朝、ロクサーヌが俺をおこしに来てくれた。ミリアはもうだいぶ前に起きて用意をしている、
なんでミリアが起こしてくれなかったのだろう??とは思ったが、俺が気に留める必要もなかった。
今日の朝はまず、湖畔の館に一旦戻り、キーカを連れてハルツ公爵の所に行ってカッサンドラの所だ。
俺はロクサーヌとルティナ、ベスタの4人で湖畔の館に移動する。
「えっ迷宮に行くんじゃないの?」とルティナ
「おばば様の所に行く」
「おばば様ってカッサンドラのおばば様?」
「ああそうだよ。」知らなかったのか?
「えーーそうなんですか!!うれし〜久しぶり〜」
とても嬉しそうだ。カッサンドラに会うのはウチに来てから初めてだ
当然のように館に行くとキーカはまだ寝ていた
「キーカ起きろ。今から出かけるぞ」と俺が言うと
「いや、もうちょっと寝かせて。」
と寝ぼけて答える
ロクサーヌが
「キーカ起きなさい」と優しく言うと、
「むにゃむにゃ !!!!!、!!、!、はい!!」
とびっくりしたように起き上がった
ベッドの上に正座している。
「出かけるので身支度をしなさい」とロクサーヌがおっとりした声で言うと、素早く身支度している。
いやいや、ロクサーヌ一体どんな躾をしているの?
「えっと……今日は僕何するんでしたっけ?何か約束してた?」
「今日は私たちと一緒についてきて」とロクサーヌ
「今日は……リナとレッスン行く予定だったんだけど……」
「それは中止。早く用意してみんなキーカを待っているから」
「ああああっ……はい。あのご主人!!テアをリナと一緒に習い事させてもいいでしょうか?」
「うん?テア?」
「テアはここの掃除とか、トイレの掃除とかご主人のおかげであんまりしなくても良くなったので、オーラとか教えてくれる先生の所に一緒に連れて行ってもいいですか?」
「ああ、俺は構わないよ」
「やったー」キーカは用意しながら喜んでいる。
「テアー!!ごしゅじんがいいって!!」
と窓から大きな声で庭にいるテアに声をかける。
テアも庭から「ご主人様ありがとうございます」と頭を下げる
キーカを回収すると、ハルツ公爵の所にワープで門の前まできた。門番は特にこちらをチラッと見るだけで特に何も言わない
ゴスラーが俺達の存在に気がつき、ハルツ公爵の応接室に案内された。
ハルツは少し遅れて応接室にやってきて、
「ダークエルフ?」と俺の顔を見るよりも先に声が出た
カシアも遅れてやってくる。
カシアは純白のドレスを着て今日も美しい。
「カシア、彼女はダークエルフじゃないのか?」
「ええそうよ。さぁ行きましょう」とハルツ公爵の話はあまり聞かずに移動とするカシアをハルツは止めた。
「えっどこに行くんだ??」
「おばば様の所よ。あなたも来るなら早く用意しなさい」
「おばば様?!……いや、余はそういえば公務が残っていたな。残念だが気をつけていってらっしゃい。おばば様によろしくな」と止めた手をスッといってらっしゃいと言わんがばかりに横に手をだす。
こいつ逃げたな……
おばば様の所に移動する。美しい内装でいくつもの大理石でできた彫像が飾られている
待合室に通されたがすぐに、呼ばれた。
呼ばれた先では、おばば様が鎮座していた。
「カシア息災か?」
「カッサンドラ様ご機嫌麗しゅうございます。ミチオ殿をお連れしました」
「呼び立てて申し訳ないな」
ちょっと言葉が柔らかくなっていた。
「いえ、こちらの方こそ、なかなか時間を作ることができず申し訳ありませんでした」
「うんうん。そこにいるのはルティナじゃないかい?!」
「おばば様」と言っておばば様に抱きつく
「色男の所では不便していないかい?」
「ううんおばば様。ご主人様は私にすごく良くしてくれています」とルティナが答えると
俺は心の中でナイスルティナ!!と叫んだ
「あと、こちらがダークエルフのキーカです」
とみんなの後ろの方にいたキーカを前に出した。
カッサンドラはキーカに笑顔で手招きする。
キーカは恐る恐る近づく
「おーよしよしよく来てくれたね。ありがとうよ。ミチオ殿は優しくしてくれるかえ?」
「ごしゅじんは優しいし美味しいご飯もくれるし、僕にも習い事もさせてくれてるよ。僕もお手伝いしてるんだよ」
「おーそうかいそうかいえらいね」とキーカの頭を撫でる。
15歳はそんな喋り方はしないけどな。幼児退行しているみたいだな、それともキーカなりの処世術なのか?!
