※この作品はR-18です。

触手作品世界に竿役の居場所はあるか   作:鷹原霧

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エロはほぼないです。

コミケ100は万魔殿みたいやね。行かれへんけど(憤怒)
DL販売はしてもらえるようなので、原作魔胎都市未読の方もこれを機にどうぞ。


16話

「おや兄ちゃん、今日は遅かっ―――って、おおおお!?」

 

 トーキョーの一角にある場末のバーにて、開店前からボックス席を占領していた小男は店の扉を押し開いて登場した二人組を見て目を丸くした。

 

「か、神守清華!? なんでや、何でそんなんと一緒に!? 兄ちゃんとうとうその子も誑したんか!?」

 

「んなわけあるか。誑し込んだならもっとお高い店に連れ込むわ」

 

「んんんっ」

 

 思わず、といった様子で道鏡が小男に言い返すと、カウンターの向こう側でグラスを磨くバーテンダーがギラリと目を光らせた。

 

「……蘆名さん、そういう陰口は店長の私がいないときにお願いできますか?」

 

「あ、はい。失礼しました……」

 

「頼むで兄ちゃん、月曜の夕方に貸し切りにしてくれる店なんてここくらいしかないねんで?」

 

牛部(ゴブ)さん、それはこの時間帯に客入りの少ないこの店のことを当てこすっているので?」

 

「気のせいやて、アンタがボクのことをゴブリン呼ばわりしてるのと同じくらい気のせいやて。あとボクの名前牛部やなくて牛頭(ごず)やから」

 

「ははぁ、なるほど。帰化名が牛頭、というわけですね。ギブソンさんが岐阜と名乗られるような」

 

「もじっとらんからな。少なくとも五代は続いとぅちゃんとした名字やからな」

 

「ははは、もちろん承知の上ですとも」

 

「あはは、まったく承知しとらん声やな」

 

 空虚に笑い合う小男と店長。しかし双方とも目がまるで笑っていない。心なしか店内の室温が数度ばかり下がったような錯覚までしてきた。

 何かしら大きな刺激があれば小男がカウンターを乗り越えて店長を殴りにいくかもしれない―――清華がそう危惧したころ、わざとらしい咳ばらいが店内に響いた。

 

「あー、おほん。それで、店長。適当なところに座っても?」

 

「…………構いませんよ。いつものカウンターでしょう?」

 

 道鏡の横槍に興が醒めたのか、肩をすくめて店長が応対する。

 

「そちらのお嬢さんは?」

 

「適当なボックスに。一番いいソフトドリンクと……あぁ、たしかこの間、宮崎からマンゴーが来ると言ってたろう。それを使って何か作ってくれないか。支払いは俺に」

 

 話が勝手にどんどん進められていく。あれよあれよと清華は店の一角に案内され、目の前のテーブルにはおしぼりとドリンクが置かれていた。

 男の方はいつの間にか店の物置から取り出した盥に水を張り、下駄を脱いだ裸足を突っ込んでいた。街中の土埃を落とそうというのだろうが、スラックスの裾をまくり上げてざぶざぶと足を洗う姿は、初夏の熱さに晒されながら歩いてきた清華には当てつけのようにも見えた。

 心地良さげに足を洗っていた男は、清華の視線に気づくと、

 

「……使うか?」

 

「使いませんっ」

 

「ちゃんと水は替えるが」

 

「そういう問題ではないでしょう!?」

 

 いったい何を言っているのだこの男は。

 

 清華の怒気に触れた道鏡は肩をすくめるといそいそと盥を片付け始めた。心なしか煤けて見える背中を見つめながら、清華はこれまでの経緯を思って嘆息する。

 

(あぁ……どうしてわたくしがこんな所に……)

 

 

 ―――最初は、ほんの出来心だった。

 乱れる感情のまま男に八つ当たりをした清華は、我に返ると途端に居たたまれなくなり逃げるようにして男を残し立ち去った。

 

 …………そう見せかけて、実際は道鏡の尾行を試みた。

 せっかく昼日中に遭遇し、男にも争う気がなかった好機である。彼のねぐらと言わずとも、普段どこを歩き回っているのか生活圏を把握しておきたいというのが清華の目的であった。

 普段は脳筋気味な清華を知る咲耶が見れば、涙を流さんばかりに褒め称えるであろうインテリジェンスに満ちた作戦ではあったが……今回は相手が悪かった。

 

 物陰や人ごみに隠れて自分の後を追う清華を目敏く看破すると、道鏡は鼻で笑って言った。

 

「そんなに気になるなら、ついでに付き合え」

 

 

 ―――それからの四時間のことを自分の中でどう位置付ければいいのか、清華は未だに決めあぐねている。

 

 

 あっという間に過ぎたような、そのくせ一瞬一瞬が鮮明に記憶へ焼き付いた、奇妙なひと時だった。

 初手から男に虚仮にされた以上、あれは間違いなく任務や使命の時間ではない。しかし完全なプライベートと呼ぶには、清華に対する男の扱いはいかにもぞんざいだった。

 

(……だって、おかしいではありませんか。わたくしを連れ歩いておきながら、立ち寄る店で物色するのが咲耶お姉さまへの贈り物だなんて!)

