「うん?お前はバリル?いやバートル?」
「は?お前さんは!!??セリー?なんでミチオ殿と一緒に?」
「えっ?はい?私のご主人様です」
「マロルでセリーとは会わなかったっけ?」
と俺はセリーに聞くと
「はい。会っていません」
「そうだったか」
すれ違いだったか……
あの時の経緯をセリーに話した
「で、今はバートルになった訳だ」
「でもバーさんには変わりないね」
「そのバーさんと言うのはなんとかならんのか?」
「で、バートルはなぜここに?」
セリーが説明してくれる
「バーさんは祖父と同じ冒険者パーティで解散した後も何度か小さい時にこの村に遊びに来てました」
「この村でスタンピードが起こる旨を聞いたからな。俺も防衛戦に参加しようと思ってな。金は掛かるがフィールドウォークを乗り継げば1日でこれるからな」
なるほど
「でミチオ殿は?」
「俺も防衛戦だな。ついでにセリーの実家にも……」
「おお、ルドヴィックは元気してるか?」
「父は祖父が亡くなってから酒に入り浸りです」
「そうか。偉大な父を持つとおかしくなってしまうのはレオール様と同じだな。ルドヴィックにも会わないとな」
「今はやめておいた方が……」
「そうか?では防衛戦の後かな。今日の夜から始まるらしいからな。俺が言うのもおこがましいが、二人の父親に共通しているのは、話し下手だな」
墓に向かってバートルは話し始める。
「もっとちゃんと話さないと。思ってあるだけじゃなかなか伝わらないからな。なぁディンドルフ?」
とセリーの祖父の墓に話しているが、
えっディンドルフがセリーのおじいちゃんなの?
どうしてセリーも、どうして……もっと早く言わなきゃわからないだろ……やはり血か!?
「ところでミチオ殿あの強烈なお姉ちゃんも来ているのか?」
「強烈なお姉ちゃん?」
「ほら、狼人族の」
「ああ、ロクサーヌね。もちろん来ているよ」
「なら心強いな」
「えっバーさんロクサーヌさんと知り合い?」
「知り合いと言うか殺されかけておる」
確かにロクサーヌが丈夫な爺さんでなかなか死なないから大丈夫とか言っていたからな……
セリーは祖父の墓に花を添え、手を合わせると
「バートル先生、私も稽古つけてもらえませんか?」
とセリーがバートルにお願いする
「そういえばセリーに槍を教えたのは俺だったな」
とお互いに槍を取り出す。確かに最初に会った時、槍か槌で戦えるって言っていたけどバートルが教えたのか
でも何もお墓の前でしなくても……
「さぁ来い」
とバートルが身構える
セリーの連撃をバートルは難なくいなす
決してセリーの攻撃が遅いわけではない。俺ならオーバードライブをしなければ避けられないだろう。
バートルが今度は変化をつけながら攻撃するもセリーはそれに動じる事なく、バートルの槍を弾き返している
その間にセリーは攻撃すら入れている。
激しい攻防だ
さらにバートルはスピードを上げ槍の動きがさらに激しくなってきた。激しい連撃にセリーは地面を突き後ろにセットバックした。体勢を崩したセリーに更なる連撃をバートルは加える。
どんどんスピードを上げるバートルにセリーはついていけず、槍を払われてしまう。
セリーは「参りました」
バートルは感心した。「セリーいつのまにか強くなったな」
