帰ってくると出発の用意をするのだが、出発の用意とは別に俺たちはマロルに戻りギルドにてアイテムを売る目的でやってきた。俺の顔は割れているのでセリーとミリアに任せ、
俺たちはマロルの町でオープンカフェを営んでいる店に入った。
周りから聞こえてくる街の噂も上々で、来ている客の服装もよく、みんなの顔つきを見ても栄養状態もいいようだ。
オープンカフェはまだできて間もないと言う事だったが、「新しい店はたくさんできているのか?」と亭主に聞くと、「はい。ここの領主様が安い金利でお金を貸してくれるので出店される人も多いです」
と話にのってくれた
レティシアが言っていた事がもう始まっているらしいな……
今度それについても話に行かないとな……
セリーとミリアが戻ってきたので、
「どうだった?」と聞くと
「お金はたいした事がなかったのですが、メタルの甲羅は薬師が薬として生成するとスタミナ丸ができるそうです。
錬金術師が生成すると金属硬化剤とシャープナーオイルになるそうです。金属硬化剤は鍛冶師が武器生成に使うことのできるアイテムです。シャープナーオイルは刃物を研ぐ用に特化したアイテムです。」
「どれも試したいなぁ」
「ご主人様にスタミナ丸は必要ですか?」
「昨日のベスタには勝てなかったからなぁ」
ベスタは恥ずかしそうにして
「申し訳ありません……」
「いやいや謝らないでくれよ」
「……」と俯いてしまった
エマが「これは敵わないな……セリー、スタミナ丸と言うのはその甲羅一つでいくつできるんだ?」
「100ほどできるそうです」
「じゃあ1/3ずつ作ったらどうだ?」
「はいそうしたいところですが……これを1/3にはできないそうです。」
「じゃあ明日57階のボス戦をルーティンだなぁ?うちのご主人様は実験マニアだからなっ!!」と笑いながら言う。
うんうんと、みんな頷く
えっ俺の評価ってそんな感じ?
ロクサーヌが「ボス戦なんて何も問題ありません。日課にしても問題ありません!!」と立ち上がって力説する
エマもちょっと引き気味に「まぁまぁ、時間がある時に行ってみよう。なっロクサーヌ落ち着け」
セリーが「じゃあとりあえずこれは保留にしておきましょう。私が保管しておきます。そろそろ馬車の旅の準備もできているでしょうから戻りましょう」
戻ってくるととっくに準備は終わっている
「さぁ出発しましょう」と馬車に案内される。
今日はヴィクトリアとクロエが御者席に座っている。幌馬車にはナイアラが座っている
珍しくパーティみんな馬車に乗っている
後ろには深夜組の半分が乗っている。今日の夜から行く迷宮がないので、昼間のこの旅に同行している
俺は馬車の屋根に乗って昼寝をする
もう秋を感じる涼しさだがちょうど良い風だ。
うとうととしていると俺の耳元でアラームが鳴り
飛び上がる。馬車は速度を落としてゆっくり走っている
レベル40以上の人が近づいてくると俺にしか聞こえないアラームが鳴る魔法をかけておいた。
「どうした?」
と隣にいたロクサーヌに声をかける
「前方に人が3人歩いているようです」
「それで何でゆっくり進んでいる?」
「こんな所を歩いている人普通はいません……それに強者の様です。見たところ冒険者のようですが……」
「はぁ?この距離から見えるのか?」
「はい。どうしますか?」
「何事もなかったように通過しよう……何かあったらルティナに対応してもらおう。彼女の顔は知られていない」
「はい」
ゆっくりと後ろから馬車は近づく。3人はそれに気がついたか1人が道の真ん中に出てきて大の字に立って、いく手を阻む
止められた……
ルティナが馬車から降りてその3人と話している。
ルティナは馬車に戻りESPで俺に伝える。
(あの3人は冒険者ギルドからの派遣でシビル村に依頼をこなす為に行きたいそうですが、シビル村に出ている乗合馬車は1週間一度しか出ていないので仕方なく歩きで移動中だったそうです。目的地が一緒なら狭くていいので乗せてほしいそうです)
隣にいるロクサーヌに
「冒険者のようだ……」と伝える
俺はこそっと馬車の屋根から3人の鑑定を行う
行く手を阻んだのは
『タカシ・オノダ 16歳 男 人族 英雄48Lv』
『クルーガー 28歳 ♂ 猫人族 剣豪40Lv』
『アンナ 17歳 女 人族 司祭48Lv』
タカシ?日本人?英雄?
(ご主人様どうしますか?)
(俺が直接対応しよう)
俺はエマとロクサーヌを呼び一緒に出向く。
「ミチオ大丈夫か?」
「ああいちいちビビっていられない」
俺が馬車から降りると、向こうから
「いきなり止めて申し訳ない」と謝ってくる。
タカシは清潔感のあるイケメンでアイドルかと思うほどの男で可愛い顔をしている
イケメンか……爆ぜろと心で願うがそんなことは起こらない
「大変申し訳ないです。シビル村まで行きたいのですが荷物置き場でいいので乗せてもらえないだろうか?」と屈託のない笑顔で言う。
「お前日本人か?」と俺は直球で聞く。
「えっ?はっ?どういうこと?うん?……そんな事聞くエヌピーシーいる?」
???