 

 小洒落たブティック、今時のアクセサリーショップ、老舗のブランドショップ。どれもこれも駅前を歩けば広告に出くわすような有名店ばかり。

 聞けば、男を追い出した咲耶への機嫌取りのために気の利いた贈り物を買いたかったらしい。

 

「―――ついでに結婚記念日も近いからそれ用に何か見繕いたいんだが」

 

「あなたという人は……!」

 

 しかしこの男、プレゼントに対するセンスというものが壊滅的だった。

 せっかく流行の店を漁っているというのに、ゴテゴテしたアクセサリーだのブランドのロゴが目立つバッグだの、買う前に当人と相談しろと言いたくなるものばかりに目を取られている。

 果ては最新ファッションだからと店員に乗せられるがままに、奇抜すぎるパステルカラーなポンチョに手を出した辺りで清華の堪忍袋の緒が切れた。

 

「咲耶お姉さまがそんなものを欲しがるわけがないでしょう……っ!」

 

「いや、欲しがる素振りがないからこそ逆にサプライズ性が―――」

 

「お黙りなさい! 端的に悪趣味だと言ってるのですわ! そもそもこういったブランド品はそれ以外の服飾と組み合わせて映えさせるもの。誘拐同然に連れ去られたお姉さまにその手のブランド品はありましたか?」

 

「いや……ないです……」

 

「慎み深い咲耶お姉さまのことです、あなたの家計事情を慮ってスーパーやしまむらで買える既製品で済ませているのではありませんか?」

 

「高いもの買おうとしたら初穂の知育玩具に使えって怒られたことがあるなぁ……」

 

「こ、の……! ―――でしたらなおのこと、価格が想像しづらい大人しめな小物に留めておくべきですわ。たとえば……」

 

 ―――そうして清華が見繕った数点のうちから、男は小ぶりな指輪を選んだ。指のサイズはとうに把握しているという。

 聞けばこの一年、男は咲耶に婚約指輪どころか結婚指輪すら渡していなかったのだとか。それを聞いて清華の額に青筋が浮かんだ。

 

「いいですの? 次は必ず咲耶お姉さまを伴って来店なさい」

 

「いや、それだと―――」

 

「見当違いで悪趣味な装飾品を贈られる方が迷惑だと言っているのです。お姉さまのことですもの、理由を話せば快く付き合って下さいますわ」

 

 ―――侃々諤々というには清華が一方的にまくし立てるばかりな時間だった。普段彼女をいたぶっているところからは想像できないほど男がたじたじになっている姿はこれ以上なく滑稽で、清華は男に感じていたなけなしの畏怖や嫌悪感が薄れていくのを感じていた。

 一方、清華に言い負かされた男は居心地悪そうに後頭部を掻くと、

 

「……プレゼントの内容を贈る相手と相談して決めろと?」

 

「ええ、そうです。あなたセンスがありませんもの」

 

「いや、それなりに自信はあるぞ。たとえば……ほら」

 

 唐突に男は店員を呼び止め、遠くにあるショーケースと指差すと何事か指図した。店員は肩をすくめて頷くと、ショーケースから『それ』を取り出してきて、

 

「そら、手を貸せ」

 

 左手首を掴まれる。あまりの突然さに反応すらままならない。

 男は流れるような仕草で清華の手を掲げると、取り出した指輪を嵌め込んでしまった。

 

「うむ。なかなか似合っている」

 

「な、な……ッ!?」

 

 満足げに頷く道鏡。商機と見た店員が追従の笑みを浮かべて頷いた。しかし清華はそれどころではない。

 

 小ぶりなアメジストをあしらった指輪だ。透明度が高いのか、下の台座の細工まで透けて見えるほど。カットの仕方が特殊なのか、照明を受けて返す紫色の光は鉱物の無機質さよりも何とも言い難い暖かな印象を放っている。

 

 ―――あぁ、いや、そうではない。宝石の詳細などどうでもいい。

 

 問題は清華が男性から贈り物を受け取った経験がないということで、生まれて初めて受け取ったものが指輪で、それも左の薬指―――

 

(違う! 違いますわ! あぁもう……っ!)

 

 ドツボに嵌りかける思考を首をぶんぶんと振って振り払う。熱くなった顔で道鏡を睨めば、当の下手人は会心の笑みを浮かべていた。

 

「あのシスター服が目に焼き付いてるせいだな。神守清華といえばこの色、とスッと出てきた。このアクセントがあるとやはり落ち着いて見える」

 

「ど……どういうつもりですの、これは!?」

 

「お前が言ったんだろう。プレゼントは当人と一緒に買えと」

 

 常人なら射殺さんばかりの清華の視線を平然と受け流し、男は飄々と笑った。

 

「咲耶への贈り物は次に一緒に来てから選ぶと決めた。だがそれだと今回が無駄足になるだろう? なら今日はお前への贈り物を選ぶ日にする」

 

「ば―――ッ!」

 

「嫌と言っても受け取ってもらう。別に後生大事にしろという気はないが、捨てるにしろ返品するにしろ俺のいない時にするんだな」

 

(そんなこと……)

 

 ―――そんなこと、出来るわけがないではないか。

 

 言葉にならない清華の思いは、背を向けた男には届かなかった。

 

 

 

 宝石店を出てからの記憶は茫洋としている。ふわふわとした酩酊感と左手の感触が気になってそれどころではなかったのだ。

 心なしか、カランカランと下駄を鳴らしながら前を行く男の背中が近く見えたのは、きっと気のせいではないのだろう。

 

