持ちである。思春期の不安なぞ特になく、そろそろ布団に粘ついた染みが出来る頃かなぁなんて暢気に構えていはしたのだ。それが悪かったのか。
明らかに膨張率が300%を超えている。片手で握っても指が届かないほど太い。
おかしい。これは明らかにおかしい。
いやな予感はしていた。しかし痛々しく腫れ上がり今にも爆発しそうな息子をそのまま放置してはいられない。
いそいそと人目を憚りながらトイレに向かい、ひそかに用意していたエロ漫画を片手に自分で処理しようと腰を下ろした。
その結果――
トイレが詰まった。
さながら蓋の壊れた消火栓のごとく。ブシャァーと聞いたこともない音を上げて射出される白濁液。
慌ててホースを取り回して便器の排水口へ向けたものの、勢いよく放出される精液は留まる事を知らなかった。
結果として俺の精通は、便器から溢れかえった精液が床をびちゃびちゃに汚しまくる結果に終わったのである。
誰かこの気持ちを分かってほしい。自分の精液で詰まったトイレをどうこうするために精液で溢れかえった便器にラバーカップを突っ込む俺の気持ちを。
むせ返るほど生ぐっさい精臭の中、半泣きになりながらトイレットペーパーで床を拭いてはトイレに流し、紙を流すたびに精液詰まりを起こす便器に何度もラバーカップを突っ込んだ。心なしかべたつく床をもう一度洗剤と雑巾で拭き直し、消臭剤をぶちまけて証拠隠滅。両親が留守の間に済ませられたのは奇跡だと思う。
何がどうしてこうなったかなど、考えるまでもない。
特典だ。あの邪神が寄越した転生特典だ。
何がフィジカル無双だ。逸物まで馬並にしろだなんて誰も言ってないだろ。精液の量とかなんだアレ、目算で10リットルは超えてたぞ。どうやったらそんな量が金玉の中に納まってるんだ。俺の精嚢は四次元ポケットか何かか。
恐らく、多分、きっとメイビー。
この惨状は転生特典の相乗効果によるものだと結論を付けた。フィジカル無双とマジカルチンポである。
単体なら立派な逸物と中毒性のある精液程度の効果だった(はず)のこのふたつが、互いに影響を及ぼし合ってこの惨状を作り出したのだ。そうでなければマジであの邪神許すまじ案件である。
無双の肉体は鉄棒のごとき陰茎を隆々とおったて、恐るべき新陳代謝能力で精液を生産し。
マジカルチンポは生み出された精液やら性欲やらをマジカルな感じで身体のどこかに収納する。
いやほんとわけわからん。明らかに物理法則無視しとるやん。なんやねんアレほんま。
そして最悪の予想がある。
まだ俺は二次性徴も途中も途中。よもやこれから歳を重ねるにあたってこの特典がますます悪化していくのではないか。
悪夢のような未来予想に、白くべたつく雑巾を片手に中学生の俺は戦慄するほかになかった――。
――――しばらくお待ちください――――
Q:成人してどうなりましたか?