「いえ、そのような事はありません。ロクサーヌさんと比べるとどうですか?」
いや比べる相手が悪いだろ
「あの強烈お姉ちゃんは野生的と言うか、何が飛んでくるかわからないからな……」
「やはりロクサーヌさんには敵いません」
セリーは俯き加減で俺に言う
「ご主人様、私わからなくなりました。私役に立ってますか?先程の私の妹リナの戦闘も、勇気ある行動、そしてあの体術。
ロクサーヌさんの攻撃力、ミリアのスピード、ベスタの体力と力、ルティナの魔法と交渉力、エマさんの指揮能力……私には何がありますか?」
「セリーには鍛冶師として頑張っているじゃないか?」
「それはご主人様の力が大きく働いています。マノンやアドラのように自力で鍛冶師になれたわけではありません。ひまりだって、鍛冶師になってもうメキメキと力をつけています……私は同じドワーフとして、何も……自力では鍛冶師にも巫女にもなれませんでした……ロクサーヌさんは巫女の最高位だと思っていた宮司を飛び抜け、浄楷(ジョウカイ)まで行っています。私は……私は本当に落ちこぼれでなんの才能もないんです。もしかしたら、ひまりの方が育てたらよっぽど役に立つのではないでしょうか?」
「セリー……」
セリーはもうポロポロと大きな涙を流しながら「ごめんなさい」と言って走っていってしまった
セリーには大事な役目があるし、セリーもわかっているはずだが、この村に来てから、セリーにはいろいろあり過ぎてパニックなんだろう。
バートルは
「今日セリーも防衛戦に参加するんだろ?その時は俺が面倒見るので、安心してくれ。 ミチオ殿には返しきれないほど借りがあるからな」
「ああ、頼むよ。ちょっと色々ありすぎて参っているんだろう」
バートルは
そのまま騎士団の詰所に向かって休憩を取らしてもらうようだ
俺はとりあえず、今日の宿に向かう、その途中でキーカにESPで連絡する。(何かあったらワープでリナとセリーを連れて脱出してくれ)
(うん、わかった。セリーは帰ってきたと思ったら自分の部屋に入っていったぞ)
(キーカ、セリーを頼むぞ)
(頼まれた)
ちゃんと家に帰っていたんだな
今度はロクサーヌに連絡を入れる
(宿屋は決まったか?)
(ご主人様。セリーの実家は大丈夫でしたか?)
(いやー色々ダメだったわ。セリーともはぐれたが問題ないだろう)
(そうでしたか……セリーはこの村に来るの渋っていましたからね。宿屋はドワーフ以外が泊まれるのは一軒しかありませんでした。馬力亭と言う名前の宿屋です)
(わかった。今から行く)
街の人に聴きながら馬力亭を見つける
入り口に入ろうとしたところに、セリーがいる
「セリー、大丈夫か?いや、ニコか?」
「うん。さっきはごめんなさい。あんなこと言っちゃって……」
「いやいいよ。セリーも言い返さなかったのはニコに指摘され驚いていたからだよ」
「うん。お姉ちゃんにも悪い事言っちゃったな……」
「なら、謝ればいいんじゃないか?心配していたぞ」
「うんそうなんだけど、お姉ちゃんなんか堂々としていたし、いいもん着て、やつれてもいなかったし、きっといいご主人様なんだろうなって思ったらなんかムカッとしちゃって」
「腹減っていたらムカッと来やすいからな。一緒に飯でも食うか?」
「いいの?」
ニコを鑑定すると彼も15才だった。
リナも15才だろ?うん?