 ―――そして今、気付けば清華は場末のバーのボックス席に放置され、道鏡と小男はカウンターで怪しげな会話に華を咲かせている。

 

「……退魔省の方で動きがあったみたいやねえ。教皇庁の人間が纏まった数で出入りしとうわ」

 

「教皇庁? イバラの姉妹か?」

 

 透明な液体の入ったグラスを傾け、男が片眉を跳ね上げた。

 それまでの砕けた口調はどこへやら。小男へと発する言葉は重々しく、冷たい印象を受ける。まるで別人のような豹変ぶりだった。

 手元には複数の書類と写真、いくつかの場所を示した地図。グラスの下敷きにされた書類がわずかに水気で滲んでいく。

 

 僅かに警戒の滲んだ男の言葉に、小男は苦笑して肩をすくめ、

 

「あの赤毛の姐ちゃんは来とらんよ。もっとこう、とうが立っとる感じの熟女やったわ。リクルートスーツ越しにもわかるくらい腹筋バキバキやった」

 

「目的は?」

 

「退魔部隊の再編成。お上もようやく重い腰を上げたようやね」

 

 ―――今、聞き捨てならない台詞を聞いた。

 日本政府が手駒として抱え込んでいる戦力で清華が把握しているのは公安くらいだ。そしてその関係者からその話が清華に流れなかったということは、話題の退魔部隊とは公安内部の物ではない。つまり政府内でまったく新規で組織を立ち上げるということ。

 だというのに、退魔業の大家である神守流の当主である清華に退魔省からまるで話が通らなかったというのはどういうことだ。

 

「それは―――ッ」

 

「――――――」

 

 それはどういうことですの、と立ち上がりかけた清華は、男の鋭い視線に制される。

 睨むでもなく、叱りつけるわけでもない。ただ見られただけで全身が痺れたように動けなくなった。

 

「……お嬢様が興味津々のようだ。詳しい話を」

 

「詳しいも何もなぁ……」

 

 緑がかった指で顎をさすると、小男は手元のブランデーを舐めて言う。

 

「退魔省の敷地内にある地下訓練施設、あるやろ? 先月辺りからあそこから流れる汚水に、聖水由来の成分が明らかに増え始めたねん」

 

「汚水かぁ……」

 

 杜撰な管理、となじればいいのだろうか。

 判断に悩むように男は片手で顔を覆い、小男はケラケラと笑う。

 

「お国柄やねぇ。別に人体に害があるわけやないし、法律で『聖水垂れ流し禁止』なんてやるわけもないし」

 

「しかし、よくもまぁ汚水なんてチェックしていたな」

 

「そこはほら、業者にちょちょっと話しつけてな。検便より簡単な試薬渡しといたんよ。半年くらい前から神父服の連中がうろつくようになっとったから、いつかは来ると思っとったし」

 

「それでとうとう、か」

 

 半年前―――清華が男の卑劣な策に嵌り、肉塊の中で屈辱の三か月を過ごした頃の話だ。

 あの空白期間に話が進んでいたのならば、清華が蚊帳の外であったことにも一応の説明がつく。

 

 思わず耳をそばだてる清華のことを知ってか知らずか、男同士の会話は‟そちら”へと向いていく。

 

「神守も一枚噛んどるみたいやで。たしか印可状持ちの……鹿島なにがしとかいう男が出向しとる」

 

「印可……分流か?」

 

「三代くらい前に分かれたところやね。ネットで演武の動画配信して門下生募集しとるの見たわ。新流派にありがちな強烈なアレンジとかは特に無いみたいやけど、そのぶん技の一つ一つが小綺麗にまとまっとる。アレなら覚えるのも苦労せんやろ」

 

「奥義のたぐいは特になく、習得が平易……幕末で言うなら北辰一刀流的な?」

 

「兄ちゃん時たま変なたとえしよるね」

 

「…………」

 

 不服そうに言い返そうと男が口を開くも結局何も言えずに黙り込む。小男の口さがない毒舌に清華も内心称賛を贈った。

 居心地悪そうに身じろぎすると、男が言った。

 

「―――話を戻そう。現状日本の退魔業界で幅を利かせているのは荒神と神守と……他に何がある?」

 

「退魔省とつるんどるのはその二家で合っとるよ。円城家はあの別嬪さんが最強やっただけで後続が育っとらんし、あとは在野の退魔と無縁やったぽっと出を節操なく取り込んどる。二条とか霧月とかやなぁ」

 

「霧月……もしかして忍者の家の?」

 

「お? なんや知っとるんかい。……何でも、そこんとこの百年に一度の天才が『教会』に召集されたらしくてなぁ。まとめて引っこ抜かれたら叶わんということで、役人連中が慌てて霜月の里に渡りを付けたらしいで」

 

「あぁ……まぁ、うん。俺には関係のない話だったからなぁ……」

 

 妙に歯切れの悪い男の様子に首を傾げつつ、小男は続ける。

 

「まー言うても、荒神流は式神の性能と相性で勝負するところやし、個人差でむらっけが大きすぎる。アレに食い込むのは難しいやろ。今後の退魔省の主流はイバラの姉妹と神守流で綱引きし合うことになるやろうね」

 

「競り合うか?」

 