A:悪化しました♪
イエーイみんな見てるぅ~? 今や立派な巨根マンでーす!!(ヤケクソ)
長さは30㎝超え、踏ん張るともう少し長くなるから四捨五入すると40㎝の大台に乗るかもしれない。太さは男の腕くらい、そして亀頭の傘の広さは握り拳より大きくなりました。
通常モードのときは見る影もない租チンとなる我が息子ですが、いざおっきするとドラゴンディルド並の威容をたたえるように。立派になった愚息の姿に俺も涙が止まりません。
大学卒業していくらかの時、今世で初めて行った風俗店。
出来るだけベテランで巨根も平気な女性をお願いしますと注文したソープでは、40代近いベテラン嬢が俺の股間を見るなり退去を促してきた。「多分ソレ入れられる娘は福原のソープに居らんわ」だそうで。死にたい。
せめてもの意地で手でお願いしたさ。せっかく覚悟を決めて期待一杯夢一杯でやってきた風俗店だというのに、手ぶらで帰るなんて冗談じゃない。通常料金は払うからと説得してオバ――キャストさんに両手使って慰めて貰いました。ちなみに口は拒否られました。死にたい。
――――で、
風呂場の排水口が詰まった。
スケベ椅子に着座した状態から発射された白濁液は、それなりの興奮状態のせいか正面にいたオバちゃんの胸元に勢いよく直撃し、塗りたくられたローションの影響もありオバちゃんは悲鳴を上げてマットの彼方へと押し流されていったのである。
そこそこ広い浴室だというのに、足の甲まで浸かりそうなほど床に溜まった我が子種汁。貧弱なソープ屋ごときの排水能力では相手にならぬとでもいうのか。またラバーカップの出番が来たというのか。
追い出されるように退店させられて見上げた空は、まるで俺を慰めるように星が煌めいて――――
次の週末、ヤケ酒をかっ喰らった勢いでとある動画を投稿サイトへ掲載した。
俺の射精シーンをまとめたグロ動画である。
適当にいじった俺の男根を20リットルのポリタンクに突っ込んで射精するというバカみたいな動画だ。
ただの射精映像ならばネタにもならないのだが、十数秒もしないうちにポリタンクが満杯になっていくとなれば話は変わる。
瞬く間にネット上で話題になり、合成や手品を疑われたりしながらアングラサイトで広まっていった俺の動画は、気が付けばそこそこの収入になるくらいの再生数を稼ぎ出していた。
ひょっとすると汁男優としてAV業界からお呼びがかかるかもしれないなぁ、なんて下らない感想を抱いていると――――一通のメール着信。
アングラ動画サイトに登録のために使った捨てアドレスである。目に留まったのは奇跡に等しい。もしかすると本当に業界からのオファーか何かか……なんてアホな期待とともにメールを開くと、こんな一文が。
『あなたの精液を買い取ります』
リッターにつきウン万円だそうです。
思えば、これが俺が裏社会に関わる発端だった。
取引は一度限りで終わらず、月に一度の頻度で何度も繰り返す運びになった。
取引場所は港湾近くのコンテナターミナル。近場まで自動車で乗り付けて、トランクから取り出した精液入りポリタンクをえっちらおっちらと取引場所まで運び、待ち構えていた相手から現ナマと交換でタンクを渡す。
一度の取引で100万円以上の稼ぎである。ぼろい商売にもほどがあった。
取引場所に現れる相手は、子供と見紛うほどの矮躯を白衣に包んだ顔色の悪い男だ。夜闇の暗がりのせいか肌の色は緑色に見えるし、帽子から見え隠れする耳は尖っているようにも見える。指摘するのもマナー的にアレなんで何も言わなかったが、正直気味が悪い。
だから数年ほど取引が続いた後、小男が切り出した提案はとても胡散臭かったのだ。
「――お兄さん、耳寄りな話があるんだけど」
気味が悪いのであからさまに怪しい勧誘には乗りません。俺はチート持ちの賢明な転生者、ビジネスはクールに終わらせるのが主義なのです。
さあ帰ろうと有無を言わさず背中を向ける俺に向けて、ゴブリンチックな親父は続ける。
「この近くにウチが運営してるラブホがあるんだけど、そこで女の子とハメて行ってくれない? もっと新鮮な精液が必要になっちゃってさ」
「…………」
――――だ、騙されねえぞ。こんなの罠に決まってる。どうせ美人局か何かだそうに違いない。
女の子と待ち合わせして部屋に入って、ルンルン気分でシャワーを浴びて帰ったら、ベッドまわりにグラサンの黒服野郎どもがわんさか詰めてるって寸法だろ。俺は詳しいんだ。
大体俺の逸物がすっぽり収まる女の子なんて居るわけないじゃん。
「お兄さんの巨根のことは知ってるさ。でもウチの子は特別でね、筋骨隆々な黒人だって相手してきた極上の淫魔なのさ」
ふ、ふーん?
