最初は必死すぎてわからなかったが、おじさんの能力には条件があるらしい。
それがわかったのは1stプログラムが終わった後の待機時間のことだった。
2stプログラムまでまだ時間があるので先ほど食べなかったカップヌードルを手に取る。筒状の手に持てるサイズ。仕事の休憩時間に立ちながら食べられるそれはおじさんの現世での数少ない至福の時間だったと言えた。
あのお先真っ暗だった人生と違って今は希望に満ち溢れている。カップヌードルを握る手のひらに残る女性の胸のやわらかさ。目の前の女性がいきなりいいなりになって腰を振ってくれた征服感。思い返すだけでニヤニヤが止まらなかった。
今すぐ食べたいがお湯を注いで3分待たなければならないのがもどかしい。1分くらいで食べてもいいが、硬すぎて食べた気がいつもしない。
「そうだ、試してみるか。減るものでもないし」
催眠で都合のいい女が出来上がるなら、都合のいい時間に完成するカップヌードルがあったっていいはずだ。
能力を書いた手紙には人間限定とは書いてないしね。
「5、4、3、2、1、ゼロ! 催眠! あれ?」
特に変化なし。
「やっぱだめかあ」
がっくりと肩を落とす。
素直にお湯を沸かそうと座った体に力を入れかけた。
「いや、待てよ」
おじさんはあの時の状況をゆっくりと思い返す。いけなかったことをあーだこーだ悩むのはおじさんの専売特許ではないか。いつもはそれでチャンスを逃すんだけどね。
今は時間がある。ゆっくり考えよう。
「右手上げて」
優利ちゃんに放った言葉をカップヌードルに向けてそのまま放つ。しかし、目の前のカップヌードルはぴくりともしない。
「あ、右手がないならできなくて当然か」
阿呆である。もうボケてきたかな。そんな歳じゃないはずだけどなあ。
仮に催眠にかかっているならば今は待機状態。命令すればその通りになるはず。しかし、物理的にできないことはできないらしい。
気を取り直しておじさんはカップヌードルに対して命令した。
「お湯を入れて3分経て」
緊張の瞬間だった。
「流石に質量保存の法則とかそうやすやすと超えるわけ …… ってアツッ!」
急に熱くなって驚いてしまったがやけどするほどの熱さではない。むしろちょうどいいくらいだった。いつもお湯を注いで3分経ったあとの熱さ。その熱でもこもこになった容器の感触。成功だ。
「おうふ、すごい」
包装のビニールも何も外していなかったので一度机に置きびりびりとビニールを破く。そして、ぺりぺりと蓋を剥がすとともにカップヌードルの湯気が立ち上るという貴重な体験をした。中には食べごろになった麺の姿が確認された。
「いただきます」
割り箸を持つ。割れた状態にするように催眠をかけようという思考が頭をよぎったが割ったほうが早いことにすぐ気づき割る。
バニラチリペッパーのにおいが鼻孔を突き抜け、喉から胃の中に入っていく。
明日は何をしようか。期待と希望がおじさんの中には満ち溢れていた。
2stプログラムの時間がやってきた。
黒ずくめの男に部屋から連れ出されると5人同じ部屋に押し込められた。
説明によると5vs5のチーム戦をこの2stプログラムではやるみたいだ。
そのチームの中には優利ちゃんがいた。
こちらを見て少し不機嫌そうな顔をしている。おじさんは優利ちゃんに扉の前でささやいた。
「優利ちゃん、なんでも言うこと聞いてね」
その瞬間、彼女はピクリと反応する。
「あ …… はい」
瞳から意思の光が失われ虚ろな目で返事をする。
「よし、後催眠いけるんだ」
この能力、かなりの持続時間があるようだ。おじさんは小さくガッツポーズをする。
股間が熱く、そして固くなった。
控室の中は10畳ほどの畳だった。真ん中に5人が囲んで座れる大きさのちゃぶ台が鎮座していた。
「5人でチームってわけやな。よろしく」
猿みたいなおやじが場を取り仕切る。ここには優利ちゃん以外野郎しかいない。もちろん優利ちゃんは隣にいるように命令してある。
それぞれの自己紹介の名前はおじさんの耳の右から左へちくわの穴の中を通るように突き抜けていった。
「チーム戦ならお互いの能力を知っとかないけんわけやな」
猿おやじはコインを取り出しハンカチサイズの布にして見せた。
「わいの能力はコインを布に変える能力や。大きさは結構自在に変えられる」
「つかえな!」
ひらひらと布を振る猿おやじについ本音を吐いてしまう。
「おいおい、そういうあんたの能力はなんなんや」
「うっ ……」
おじさんは能力を明かすかどうか迫られて頭を高速回転させる。ここで素直に催眠術が自分の能力だと明かしてしまえばおじさんの能力はその性質上無力になる。優利ちゃんのような手駒となるような人物が少ない現時点では能力を明かすという行為は悪手でしかない。