「そらァな。術は教会式、体術は神守流で住み分けるにしてもやっぱ食い合わせ悪いもん。どっちをメインに据えるかで一悶着起こるでアレ。そこでより大きなシェアを食った方が予算も多めに貰えるってなったら……そらぁ水面下でえぐいことになっとるわ」

 

「腐っても一国の正式部隊になるんだ。利権の臭いはダダ漏れか」

 

 揶揄を滲ませて男が言う。

 

「結構なことだ。最終的に形になるなら、精々いくらでも争えばいい」

 

「……辛辣やね。兄ちゃん昔、教会は嫌いやって言うとったから神守よりか思うたんやけど」

 

「俺の体質を知ったら途端に異端認定してくる連中だぞ、嫌いに決まってる。だがそれ以上に現退魔省のお粗末っぷりが目に余る」

 

 投げつけられた問いに、不快感を目に浮かべて男は唸った。

 

「アレは組織の体をなしていない。人員も装備も規格化が進まず、平均値も最低水準も揃えられない。あれでは咲耶や神守清華のように突出した退魔師に繋ぎを取るだけの仲介屋も同然だろう」

 

「それでこの数百年は上手く回っとったんやけどなぁ」

 

「遠くない未来に回らなくなるぞ。歪に過ぎる」

 

 ぼやく小男へ返す男の言葉には、妙な確信が籠っていた。

 

「―――世界にただ一つ、なんてものを有難がれるのはスーパーロボットの世界くらいだ。替えの利かないものを世の中の根幹に置くことがどれほど恐ろしいか。

 先祖伝来の家宝、特別な血筋でなければ使えない神器、一子相伝の秘奥義、突然変異の異能……どれもこれも恃むに能わない。

 技術は普遍化するまで広めるべきだし、途絶える可能性などあってはならない。血筋や異能は戦いに出さず他人が扱えるよう研究するべきだ。量産できない武器に価値はないし、そもそも使い手の練度によらず資質によって性能が上下する武器なぞ欠陥品にもほどがある」

 

(この人は……っ)

 

 道鏡の並べる理屈の数々が清華の矜持にグサグサと突き刺さっていく。

 確かに神守流は一般に開かれた流派とは言い難い。奥義を習得できているのは清華ただ一人だけだし、生まれながら強靭な肉体を持つ清華だからこそここまで極められたともいえる。

 それはつまり、清華が子供を作り流派を継承しなければ、神守流護神術は奥義を欠いたまま次代へ続いていくことになるのだ。

 

 子作りどころか結婚すら頭になかった清華にとって、「お前が子供を作らず死ねば世界が滅ぶ」という指摘は反論のしようがなかった。

 

(いいえ……いいえっ! 正論かもしれませんが、この男にそれを言われるのは筋が違いますわ! わたくしをこんなにしておいて、今更他の誰かとだなんて……っ!)

 

 夜ごとの自慰でも満足できず疼くようになってしまった肢体をもぞもぞと動かし、清華は不満げに唇を尖らせた。

 あれだけ好き放題にこの身体を凌辱しておいて、最後はいつもスーツ越しに射精して清華を生殺しにするこの男に、どうして「跡継ぎはまだか」などと非難されなければならないのか。

 

 たった一度。そう、たった一度だけでいい。これまで数度あった戦いで、男が清華のスーツを無理矢理にでも破いていればこんなことにはなっていなかった。

 あの熱く濃厚な白濁汁が一瞬で子宮を満たしたならば、今言う男の懸念は無意味なものとなっていたというのに。

 

「―――その分、教会の方はまだマシだ。向こうのお嬢さんや霜月の忍者を見ればわかるように他所のやり方を取り込むことにためらいがない。所属する人間にも実力さえ伴えば信仰は求めないらしい。実に理想的な近代化を遂げたといえる」

 

「確かに退魔技術と科学の融合って感じがするわあのラバースーツ。見た目は目の毒やけどな」

 

「その辺りは見習ってほしくないなぁ……ゲフン、まぁとにかく。公的機関に求められるのは純粋な戦力ではなく、無節操なまでの向上心だ。その過程で海外からどれだけ手が入ろうが、弱小流派がどれだけ潰れようが、俺の知ったことではない」

 

「―――ははぁ、お二人ともよくお考えなんですねぇ」

 

 茶化すような口調で会話に割って入ったのは店長だ。

 

「この一年ずっと話題それですものねえ。どこそこの汚職政治家を丸裸にして、罪状を書き並べた貼り紙と一緒にラブホに放置したとか、退魔省の退魔師の手際が悪いからと高官を襲って裸に剥いてハッテン場に放置したりとか。ずいぶんとご活躍ですから?」

 

「……なんやヤケに噛みつきよるな。あんたに迷惑はかかっとらんはずやけど」

 

「かかってるんですよねぇ、ええ」

 

 小男が眉をひそめると、店長は乾いた笑いを漏らして語る。

 

「役人の常連さんが良く愚痴ってるんですよ、『退魔省勤務は島流しだ』って。だってそうでしょ、いつ自分が天誅を食らうか分からない部署に行きたがる人がいますか? お客さんのうち何人かは地方への転属を希望なさってるそうですよ? つまりそう遠くないうちにこのバーの売り上げも下がるんですよ。なんなら田舎で一軒家を買いたいから節約するって言って来なくなったお客さんも既にいるんですよ。

