※この作品はR-18です。

触手作品世界に竿役の居場所はあるか   作:鷹原霧

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間に合わんかった!!
あけおめことよろ!!


19話

 神守清華の唐突な引退表明は退魔業界に激震をもたらした。

 

 巷に勢力を拡大しようとしていた外道術師、それを政府の依頼で撃退しようとした戦闘の結果、浅くない傷を負ったのだという。

 治らない傷ではないものの、治癒に時間がかかり後遺症も重く、現場への復帰は不可能と判断される。

 そうして、今後は後進の育成と神守流の継承に専念していくと彼女は表明したのである。

 

 現役最強の称号がようやく定着し始めた、その矢先のことである。円城咲耶が失踪して一年足らず、弱冠にして二十歳にも届かない若き退魔師が立て続けに二人も失われた事実は、退魔界のみならず政財界にまで少なからぬ影響を及ぼした。

 いくつかの企業が倒産し、数人の市議や県議が失職し、今後の治安悪化を見込んだ資産家の動きにより全体的な株価が低下する―――不況と呼ぶには微々たるものであるものの、波紋を呼ぶには充分な一石であった。

 

 一方で色めき立ったのは在野の退魔師である。

 現役最強の不在、その事実は道鏡の台頭によって抑圧されていた彼らの野心をくすぐった。

 今がまさに好機。この隙に耳目を集め、退魔省をはじめとする主要な顧客に自らの実力を示せば、あわよくば……そう考えた彼らが活動を活性化させたのである。

 

 ―――しかし、そんな彼らに待ったをかけた存在があった。

 退魔省である。

 

 度重なる不祥事で権威が失墜していた省庁の長に就任した歳若い政治家は、新たに直属の退魔組織を設立することを決定した。

 実に明治に廃止された陰陽寮以来の公的退魔組織の復活である。当然、かつては宮仕えであった退魔師界隈は湧きに湧いた。

 今後は下々の者に媚びへつらい価格交渉に血道をあげなくて済む―――そう喜んでいた彼らは、直後に入ってきた報せに出鼻を挫かれることになる。

 

 

 部隊設立の外部顧問にイバラの姉妹を招集。制式武術に鹿島神守流を採用。

 

 

 明確に怒りを露わにしたのは荒神家の現当主だった。

 なぜ日本古来より連綿と続く伝統がありながら、ここに来て国外の異教の影響下に置かれなければならないのか。そして突然利権に割り入った新興の武術に対しても不快感を露わにした当主は、敢然と新たな退魔省大臣に食って掛かった。

 対する大臣の口にした言葉は、あまりに簡潔。

 

「―――荒神の退魔師の能力は、求められる最低値、平均値を常に満たせられますか?」

 

 言葉を失う当主。

 出来るはずがない。調伏した妖魔を式神として従える荒神流は、その性質からして力量に個人差が発生する。多種多様と言えば聞こえはいいが、それは統一感がないと同義である。

 

「組織人とは、常に替えがきく歯車でなければならない。コトが治安や国防に比肩するものであるならば特に。空前絶後だの唯一無二だの、再現性のない逸材をもてはやす時代ではないのです」

 

 そして、いま退魔省に求められているのは停滞し気味な退魔技術を推し進める流れなのだと大臣は言う。

 

「たとえば、千年前に猛威を振るった悪霊が現代に復活したとして、あなた方はそれに対抗できますか? 千年も前の骨董品じみたロートル妖魔ですよ? 科学であれば奴隷を積んだガレー船をイージス艦が相手するようなものです。それほどに技術格差が発生しているはずなのです。千年前の怨霊など、鼻歌まじりに殲滅できるようでなければならない」

 

 しかして、現実はどうであるか。

 答えは、黙り込んだ荒神家当主の青ざめた顔がありありと語っていた。

 

「過去を崇めるだけでは立ち行かない。我々は前に進まなければならないのです。より効率的に、より綿密に国民の安全を守るために。そのための公僕、そのための退魔省なのです」

 

 ―――かくして、退魔の大家としての荒神家の隆盛はここに終わりを告げた。

 道鏡によって強引に創られた妖魔発生の空白期間、それを戦力強化にあてられた退魔省と為す術なく足踏みを強いられた荒神家。その上下関係は歴然であり、今後20年にわたって荒神家は低迷期を迎えることになった。

