※この作品はR-18です。

異世界迷宮でハーレムを(仮    作:九白

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防衛戦 

 

セリーはおもむろにベッドから立ち上がる。いつのまにか寝てしまっていた……

窓から陽が傾いているのがわかる

「そろそろ準備して行かないと……」

用意して下に降りると、リナとキーカそして兄のロジェリオが母を囲みプリンを食べていた

ロジェリオは「これ美味えな。セリー元気してたか?」

「うん」

「リナから今聞いていたところだ。お前のご主人様とやらもこのディンドルフに来ているんだろう?」

「うん」セリーは何故か目頭が熱くなり、涙が溢れる。

「セリーなんで泣いてんだよ!?」

「ううんなんでもない。お兄ちゃん見たらちょっと安心しただけ」

「変なやつだな」

キーカもそれに合わせて「変なやつだな」とセリーに楽しそうに言う

「こいつ」とセリーもふざけてキーカを叱る

「へへへ、セリー元気になったか?」

「うん」

セリーの頭を兄のロジェリオが撫でてセリーはなんか照れ恥ずかしい顔をしてる

 

「ニコは?」

とロジェリオが聞くと

「まだ帰ってきてない」と母が答える。

「まぁあいつじゃ戦闘には参加できないからな。セリーは行くのか?」

「ええ」

 

……

デッカーが3の門の上で騎士団を鼓舞する

「死ぬ気で戦え!!」「お前らの死に場所はここだ!!」と色々言ってみんな大声を出しているが

セリーはまぁ男どもが吠えているぐらいにしか感じていない

「死ぬつもりはありません」と小声で言う

「戦闘準備にかかれ」

と言う号令に、セリーはせっせと矢をスキルで作っていく。

それを見ていた幼馴染のエメットは

「そんな小枝で何する気だ?」

「これが私の武器だから」

「そんな小枝で何ができるのやら?……まぁせいぜい死なないようにな」と呆れた様子で笑っている

「ええ。そっちも」

「ふん」

ロジェリオは沢山の石を持ってきていた

「よーし、じゃあセリー、リナとキーカだっけ?頑張ろうな」

「「うん」」

門の外を見ると、かなり深い空堀ができており、木製の桟橋が掛けられている

その桟橋を渡った所にエメット率いる15名が陣形を組んでいる

驚いたセリーは「エメット何しているの?早く戻ってきなさい!」と叫ぶが、

「なーに言ってんだよ。これからディンドルフ様みたいに一気にあんな魔物どもを蹴散らすからな。よく見とけ!!」

「はあぁ?」

もうすでに広場の反対側には魔物がかなり集結している。先頭にはすごい数のコボルトがいる。

「え?!え?!」

「ギィィーーー」

魔物達は雄叫びを上げると走って突っ込んできた

「エメットこれは流石にやばいよ」と周りのドワーフに言われている

 

「何言ってんだよ!そら行くぞ!!ウォー」

と突っ込んでいったのはエメットだけだった。他の者は怖気付いて固まってしまった。

 

「は?」

いくら何でもあれだけの数を相手に流石に一人はまずい。

「何してるのよ!?」とセリーは矢をどんどん撃つ。それを見てキーカが魔法「……へースト」をかけた

すると更にセリーの動きは速くなり、エメットの周りの魔物が次々と倒れていく。全てヘッドショットで一撃だ、勢い余って後ろにいる魔物まで倒す。

「セリー……は?」

 

他の十四人はとっとと桟橋を渡り門を叩いて「中に入れてくれ〜」と情けない声を出している

「おめーら」

それを見てエメットは躊躇するが、セリーは

「エメット!勇気があることと無謀は違うでしょ!早く戻ってきなさい!!」

「んんん……チキショウわかった!」

エメットは敵の攻撃を避けながら桟橋を渡る

「セリー、桟橋に油を撒いておいた。桟橋を燃やせ!!」

セリーは素早く矢の先に布をつけて篝火に矢を突っ込むと、即席の火矢になったそれを桟橋に打ち込む!