 世の中で『道鏡』さんに文句を言える数少ない人間、そのうちの一人が私なんですよねぇぇぇ……!」

 

「それは……うん、申し訳ない」

 

 怒りを笑顔に滲ませて詰め寄る店長に、当の道鏡は気まずげ応じた。

 

「ま、まぁ……あらかた掃除は終わったし、新しくフレッシュな退魔組織も立ち上がるんだ。これを機に天誅騒動も収まってくれるはずだ。―――そうだろう?」

 

「せやね。組織の上役に『キリシタン以外の黄色い猿に人権なんてありまセーン』とか言ったりするキチガイが座らん限り、むさ苦しいおっさんの裸が都庁前で磔にされることはないやろな」

 

 にこやかに冗談を交えてかわされる口約束。一見和やかなバーの一角の光景でも、聞いている人間からすればそれどころではない。

 

(天誅……!? 天誅ってどういうことですの!?)

 

 流れ聞こえてくる会話の中身に混乱することしきりな清華。

 確かに最近は退魔省からの使者がやたらと神守家に出入りして、いちいち新たに誰それがどこそこの役職に就任しましたと挨拶に来ることが増えていた。しかしそういった政治に興味のなく、ただ退魔業に専心していればいいと割り切っていた清華はおざなりに流すばかりで気にも留めたことがなく、その実態がこんなことになっているなどとは思いもよらなかったのだ。

 

 まさか、退魔省の高官がひっきりなしに交代しているとは。

 

 政府高官を襲撃して首を挿げ替える? 紛れもないテロ行為である。これまでそのことが清華の耳に入らなかったのは、辞めざるを得なくされた高官の体裁がどん底に落ち込んでしまったためか。

 

「店長には悪いことをした。詫びとして今後も贔屓にさせてもらう……と言いたいところなんだが」

 

「なんだか嫌な前振りですね。やめてくれませんそういうの?」

 

 申し訳なさげに眉尻を下げた男が軽く頭を下げて、

 

「実は……田舎に帰ることになった」

 

(―――え……?)

 

 瞬間、清華の世界から音が消えた。

 視界が定まらない。色が滲んでグラグラと世界そのものが揺れているようだ。遠い耳鳴りがそれ以上男の言葉を聞かないように遮っているようで。

 

 いま、彼は何と言った?

 帰る? 田舎に?

 どこから?

 いなくなる?

 

「それはまた……急な話ですねぇ……」

 

「前々から考えていたことではあった」

 

 あんぐりと口を開けて言葉を失う店長に、男は苦笑とともに言う。

 

「退魔師自体、腰掛けで長く続けるつもりも無かったし、その退魔師もトーキョーが落ち着いてきた今、いつまでもここに拘ることもない」

 

「頑張り過ぎたせいかだいぶ依頼も減ってきたしなぁ。大陸に出張することも考えたら、福岡辺りに移った方が効率がエエかもしれんやろ。ボクもそろそろお金が貯まってきたし、本業再開しようかなって」

 

「将来的に子供は十人は欲しい。物価の高いトーキョーは不都合だろう?」

 

 手前勝手な理屈を並べる二人組。アレだけ好き勝手に人のことを掻きまわしたくせに、今度はまた自分の理屈で投げ棄てて去ろうというのか。

 怒りのあまり目の前が真っ赤になりそうだ。敬愛する先輩退魔師も、自分の心も身体も奪っておいて、何も責任を取らずに逃げるというのか。

 

 怒りに震える清華の拳。関節が白くなるほど握りしめた指の中、アメジストの指輪の感触だけが清華を現実に留めている―――

 

「もちろん今すぐじゃないが。新しい退魔組織とやらがどんなものか、品定めしてから―――」

 

 

 ―――バタン! タタタタッ!

 

 

 道鏡が続けようとした言葉は、突如響いた騒音に遮られた。この音は開店前の扉が勢いよく開けられる音、そして恐らくハイヒールの爪先で軽快に階段を駆け下りる音だろう。

 そして―――

 

「ヒロくぅ~~~ん!! 逢いたかったわぁ!!」

 

 ドアを開け放って襲来したのはひとりの女だった。露出の多いチューブトップを身に纏い、黒い皮のジャケットを羽織っている。胸元から上半分を覗かせている二つの果実は清華に引けを取らず豊満で、タイトなミニスカートの下から伸びる脚は染みひとつない。

 彫りの深い顔つきは紛れもなくヨーロッパ系で、女優かモデルかと見紛わんばかりの美貌を誇っている。

 

 女は店内に飛び込んで道鏡の姿を認めると、喜色を満面に浮かべて彼の顔に抱き着いた。

 

「おぶ」

 

「もう! 退院してからめっきり連絡寄越さないんだから! 帰ってから誰が入院費を払ってたのかママに聞かされたときはびっくりしたんだからね!」

 

(…………っ)

 

 ぼふん、と顔面が豊満な胸に包み込まれる道鏡。勢いよく抱き着いてきた女を抱き留める以外は特に引き剥がす仕草も見せず、為すがままにされている。

 清華が組み付いたときは平然と外しに来るくせに、男は役得とばかりに女の胸に顔をうずめているのだ。

 

「ちょっとイヴちゃん。今お仕事中やからちょっと遠慮してくれへん?」

 