 

 彼らに再興の兆しが現れたのは、荒神の式神術と強力な白兵戦術を駆使する新たな退魔師が生まれてからのことである。

 

 

 

 

 

 ―――播州加古川。のどかな田園が広がる田舎の一角に、一組の家族が越してきた。

 耕地の広がる土地にぽつんと立った、戸建ての大邸宅である。もとは明治大正の頃からこの辺りを牛耳っていた大地主(ヤクザ)が住む武家屋敷であったが、数カ月ほど前に何かから逃げるように離散してしまったという。

 かつては傍らに賭場を設けるほど人の入りが盛んであったが、今はもはや見る影もなく廃れ果て、薬物の売人が会合の場に使うほどにくたびれてしまった。

 元は反社の拠点ということもあり近隣の住民が近寄る機会もなく、このまま荒廃するに任せると思われていた矢先の新家族の転入であった。

 

 家族の内訳は夫婦と幼い娘の家族が一組、そして妻の妹を名乗る歳若い娘だ。

 

 夫の方は言葉少なながらも人当たりが良く、積極的に自治会の寄合や寺社の清掃に顔を出す好青年ぶりを発揮していた。定職にはつかず株の取引で生計を立てているが、将来的に農業を営みたいと語っている。

 

 妻はまたとない美貌を誇る絶世の美女だった。紫がかった艶やかな長髪を腰まで伸ばし、マタニティウエア越しにもわかる豊満な身体つきと淑やかな物腰に、応対する村の男連中は否応なく劣情を催すほどである。

 膨らんだお腹を抱えながら一歳と少しになる娘の面倒を見る姿はまさに円熟した人妻のそれであり、人目を憚らず夫の腕に組み付いてしなだれかかる様子は見本のようなおしどり夫婦のそれだった。

 

 妹は濡れ羽のような黒髪を伸ばした十代の娘である。怜悧な眼差しときびきびした物腰で鋭利な印象を周囲に与えるものの、妻の美貌とはまた違う趣の絶世の美少女といえた。

 妻の方の妹であるらしく、「おねえさま」と慕う姿がよく見受けられた。そのわりに夫の方には素っ気ない態度をとるものの、仲そのものは悪くないのか距離感自体は血がつながっているかのように近いのが村人から見た不思議だった。

 聞けば高卒認定を取るために勉学に励んでいるらしく、もう数か月もすれば屋敷の中で缶詰めになる予定であるという。

 

 

 いささか親密に過ぎる風はあるものの、仲睦まじい家族の姿がそこにあった。仕事に子育てに学業にと忙しない毎日を過ごすうちに、いずれ村に馴染んでいくのだろう―――

 

 

 

 ――――――そうして、彼らが移住してきてしばらくが経った日のことである。

 

 夜、年末も近付いてきた師走の頃。

 瀬戸内海に面した播州で雪が降ることは稀ではあるものの、夜中の冷え込みは身体の芯から凍えさせる。

 移動用に自家用車が生活必需品となっている田舎の地にはコンビニエンスストアすらまばらであり、カラオケやゲームセンターなど若者の好む娯楽など望むべくもない。当然、外の世界に繰り出したところで待っているのは収穫の終わった田畑ばかり。これならば自宅に引き籠ってスマホでも弄っていた方がマシであろう。

 

 とどのつまり、陽が沈んで20時を回れば、道を行き交う人も車もぱったりと気配を失ってしまうのだ。

 

 シンと静まった夜の闇に、風が森の木々を揺らす音ばかりが響く。

 そんななか、屋敷の離れへと続く渡り廊下を踏みしめる女の姿があった。

 

 円城咲耶―――かつては最強の退魔師として名を馳せた、今なお伝説として語られる美女。

 

 突然の失踪から二年を数えようとする彼女は、冷たい床板を素足で軋ませながら離れへと向かっていた。

 向かう先の障子戸は、離れの中の灯りがぼんやりと透けて廊下を照らしている。まだリフォームが行き届いてない武家屋敷である。渡り廊下の途中で頼りなく明滅する裸電球よりも、離れから漏れる光の方がよほど強いのだ。