まあ? メルヘンやオカルトじゃあるまいし、どうせ淫魔がどうとかいうのも修辞的なアレなんだろうけど?
話だけなら聞いてやってもいいかな?
「本当なら百万積まれたって抱けない極上の美女だよ? 逆に百万払ってもらってパコパコするなんてこの先一生無い機会だぜ? ――――ホレ、これが写真」
――――FOOOOOOOO!!!
そして俺は二週間後、ルンルン気分で女の子と待ち合わせして、シャワーを浴びてチューをして、存分に自称淫魔のイヴちゃんとイチャイチャしたのである。
イヴちゃんはボンテージを着たお姉さま系の美女でした。甘ったるい吐息混じりの声で語り掛けられると、普段は驚異の精神統一で抑え込んでいる我が息子が堪え切れずにアップを始めてしまうほど。
余裕たっぷりに微笑んだ彼女は艶めかしい動きで首筋を舐め、慣れた手つきで俺のズボンを脱がしにかかり、露出した剛直へ熱い吐息が――――
そこから先の記憶はない。
気が付けば、俺は一面が真っ白の白濁に支配された空間にいた。
ベッドも壁も床も、ラブホのスイーツ特有のシャレオツな調度品も、何もかも精液まみれになっていた。浴室に足を下ろせば踝まで精液に浸かるほどで、あまりの気持ち悪さにベッドの上に退避した。体液まみれとはいえ、まだそちらの方がマシだったからだ。
そしてベッドの上には、仰向けの蛙のような態勢でビクビクと痙攣するイヴちゃんの姿が。
完全に正気を失っていた。よくわからんけど頭からは角が生えてるし、尻からは細長い尻尾が伸びていて明らかに人間じゃないのが察せられた。のに、明確にアヘ顔で失神していたのだ。
汁まみれになった身体は記憶にあったものと見る影もない。ぼっこりと妊婦のように膨らんだ腹に、半開きになった膣穴からは潮と精液と尿の混合物が痙攣と同時に漏れ出てくる。
あまりの精液量にすぐさまいっぱいになった膣内だというのに、逆流しようにも栓になった巨根が邪魔をしたのだろう。膣の端がわずかに裂けて、そこも精液まみれになっていた。
俺のチート眼力とチート触診は、彼女の尻をつついただけで奥にある骨盤に罅が入っているのを看破した。ピストンの勢いに耐えられなかったのだろう。どれだけ我を忘れて腰を振ったんだ俺は。
しゃあないねん、不可抗力やねん。今生に生まれて二十数年、ほとんど禁欲と精神統一で過ごした日々だもの。抑えが無くなりゃ暴走もしたくなるねん。
一度勃起すればズボンが破けるほどの逸物である。日常生活でムラムラするなど言語道断、おかげでわが半生はほぼ全てが苦行でした。
おかげで性欲を抑え込む精神集中は上達したものの、度を越したオナ禁は射精量の倍増という副作用をもたらした。つまり今の俺の本気の自慰は40リットルだ。俺の精嚢は宇宙だった……?
ともかく前世から数えて30年近くぶりのエロスである。抑えなど利くものか。
恐ろしいのはこれだけ凌辱の限りを施されたというのに、意識のないイヴちゃんの顔に浮かぶのは苦痛ではなく法悦の表情ということだ。話したときはSっ気があって男が情けない射精をするところが大好き、なんて言っていた彼女がである。
今や、んほぉ、とか、あへぇ、とか言葉にならない喘ぎ声を漏らし忘我の域にあるイヴちゃん。彼女が立ち戻ってこられるかは神のみぞ知る。いやそれどころじゃねえ。
「詰んだ。完全に終わった」
どうするよ。どうするよ俺。頭を抱え蹲る俺の脳裏に広げられる数枚の
自首するか。このまま逃げるか。それともいっそここで――
「――――なんやこれぇ? 何やこれ!? イヴちゃん!? そのお腹何なんイヴちゃん!? ちょっと返事して!? 意識無いん!? イヴちゃん――――!?」
進退窮まった――――ッ!!