瞬く間に桟橋は火の海になる。

エメットが転がりながら桟橋を渡った時には、すでに幾らかの魔物が渡ってきていたため急いで門を閉ざした。

「セリーサンキューな!」

「早くあんたもこっち来なさい」

「そりゃ無理だわ」

桟橋は渡れなくなった。そのため空堀の前に魔物達が集まるが、幾らか渡ってきたやつにエメットは攻撃する。

その間にコボルト達は空堀に岩を持ってきて埋めている

「おっ!?お前らせっかく俺らが掘ったのに何してんだよ!」

「いやいや…そりゃ埋めるでしょ」とセリーは白い目でエメットを見てる。

セリーはエメットの周りにいる魔物に次々にヘッドショットを決める

「セリー、テメェ俺の獲物奪ってんじゃねぇよ!!」

「バカなの?」

まだ空堀が埋まるまでになんとか門の前の敵を倒す

 

セリーがすべての敵を倒すと

「門を開けてエメットを回収して!!」と周りに声をかけるが

先ほどの十四人は全く門を開けようとしない。極限状態だったのだろう、恐怖で体が震えて人の話を聞けなくなっている。

「こんな時に……」

コボルトがエメットに石を投げてくる

「セリーしょうがない。俺がディンドルフになってくる!!」

とカッコつけたところで、コボルトが投げた石が頭に当たりバタンと倒れて気絶してしまう。

「……」

「あいつバカ?バカなの?」とセリーも動揺してる

 

リナが「私が降りて助けてくる」

「はぁぁぁぁあ?それが一番ダメでしょ!?」

セリーは口をパクパクしている

ってもう下に降りてるし…「魂抜けそうだわ」

「お姉ちゃんロープおろして」

セリーは矢にロープを括ると、リナの足元に矢を放つ

リナはエメットを山賊抱っこすると、ロープを腕に巻き付ける「お姉ちゃん引っ張って!!」

セリーはそのロープをブンと引っ張ると、一瞬で城壁の上までリナを片手で持ち上げた。エメットは気絶したままだ

 

キーカが「クリエイトウォーター」と唱えると

エメットの顔面に水が降り注ぐ

気が付いたエメットは「うおっうおっ」と叫びながら飛び上がる

「うおっうおっって、ゴリラですか」とセリー

「セリーどうやって……」

「それよりほら、もうすぐ空堀が埋まりますよ?」

セリーは岩を持っているコボルトを狙って矢を放つが、どんどん倒しても次々にコボルトはやって来て、あっと言う間に反対翼の堀が埋まってしまった。しかもそこから更に次々とコボルトが渡ってくる

セリーは狙いを変えて、少し大きい魔物に狙いを変えた

大きくても基本的には頭を貫通させてしまえば倒れる

騎士団は城壁にへばりついた魔物達を岩を落として壁を登ってこれないようにしている

「ギャーーーーー」

と次々に落ちていくコボルトの断末魔の叫び声が響き渡る。

 

ここでご主人様から連絡が入った。出ないわけには行かない

セリーは器用に話しながらでも矢を放っている

「バートル!ミチオ様は1の門で待つって!」

「お前さんのパーティにいた方が絶対いいと思うわ。強烈ねーちゃんとかハンパないからな」

「ふふっ」とバートルの言う冗談がとても面白く感じた

 

セリーは次々に弓でコボルトを撃退する。

「壁から何か来ます!」

バートルが「蜘蛛だ」

セリーは直ちに目標を変えスパイススパイダーに攻撃する

次々蜘蛛も壁から落とすが、デッカーがいる反対翼はどんどん城壁を侵略されている。

煮え油を城壁の下に撒いている

しょうがないのでセリーが反対側の蜘蛛も攻撃する。

こちら側はリナが指弾で次々に叩き落としている。

「何それ!!リナいつのまにそんなことできるようになったの?」

エメットは唖然としている

「エメットぼーっとするな!!」

「おおっ!」エメットは呆気に取られていたが、すぐに戦線に戻った。門の前に集まった敵にももれなく城壁の横から煮え油を撒く。当然大火傷だが、そこに松明を投げつける。

身体中に火がかかり、そりゃもうヒートアップ

モノタウルスが敵味方関係なく突き飛ばしている。

鉄製の門は頑丈にできているので、これくらいなら耐えられる

しかし松明を投げつけていたドワーフが、逆に石を投げつけられて城壁の下に落ちてしまう。すぐさま火の海になる。こちらもチラホラやられている。

城壁と門は鉄壁でなかなか抜けられないが、少しずつジリ貧で相手は圧倒的だ

 