 現役を退いたとはいえ鍛錬は怠らない咲耶ではあるが、今は万が一の転倒を怖れて手にランタン型の電灯を携えていた。

 

「随分と冷え込みますね……」

 

 ハァ、と息を吐けば真っ白い呼気が立ち昇る。このままいけば深夜には雪が降るかもしれない―――そんな益体もないことを考えつつ、咲耶は障子戸の前で立ち止まった。

 障子戸の向こうは静まり返り、不自然なほど物音ひとつ聞こえてこない。確かに『何者か』がいる気配はするというのに、音だけがくっきりと遮断されている。それは明らかに障子の機能から逸していて、傍から人が見れば不穏な予感を嗅ぎ取っていただろう。

 しかし咲耶は物怖じすることなく障子戸に手をかけると、躊躇わずに開け放ち―――

 

 

「おほぉぉぉっ♡ おっ、おぉぉぉっ♡ んおおぉぉぉおおおッ♡♡」

 

 

 獣のごときメスの嬌声が耳を貫いた。

 

 戸を開けた瞬間、むせ返るほどの淫気と熱気が部屋の中から噴き出した。冬の冷気に晒されて白く色づく湯気は、男女の体液と淫毒が混合して気化した代物だ。たとえ経験を経た退魔師であろうと、僅かに吸い込めば瞬く間に発情した末に満たされぬ淫欲に苛まれ発狂にまで至るだろう。

 戸を開けた先には異界が広がっていた。ピンク色の肉塊が部屋中を覆い、ジュルジュルと蠢いては粘液を滴らせている。

 

「咲耶か。初穂はもう寝入ったか?」

 

「あなた……」

 

 部屋の中央には変わり果てた神守清華の姿があった。

 手足を触手に拘束され宙吊りになり、あられもなく股を大きく開いている。白磁のようであった肌は淫毒と精液にまみれ、発情しきって赤く上気していた。だらしなく開いた唇から舌と涎が垂れ、かつては凛々しかった眼差しもあまりの快楽に見る影もなく蕩けきっている。

 そして―――

 

「もうっ、ずるいわ清華。もう始めていたなんて」

 

「んぉぉっ♡ おねえさまぁ……っ♡」

 

「まったくだ。安定期に入って産科から帰ってきた途端にこれだ。だらしないにもほどがある」

 

「でもっ、でもぉ……っ、もう三か月もおあずけだったんですもの。これ以上なんて無理ですわぁ……ッ!」

 

 頬を膨らませて清華に寄り添った咲耶がその双乳を弄ぶ。数か月前よりもずっしりと重みを増した淫果実。その恥ずかしげもなくコリコリに硬くしこらせた乳首から、ピュウピュウと勢い良く母乳が噴き上がった。

 堕落シスターの下腹部は、男の特濃精液によらぬモノで膨らみ始めている―――

 

「もう体感時間でかれこれ十時間だ。その間ずっと俺を咥えこんで離そうとせん」

 

「まぁ清華ったら。いつもは澄まし顔でヒロキさんのことをなじってるくせに」

 

「んはぁぁぁぁっ♡」

 

 ずぶぅぅぅぅ、と肉棒が蜜の滴る肉壺に深々と突き刺さり、子宮をグニグニと捏ねまわす。新たな命を宿す母となりながらも、狭苦しい肉穴の感度は増すばかりだ。

 恍惚の喘ぎ声を漏らす淫乱シスター。そのいやらしい乳首を不満げに口を尖らせながらつねり上げ、咲耶は自らの寝巻の帯をシュルリとほどいた。

 

 はだけた寝巻の合わせから露わになる女神のごとき裸体。その腹部は清華のそれと比較にならないほど大きく膨らんでいる。

 男は清華を犯しながら目を細めて満足げにその姿を眺め、わかりきった問いを投げる。

 

「予定日は来月辺りか?」

 

「はい。順調だそうですよ……んぅっ」

 

 うっとりとした表情で答えると、咲耶は男の逞しい腕を取り自らの腹に導いた。ボテ腹にくっきりと刻まれた淫紋を男の指先がなぞると、それだけで甘い絶頂感が咲耶の下腹部を駆け巡る。

