The Works of Black Bird ~Ventangle二次創作~ 作:Reyo
手頃な廃ビルというのは堕天特区にありふれたものだ。企業間、教団間の抗争で建物ひとつが廃棄されるのは珍しくないし、そもそもがスラムや宵闇区などという違法建築と産業廃棄物の集合体が存在するのだから。
銃を突き付けての尋問、という悪癖に溺れかけていたブラックバードをキリカが諭して廃ビルへの連行を提案したのが0時半過ぎ。そこに生き残ったチンピラを連れ込み、銃を片手に質問タイムと洒落込んだのが1時を少し回った頃だ。
遠距離を見張れるキリカがビルの屋上に陣取り、その下でブラックバードが丁重におもてなしという段取りである。
銃を文字通り舐めさせられたチンピラが口を割るまでに掛かった時間は10分足らず。結果として2人が手に入れたのは件の組織に雇われている用心棒の名がスノウであること。そして彼女が氷を操る魔術に長けていること。
特に価値の高い情報は、スノウが組織に直接雇われているわけではなくNFFからの派遣であると判明したことだろう。直接雇われているのでなければ、ターゲットを処理した後に刃や弾丸ではなく談話をもって解決することも不可能ではないからだ。
その他にも、スノウが惚れた相手を凍死させて保存するという高尚な趣味の持ち主であると判明したりしたが、それはそれ。
尋問を終えた後、後顧の憂いを無くすために「まるで濡れないけど、これも仕事だから」と至極残念そうな表情をしたブラックバードが引き金を引いたのは、もう深夜の3時を過ぎようという頃合いだった。
「やぁ、お疲れさまだ」
「そっちも、警戒ありがとう。おかげで尋問に集中できたよ」
死体を片付けるための手配をしていたブラックバードの元に発砲音を聞きつけたキリカが姿を現す。元より、チンピラの処断を終えたらすぐに移動すると打ち合わせ済だったのだ。
「それで、情報は?」
「僕の端末に一通りまとめてある。後で共有するよ」
馴染みの死体処理屋への手配を済ませ、ブラックバードがひらひらと情報端末を振って見せる。
「了解、それじゃあ今夜はこれで一時解散かな?」
「あー……それなんだけどさ」
一区切りだ、と己の肩を揉んだキリカに対し、ブラックバードが申し訳なさそうに切り出す。
「実は、宿無しでね。どこか寝床を紹介してもらえないかい?」
「……呆れた。シーカーなのに拠点なしって、本当に珍しいタイプだね」
「本業はガンナーのつもりだし、回線を拝借する場所にも困ってないからさ」
ネットワークに繋げてナンボの職分でしょう、と呆れ顔のキリカに対しいけしゃあしゃあと肩を竦め返すブラックバード。事務所を張っていた際に見せた路上ハッキングも日々の生活で鍛えられた技能らしい。
「まったく、もう。今晩……といってももう朝の方が近いけど。私の部屋に来るといい」
ブラックバードの表情を見て、下手に話を長引かせる方が面倒だと悟ったのだろう。キリカは半ば諦めた様子で一晩の宿を提供すると申し入れた。
「お、助かる!」
「但し! 部屋にまで上げるんだから、本名は教えてほしいな。一応、プライベートな場所なんだし」
「なんだ、それくらいでいいのかい? てっきり身体くらいは要求されると思ってたけど」
ブラックバードの言う『身体払い』は堕天特区において決して珍しいことではない。むしろ、神の存在により電子通貨の類が信用ならない今時分においては現金の次に信用されている通貨の一種だ。
「この仕事の間だけとはいえ、パートナーだからね……それで、名前は?」
「ああ、ごめんごめん。ユウって呼んでよ! 一応、漢字でも書けるんだけど、そこまでは必要じゃなさそうかな?」
ため息を漏らすキリカ。ブラックバード……優秀ながら癖のあるユウの振る舞いへの反応としてはまぁ妥当なところだろう。
「オーケー、ユウ。途中、念のために追跡を撒いたりしながら動くから時間はかかるだろうけど、ともかく私の部屋まで案内するよ」
「助かる、この恩は忘れないよ」
「別に、仕事が終わったら忘れてもいいのよ?」
くすくすとふたりのハンターが笑い合う声が廃ビルに響く。
その後、死体処理屋の到着を待って移動を開始したのはもう4時を回った頃合いで、複雑なルート選択の末にキリカの部屋へと到着する頃にはもうそろそろ時計の針が縦一直線になろうかという6時前であった。
東の空を見ればうっすらと太陽が見えるが、その光が堕天特区の中にまで差し込むのはもう少し後の時間になる。今だに順法・違法を問わず建て増しの続いている外壁区にあっては太陽の照る時間の方が短いのだ。
「はい、到着っと」
「お邪魔しまーす」
扉に仕掛けてあったブービートラップを解除した後、キリカはユウを部屋に通した。
寝室に1部屋、銃のメンテナンスをはじめとした様々な雑事に対応できる作業部屋に1部屋。あとはキッチンと風呂場という間取りは拠点を持つハンターとしては平均的な部類だろう。
「結構いい所じゃないか、キリカ」
「こんな体をしていると、休む場所には気を使いたくなるからさ」
きょろきょろと内装を見回すユウに対し、キリカが作業部屋の片隅を手で示す。銃の類を置くのならそちら、という意味だ。