蜘蛛以外にもシザーリザードも壁を伝って城壁に登ってきた。そうなると蜘蛛どころでない。乱戦になってくる

城壁の反対翼は大変な事になっている。

エメットは「俺はあちらで助太刀する」

「エメット頼んだ!!手に負えないなら退却も考えて!」とセリーが言うと、エメットはコクっと頷くと、走って向かった

「ハーン大丈夫か!!」

「隊長、遅くなりました」

バトルアックスで後ろからシザーリザードを真っ二つにした

「遅いぞ。敵の数には困らん。次々倒せ」

「はっ!!」

「オラオラかかってこい!!」エメットはやっとエンジンがかかってきたらしい

 

魔物達は破城槌を持ち出した

「あんなものまで?」

ゴーレムもやって来た

ゴーレムの頭の上から城壁に乗り上げることができる

ゴーレムが来た時点でデッカーが「2の門まで退却する!!」角笛で城壁全体に知らされる。

ロジェリオは「セリー、退却の合図だ!!2の門まで下がるぞ」

「はい」

バートルが「早くこい」と手招きする。

「なすすべ無しか……」

と悔しそうにセリーは撤退する。ロジェリオはセリーを肩に反対向きに座らせて、矢で次々と城壁に登って来たコボルトを仕留める。城壁から降りると、鉄の門ももうかなり変形していつ破られてもおかしくない。門の所にいるドワーフ騎士団は恐怖で足が動かないようだ。

セリーは兄の肩から降りるとそこで立ちすくんでいるドワーフ騎士団の一人の胸ぐらを掴む

「ほら、逃げなさい!!」体を揺らしても全然動かない

セリーはドワーフの股間をガッと掴むと「ヒィィ」と声を出して我に戻る「男だろ!はしれ!!」「お前も!!」と次々に股間を掴んで騎士団のドワーフは情けない声を出して走り出す。

広場にはすでに馬防柵がたくさん並べられている

デッカーが「柵で相手を食い止めて槍で突け!!」

堀が掘られておりジャンプすれば越えられそうな感じだが、柵があれば確かにそう簡単には乗り越えられないだろう。

だが数が凄い

善戦はしているが、ジリジリと退却する事になる

気が付くとデッカーが行方不明になっている。馬防柵のある所に来る途中エメットに「俺を置いて退却しろ!」と言ったのを最後に行方不明だ。こちらの騎士団も半数がやられている。

現状では階級で言うとエメットが一番上らしい

「ほら、どうするの?」とセリーはエメットをせっつく

しかし、頭を使うことが全くできないエメットはチラチラとセリーを見る

心の中ではぁぁぁぁあ?と思っていたつもりが声に出していたようだ

そうだった。お前はバカだったわ……

みんなに注目されて、ちょっとセリーも恥ずかしかった

「じゃ、じゃあ、エステル様の騎士団達と共闘すればいいんじゃない?」

「うちのパーティにはこの状況でも笑顔で戦う人もいるから……」

周りのドワーフはその言葉を聞いて恐れ慄いた「えーーー」そうだよねドン引きですよね。私も初めて見た時そう思いましたよ

「わかった1の門まで使いを出して救援してもらおう。それまではなんとかここを守り切ろう」

 

 

 

 