「なによぅ、仕事って言ったってお酒飲んで管巻いてるだけじゃない」

 

 遠慮がちな小男の制止にも女はどこ吹く風だ。

 

「それにオジサンも、来月はママに新薬のプレゼンするんでしょ? 朝までギンギンになるバイアグラだとか何だとか? それの準備しなくていいの?」

 

「心配せんでもちゃんと予定は立てとるわ。それよりもほら、兄ちゃんが困っとるやろ」

 

「え~っ」

 

 不満げな顔を隠しもせず、美女は渋々と男の頭を解放した。そして人目をはばかることなく男にしなだれかかるようにして膝の上を占拠する。

 

「イヴちゃん……」

 

「なによ、ヒロくんだって悪い気はしないでしょ?」

 

「悪い気はしないが……もう少し、嗜みというものを持った方が……」

 

「ん~~~~?」

 

 小男に同調する道鏡に美女はふくれっ面で抗議する。しかしそんな顔も次の瞬間には訝しげになり、

 

「あれぇ……? 何かヒロくん、雰囲気変わった?」

 

 クンクン、と男の首元で鼻を嗅ぎ、きょとんと目を丸くした。

 

「なんかこう……昔の、がっつく感じというか、ぎらついた感じが薄いっていうかぁ?」

 

「何年前の話だ、それは」

 

 男は苦笑を浮かべて首を振る。

 

「さすがに嫁と子供を持てばな。―――そもそも、イヴちゃんと致したときは俺の人生で最も人肌恋しかった頃だしなぁ」

 

「はいダウト。アナタが奥さんひとり貰ったくらいで枯れるもんですか」

 

 もっともらしい言い分をイヴは切って捨てる。

 

「だってヒロくんよ? アタシとママ二人がかりでも満足できるか怪しいじゃない! つ・ま・りぃ……」

 

 面白いことを考え付いた、とばかりに美女の唇が弧を描く。

 突然の闖入から黙りこくっていた清華に向けて、意味深げな視線を送りながらイヴが言った。

 

「どこかで都合のいい愛人でも囲ってるんじゃないのぉ?」

 

「~~~~~~ッ!!」

 

 黙っていられるのもここが限界だった。

 道鏡と親しげに語り合う見知らぬ女。それも明らかに自分より距離が近い。道鏡はこんな女のことを、一度たりとも口にしなかったというのに。

 それだけでも業腹だというのに……愛人? 愛人だと?

 

 

 そのようなこと、そんなこと―――ッ!

 

 

「その暴言、今すぐ撤回なさい!」

 

 憤然とボックス席から立ち上がった清華を、イヴはわざとらしく目を見開いて見返した。

 

「あらヤダ怖い。ていうか人の話を盗み聞きしちゃだめよ?」

 

「人の話を聞きましたか!? 今すぐ先ほどの侮辱を撤回しなさい!」

 

「侮辱ぅ? 侮辱なんてしたかしらアタシ?」

 

「わたくしが―――わたくしのことを、その男の愛人とっ!」

 

「え、マジ? ほんとにカノジョだったの? うわ凄いじゃないヒロくんお赤飯炊かなきゃ」

 

「この―――ッ!!」

 

 何より許せないのはこの女の態度だ。

 いつまで彼の膝の上を占拠しているつもりだ。膝の上で身体を動くたびに脚を絡ませにいっているのはどういうことだ。

 そして当の清華が話しかけているのに、いちいち道鏡の首を抱き寄せて見せつけてくるのが腹が立つ。

 

「そもそも! いきなりやってきておいて何者ですの!?」

 

「アタシ? んー……」

 

 憤慨混じりの清華の問いに、美女はわざとらしく悩んだふりをして、

 

「ヒロくんの肉奴隷一号?」

 

 とんでもない名乗りを上げた。

 

「ば―――破廉恥な! 破廉恥な……ッ!?」

 

「まった。言い方に弊害があるだろうそれは」

 

「え~でも間違ってないわよぉ? ヒロくんの童貞貰ったあの日からアタシもうメロメロだもの♡」

 

 男の控えめな抗議を一蹴し、美女は妖艶な笑みを浮かべる。顔を真っ赤に染め上げた清華を横目で見ながら、見せつけるように男の耳元に口を寄せた。

 

「ねえヒロくん、折角なんだしこれからホテル行かない?」

 

「行かん。俺とイヴちゃんは種族的に噛み合わない。今度こそ廃人になりたいのか」

 

 即答する男に対し、イヴはますます笑みを深めた。

 

「―――なってもいいからこうやって誘ってるんでしょ? アタシのこと、また滅茶苦茶にしたいと思わない? 裂けたオマンコから血を流して、おなかをボコボコにしながらイくアタシを見て、ヒロくんも興奮したんじゃない?」

 

「してないが? むしろ血の気が引いたが?」

 

「アタシが興奮したからそれでいいのよ。淫魔が快楽で壊されるだなんて、後にも先にもあなた一人だもの」

 

 上気した頬、潤んだ瞳。誰が見ても欲情しているとわかる顔つきでイヴは男に迫り、蛇のような舌使いで頬を舐める。

 そして―――

 

 

「壊していいわよ、ご主人様♡ 何人だって孕んであげる♡」

 

 

(~~~~~~~~っ!!!)