「ミチオ殿キーカをよろしく頼んだぞ。他にもミチオ殿の所にはまだ何人かエルフがいるんだろ?今度連れてきてくれるか?」
「はい、かしこまりました」
厄介な注文だな。
「それとカシアをもっと大事にしなさい」
「えっ?!はい」
「もう、カッサンドラ様ったら、恥ずかしいです」
「ミチオ殿はこの年で叙爵されたんだろ。ブロッケンの坊やと比べる訳にもいかんか……」
全くこの婆さんは海千山千だな。
「それで……ベスタを連れてきたのは……?」と俺が聞くと
「そうでした。それが本命でした」とカシアがカッサンドラに促す。
カシアはカッサンドラの耳元でコソコソと話す。
「それで、ルティナを連れてきました。もう話してもよろしいのではないでしょうか?」
「うん……そうじゃな……イリナをここに……」とカッサンドラの従者に伝える。顔を隠してはいるが、彼女たちも壮絶に可愛い
従者が会釈をすると、スルスルっと部屋を退出する
カシアが俺に説明してくれる。
「ベスタさんに来てもらったのはカッサンドラ様の後継者候補にリジェネレーションをかけていただきたいの。でも、ちょっと複雑な事情があって……お話の後に……」
と説明をしてくれた。遠くから鼻歌混じりにこの部屋に向かってくる者がいる
扉が開くと
「カッサンドラ様お呼びですか?」と上機嫌の人?が入ってくる。その人物は真っ白な服とベネチアンマスクを被っていて、左目の部分だけが露出している。装いは高価な感じだが、体格も普通のエルフよりも大きくちょっと怖いと言うのが第一印象だ
「イリア今日はご機嫌ね」
「おばば様、聞いてくださる?星占いをしたら今日はとてもいい日だそうよ」
「そうだろうね。紹介するよ。こっちの色男がミチオ殿、こちらがダークエルフのキーカ……」
と全部話す前に
「すごいダークエルフ?初めて見たわ」
「この子は特別なの。そしてそちらがミチオ殿の従者よ」
俺のパーティは紹介されると皆お辞儀した
「ん!!?あなたもしかしてルティナじゃない?」
「えっ……はい。わたしは確かに……ルティナですがお会いしたことありましたか?」
「あなたがここにいると言うことはここにセルマーがいるってこと?」と言うと腰にさしてあった剣を抜く
「イリナ!!剣を納めなさい」とカッサンドラがすごい剣幕で戒めた。
「でも、セルマーがここにいるのでは?」
「セルマーは居ません」
ルティナが「父が?どうしたのでしょうか?父は亡くなりました」
「えっ?セルマーは死んだの?それは吉報だわ!!ヒーーーッヒッヒッヒッヒッヒャヒヒヒヒ。コレは傑作だわ。
でも本当は私が引導を渡したかったわ」
独特な笑い方に一同引いたが、よっぽどなのだろう。
カシアに彼女は?と聞くと
イリナはそれを遮るように喋り始める
「これはこれは。そんな殿方にわたくしの過去を話してもつまらなくてよ」
カッサンドラは「お前の為に来てもらったんだ。少しは自重しなさい」
「いいえ。いくらカッサンドラ様のお言葉でもそれは聞き入れられません。
わたくしは、そこのルティナの腹違いの姉です!!」
「えっ??!!」ルティナは動揺を隠せなかった
「わたくしの母は、酒を飲んで暴れたルティナの父セルマーに乱暴されました。私はレイプされてできた子供です。
その後何度も母は陳情したものの足蹴にされ、ずっと私達母娘は貧しい思いをしてきましたが……妹のあなたが贅沢の限りを尽くしていたのを見ると腹立たしくてしょうがなかったですわ。
狂気に満ちた母は最後にはトチ狂って自分の家に火をつけたわ
わたくしがその時大火傷した結果がこれ!!」
と言ってイリナは庇っていたベネチアンマスクを外す。
マスクの下からは焼け爛れた皮膚と筋肉や骨が剥き出しになっている箇所もあるがかろうじて、左目部分は火傷をしていないようだ。
首も爛れているところを見ると右半身もだいぶ火傷をしているのだろう。
手袋もしているのはその為であろう
「ひっ」ルティナは口を手で覆い驚きを隠せなかった
「わたくしは、この醜い顔を見るたびにあなたの事を今後もずっと呪っていくことになりましょう。ヒッヒッヒ」
とやや狂ったようにも見えるその笑い声が部屋に響く
