私は一度死んで人権がないらしい。あの大砲女が言った。
それを言われて真っ先に思ったのは「生きていた頃も人権とかなかったな」だった。
私はただのおじさんだ。若かりし頃の面影はもうない。
だからこそ、紙切れに書かれた自分の能力を見た時唇を吊り上げた。
自嘲ではない。これは心の底からの笑い。
これを上手く使えればきっと、いい夢が見られる。
この世がクソだったならばあの世はボーナスゲームだ。
楽しませてもらおうじゃあないか。
黒ずくめの男に連れられて対戦相手と対峙する。
1stプログラム。それはルール無用のタイマンバトル。
目の前には若いぴちぴちのJKと思しき女性。
金色の髪が風に揺れている。赤目の力強い瞳がこちらを捉える。
ああ、女性に見つめられるなんて何年ぶりだろう。
興奮しないはずがなかった。
「やあ、こんにちは」
できる限り友好的に笑ったつもりだった。しかし、相手は引き攣った表情だった。
いつもこうだ。こっちが少しでもコミュニケーションを取ろうとすると相手は拒絶してくる。
はらわたが煮えくり返りそうだった。
私は何も悪くないのに。
「1stプログラムを開始します」
アナウンスが地下駐車場のコンクリートに響き渡った。
目の前の女性が構える。その構え方からして喧嘩には慣れているのだろう。能力を持たない状態で対峙したならば運動不足でビール腹でぼよぼよなこの体では負けるのは目に見えている。多少無謀な賭けだがやるしかあるまい。
「ええい、ままよ! 5!」
「4!」
大きな声でカウントダウンを開始する。その声に女性はびっくりとしたが警戒の姿勢を崩さない。
3
2
1―――
『BATTLE START』
おじさんは終わった人生の中でも出したことの無い精一杯の声で叫んだ。
「ゼロ! オラ! 催眠!」
「え、あっ ……」
「やったか?」
つい死亡フラグを吐いてしまうおじさんであったが、あたらなければなんとやら、能力が効いているか警戒して用心する。
女性は固まったまま動かない。
ただ、こちらを警戒して構えているというわけではないようだった。
彼女の目には先ほどまであった闘志という感情が失われているように見受けられた。
「右手上げて」
おじさんが指示すると彼女は右手を挙げた。
「左手上げて」
両手を挙げた。
「右手下げないで左手下げて」
左手だけ下げた。
こちらの言うことを本当に聞く。どうやら本当に催眠にかかっているようだ。
万が一演技という可能性もある。石橋を叩いて渡る。これが男としての人生の教訓だった。
「パンツ見せて。あと返事して」
「…… はい」
彼女はスカートをたくし上げてこちらに見せる。初対面の相手にパンツを見せようとする正常な人間はいない。これで確信した。彼女は催眠にかかっている。
「やったぞ、やったんだ」
おじさんは喜びを嚙みしめながら、彼女の後ろに回り込んだ。
「これから私に何をされてもこれは当然のことなんだ」
「…… はい」
返事を聞いてからおじさんはJKの胸を揉みしだいた。
「う、くっ」
彼女の口から空気が漏れる。こんなことをされたらただじゃ済まないだろうし、少なくとも苦痛に顔を歪ませるはずだ。しかし、彼女は何一つ顔色を変えず、ただ息をしているだけ。
「これは…… 当然のこと」
JKは自分に言い聞かせるようにつぶやく。その間も彼女の豊満な胸が上下左右へおじさんの好みの方向へと揉まれていた。
「そういえば、君の名前なんていうの?」
「優利」
彼女は抑揚のない声でしゃべる。
「上の名前は?」
「天翔」
「へえ、天翔優利ちゃんね」
「優利でいい。それ嫌いだから」
どうやら絶対に嫌なことは拒絶するらしい。いや、これは深層心理で拒絶してるからか。
「へえ、胸揉まれるよりも嫌なことあるんだ」
「…… これは当然のことだからだろ」
訂正。自分のした命令を忘れてた。
「そうだね、『胸を揉まれるのは当然』だったね」
このまま降参させてもいいのだけど、制限時間が見当たらないあたり、もう少し楽しませてもらおうかな。せっかくの2人きりだし。
「うひゃあ、こんなの初めて」
優利の服のボタンを外して彼女の上着を脱がす。腕のあたりで服が引っかかる。
