「ほーら、ミチオ早く起きろ!!」と体をゆすられて起こされた
いつもとは違う目覚めに俺は一瞬どこにいるのかわからなかった。まさしく知らない天井だった……
「うーん?!ここは……あっそうだった……エマの部屋か……」
「ほら寝ぼけてないで、早く家に戻ろう」
エマに俺は無理やり起こされて家に戻った
既にみんなは用意が終わってダイニングホールで待っていた。
まだ日は登っておらず
暗いままだった
ロクサーヌが近づいて来て
「エマからは聞いておりましたが、行き先は必ずお伝え下さい」
「わ、わかった。事情は歩きながら説明するよ」
と言って早速クーラタルの迷宮にやって来た。
セリーが説明してくれる
「クーラタル71階はコーラスコーラルです。複数出て来た時大抵寝ている事が多いので他の魔物と声が合うと何かしらの攻撃があるのですが、今までその攻撃を受けた事がないのでどんな事が起こるのかわかりません
ですから事前にプロテクションをかけておく必要があります」
「なるほど、そういえばボスキャラで倒した時は、寝ている時しかなかったな……」
「はい。弱体化攻撃をしてくると思われます」
「デバフか……あっ、ルークのところで新しい防具を買ったんだった。今日の午後はみんなの防具をセリーに作って貰いたいのだけど」
「はい。もちろんです」
「それと、タダオからもらった赤い指輪は特に呪いやデバフはかかっていないそうだ」
と言うと、セリーとキーカに指輪を返した。
「そうなんですか?」
セリーとキーカは頭を傾げながら指輪を受け取る
二人は赤い指輪をはめた
移動しながら、昨日ガイウスに話した事をみんなに話した。
するとみんなは俺の前に跪くと
ロクサーヌが
「その言葉お待ちしておりました。我々もこの命が果てても精神誠意尽力させてもらいます」
とロクサーヌはキリッとした顔で俺に言う
「命をかけないでくれ、それに今すぐではないけどね。諸侯会議の後になると思うよ」
「はい」
「そして、その後帝国から独立する」
「!!!!」
「えっ?!!」「はぁ?!!」
とみんなは驚いている。
セリーに限っては「は何言ってるんですか?まだ男爵にもなっていないじゃないですか?」と白い目で見てくる
「いや、マロルに教皇が生まれたんだ。教皇が発現すると、国を起こすのは普通の事らしい。陛下もその点に異論はなかったが貴族達の反発はあるだろうって、だから多分その条件には魔王討伐が必須になるだろうな」
「そんな理由ですか?」とセリー
「いや魔王と戦う気持ちは違う。奴は多分タカシ同様俺と同郷だろう。聞きたい事があるんだ」
「それは、戦うのとは違いませんか?」と聞き返すも
「いや、戦うことになるだろう。タカシとはだいぶ違うようだし放っておけば帝国にも危険が及ぶ」
「戦えますか?」
「……多分な……」
「ただ分からないことが沢山あるんだ。どうして魔王になったのか?それは偶然なのか必然なのか?そしてジャッジは俺とユウヤをただ間違えただけなのだろうか?
ジャッジは俺に日本人か?と聞いた……答えたら突然襲って来た。つまり俺も魔王になる可能性がある。そのスイッチが知りたい。魔王になったら自我も失われるのか?俺が魔王になったら、みんなの事を襲ってしまうかもしれない。これだけは避けないといけないからな」
「うーん……それは確かに確認しないといけない事ですね」とセリーが言うと
ロクサーヌは「ご主人様が魔王になるなんて事は私が必ず!阻止して見せます」
と根拠はないのだろうが、頼りになる言葉だ
「今は戦闘を重ねて強くなる事が先決だ」
「そうですね。しかしながら3周目になってから急にボスキャラが強くなった気がします」
「それは俺も感じている……」
ロクサーヌが戦闘始まる前にみんなに祝福をかけてくれた。
「これでデバフがかかりにくくなればいいのだけど……」
「次右に曲がった所にコーラスコーラルが7匹います」
「7匹?!」と驚いたが、
「うち2匹は眠っている様です」
「寝てるって……いずれにしてもどんな感じなのか戦ってみないとな」
ロクサーヌは頷いた。
とりあえず俺とルティナで魔法をかける
「ブレイズストーム」続けてルティナも
「ブレイズストーム」と
攻撃すると4匹残った
寝ていたコーラスコーラルも目覚めた様だ
すると4匹から「ワワワワワァァーーー」となんともいえない声なのか音波なのかわからないが何かを振動させているかの様な音が聞こえる。
すると、メーアとリナが俺の目の前で倒れる
「メーア!!、リナ!!」と大声で読んでも反応がない
他の者はなんともなかったあれはなんの攻撃?
