1の門で手をこまねいていたエステルは2の門からの救援要請は思わず
「そらきた!!」と思わず声に出してしまうほどだ……
エステル男爵はすぐさま2の門まで来た。セリーは
「ミチオ様は?」
「ミチオ殿はまだ来てなかったぞ。全く何をしているのやら……セリー殿、ミチオ殿とは連絡つかないのか?」
「申し訳ありません。こちらからはできないのですが、いずれ連絡来ると思いますので……ミチオ様に限って逃亡はないと思います。何かきっと……いえ、事情があるのだと思います」
とは言ったものの、本当に逃亡していないのか?ドワーフは他にもいるので、いっそ面倒なドワーフはいらね〜ってマロルにもどってしまったと言うことはないか?
いや、こちらにはキーカがいる。しかもそのキーカにはワープと言う誰にも知られてはならない魔法がある。だからこそキーカが誰かの手に渡ってしまう事は決してダメな事だとご主人様は言っていたハズだが……
いや、キーカはどこかのタイミングでいつでもマロルに帰れる……
いや、絶対いや。ご主人様と離れるなんて……いえ!!絶対そんな事は無い!セリーご主人様を信じなさい。と自分に言い聞かせるのだった
ドワーフの騎士団とエステルの騎士団で話し合った
ゴーレムが城壁までくると、同じパターンで城壁を破られてしまう。破城槌とゴーレムをなんとかしないといけないと言う話にはなったがじゃあそれをどうすると言う話になると、みんな口籠る。
「じゃあ打って出るしか無いんじゃないですか?」とセリー
エステルもそれには驚く
「はっはっはっセリー殿の言う通りだ。では城壁に接近した時がチャンスだな。現状は?」
エステルの騎士団の一人が答える
「現在2の門前広場にてディンドルフ騎士団とエステル騎士団の共闘にて交戦中です」
セリー達が左翼エステル達は右翼に展開して2体のゴーレムを叩いた後に破城槌の破壊をする予定だ
それまではコボルト達が城壁に登ってこないようにする
事になった
しかし、幾重にもあった空堀と馬防柵はもうすでに最後の馬防柵まで来ていた。
空堀にはたくさんのコボルトの死体が埋まっている。ここは迷宮ではないので、コボルトの死体はいつまでも消えずにある。次から次へとくる魔物達の足場になっていく
セリー達も最終の馬防柵の所でコボルト達と戦う
「いくらか減らさないと」
バートルと共に槍で馬防柵を守る。飛び越えてきたのはリナが対応している。コボルトの死体を乗り越えて段々と馬防柵と空堀が埋まってくる。
「この辺が限界か……」
ロジェリオがエメットに合図を送ると、角笛で撤退を知らせる
ロジェリオがセリーを肩に乗せると、セリーは弓に持ち替え仲間の退却を助ける。どれもクリティカルヒットで一撃で倒していく
門ギリギリの所で仲間がみんな門の中に入るのを確認してセリーは最後に入る
既に門の城壁では、落石や煮え油で撃退している
「ここまでは順調だな」
城壁の上に登るとセリーは矢で次々と仕留めていく。
やはり城壁にはゴーレムが近づいてきた。
反対翼はエステルのパーティだろうか魔道士がパーンボールを連発する。向こうは攻撃魔法があるのか……
「キーカ、キーカは攻撃魔法ないの?」
「うん?あるよ」
「えーなんで今までやらないの?」
「私MP少ないからみんなにヘーストとかの補助魔法の方が効果が高いと思ったから」
「MPはエーテルで回復できるから使って!!」
「えっ!?ジュースくれるの?じゃあ頑張る」
なるほどむやみやたらにガンガン飲ませないようにしていたのか
「ゴーレムにかけてくれる?」
「うん!!」
「…………リバースグラブディ」
「何それ!!」
ゴーレムの周りにいた魔物ごと空中に浮いたと思ったら、30メートルはある洞窟の天井に激突、さらに数秒後そのゴーレムが天井から落ちてきた。下にいた大量のコボルトに激突。何トンもありそうな岩の塊が天井から降って来て巻き添いで何匹も潰れる。
その轟音と地震のような地響きに皆が驚いた。城壁すら揺れた。
セリーやバートル、ロジェリオ達も屈むほどだ
そこに追い討ちをかけて、リナが飛び降り、
「鉄掌烈拳!!」と叫んでゴーレムの胴体を砕いた
「凄い!!」思わず、ロジェリオとセリーはハモってしまった
「おねーちゃんロープちょうだい!」
上がってくるのはできないのね。矢にローブを括るとリナのそばに矢を撃ち抜いた。リナがロープを掴みそれをセリーが引っ張る
7、8メートルはある城壁を引き上げる。
反対翼のエステル達もゴーレムを倒したようだ
後は破城槌だけとなった
エメット達が油を破城槌に掛けている
セリーがそこに火矢を狙い撃ちするとそれを引きずっていたコボルトにも引火
充分燃えたところで、エステルの魔道士がパーンボールで破壊した。
これにはさすがのスタンピードの勢いも弱まった。
攻め手が無くなって、さらに先ほどの地響きは立ち止まるのには充分だった。それとも何かを待っているのだろうか?
