「はぁ……また月曜日だ……」
秋風吹く、澄んだ青空を横目にパジャマ姿に身を包んだ少女は溜め息を吐いた。
伊里愛 玲里。
地元の青明高校に通う3年生の女子生徒だ。
この高校には玲里の他に、3つ子の姉2人も一緒に通っている。
長女の伊里愛 琉奈と次女の伊里愛 桜花。
3人は昔から多少の嗜好の差はあれど何事も一緒に行動してきた。
あらゆる楽しさも悲しさも3人は共有してきたのだ。
………1つだけ共有出来なかった苦しさがあったが。
「だめ…っ!」
余りに迎えた月曜日が嫌なせいか、玲里はその事を考えかけようとしたが、必死に首を振り、過ぎた事だと考えないようにした。
「桜花お姉ちゃんだってあの事を忘れて頑張ってる!。なのに私が桜花お姉ちゃんの心配してどうするの!」
パシパシっと自分の頬を叩いた。
あれから2年、姉の桜花は前を向き日々を懸命に生きている。
当の本人が頑張ってるのに高々月曜日が来たぐらいで落ち込む自分に嫌気が差す。
その時後ろで足音が聞こえた。
この家で18年過ごした彼女はその足音の主にすぐ気づく。
玲里の心臓がバクバクと高鳴る。
「玲里〜。人の名前口にして何を気合い入れてるのかなぁー」
真後ろから伸びる人差し指が玲里のほっぺをツンツンと突付いた。
「お、桜花お姉ちゃん!」
「…ぷっ、あははははははっ!」
驚き、慌てて距離を取る末っ子を見て桜花は笑い、赤面してたじろぐ玲里に近づき頭を撫でた。
「気遣いありがとね♪玲里」
優しい声音で告げられた感謝の言葉に思わず玲里の肩の力が抜ける。
目の前にいる少女は、自分と顔つきが似ているが行動力や精神力には雲泥の差がある。
長女の琉奈もそうだが玲里は何度2人を見習おうとしたか数えられない。
玲里から見て2人の姉は自分と比較出来ないぐらいに強かった。
自分が桜花の立場であれば……人生に絶望し殻に閉じ籠っていたかもしれない……。
あるいは自死を選んでいたか……。
「…桜花お姉ちゃんに褒められる資格なんてないよ。私は弱いし」
あぁ、こういうところだ。
人前ですぐ弱音を吐き、目が赤く染まってしまう。
ギュッと拳を握り頬を涙が伝った。
「どうして?。玲里は私より頭もいいし優しい。あの件を自分の事のように考えていっぱいいっぱいになっちゃったのね」
コクリと力なく妹は頷いた。
この子が気負うことないのに……真面目な子なんだから。
罪悪感に苛まれる玲里を桜花は優しく抱きしめ諭すように話した。
「あれはね、どうしようも出来なかったの。私やそー君の力じゃね……」
「………一種の運命だったと言うの?」
「そうだね最悪な……。でも私はあの出来事があって良かったと最近思えてきたの」
「どうして……!?。あんな酷い目にあったのに……?」
目を見開いて必死に玲里は問いかける。
「あの出来事事態は最悪だよ。けどそのおかげで私は姉妹や家族の強さを知れた。お父さんやお母さんは勿論、琉奈も玲里も私に必死に生きる力を与えてくれた………」
照れくさくなったのか桜花は顔を下に向けながらひっそりと告げた。
「本当に感謝してるからね玲里。生きる大切さと尊さを教えてくれてありがとう」
玲里を抱きしめる桜花の目にも涙が浮かんでいた。
「力になれたなら良かった……!。私こそ立ち直ってくれてありがとう桜花お姉ちゃん!」
互いに涙を流しながら2人は暫くの間抱擁しあった。
「全く……これでは朝ご飯が出来ましたよ。と呼ぶ事も出来ませんわね」
玲里の部屋の前に来た琉奈の姿に2人は気づいていないようだ。
フッ、と笑いながら琉奈は部屋を後にした。
彼女らはまだ日常が非日常に起き変わったのを知る
これの他にも同じ世界観の小説を何個か書きたいなぁー。