「ニコ何歳なんだ?」
「僕?僕は14才だよ」
鑑定には15才と出ているが
まぁとりあえずそんな事はどうって事はないか……また何かの機会に詳しく聞こう
一緒に馬力亭に入ると、ロクサーヌたちがロビーで待っていてくれた。
エマが「セリーいるじゃん」
「ああ、彼はセリーの弟のニコだ。可愛いだろ」
「え?男の子?可愛い〜」とエマが抱きつく
ニコは顔を赤くして
「子供扱いしないでください……」
「あっごめんな。びっくりしちゃって。で、どうして弟が?」
「今そこにいたから、そろそろ飯の時間かなって思って誘った」
宿屋にあるレストランで
ロクサーヌたちとみんなで食事をとった。
ニコは防衛戦には年齢的に出られないようだ
ニコにこの村の構造についてみんなで聞いた
現地人のサポートなしでは全くわからんからな
「村から坑道に入ると最初にあるのは内門。内門を抜けると、広間がある。大抵ここに行商の人はお店を構えて、これから炭鉱に入る者、魔物を倒す者がここで細かい買い物を済ませます。
内門自体は簡易的なもので、防御にはなりません。
次に1の門
ここは常に開いていますが今はわかりません。
最後の砦です。
1の門と2の門の間にも広間があります。この広間がこの村の1番の広間になります。
2の門を過ぎると炭鉱に入るものはこの脇にある坑道から中に入っていきます。ここには門番もいて、名前を記入してから入っていきます。
3の門はほとんど開ける事は無いです。魔物から守るための門ですから頑丈に作ってありますし、たまに冒険者が魔物を狩りに行く時に開いているようです
3の門の先は小さな広間があります」
「なるほど。ディンドルフが過去にスタンピードを止めた時はどうやったんだ?迷宮は場所がわかっていないんだろ?」
「はい」
「スタンピードと言っても、ずっと迷宮から出てくるものではなく、ある一定の数が出ると止まるそうです。おじいちゃんが言っていました。それと、坑道を塞いでいなかったので、魔物は溜まっていなかったとも言ってました」
「じゃあ今回は何回か分のスタンピードの魔物が溢れているかもしれないと言うことか?」とエマが言う
「それは僕にはなんとも言えないです」
「誰かが壁を壊したと言う事は?」ルティナがニコに聞く
「そんな事をする理由がわかりません」
ロクサーヌが「スタンピードは迷宮に誰か入れば止まると聞いたが……それは?」
「そういう文献があると言うのは知っていますが……必ずしもこの迷宮でも同じかと言われるとわかりません」
「誰か入ればスタンピードは消えるのか?」と俺が聞くと
「いえ一度出てきた魔物は、行軍を停めません。なので、どちらも行うのが一番いいのですが……おじいちゃんでもそれは大変だと言ってました」
「なんで?」のエマが聞く
「この坑道自体が何百年も前から掘られてできていてダンジョン化しているからです。そこのどこに迷宮があるのかわからないからです」
「なるほどな。我々は2つ一気に解決しないといけないと言うことか……」とエマが答える
「それは現実的ではないです」とニコ
「せめて、迷宮の場所がわかればな。サッと行ってこられば後は防衛だけになるんだけどな」
セリーがこういう時アイディアを出してくれたりするんだけどな……
食事はやっぱりスープとパンだった。スープはボルシチ風なのでドワーフはボルシチが好きなのかな?
最初にセリーが作ってくれたスープもボルシチみたいなスープだったよな……
食事も終わると、ニコが俺の前に土下座して
「僕も、僕もミチオ様について行ってはダメでしょうか?なんでもします。おねがいします」
と地面に頭を付けて懇願する
既視感あるが……
エマが急に横から声をかける。
「じゃあ今からミチオ様に口で奉仕できるか?」
と俺の股間を指をさして言う
「できます!!」と即答
「は?」
エマとルティナは「おぉぉぉー」と声出すが他のものは意味がわかっていない……
「じゃあミチオ様の役に立てたら連れて行ってやるぞ」
とエマが勝手に返事してしまう
「エマ、そんな事勝手に決めるな。セリーがなんて言うかわからないぞ」
「役にたてばな」
「頑張ります」
エマが「お前は防衛戦でなくていいのか?」
「僕はまだ15になっていないので……まだダメです」
「3の門まで私達を連れていってくれないか?」
「それは無理です。もうたくさんの人が2の門広場に集まっていると思います」