「それと、寝るなら奥の寝室だよ。予備の布団はないし、寝転がれるようなソファもないから」
「はぁい。ついでにお風呂を借りてもいいかい?」
慣れた手付きでチャンバーチェックやアンロードを済ませ、愛銃を壁に立てかけながらキリカを振り返るユウ。既に片腕はジャケットを脱ぐ動作に移っており、女性ながらも引き締まった身体にぴたりと張り付くボディスーツが照明の下で艶やかに映った。
「お風呂は向こう。ああ、良ければお湯を溜めといてもらえる?」
「はいはーい」
一方、キリカは装備類を外した流れで一気に服まで脱ぎ捨てている。雑な動作で洗濯籠に投げ入れられたブラはあまりのサイズ故に布製品とは思えないほどの滞空時間を誇っていた。
「おっと……なるほどね」
ちょうどキリカの案内に従って風呂場を探していたユウが頷いたのは、己の真横を通り過ぎたブラから漂ったただならぬフェロモンにだ。ついさっきまでキリカの超乳を支えていたブラから香るのは、汗くさいというには妙にフローラルな匂い。
余りにも濃すぎる『雌の香り』にキリカが自身と同じような根無し草生活を使用とした時のデメリットに思い当たったのだろう。
「そりゃあこんなきちんとした場所で暮らす訳だ」
「ん? ああ、毎日、蒸れて嫌になるから……最低でもシャワー、できれば湯船に毎日浸かりたいくらいだから」
乳を持ち上げて肉の峡谷へぱたぱたと風を送りつつ、億劫そうな声でキリカが応える。
「いや、僕みたいな根無し草をしてたら毎日襲われて大変そうだなって」
「……あり得そうで嫌だねぇ」
何やら企んだ表情でユウがキリカの元へ忍び寄っていく。家という己のテリトリーで気を抜いているのか、キリカはそれに振り向きもしない。
「そういえばキリカのこれって天然もの?」
「一応ね。支えるために肩や背中にはバイオウェアを入れてるけれど……それにしてもしれっと触りに来たね」
キリカが汗を拭き終えてうつ伏せになったのを見計らって、背後から圧し掛かるユウ。キリカの言う通り、ユウの両手はキリカの巨大な乳とベッドの間を目指して差し込まれていた。
「いやぁ、同性ながら気になって。このサイズだと揺れると面倒とかそういうレベルじゃ済まないよなぁ、とか?」
「んっ♡ ただの好奇心にしては、触り方がいやらしくないかしら?」
「マッサージだよ、マッサージ♪ ただより高いものはないっていうから、泊り賃だと思って?」
わきわきと指を動かしてキリカの乳房を堪能するユウ。その動きに、キリカの超乳は自由自在に形を変えながらもしっかりとした弾力を返すという天然ものならではの触感で応えた。
「マッサージにしては、触る場所が違うんじゃない?」
「凝ってる場所探し、っていうことで」
キリカの物言いにさすがにやりすぎだと思ったのか、ユウの手が乳房から離れて背中に向かう。
「そういうことにしておいてあげる……んぅ~、そこ、いいわァ」
ユウが真面目にマッサージを始めれば、キリカも悪い気はしないのか気持ちよさそうに声を絞り出していく。バイオウェア……ようは人工筋肉の類で強化されているとはいえ、さすがに片側だけで数kgもある脂肪を肩からぶら下げていては凝りも酷いのだろう。
「ふぅ……ほら、またおっぱいの方に手が来てるわよ?」
「駄目?」
「……ふふ。でも、乳首まで触ろうっていうんなら、もっと腕を伸ばさなきゃ届かないぞ?」
キリカのそれは赦しの言葉だった。
「それは、乳首を触って欲しいものと受け取った」
ユウが気を大きくしてキリカの背中に密着する。むにゅり、とユウの乳房がキリカの背中に押し付けられ形を変える。ユウの腕がキリカの乳首を探してベッドとの隙間に潜り込んでいく。
ユウが精一杯腕を伸ばしてキリカを抱きしめた頃、その指先がようやくしこりのような物を見つけ出した。
「ん……♡ やっと届いた?」
「……胸が大きいと、こっちまで大きいの?」
こりこりと、指先で転がすというには大きすぎる『ソレ』を弄りながらユウが尋ねる。キリカはにこりと淫蕩な笑みでそれに応えた。
「驚いた? 私の胸を触ると、皆そんな顔をするもの」
「まぁ、そりゃあね?」
ユウの指先が探り当てたモノのサイズは、太さでいえば親指程。長さも1,2cmは下らない。キリカの笑みを信じるならば、つまりはそれが乳首ということで。
しかも、硬く立ち上がった感触からすればキリカは軽く発情しているらしい。
「マッサージの続き、お風呂場でお願いしても? ついでに、いろいろ遊ばせてあげてもいいよ♡」
キリカの見え見えの挑発に、ユウは思わず生唾を飲んだ。
ユウは決してレズビアンでもない。しかし、目の前に据え膳を見せつけられて堪えが効く程に我慢強くもない……まぁ、これは24世紀の人々全般に言えることだが。
キリカの流し目に、気圧されたように頷くユウ。
「それじゃ、続きは向こうにしましょうか。私も楽しませてもらうからね?」
にっこりと笑ったキリカにユウは「一体どこから、彼女の掌の上だったのだろう?」と考えたが、難しいことは投げ捨てて目の前の肉に埋もれることを選んだのであった。