いつの間にか時間を大幅に過ぎていたらしい。合鍵を使って無遠慮に部屋に入ってくる小男。扉を開けるや、部屋の様相とむわっと立ち込める獣臭に顔をしかめて驚愕し、ついでベッドの上でボテ腹アクメを決めているイヴちゃんに愕然となった。
「何なんやこれ!? 次期女王のイヴちゃんやぞ? 童貞優男なんか30分もあれば腹上死させたるって、あんな自信満々に言うてたやん!? どないしてくれんねんこれ……!?」
「あァん……?」
「ぎっくぅ!?」
腹上死ぃ?
聞き捨てならねえ台詞が出たもんだなぁ……?
あからさまに身体を震わせる小男のおっさん。
そしてこのどさくさに紛れて恫喝でどうにか言い包めないかと脂汗を流す俺。
それぞれがそれぞれに思惑を胸に相対し、間のベッドでイヴちゃんがビクンと魚のように腰を跳ねさせる。
一押しあればこの拮抗は完全に崩される――――その時のことだ。
スイートのベランダに通じる窓が、大きな音とともに何者かに破られた。
散乱するガラス片、悲鳴を上げる小男。とりあえずこれ以上の怪我はヤバいとベッドのシーツでイヴちゃんを庇う俺。
狼藉者は窓を突き破って寝室に着地し、改めて立ち上がると長い赤毛をかき上げてみせた。
恐らく隣のビルの屋上から飛び込んできたのだろう、闖入者は女だった。
修道女の頭巾を思わせる被り物をしていて、メリハリの利いた身体つきを強調するような、ぴったりと肌にフィットするラバースーツじみた衣装をまとっている。というかなんだアレ、スーツ越しに乳首浮いてるじゃねえか。スカートと
女は右手に細身の蛇腹剣を携えていた。長手袋に覆われた手で剣を振るえば、鞭のような軌道で切っ先が床を斬り刻む。
「――――ん?」
修道女?
赤毛美人?
ラバースーツにけったいな蛇腹剣?
おかしいな、なんだかとても見覚えがある。
いや最近の記憶じゃない。もっと前の、前世でオタクやってた頃に何度も見た覚えがあるようなないような……
「そこまでよ、悪党ども!」
きつい顔つきの美人は意気軒昂と声を上げた。
「ここ数年流通してる魔薬の原料の取引現場、確かに取り押さえたわ! たとえニホンの警察が見逃そうとも、この『イバラの姉妹』リーゼ・ヘルデブランドが許しはしないわ!!」
ファーー!!?
オリ主の一話までの経緯。
オリ「巨根かつ絶倫過ぎて結婚相手すらおらん。ソープ嬢にすら断られる……こんなん強姦魔にでもならんと一生童貞や……」
↓
小男「ナイス巨根、ナイス精液量。そいつで商売してみいひん?」
オリ「めっちゃええ稼ぎやん! これからも良しなにな!」
小男(こいつの精液なんか知らんけどエライ媚薬効果あるやん。イイ感じに搾り出したろ……)
↓
数年後
小男「もっといいシノギがあるねん。新鮮な精液くれへん? 代わりに可愛い淫魔とヤらせたるで」
オリ「(淫魔……?)なんか知らんけど、ワイの相手できるなら大歓迎やで!」
↓
オリ「ここ魔胎都市の世界かい……!」今ここ
Q:乱入してきた不審者はどうなりましたか?
A:部屋中にぶち撒けられた精液の臭いに発情して卒倒しました。オリ主は失神の隙に淫紋を刻んで放置して逃げました。