「着替えましたわ……」
「結構。身だしなみは重要だぜ。挨拶からお別れまで人生の様々な場所で大切となる」
黄色いシャツに黒いスカートを纏った彼女の姿を見て感心し、ふと思い出が蘇った。
そういや私を倒そうとした
あの馬鹿と同じ風翔龍の装備も、あれが当時の奴等の最強の装備だったんだろう……こっちから見れば鼻で笑うぐらい貧弱な装備だが。
例え古龍の装備だろうが、飽く程いる草食竜共の装備だろうが私の前では等しく灰になる。
変わるのは死ぬ時間だけ、結果は同じだ。
それでも装備はソイツの
殺すだけじゃあつまらないから私は個性に彩られた装備を数え切れないほど目にした。
攻撃的な赤色にする奴、落ち着いた青色にする奴、自身の腕を誇りたいのか金色にする奴……。
中には虹色の奴もいたな………。対して他の色の奴と強さは変わらなかったが。
その他にも様々な装備で色んな彩色を施した奴がいたもんだ。
皆私が殺したが。
「あやうく素っ裸で死にかけましたけどね」
口に出すのも悍ましい目にあった娘とは思えないような軽口だった。
気丈なのか、鈍感なのか……。
その答えを見つける方法をバルカンは知らない。
「ふん、確かにそうだな。危うくこの世に生を受けた時の姿で死ぬ寸前だったわけだ」
「ぁはは。まぁ、そうですね。恥ずかしいですが……」
言葉にされて恥ずかしさが増したのか、琉奈は顔を赤らめ頭をかいた。
「ちょっと失礼」
「え、何を……!」
言いながらバルカンは琉奈の首筋に……鋭い牙を立てた。
「ひっ……!」
「大丈夫。痛くないから」
何かを飲んでるかのようにバルカンの顔が動く。
この状況からして何を飲んでるかは容易に想像出来た。
琉奈の血だ……。
「……はぁ。旨かった」
顔を離し、血が付着した唇を拭いた。
「びっくりしましたわ……。バルカンさん今の行為には何の意味が?」
「ん、お前らが喉乾いたら水やジュース飲むぐらいの行動だよ。まぁこっちは人の身体だから味の他に色んな情報が得れるけどな」
腕に付着した血が凝固せずそのまま彼女の肌に吸収されていった。
錆爾の言葉通り彼女は人間ではないようだ。
本当に
「例えばお前は今日処女を喪失した。あのクソ野郎に犯されて」
「…………」
暫く静寂が場を包んだ。
下を俯く琉奈の目から大粒の涙が溢れる。
錆爾が自分を犯す光景がフラッシュバックした。
………桜花もこんな怖い思いをしたのだろうか?。
自分よりも2つも歳が小さい時に。
「おっとデリカシーに欠けた発言だったかな?」
「…はい、最低です。助けて頂いた事は感謝しますが………これ以上貴女の顔を見ていたくありません。出てってください」
「構わないけど、お前の下の妹殺されるぞ。2番目の妹に」
「なんですって!」
長女に危機を告げたバルカンの顔は笑っていた。
まるで状況を楽しんでるかのように。
「私がお前に興味を抱いたのも何かの縁だろう。少し手を貸し教えてやるよ。この世界に何が起きたかな」
「待って!」
部屋を出たバルカンの後を琉奈は追いかけた。
妹達とこの世界に何が起きたか彼女は知りたかった。