 

 限界だった。

 目の前で繰り広げられる男女の睦言は、それまで男の身勝手に耐えてきた清華にとって我慢ならないものだったのだ。

 

 これまで散々清華を凌辱しておいて、『お前が欲しい』だの『俺のモノになれ』だのと誘っておいて、他に女が現れたらそうやって鼻の下を伸ばしているのか。

 自分は二か月以上もの間生殺しにされ続けているのに、他の女に誘われたら簡単になびいて精を注いでしまうのか。

 乳房をちぎれるほどの力で揉みしだかれ、下腹部の淫紋が盛り上がるほど極太の肉棒で淫膣を突かれ、子宮の隅々まで届く勢いで白濁汁が満たされていく―――それを、この自分や咲耶ではなくよくも知らない行きずりの女なんかに。

 

「…………」

 

「む?」

 

「あら?」

 

 もはや思考は限界を迎え役目を放棄した。グラグラと煮え立つ感情のまま清華は男女に歩み寄り、女の肩を掴んで引き剥がす。

 目下には酒場のカウンター席に座った道鏡。清華が動いたのが意外だったのか、微かに目を瞠って彼女を見上げている。

 カウンターには飲みかけの酒。グラスにはまだ半分以上透明な液体が残っていた。

 

「―――っ」

 

 グラスを取り上げ、ひと息に呷った。

 口の中を満たしていく苦い味。喉を通るたびに食道が焼けるような感触が走る。

 

「おい、何を―――」

 

 男が何事か言っているが知らない。知ったことではない。

 清華は男の顎を両手でつかむと上向かせ、

 

「ん、むぅ……っ」

 

 その唇を強引に奪った。

 

 唇の隙間に舌を差し入れ、無理矢理に開かせる。口の中に残った酒を、口移しで男の口へと注ぎ込んでいく。

 

「んんっ……」

 

「ん、ふぅ……」

 

 引き剥がそうと二の腕を男が掴む。それを清華は上から組み付き返し、太腿の上に跨った。ぐい、と腰を男の腰へと押し付ける。

 清華の口にあった酒は、ほとんど男の口の中へ移っていった。口端から垂れる酒の雫を、可憐な唇が吸い付いた。

 

「んはぁ、はむぅ……ちゅる、んんん……っ」

 

 顎先から雫を舐め上げ、再びの接吻。もはや男からの抵抗はない。酒気を帯びた吐息と舌を絡ませ合い、ともに理性を蕩かせ合う。

 

 男の右手が清華の腰を抱き寄せた。左手がスカートをたくし上げ、遠慮なく内部へと侵入していく。

 汗ばんだ尻肉をもみしだき、しとどに濡れたショーツの下に指先を伸ばしていく。

 

「んっ……は、ぁ……っ」

 

 洪水のように蜜を溢れさせていた清華の淫壺は、ごつごつした男の指を抵抗なく迎え入れた。

 

(あぁ……すごい……)

 

 そして抱き寄せられた腰の先。清華が跨るすぐ下からは、圧倒されそうな存在感が盛り上がっている。

 ズボン越しに清華の淫核を押し上げる男の肉棒。これまで何度も清華に悲鳴を上げさせた憎い男根。ただ押し付けられるだけで陶然とした快感でイキそうになる。

 ―――否、既に絶頂の途上にあった。

 

「んんっ、ん~~~~っ」

 

 吸い上げられる。これまでのお返しとばかりに、清華の舌の根ごと引き抜かんとするがごとき吸引。只人なら苦しむべきそれも、男の凌辱を受け続け浅ましいメス奴隷として完成された清華の肉体からすれば至福の瞬間だ。

 逞しい逸物が降参寸前の淫裂をなぞりあげた瞬間、とうとう堪えられなくなった清華は絶頂へと登りつめてしまった。

 

「んン~~~~っ、んはぁ、あぁ……っ」

 

 夢見心地で唇を離す。互いに荒くなった息を吐きあい、熱のこもった視線を交わしあう。

 

「……やってくれたな」

 

 男のズボンはその雄々しい肉棒の勃起に耐えられず、無惨に破れていた。邪魔な布地が無くなって立ち昇ってきた雄臭が清華の鼻腔をくすぐり、それだけでイってしまいそうになるほど。

 たった一度の接吻、夢のように待ち望んだキス。清華の理性は崩れ去る一歩手前であり、止めを刺されたがっている蜜壺は潮を噴いて床を汚している。

 そんな清華を男は膝に手を差し込んで抱え直すと立ち上がり、店長へと顔を向けた。

 

「上の部屋を借りる」

 

「あー、うん。鍵はかかってないですよ。あと、出来れば汚さないでほしいかなぁ」

 

「大丈夫だ、何とかする」

 

 それだけ言い残すと、男は清華を抱えたまま大股で扉の向こうへと姿を消してしまった。

 

「…………」

 

 残された三人は、何とも言えない顔で黙りこくり、

 

「とりあえず、ユニクロ行って着替え買ってくるわ」

 

「そですねぇ。私は消臭剤でも買ってきます」

 

「イヴちゃんは女物買ってきといたって。あの調子じゃ全部クリーニング行きやろ」

 

「んー……」

 

 小男の言葉に生返事のイヴ。その視線は先ほどまで男が座っていたカウンター席に注がれている。

 ……正確にはその床―――タイルにできた水飛沫の跡に。

 