「……」
ルティナは俯いたままだった
俺が「俺たちはそれを……」と言っている側から被せてルティナが大声で話す
「あー暗っ。この隠キャ女キモチワル。いつまでも陰でずっと私の事恨んでますって……ウザッ」
イリナの手が震えながら
「はぁ?言うにこと欠いてあなた何言っちゃってるの?ならば決闘だ!!」
俺はルティナを諌めるように
「いや、ダメだ。俺たちの役目はそうじゃないだろ?ルティナ冷静になれ」
「わたしは冷静です。あそこまで言われては……申し訳ありません、決闘を受けようと思います」
イリナに向かってルティナが言う
「根暗の陰キャ女は気に入らなかったらすぐに決闘ですか?いいでしょう。ただし、私はあなたの命なんて要りません。負けたら相手の言う事をなんでも聞くなら決闘を受けましょう。」とルティナはイリナに指を差す
カシアもカッサンドラもイリナを留めるがイリナの怒りは最高潮に達して口元を歪めながらも
「面白い!!その言葉忘れるなよ。一生私の奴隷にしてやる!!」
と指を差し返す
カシアが
「ルティナ、イリナは全エルフ最高代表者会議の議員で八聖剣の1人なのよ。勝てる訳ないじゃない!!今からでも遅くないから謝って! 取り消しなさい!」
「えっ?!」
「もう遅い!!」とイリナは激昂している
カッサンドラは「どうしてお前は……」とイリナに言っている
イリナは中庭に移動して「今すぐ始めるか?」
と話しかけるが、俺が「ちょっと待ってくれ!」
「どうしましょうロクサーヌ姉様〜話違う〜代わってくれませんか?」
「あんな啖呵切ったのに?かっこ悪いですよ。あなたたちの事でしょう。あなたが頑張りなさい」
とロクサーヌは冷たく断る。これはダメだと思ったルティナは俺に同意を求める
「あんな言われ方したらそりゃ怒るでしょ?ね?ご主人様?」
「じゃあ俺が代わろうか?」
「「それはダメです」」と2人の声がシンクロして俺に言う。
「ルティナだって、冒険者のジョブを持っているし、剣の練習もしているでしょう。しかもいつも私たちの戦闘を見ているのですから自分でなんとかしなさい」
とロクサーヌは呆れ顔でルティナに言う
そうだルティナのセカンドジョブを見る。
いつの間にか冒険者50になっている。確かに……
装備は俺のを貸してやる
ドラゴンレザーアーマーと同じくドラゴンレザーガントレットそしてみかわしのゆびわを貸した
ロクサーヌからはオリハルコンの剣と柳の硬革靴、額金を借りた
「ご主人様からお借りしたこの貴重な品々大事に扱ってください。壊したりキズをつけたりしたら、私が…………わかりますよねルティナ!」とロクサーヌさん顔怖い
「はい!!」
ベスタは「大変なことになりましたね。お手伝いできることはありますか?」と聞いてくるが何も手を出せないからなんとも歯痒い
「いざとなったらルティナにリジェネレーションかけることになるかもな」
と言うとルティナも震え上がった。
「そんなこと言わないでくださいぃ魔法で戦うつもりだったのに……?」
「魔法を詠唱中に間合いを詰められたら?ベスタいないんだぞ?」
「やっぱりそれはやばいですね……ここは謝ってくるかな……」
「そりゃもう無理でしょう。相手の怒りは最高潮、煽られ耐性ゼロですね。大丈夫、魔法使いはご主人様だけでもいいし、いざとなったらルシールもルシアもいますから安心して」とロクサーヌ
「えっ?あの全然大丈夫じゃないですよねそれって?」
「ルティナまだか!!」と中庭でイリナはかなりイキりたっている
やばいなこれ冗談じゃなさそうだ。寸止めとかなさそうだ
「最後にロクサーヌ姉様何かアドバイスを!」
「女は度胸!私たちが最強だと言うところを見せてきなさい!!」と胸を叩くと
え〜ここでそんな根性論?ロクサーヌさんあなたはやっぱり気合い入ってますね
ルティナはなぜか目を輝かせて
「はい!!」と言ってルティナも胸を叩き中庭に向かっていった
そんな胸を叩いてメスゴリラかよ?
マジでするんだね……
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