「めんどくさいな。優利ちゃん。僕の言うことは従うのが当然だよ。服全部脱いで」
「…… はい」
彼女のうなじが見える。彼女の白い背中が見える。スカートが落ちてパンツが見える。
ブラのホックが外されて落ちる。最後に残った靴下は足を上げて脱ぐ。靴も床に転がる。
「……」
前に回り込む。先ほどは警戒して構えていた彼女が生まれた姿のままの姿で目の前に立っている。
「そういえば …… 君の能力ってなんだったの?」
先ほどの戦闘開始前の空気を思い出してつい聞きたくなってしまった。
彼女はその質問にゆっくりと、だが何のためらいもなく答えてくれる。
「身体能力を …… 5倍にする …… 能力です」
「へえ、ちょっとやばかったね」
こんなへなちょこおじさんなんか瞬殺じゃんか。
下半身に集中していた血が少しだけ引いた。
「けど、こうなっちゃったら、おしまいだねえ!」
おじさんは優利を押し倒した。
「ベッドが無いのが少し残念だよ」
直接触れる柔らかく張りのある乳房。
唇を貪りつくしても顔色1つ変えない。
「ほらほら、どうしたの、君の大切な場所全部奪っちゃうよ」
おじさんは唇をゆがませて、優利に馬乗りになって、上から感動を噛みしめた。
「これが支配! 生きてた頃には感じられなかった カ・イ・カ・ン」
腰を動かして衝動のままに熱くなったペニスを優利の穴にぶち込む。腰を振って初めての交わりを噛みしめる。
「ふ、ふ、ふー」
「ん、ん、ん」
おじさんの荒い息遣い。
それと対照的に何も感じていないように優利は口を半開きにして虚ろな目で天井を見たままだった。彼女からは空気が漏れる音が出ているだけ。
「サイコー、でもなんかキツイな。あっ、濡れてないからか」
こういう場合は快感を感じるのが一番と聞いたことがある。
「ねえ、気持ち良くなって。僕のペニスが動く度にどんどん気持ち良くなるんだ」
そう言っておじさんは腰を振る。
「ん、んんっ、あっ、あん、く、あ!」
そうするとだんだんと優利の声に色っぽさが出てきた。それと同時に中の滑りが良くなってきた。
「くっ、もっと、もっと、頂戴!」
優利は恍惚とした顔でこちらにねだってくる。
「あ、はっ、優利ちゃん、いい、いいよ!」
おじさんの動きに優利は合わせて自ら腰を振り出していた。それが的確で、おじさんの快感を刺激する。あまりにも気持ち良すぎる。
「こういうこと …… 前もやってたの?」
その言葉に優利は首を振る。
「いや、けど、クソ婆が、やってるの見てたから。けど …… こんなにも気持ちいいなんて、あん、ああっ!」
子どもの前で行為をやるとは親もいい度胸してるなあ。少しだけ彼女におじさんは同情した。
「けれど、気持ちいいってことは、君にも素質があるんだねえ!」
彼女の体は、間違いなく喜んでいる。親の血だろうか。でも、そんなのは関係ない。今、目の前にいる天翔優利という女は自分のものだ。
「大好きだ。優利ちゃん」
これからは俺の都合のいい女でいてくれ。
「いくぞ、ふん、ふん!」
腰が震える。唇を食いしばる。
「ああ、来て、ああ、」
「い、イク、う、うう!」
全てが解放される。どびゅどびゅと男の下から湧き出てくる。
「う、ああ、あああああ! きたきたきたあああ!」
顔を赤らめてついさっきまで知らなかった男と交わっている。
これはこの催眠術の能力によるもの。
最高だな。
「フフフフハハハハハ!」
今は感謝しよう。この実験を開催してくれた主催者に。
降参を言わせてから彼女の催眠を解いた。だけど、合図をするとすぐ自分の言うとおりになるように暗示をかけておいた。
「1stプログラム終了です」
黒ずくめの男が優利を連れ去るころに、催眠が解け虚ろな瞳に光が宿った。
彼女は何も覚えていない様子だったが、何か怪訝そうにしていた。
天翔優利はもうおじさんの操り人形だ。
「よろしくね。優利ちゃん」
おじさんは舌なめずりをした。
『只野叔父三(タダノオジサン)』
『催眠術師』
あなたの能力は『5まで数えた後にゼロと言うことで催眠にかける』能力です。
次回更新は8月25日の予定です。