「…………」

 

 しゃがみこみ、愛液で出来た水溜りを躊躇なく指先で掬い上げる。指先で弄べば、粘度の高いそれはニチャニチャと音を立てて泡を作った。

 神守清華の欲望の残り香、それを鼻先に近づけて嗅ぎ取ると、イヴはうわあ、と声を上げて口を歪めた。

 

「すっごい。孕む気満々じゃない、これ」

 




道鏡(蘆名ヒロキ)
絶倫モード以外では紳士な男。
我慢しきれず勃起したが最後、ズボンの股間が破れて社会的に死ぬ。なので学生時代に死に物狂いで大悟の境地へと到達した。
クラスメイトが水着になろうが裸になろうがいやらしい視線をまったく向けない力持ちなナイスガイ。そのため女子人気は高かったが、逆に精一杯の決意を込めて誘惑しても動じてくれないため泣かせた女は数知れず。控えめに言っても女の敵。

だが待ってほしい。こいつと結ばれるということは、こいつの巨根の相手もしなければならないのだ。
一般女性と真っ当な性交渉を行うには、まず淫紋を刻んで夜ごとに素股やらパイズリやらでぶっかけて媚薬精液(劇毒)漬けにした挙句、本番無しで一年は我慢してようやく膣が拡張される。
肉塊くん実装後は短縮コースで丸呑み絶頂地獄を三か月味わえば改造完了。晴れて本番に移行できる。
まぁ、大抵の女はそれまでの生殺しに耐え切れず精神崩壊するか我慢しきれず逆レに及んで膣破裂ののち病院送りになるんですがね……

ご存じフィジカル無双の持ち主だが、唯一の弱点が存在している。肉体の代謝能力である。
常人の十倍以上の速度で新陳代謝を促進する肉体であり、毒のたぐいは大抵は効かない。しかし唯一、アルコールの代謝については勝手が変わってしまう。
早い話が酔いが回りやすく、冷めやすい。チビチビと舐めるくらいなら問題はないが、グラス一杯のウオッカを一気飲みさせられたら一巻の終わり。普段被っている紳士モードは跡形もなく消し飛ぶであろう。

アライメントは中立にして悪を自称している。
世界のどこかで見知らぬ誰かがどんな凌辱を受けようが心は痛まないし、自分に不都合な世界平和などクソ喰らえだとも語る。
異端者は公に属してはならず、歯車として社会に組み込まれてはならない。その結果世界が暗黒に包まれようが、自分の周囲さえ安寧が維持されていれば構わない。
魔胎神の一件でも、『真』の原作にグッドエンドルートが一つでもあれば原作介入など露ほども考えなかった。なんなら咲耶の調教風景を見物するだけして囃して帰るくらいはしただろう。

なお、そのことを嫁に語ったら大爆笑された。


円城咲耶(肉奴隷二号)
妹の修学旅行先の候補だったから、なんて理由でトーキョーの妖魔殲滅を達成した人が何か言ってる(爆笑)
割と未練なく退魔師を引退したのも、旦那が退魔省に喧嘩を売る心積もりなのを察したから。

十人くらい子供が欲しい。でもそれ以上は正直身体が持つか不安なので、あと一人二人女が増えるのは納得している。


イヴちゃん(肉奴隷一号)
出番はこれで終わり。
サキュバスは種族的に人間より肉体強度が脆い。人類最高峰の肉体を持つ咲耶や清華に比べればなおさらである。
よってどれだけ淫紋が進行し肉体改造が進もうが、道鏡との性交には耐えられない。二度と結ばれることのない関係である。
本人としては直後にイキ狂って膣破裂で死ぬとしても構わないから抱かれたいと思っている。


小男(牛部リン)
五代続いた名字:牛頭。
なおそれより以前は……
基本的に先祖代々嫁の尻に敷かれる家系である。

退魔師・道鏡としての活動と、陰で売りさばいている精液由来の媚薬が売れ行き好調。退魔師稼業の傍らで各地の富豪と顔も繋げたことだし、そろそろ大陸に渡って新たなパトロンを見つけたい。
近い将来、ヨーロッパで研究所を構えたこの男のもとに、黒髪巫女と金髪ポニテ剣士が殴り込みをかけてくるが、それは別の話。


神守清華(愛人候補?)
こいつわたくしを差し置いて嫁を何人持つ気なの? 咲耶お姉さまだけでは足りないというの? 足りない分をわたくし以外の誰に求めてるの?
清華はキレた。
身体は堕ちている。心も堕ちかけている。完全に堕ちていないのは堕ち方を知らないから。
道鏡が扱い方を少し変えていれば、二か月前の時点で従順な孕み奴隷へと堕ちていた。


嫉妬から目を逸らして苦しむヒロインがとうとう堕ちる展開っていいよね。
魔胎都市でやるシチュじゃないって? それはそう。
けどワイは解釈違いと知りつつも触手やなくて竿役メインで書いてるから……やっぱ身体だけやなくて心も責めないと……

魔胎都市シリーズは好きやけど、なんだかんだヒロインが完全に堕ちたシーンはまだ読ませてもらってないのよね。『真』もあくまで希望をちらつかせた半堕ちエンドやったし。
咲耶さんは調教完了した経験があるんだし、その頃の淫蕩な奴隷時代の作品を拙者何年も待ちわびております。
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