いずれにしても、前進が止まった。
「キーカ、リナ、スタンピードが止まったよ。やったね」
「僕の魔法凄いだろー」
「キーカすごいねー」とリナも絶賛する。
セリーはアイテムボックスからエーテルをキーカに渡す
「はい」
「やったーぶどうジュースきたー」
「補充もしないとなー矢がだいぶ無くなってきた」
ロジェリオが口を出して来た
「その矢って奴は沢山いるのか?」
「こういう場合撃ったら回収できないからね」
「一本見せてくれないか?」
「うん」
「これと同じものをここの鍛冶師に作ってもらおうか?」
「えっ?いいの?」
「ああそれくらいなら、手伝ってくれるだろう」
「なら弓も……いや、練習もしないですぐに実戦で使えるようにはならないか……」
「一応弓とやらも見せてくれるか?」
セリーはコンパウンドボウをロジェリオに渡した
「結構重いんだな」
「このつるみたいのを引いてみていいか?」
「うん。いいよ」
「ぐっ、全然引けないんだが……こんなのをポンポンひいていたのか?」
「私用にカスタマイズしているけどね。矢は重さと長さと矢自体を真っ直ぐに作ってもらっていい?矢尻もこの形で先端を刃物のようにしてほしいって伝えて」
「ああわかった。」とロジェリオ
数本を預かって鍛冶師の所に走っていく。
バートルも、「お前さんの親父も必要だな。あいつの所に行ってみるよ」
「お父さんは来ないと思いますよ」
「そうかもしれんが、未練のないようにな。一応声をかけてみる」
と言うと、村の方に向かっていった
リナが「私たちも何かしないと!!マロルのレティシアさんに頼るとか?」
「レティシアさんは留守を預かっているから、ご主人様の命令でない限り、兵隊を動かすことはないと思うよ」
「そうか……じゃあイサキオスさんは?」
「イサキオスさんは本人は来てくれるかもだけど、今ラーゲル領の地方の村々を移動しているからどこにいるか私にはわからない……」
「そうか……じゃあ!ミリアさんのペットのドラゴンは?」
「それこそミリアの言うことしか聞かないし洞窟には不向きかな……」
「じゃあお姉ちゃんのペットの黒狼と雪風は?」
「あの可愛いワンちゃん達はこんな乱暴な所に連れてこられない」
と手を振って断る。
「えっ?!ワンちゃん?」とキーカが聞き直す
「いやいや。お姉ちゃんの可愛いワンちゃんみたいな〜」
「え〜」とセリーは乗り気じゃない
「きっと連れてきたら、ますます強くなるんじゃないかなー」とリナはセリーを横目で見る
「大きくなるのかなぁ?!」キーカは目をキラキラさせている。
「きっと強くなって大きくなるでしょ」
リナは自信ありげに答える
「えっそうなの?うーん……お外で戦うのは中々無いからな……わかった連れてこよう」
後ろでキーカとリナは手を合わせて喜んだ
エメットに「すぐ戻るから〜」「ハァ?セリーのワンコ連れてくる?!まぁ好きにしろ」と言われた。本当にムカつく奴だ。可愛いのに……
セリーはご主人様とパーティを組んでいるので、抜けられない。リナと、キーカで湖畔の館に戻り2匹のダイアウルフを連れてくる。もちろんリナとキーカには、私がいない時に世話をしてもらっているので懐いている。
リナとキーカはすぐにワープで戻ってきた。2匹のダイアウルフは馬並みの大きさがあるので遥かにセリーよりも大きい。
周りのドワーフ達に魔物が現れたのかと誤解を受けるほどだった。
エメットが「コレがセリーの飼っているワンちゃん?」
ワンちゃんってレベルじゃないな……
「黒狼と雪風だよ。かわいいだろ!」
「コウちゃんとユキちゃんです」とキーカが勝手に名前を変えている
「た、頼もしいな……いやかわいいな……」
一口でエメットの頭を食べられそうなくらい強靭な牙がついているのを見て冷や汗をエメットは垂らす
奴らが少しずつ動き出した……
ロジェリオも、バートルもまだ戻っては来ていない
「パーンが何匹かいる」とセリーはエメットに伝えた。
「見えるのか?っでどういう事??!」
「つまり魔法で城壁が攻撃されるって事」
「だが、あいつらの射程に入るまで俺たちも攻撃できないぜ?」
「私はここからでも攻撃できる」
セリーはコンパウンドボウを引くと400メートル離れているパーンの頭にクリティカルヒット
スパーンと吹き飛んだ
「はあ?セリーすげーな。じゃんじゃん頼むよ」
距離があるから速射ができないが、2匹目も倒した
パーン達は確実に頭を狙ってくるのを察してか、コボルトを盾にして攻撃を受けないように、コボルト達と一緒に突撃してくる
そして、一気に魔物達が動き出す