 道鏡専用に作り変えられた女の肉体は、今や肌を軽く愛撫されただけで痺れるような快感を走らせるようになってしまった。

 しかし身も心も堕ち果てた女退魔師がそれを悔いることはない。愛しい主人の子を産み落とすその瞬間に味わう出産アクメを心の底から待ち望んでいた。

 

「はむっ、じゅるる……んふ、はぶぅぅぅ♡」

 

 男の肩にしなだれかかり、熱い口づけを交わす咲耶。口の周りが涎まみれになるのも構わず、二人は舌を絡め合い歯茎をなぞり吐息を奪い合う。

 それに加え男の太い指先がグチョグチョと淫壺を掻きまわし、そのたびに痙攣とともに愛液がボタボタと滴るのだ。ムラムラと燃え上がる淫欲と充足感。相反する二つの衝動に孕み妻は感極まった吐息を漏らした。

 

「もうっ、おねえさまばかり構って……っ!」

 

「む……」

 

 清華が動いた。

 可愛らしく頬を膨らませた黒髪の美少女が、宙吊りにされたまま満足に動かない腰を懸命に蠢かす。貪欲に男の肉棒を頬張った肉壺が、涎を垂らしながら雁首をしゃぶり上げた。

 

 ―――ずちゅぅぅぅぅ。

 

「くひぃぃぃぃっ♡ ひ、ひぃっひぃぁあぁあああああっ♡」

 

 ―――しかしその強がりは一瞬のこと。気を取り直した男が改めて子宮を小突けば、たちまち強気も崩れ去り快楽にむせび泣く。だらしなく緩みきった清華の口元に舌を這わせ、男が耳元で囁いた。

 

「欲しいか?」

 

「――――――っ♡」

 

 何が欲しいのか。

 決まっている。敗北し屈服し堕落した雌奴隷が欲しがるものなど、ただ一つしかない。

 

「ほ……欲しいですわぁっ♡」

 

「何が欲しい?」

 

「精液ぃっ! 旦那様の熱々で濃厚なザーメンが欲しいですのぉっ♡ 今まで散々焦らされて、わたくしもう、もう……ッ!」

 

 躊躇なく懇願の叫びを上げるボテ腹シスター。待ち受ける法悦への期待に唇を歪め、卑猥な言葉を駆使してお情けを乞う姿に、男はニヤニヤと笑みを向けると、

 

「そうか。なら―――全身で受け止めろ」

 

「んぉお゛お゛お゛お゛おっ♡」

 

 じゅぽん、と間抜けな音を立てて極太肉棒が引き抜かれる。清華の愛液でテラテラと光を照り返す雄棒は些かの衰えもなくそそり立ち、大きく痙攣したかと思えば―――

 

 

 ―――爆発。

 

 

 そうとしか思えない勢いで白濁を吐き出した。

 

「あへぇぇぇぁぁぁっ♡ イグイグイグイグゥゥゥっ♡ 熱いのかけられてイってますのぉぉ゛ぉ゛♡」

 

 ぶちまけられる白濁精液。わずか十数秒でポリタンクを満杯にする慮外の精液量が、ひとりの女に向けて発射されたのだ。紅潮する肌も、母乳を噴く美乳も、艶やかな黒髪も、何もかもが白濁にまみれた。

 極上の催淫効果を持つ男の精液が惜しみなく乙女の肌に吐きかけられ、清華の理性は呆気なく決壊する。

 蕩けきったアヘ顔で「イクイク」と連呼しながらアクメを繰り返す奴隷シスター。その顔は淫靡な幸福に浸り切り、かつてあった誇りも使命も見て取ることができない。

 

「あぁ……あなた。わたし、もう……っ♡」

 

「わかっているとも。なに、時間はたっぷりとある……」

 

 そして陶然と絶頂に浸る清華を傍らに置き、男は妻を押し倒す。ほどなくして肉のぶつかり合う音と獣のようなアクメ声が肉部屋に響き始めた―――

 

 

 ―――かくして、二人の退魔師の末路は定まった。

 無辜の人々のために彼女らが立ち上がることは二度とない。

 そのなれの果てはある意味、世界の大敵となりかねない男を抑え込むための人身御供。彼女らはその役目を立派に果たしたといえよう。

 果てのない淫獄の日々に埋もれながら、二人は嬌声を上げ続ける―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――数か月後。北米大陸西部、アリゾナ州のとある辺境にて。