「お父さん。行かなくていいの?」

セリーの母アルテアがルドヴィックに聞く

ルドヴィックは窓の外を見ながら、酒を飲む

「ああいいんだよ。どうせ俺なんかがいてもな」

「……」

窓の外は慌ただしく夜なのに灯りがあちこちで灯されている。魔獣が襲ってきた合図の警報もなっている

「アルテアは逃げてもいいんだぞ?」

「私はここ以外行くあてもないですから。お父さんと一緒に居ます」

ルドヴィックは窓の外を見ながらディンドルフとのやりとりを思い出す

父は「……強くなれ」と何度も俺に言っていた。

だが俺は父とは違い戦士の才能はなかった。

母は父と一緒の戦闘訓練の時に発生した落石から俺を庇って死んでしまった

そして母が亡くなってしばらくすると、父の様子もおかしくなってきた

俺は戦闘訓練も外され、次第に家に籠るようになった

 

そんな時に他のドワーフ豪族から奥さんをもらった。ドワーフなのだがみんなエルフのように耳が細く、ドワーフらしくない。スラっとした身なりだ。初めこそ気になったが、アルテアはそれ以上に可愛かった

四人の子供を儲けた。

一番上の子だけが我々のドワーフ族らしいドワーフだったが後の三人はどちらかというとアルテア似の細い身なりでドワーフらしくはなかった。

子供達はとても優秀で父ではなくみんな祖父のディンドルフに懐いていた。それが俺には当てつけのように感じていた。

ディンドルフは俺の才能には見切りをつけ孫達を開花させようと思ったのか

 

子供である4人が俺を追い詰めているように感じていた

俺は戦士としてではなく、鍛冶師として一人で黙々と何かを作る事にした。戦闘ではなく、鍛冶として父に認めてもらおうと思って独学で色々作った。

削岩機や魔力トロッコを作って鉱山の効率化を図って色々考えたが、ディンドルフはそれを褒めることはなかった。

 

前回のスタンピードの後、父は急に弱り亡くなった。俺は母の事故の時に父に向かって「お前が代わりに死ねばよかったのに……」と言っていたぐらいだ。だから父が亡くなっても涙を流すことはなかった。

だが、そこから俺は目標を失った。

父に褒めてもらいたい……そう思っていたがそいつももうこの世には居ない。

戦闘もできない。俺よりもよっぽど叔父のデッカーの方が適しているだろう。

俺は次第に何もしなくなった。

村長は早くデッカーがなればいいのに……

と思い毎日酒浸りの生活になった。

ある日長男のロジェリオが俺に言ってきた

「父さんが村長にならないなら、俺は鉱夫を辞めて冒険者になりたい」と言ってきた

一家の大黒柱の長男が不安定な冒険者になりたいとほざいている。

「好きにすればいい」

というと、すぐに長男は冒険者となり、近くの街や村に行って報酬を得て俺たちに金を置いていってまた出かける……という生活を始めた。しかし、ある時長男が怪我をして帰ってきた。

俺はもう借金するしかないと思ったが、今度は長女と次女が自ら身売りすると言う話になった

「私たちは何もできないけど、このままじゃみんな死んじゃうし、才能のない私と目の見えない妹は、家族に負担にしかなっていないからこのお金で兄と弟を頼みます」

と長女が言って家を出た。

俺に「働け」とは誰も言わなかった

間違いなく俺が一番不要な物だったのに、家族だけではない、みんな俺の周りから逃げるようにいなくなっていた 

いつからか……俺は全て無くなってしまえばいいと思うようになっていた……

 

 

 

 

 

 

 




セリーの孤軍奮闘を書いてみました。いつもは戦闘では目立たない存在ですが実は強いです

毎週月曜日、金曜日の21時頃に更新してます。
いつも誤字報告していただいている方ありがとうございます。大変助かります

https://twitter.com/kujira_ts
Twitterにて、こんな人をモデルとしていますと言うのと、相関図を出しています。カギがついているので、捨てメールなどでアドレスを作ってアカウント作ってもらい申請してください。今の所なにも呟きません
ーーお願いーー
高評価と読み終えたらしおりもお願いします。

沢山のお気に入り、しおりをありがとうございます
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