「どこまでなら連れていってくれる?見に行くだけだよ」
「うーんそれなら2の門までなら連れていけると思います。ただ門をくぐるのは無理だと思います。城壁までです」
「わかった。よし!では2の門まで連れていってもらおう」
食後はみんなで2の門まで、ニコの後に続く
ニコは城壁の兵隊にも顔が利くようで、2の門までは連れていってもらえた
まぁなぜ城壁の兵隊がニコにいい顔するのかは……わからないが愛嬌のあるセリーみたいにも見えるのでもしかしたら間違えているのかもしれない……
「ミチオ様、僕が連れてこられるのはここまでです」
城壁の上から2の門の広場が見えている。広場には土嚢を積んで、防御陣地を作成しているのが上から見て取れる
「2の門の広場からみんなが入る坑道があるんだよな」とエマが言う。
「はい。左側をずっと見ていくと先の方に左に入れる道があります。あそこから坑道に入ります」
「その先も入れればニコは道がわかるのか?」
「僕は第7縦杭までしか行ったことありません」
ルティナが
「縦坑とは?」
「縦坑というのは、幾つのもの細い道がたくさんあるのではなく、鉱物を集めて、移動しやすいように吹き抜けのような感じの大きな空洞の事です。そこから四方八方に道が続いていて坑道があるとまたそこで縦杭を作成するという感じで広げていってます。基本的には地下へ地下へと伸びています。第8以降は魔物が居るのでみんな先に進めません」
「そうか、いくつまで縦坑へあるんだ?」
「11まであります」
俺はロクサーヌに小声で
「スキルで道が見えるか?」
「今やっています。立体構造物はどうやら苦手みたいですね。第1縦杭までは道順分かりました。」
「魔物はいたか?」
「いえ、この坑道にはいないようです」
「ニコ、なんとか第1縦杭までは行ける方法無いかな?」
「えっ?2の門広場を通らないでって事でしょうか?」
「ああ」
「僕がなんで坑道の事を知っているかと言いますと……抜け道を通って遊びに行っているからなんですけど……お姉ちゃんには言わないでくださいね」
「確かに2の門をくぐるのは許可制で名前を書かないといけないんだったな」
「はい。15才になっていない僕は名前書いても通れません」
「どうしてんの?」
「なので1の門広場から行ける道があるんですが、今、1の門広場も人がいっぱいにいるので透明にならないと入れません。それと通れそうなのはミチオ様とミリア様ぐらいでしょうか?」
「ロクサーヌは俺よりも背がひくいけど?」
「いえ、あの、その、胸とお尻が突っかかって通れないと思います」
「私は太ってはいませんよ」とちょっと怒り気味。
「申し訳ありません」
「ご主人様が通れるなら私も通れます!!」
と怒っている
2の門から降りて1の門広場には沢山の人が食事の用意をしたり、兵隊が休憩したり、武器の調整をして金槌を振るっている
確かにこんなに人がいたら、見つからずに隠し通路を通るのは難しそうだが……
「あそこに少し大きな岩がありますよね。あの岩をどかすとあります」
エルフの外套と呪文を使おうとも思ったが、
ベスタに壁になってもらえれば陰で見えないようで、その岩を退けてみた。
確かに穴が空いている。高さ40センチ、横幅70センチ程の大きさで
手を入れてみると、30センチほどの壁になっているようで、中には空洞があるようだ。だが、ここに何人も座っていたら目立つので、エマが何やら食事を買ってきて、ベスタと二人で食べているフリをして、周りから見えないように壁を作ってくれている。
まずはミリアが中に入る。
ミリアが中に入って安全を確認した。
「ここから先は立って歩いていけるようだよ」
なるほど俺も中に入ってみた。
俺でもギリギリだった。足をルティナに押してもらってやっと入れた。やはりミリアはすごい本当に猫みたいだ。頭さえ入ってしまえば、通れそうだ
今度はロクサーヌがチャレンジする。
いや無理だろう。完全に胸が通らん
「通れます。こんなの飾りですから」
と言って顔だけこっちに来ているが、無理して通ったら崩れるかもしれないから、やめた方が良いと伝えた。
「ニコと第1縦坑まで行ったら、宿屋に戻るから、宿屋で落ち合おう」
ということになって、ニコも通ってきた。
ロクサーヌには蓋を閉めてもらって、宿屋に戻ってもらった
「ミリア、ご主人様をよろしく頼みます」
「はい。必ず」と言って別れた。
俺とミリアとニコで坑道を進む