と彼らと一緒にいる2人がそれを聞くと
「タカシあなた何言ってるの?」と司祭の女性が言う。結構可愛い女の子だった。
猫人族の彼が口を挟む「それはよくわからないが、どうだろうタダでと言わない。頼む道中の護衛もさせてもらう」
彼は顔はピューマで体は屈強な体で身長は2メートルはある。
この中で俺だけがわかった……奴は日本人だ……
「シビル村には何しに?」
「ああ冒険者ギルドでコボルトの村がシビル村の近くにあるらしく、調査または殲滅に」
とピューマ顔の彼が言う。
「なるほど……」
奴は鑑定ができないのかしないのか……俺の事は特別どうも思っていない顔だった。しかも奴はゲームの中だと思っているようだ。俺も最初はそう思っていたが……
「どこからきたんだ?」
「ノーケルリンフ王国から来たんだが、シビル村がこんな辺境の地とは思っていなかった」
エマが聞く
「どうして反対側から歩いている?ノーケルリンフ王国からなら、フォルトゥナの谷の方から来るだろ?」
「あの谷はフィールドウォークが使えないからな……いざという時困るし、たくさんの野宿の用意ができなかったからぐるっと回ってきた。」と言うとピューマ顔の男がギルドの依頼書を見せてきた。
俺たちはこの3人に負けるとは思えなかったし、いやな奴オーラは出ていない。
「何でこの依頼を?」
タカシは答える
「いや、そりゃ困っている人がいたら普通助けますよね?それに報酬も良かったから……まぁあんまり大きな声で言えないけど……」と笑顔で答えている。
「わかった。シビル村まで連れて行こう。それと俺はピーシーだ」と答えるとタカシは
「えっマジで?これマルチプレイなの?初めてピーシーの人に会った!!あっすみません。タカシです。よろしくお願いします」
と頭を深々と下げる……
一緒にいた女の子が「えっまさかの同類?」
と言っている。
ピューマ顔の男も慄いている……「言っている意味がわかる人物が現れるとは……」
「アンナ、クルーガーです。よろしくお願いします。お前たち失礼だぞ!!」とタカシは2人に注意している。
「あんたいつもまともに挨拶なんかしないじゃん」とアンナ
「俺はミチオだ。こっちはロクサーヌ、こっちエマだ」
「日本人ですか。よろしくお願いします。」
エマが小声で「ミチオ何言っているのかわかるのか?」
「ああ多分同郷だ。ガルバンとは関係ないと思う」と返した。
幌馬車の中に招き入れた。俺たちもこちらに移動して話をする
「僕は英雄48レベです。ミチオさんは?」
「俺か?……俺は勇者78レベル」
みんなが「えっ?!」と振り返る
「えっ大先輩じゃないですか?一緒について行って大丈夫ですか?」
隣で聞いていたセリーはフリーズしている……
「では、やっぱり最初は盗賊イベでしたか?」
「ああ。仕様のようだな」
他の人は全く言っている意味がわからないが、2人だけわかる不思議な空気だ
「他にもPCに会った事ありますか?」
「わからん……あいつがPCなのかわからないが日本人狩りをしているのかもしれない奴にPKされかけた」
「それすごい重要な情報ですね。海外勢もいるってことですかね!?」
しばらくタカシの話に合わせることにした。俺の知らない貴重な情報を知っているかもしれない。
「どうだろうな」
「僕は今までキルされた事はないのですが、どこからかリスポーンされるのでしょうか?」
「いや俺も無い。リスポーンはわからないゲームオーバーの可能性もある」
「セーブもログアウトもできないのに、鬼畜仕様だな……」とタカシが言う。
ロクサーヌが隣で「ご主人様、何のお話しされているのか全くわからないのですが……」
「NPCさんですか?」
「みんな俺の奴隷なので触らないでくれるか?攻撃されたと勘違いする時があるから」
俺の発言にみんなは???と言う顔だ
「あっすみません……奴隷ですか……お仲間は?」
「俺はこのみんなとパーティを組んでいる。君は?」
「僕はこの2人と組んでいます。アンナはソロでやっていたところを助けて仲間になりました。クルーガーは冒険者ギルドで紹介されて」
「どうやってパーティ編成を?」
「え?普通に冒険者ギルドで、申請したらパーティにしてくれました。」
「冒険者ギルドでそんな事できるんだ……セリー知ってた?」
「えっ!?はい。あえてご主人様はご自身でできるので必要ないものだと……」
早く言ってよ
「冒険者ギルドには入っていないのですか?」
「ああ。組織に入るとやらないといけない事も増えるからな」
「確かに……そういう選択肢もあったんですね。普通に何の迷いもなく冒険者ギルドに入っちゃいました。ミチオさんはすごいパーティなんですね。僕は奴隷とか高くてとても買えないですね」
「俺は迷宮で得たものの分配が難しいから戦闘奴隷に助けてもらえれば分配もシンプルだからな。と言うかある人にそう言われた」
「お金は採取依頼か討伐依頼の方がお金になりそうですけど……そんな事ないんですかね?!……僕の所は分配は契約魔法でルールを決めているので……」
なぬ!?契約魔法?!