 

 物寂しい荒野のど真ん中、日に数度自動車が傍らの道路を過ぎ去れば盛況といえるほどのド田舎にて、道鏡は数人の集団に囲い込まれていた。

 

「…………」

 

 前後左右、全てを塞がれている。囲った集団はたった五人と少数なれど、容易く突破できる相手ではないと道鏡は察していた。

 なぜならば―――

 

 

「案外簡単に釣れましたのね。ちょっとだけ拍子抜けですわ」

 

 不敵な笑みを浮かべて黒髪の女が挑発する。

 巫女服を模したラバースーツ。リンゴ飴のように美巨乳を強調する赤い胸部と、破廉恥なハイレグから覗く白い太腿が悩殺せんばかりに男の目を焼く。

 指の間に挟んだ符からは禍々しい瘴気が立ち昇り、いつぞやよりも強力な式神を従えていることが窺えた。

 

 

「あはは……流石に卑怯かもだけど、こうでもしないと勝てないからさ」

 

 金髪をポニーテールに結んだ女剣士が苦笑いを男に向けた。

 動きやすい鎖帷子と要所を守る金属プレートで構成された独特な衣装を纏い、袴じみた下衣でスラリとした脚部の動きを阻害しない構成。五人の中では控えめながらも十二分に巨乳といえる胸が、鎖帷子をツンと突き上げて自己主張している。

 手に携えているのはふた振りの日本刀。扱いに慣れた様子で隙なく構える姿は紛れもなく手練れのそれである。

 

 

「お久しぶりですわ、『ご主人様』。ずいぶんと捜したんですのよ?」

 

 含みのある言い方で微笑みかけるのはこの中で最も巫女らしい装いの女だ。

 ゆったりとした着物と帯で豊満な肉体を抑えつけ、しかし巫女袴は用いずミニスカートじみた着こなしと白いニーハイソックスでむっちりとした太腿を強調している。姫カットにそろえた黒髪から覗く瞳はおっとりとたれ目がちで、一見すれば荒事からは無縁の人間のようにも見えた。

 しかし手に重ねて持つ札は強力無比な気配を放つ。万全の詠唱を持って力を解放すれば、その清浄なる力は山をも砕く暴力と化すだろう。

 

 

「外法退魔師、道鏡! あなたには教皇庁から指名手配がかけられているわ! 大人しく同行しなさい!」

 

 釣り目がちな美貌を強張らせて声を張り上げるのは赤毛のシスターだ。

 修道服を模したラバースーツに変わりはない。しかしぴっちりとしたスーツを押し上げる美乳から硬くなった乳首までありありと浮かび上がる様は、相も変わらず衣服の様相をなしていない。大きく切り上がったハイレグの下からは、下腹部に刻まれた淫紋が隠し切れずに覗いている。

 手に持つ得物は蛇腹剣。イバラの姉妹の最新技術を結集して鍛え上げたこの退魔兵器は、刃節の一つ一つが天使の振るうがごとき神威を秘めている。

 

 

 そして―――

 

 

「この人が道鏡ぅ? なぁんだか冴えないモブ男じゃない」

 

 嘲りの声を上げる最後の一人。

 桃色の長髪をサイドテールにした、いまどきのギャル風な雰囲気の少女だった。イバラの姉妹から支給されたであろう最新の修道服を模したラバースーツで身体を覆い、軽侮の瞳を隠しもせずに男に向けている。

 何よりも目を引くのはその双乳であろう。円城咲耶にも劣らない巨大な果実は、しかし鍛え上げた肉体によって垂れることなくツンと張り出し上向いている。腹筋の薄く浮いた腹部とはち切れんばかりの太腿をみれば、彼女がその恵まれた肉体を駆使して縦横無尽に動き回る遊兵であることは見て取れた。

 一応の武器としているのは右手に片手鎌、左手に忍刀。しかし侮った態度を露わに鎌の刃を舐める仕草を見るに、得物そのものにこだわりがあるタイプではないのだろう。

 