そんなとき、おじさんの脳内に電流が走る。ひらめいた。
「ああ、口で説明するより見てもらったほうが早いかな。さっきの布、ちゃぶ台にかぶせるくらい出してもらえないかな」
ほんとは野郎とあまり話したくないのだけど、これからの計画のために必要だ。仕方ない。
「お安い御用やで、ほれ」
猿おやじは新たにコインを取り出すと赤い布をちゃぶ台に綺麗にかぶせた。
「最近少し寒いからね、暖めよう」
5人の膝が入った布の中に顔を突っ込む。そのときに優利ちゃんの太ももがおじさんの顔に触れた。思いっきり避けられる。おじさんちょっと傷つくなあ。しかし、おじさんの隣に座るという命令は有効なので優利ちゃんは離れたくても離れられない状況だった。
おじさんは優利ちゃんの太ももを肌に感じながら言葉を放つ。
「5、4、3、2、1、ゼロ。お前は暖かいコタツになれ」
そう言うとちゃぶ台の中心から熱が伝わってきた。どうやら上手くいったらしい。
「私は息を吹きかけた空間を暖かくする能力です。これでこのちゃぶ台はコタツになりました」
「おお、これは助かるやん。最近寒い日が続いてたからなあ」
とてもみんなに好評を博した。
なんとかこれでごまかせただろうか。
後の能力は優利ちゃんの身体能力5倍の能力。棒切れを剣にする能力。2秒間無敵になる能力だった。それから関西弁の猿おやじが場を取り仕切っているので作戦とかはそっちに任せることにした。あんまりしゃべりすぎるとおじさんみたいなコミュ障はボロが出るからね。
しかしながらそうすると少し暇だ。隣にはぴちぴちのJK。ズボンの奥でおじさんの狂暴なそれが暴れている。これを落ち着かせたい。かといって男3人がいる以上1stステージの時みたいに押し倒すわけにもいかない。
悩んでいるとまたしてもおじさんの脳内に電流が走る。おじさんは部屋から持ってきた紙にペンを走らせると優利ちゃんだけに見えるように文字を見せた。
彼女は虚ろな目でその文字を確認すると、無言でコタツの中に左手を突っ込んだ。
そして、その先にあるのはおじさんのズボン。
優利ちゃんの手がおじさんのズボンを開け、パンツからおじさんの逸物を取り出す。
彼女にした命令は「3人にバレずに手コキしろ」だった。どうやら命令は口頭じゃなくても文字でいけるようだ。
ひとつ勉強になったなーと思っていると優利ちゃんの手が上下に運動し始め、快感が突き抜ける。
おじさんが感じてる間に優利ちゃんは話題を振られて答える。まさか思いもしないだろう。こうやって作戦を練っている間におじさんは美少女JKに気持ち良くしてもらっているなんて。羨ましいだろう。
おじさんは胸が優越感でいっぱいになった。
「わしの能力でおおきな風呂敷で敵を包んで蒸し風呂作戦とかどうや!」
「それは手間がかかりすぎるんじゃないのか」
猿おやじの無茶苦茶な作戦に優利ちゃんが首を傾げている間も彼女の左手はおじさんのペニスを握りしめて上下運動を続けている。
おじさんの息が荒くなる。どんどん快感が高まってくる。
気を抜いたらすぐイきそうだった。
まだこうしていたい、そう思う度に我慢する。
その度にペニスがぴくぴくと波打つ。
波打つ度に優利ちゃんはこっちを見てくる。意思のない瞳からでも伝わってくる嫌そうな視線。一瞬彼女の顔が嫌悪感に歪む。
これはこれで無理矢理やらせてる感じがして興奮する。そこにバレるかバレないかその緊張感がおじさんの快感を押し上げた。
おじさんの股間がうずく。ただでさえコタツで熱くなったあそこが暑い。
イく寸前だった。上下運動を激しくさせるように文字に書いて命令する。
「う、く、はあ」
さらに口頭で追加の命令。
「手で包んで、優利ちゃん」
小さな声で命令する。すると、やわらかい手の平がおじさんのペニスを包んでくれた。
「うっ、出る」
びゅ、びゅるるるる。白い液体が優利ちゃんの手の中で爆発する。みんな暖まっている中でこんなことをしているなんてみんな夢にも思わないだろう。
ああ、催眠術、最高。
少し落ち着いてから優利ちゃんには手の平をコタツとして機能している赤い布で拭いておくように命令し、ペニスにこびりついたものも赤い布で拭わせた。
「2stステージ参加者は来てください」
控室の扉が開かれる。
確認はしていないがもうおじさんの白い液体はカピカピに乾いている頃だろう。立ち上がった優利ちゃんの手の平に拭いきれなかったそれが反射して輝く。
優利ちゃんはおじさんだけのものだからね。
おじさんは5人の1番後ろで下衆な笑みを浮かべていた。
かなり閲覧していただけたので作者のモチベが上がり、カップ麺に催眠かけるので尺を取ってしまった(これだけみたら何言ってるんだろう)のでもう少し続きます。
多分もう2話くらい続くかも。
次回更新は9月8日(水)予定です。