それはセリーに聞かないとな……互いのこの世界の常識が少しずつ違うぞ?!
「例えばどんなルール?」
「素材や依頼料は経費を抜いた3等分にする。どうしても欲しいドロップ品は鑑定した金額の2/3を支払う事で買い取れるとかかな……他にもギルドで決めるルール違反で死亡とかかな?」
アラン……別に奴隷を買わなくても問題ないじゃん……わざと黙っていたなあいつ。
まぁでもアランがあの時ロクサーヌを勧めてくれなかったら今ロクサーヌと一緒にいれなかったし、そもそもセリー以降は俺が調べなかったのが原因でアラン自身が強く勧めてきたわけではないしな……
「戦闘は魔法使わないのか?」
「ああ、確かにロマン枠なんですけどね。なかなか魔法使いを仲間にできないからウチらはもっぱら肉弾戦ばっかりですね」と照れ笑いをしていたが、なかなか可愛い笑顔だ
「魔法使いにする方法ならあるぞ」
「えっミチオさん本当ですか?」
「誰かなるか?」
「うーん今のところは問題ないからなーいや今はいいです。ありがとうございます。誰かしてほしい時はぜひよろしくお願いします」
その他に、ここまで来た道のりなどを聞いたりしていると
今日の野営地に止まった。
俺たちが全員で15人いる事に彼らはとても驚いていた。
「ここで野営するんだが構わないか?」
「もちろんです。ていうか、ミチオさんメチャクチャ美人さんばっかりじゃないですか?」
大声で言うからみんなに聞こえて笑われている
「美女達と旅ってすごいなー」
俺達は「セキュアシェルター」「ハリューサナトリテレイン」を唱えると、魔法で立派な小屋を作り、幻影でこの小屋と馬車を隠した
「おおっええっ?ミチオさんこんな魔法があるんですね」
「このうちの1つを使ってくれ」と3つ出したシェルターのうちの一つを提供した。
アンナも嬉しそうに「男2人とテントじゃないなんて最高。すごい嬉しい」
この辺は高い木が生えておらず、低木ばかりみたいだからちょっと外れた所を野営地にした
更にリア、ミア、エレーヌ、スミレ、サクラの5人が今日の料理をする為にフィールドウォークを使ってやってくる
俺も加わり6人で料理する事になる
その他のものは、テーブルや椅子を組み立てて食事の準備を整えているところを見て彼らは驚く
今日はうさぎ肉の香草焼きでパプリカとジャガイモを和えて見た目も豪華になった。それとミネストローネとパンだ
野営で出てくるとは思っていなかった料理が出てきて3人は驚いている
「いただきます」と言う祈りと共に食事が始まった
「うぁーこれ美味しい!!」アンナも大喜びだ
クルーガーはエールもある事を知り、「もしかして……酒もあるのか?」
「ああ、飲むか?」
エールがキンキンに冷えているのを見てクルーガーは驚く。
「程々にしろよ」とタカシはクルーガーに言うと笑いが起きた
確かにみんな美人だ……いや今日は他の男性が2人いるだけでだいぶ違う気がする。みんな所作がいつもより女性らしい。
大声で話す者も笑う者もいない。
風呂は用意しない方がいいと思って今日はすぐにシェルターに入ったが、シェルターでみんなとタカシとの会話を確認する。
俺が仲間を入れないのはどうやら俺はコミュ障で、仲間というよりも奴隷の方が都合がいいのだろうと誰しもが思っていたらしい。仲間を探しても混乱の原因になるから戦闘奴隷だけでパーティをわざわざ組んでいると思われていたみたいだ……よくよく考えてみると、最初にすれ違ったベイルの冒険者もロクサーヌの胸を見ていたバーンにやられた冒険者も奴隷という感じはなかった……あの海賊達ですら奴隷という感じではなかったな……
よく過去を考えてみると、俺の思いこみかもしれない……
契約魔法はもちろん知っていると思っていたみたいだが、ほとんど奴隷の俺の所に契約魔法は要らないなと特に誰も突っ込む人はいなかっただけの話らしい
明日もタカシに話を合わせて彼からもっと情報引き出す必要があるな。
今回新たな日本人の登場です
ミチオという名前は今時ではないので彼も今時ではない名前にしました
毎週月曜日、金曜日の21時頃に更新してます。
いつも誤字報告していただいている方ありがとうございます。大変助かります
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