セリーはパーンをそれでも何匹か倒したが、7匹のパーンが城壁の射程圏内に入る。もちろんエステルの魔道士も魔法を唱えるが、間に合わない
セリーも呪文に入った時に、コボルトを手から離すため、2匹は倒したが5匹は城壁に「パーンボール」を命中させた。
ガガーン、バーンバーンと城壁の一部が崩れた。
そこにコボルトが集中して、モロクタウルスや、サイクロプスなどが突撃をかけて、城壁を崩していく。
セリーはパーン達を矢で攻撃するのが精一杯で敵の魔物に一点突破された。
セリーから見ると反対翼の門の近くが突破されたのでエステル達パーティは城壁から、騎士団は地上から攻撃している
慌ててロジェリオが戻ってきた
矢は相当な数があったので全てアイテムボックスに収納した
「お兄ちゃんありがとう!!」
セリーは黒狼に跨って移動しながら魔物達を1匹ずつ始末する。「あーもどかしい」と声を漏らす
時には2匹同時に倒すこともあるが、数が多いとかなり厄介だ
「バートルは?」
「まだ戻ってきてない」
「私たちも城壁を捨てて地上で戦いましょう」
雪風にはリナとキーカが騎乗している。
「そのでっけえ狼は?」
「お姉ちゃんのペットだよー」
一番後ろにロジェリオが乗っても問題ないくらいの大きさだ
エステル達の騎士団が馬防柵で敵の侵入を抑えている。サイクロプスの大型の魔物は弓で仕留めた。そしてダイアウルフはコボルトを踏みつけて次々と倒していく。だが相手は数多く段々と押されていく。
相手側に突っ込める一点突破力がこちらには無い。ジリジリと後ろに後退するだけだ。エステル男爵のパーティも強いがそれは個の力であって軍の力ではない
騎士団の団長は桁外れに強い一振りで10匹のコボルトを屠ることができるが、それ以上に間を詰めてくるので、団長とて少しずつ後退せざるを得ない
死体の山が累々となっていくがそれも構わずに前進してくる。
セリーとてかなりの魔物を駆除している
エステルの騎士団は馬防柵があると力を発揮できないので、馬防柵ではドワーフ達に任せる事にして、いよいよ1の門まで下がる決意をした。エメットは角笛を吹くと、ドワーフ達以外は1の門までの撤退が始まった。
すでにスタンピードの攻撃が始まって5時間が経過しようとしている。周りの者も疲弊してきた。負け続け後退し続けているから精神的にも辛いだろう。
エステル男爵も1の門まで退却してきている
「ジリ貧だな。ミチオ殿から連絡は来たか?」
「いえまだです」
「もう最後の城壁だぞ、あーー」
とエステル男爵も頭を抱える
「あっちょっと待ってください。ミチオ様です」
とここで、ミチオからの2回目の連絡が入る。
しばらくの沈黙の後、エステル男爵に伝える
「ご主人様は迷宮を発見したと言う事です。鬼人族がその場におり、交戦後迷宮に突撃して、スタンピードを止めたらこちらに戻ると言う事でした」
「そうか、迷宮を探しておったんじゃな。じゃあもう一踏ん張りじゃな」
エステルも少し顔が明るくなった
「はぁはぁ……ここまでくれば……」
その頃デッカーは第1縦坑の0126坑道を一人で掘っていた。
「ここを掘っていけば外に出れるはず……そしたら俺が村長になる」
デッカーは旧坑道の奥で、壁一枚先に魔物の群れが発生しているのを見つけ、密かに計画を練っていた。
壁を崩し、魔物達を村に誘導する計画だ
「いつまでもルドヴィックのクズ野郎が村長候補なんて気に食わないんだよ」
坑道を掘り進める。
ガッ……ポロポロと外の光が坑道の中を照らす
「外だ。スタンピードはいずれ止まる。ルドヴィックの野郎は逃げてこの村には帰ってこないだろう。だが俺は最後まで戦ったドワーフの英雄としてこの村の新しい村長になる。そして……この村をドワーフ最高の村にしてみせる」
デッカーはこの坑道から抜けると、朝になるまで自分の輝く未来を想像していた。
ジリジリとやられていくセリー達。そしてこのスタンピードを人為的なものだった。次回はミチオ達の戦いになります
毎週月曜日、金曜日の21時頃に更新してます。
いつも誤字報告していただいている方ありがとうございます。大変助かります
https://twitter.com/kujira_ts
Twitterにて、こんな人をモデルとしていますと言うのと、相関図を出しています。カギがついているので、捨てメールなどでアドレスを作ってアカウント作ってもらい申請してください。今の所なにも呟きません
ーーお願いーー
高評価と読み終えたらしおりもお願いします。
沢山のお気に入り、しおりをありがとうございます