 

 ―――紛れもなく、現イバラの姉妹に出せる最高戦力。そのうちの五人までを道鏡討伐のために繰り出してきたのだ。

 

「――――――」

 

 当の道鏡は無言。

 ねめつけるような目つきで五人を見回し、大仰に鼻を鳴らした。

 そして口許を引き攣るように歪めて、

 

 

「帰ってもいいですか?」

 

「「「「「ダメ!!!」」」」」




道鏡
地元の産科が遠いことに頭を悩ませている。
いっそエロファンタジーあるあるの苗床出産エンドを参考に、肉塊くんに産婆をさせることを真面目に検討中。肉塊くんは強く生きて欲しい。
おびき寄せるのは割と簡単。どこかで『道鏡の後継者』が暴れていると偽情報を流せばいい。そしたら血相を変えて噂の元を叩き潰しに駆けつけてくる。
なおその後その場所にはぺんぺん草も残っていないものとする。
嫁が二人もいるだなんて大変だなぁ。二人でこれなのにハーレムつくる野郎の気がしれないよ、とは満ち足るを知る絶倫男の言である。

円城咲耶
第二子出産が近い。
自分と清華が懐妊中、夫が欲求不満を募らせていないかと心配している。あと五人くらいの側室は容認する予定。
産後追いついたらウェディングドレスを着て家族で結婚写真を撮りに行きたい。

神守清華
第一子は道鏡の第三子となる予定。
神守流の再興は諦めていない。
肉体は衰えないとのことなので、いずれ子供が望むなら奥義を伝授するつもりでいる。それまで鍛錬は怠らない。
なので最低でも五人は子供を作っておきたい。
自分と咲耶がいれば他に女は要らないのでは、とひそかにやきもきしている。ちゃんと優先順位を付けて構ってくれるなら……というスタンス。

リーゼ・ヘルデブランド
今回の道鏡討伐に真っ先に立候補した女。マスティマート討伐の英雄。
あれだけ無茶苦茶やっておきながら一年以上欧州に顔を出さなかった道鏡にキレている。
ただ、マスティマートの件で恩を感じているので、大人しく連行されてくれるなら無体をする気はない。
むしろローマにつくまでの宿でこっそりと二人きりの時間を作って……なんてことを考えている。

荒神光流
念願かなって淫紋が5段階に突入した。これで「壊れるから素股だけな」とは言わせない。
今回の偽情報作戦を提案した黒幕。
荒神家で成り上がるため、そして荒神家を退魔界で繁栄させるため道鏡の子種を狙う。
実は道鏡を囲んだ時点で他の四人に隠れて別の式神を伏せさせている。
道鏡を無力化したあと、非致死性の麻痺毒を式神に撒き散らして四人を昏倒させ道鏡を拉致。前もって確保していた宿でお楽しみをする予定だった。

謎のAさんとSさん
気が付けば淫紋のおかげでマルチリンガルと化した二人組。翻訳の仕事で食っていける。
異世界基準の身体能力+淫紋の身体活性の影響であっという間にイバラの姉妹で成り上がった。
実はシズルさんの手によりこの待ち伏せポイントの周囲に護符が仕込まれている。
道鏡を無力化したあと護符が起動し結界を形成。他の三人を閉じ込め、アスカさんが道鏡を担いで戦域を離脱。適当な宿に入ってお楽しみする予定だった。

霧月姫丸
割りのいいバイトのつもりでやってきた助っ人イバラの姉妹。メスガキ系くノ一
いつもは通学している学園の地下水道で淫魔と戦っている。
全ヒロインで推定最年少でありながらトランジスタでグラマラスなスタイルは他の引けを取らない。
霜月の里における百年に一度の天才であるが、自慢の忍術を振るう機会がなく淫魔相手に鬱憤を晴らす日々を送っている。そんな時に降って湧いた対人依頼に柄にもなく血が滾っている。情けない顔で命乞いしてみなさいよ。
なお、仲間のうち三人が裏切る気満々であることには気づいていない。






これにて終了。今までお世話になりました。
最後におまけでこの五人の末路を書くかもしれないけど、いつになるかはわかりません。
それでは皆様、これまでお付き合いいただき誠にありがとうございました。
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