リナはキーカがすぐ横にいたので拾い上げ
メーアはエマが隣にいたのでそれを救った
エマが「寝ているだけだ……」
「よかった……」
鑑定するとメーアとリナは共に スリープ、サイレンス、ストレングス低下、HP低下
のバッドステータスがついている様だ
ベスタ、ロクサーヌ、ミリア、セリーの4人が
残りの敵を倒しに行った。
戦闘はすぐに終了したものの、まだ2人は目覚めていない。
セリーは敵を倒すとすぐさまリナのところに駆け寄った
「リナ!!リナ!!」
「大丈夫だ眠っているだけだ」
コーラスコーラルの攻撃は魔法陣が浮かび上がらずに行使されたので魔法による攻撃ではなくスキルによる攻撃だった
ルティナになぜ2人だけかかったのかを聞くと
「二人は状態異常耐性がないためではないでしょうか?」
そうか……後から入って来たパーティだからまだそこまで到達していないか……
でもこの後もこの階はそういった魔物しか出てこないならいったん帰って2人を置いてくるしかないか?
でも2人は高火力ダメージを与える2人だけに抜けるのはキツイな。
でも、命には変えられない
2人のスキル効果が切れて起き上がる
「大丈夫か?」リナに聞くと
「何があったのですか?」と逆に聞き返された
「メーアとリナは催眠攻撃を受けたみたいだ」
「申し訳ありません」となぜか俺に謝る
「一旦家に帰って、メーアとリナは家で待機していてくれ。この階の攻略が終わり次第迎えに行く」と
俺が言うと二人は泣いて謝っている
メーアは「申し訳ありません……」
リナはグスグスするだけで何も言葉にならない
「もうじ……わげありまぜん……」
「そんな事、謝らなくていいよ。迷宮では命大事に行かないと命がいくらあっても足らなくなる。だからと言ってここで今足踏みしておくのも勿体無い。二人は今まで接近戦のみだったから、これを機会に遠距離攻撃もできる様にしないとな」
と俺が言うと納得してくれた
二人のどこかに、接近戦がメインだから遠距離攻撃をする必要が今までなかったため彼女らは遠距離攻撃の練習を怠っていたし、特に考えている様子はなかった。
一旦家に帰り、二人を置いて
クーラタルの71階に戻って来た。
「アナイシャやキーカは大丈夫なのか?」
「僕は普段からバフやデバフを扱っているから。状態異常防御の魔法があるんだけど、自分にしかかけられないんだ。みんなに使えるとよかったんだけど……」
「私のジョブはクシャトリアで常に精霊に守られているので状態異常は起こりません」とアナイシャも大丈夫な様だった
戦闘は状態異常攻撃以外は特段凄い攻撃をしてくるわけではないので問題なかったが、色々なデバフがかかっていたらもしかしたら大ダメージなのかもしれない。
後、スパイクスパイダーと一緒に出てくる時は要注意だったが
それさえ気をつけていれば特に問題はなかった。
いつでも家に帰れるから、次の階ではまたパーティを戻す事ができるが、それができなかったら厳しいと思う。
ボス待機部屋までくる事ができた。
セリーが「ここのボスの記録があまりなく、ビボモルという名前と今までと同様にデバフを扱う魔物としか記録がありませんでした。ページの欄外には、『思い出したくもない』と書かれていたので、不安が残ります。
私がロッジで拝見した初代皇帝の冒険録ではなぜか89階までの記録しかなく、90階で何が起こったのか、なぜ91階で攻略をやめてしまったのかは書いてありませんでした」
部屋の扉が開くと中から異様な臭いが漂ってくる。
「なんだこの臭いは?」
中に入ると扉は閉まり
部屋は大きく中央に煙が集まっていき3つの個体が現れる
大きさは7メートルくらいの巨大な花?草?なのだろうか?それとも動くヒトデにも見えるし、動く珊瑚の様にも見える
あれはなんなんだろうか?見たこともない容姿で
中央には巨大な口に牙がある
その周りはイソギンチャクみたいな触手と見た目
足はウニョウニョと何かが蠢いている。
そして口の上にはカタツムリの様に目が6つ飛び出ている
それでいて口からはドブと生ゴミのような臭いを発している
「うあっなんじゃありゃ!!」と思わず口にしてしまった
たまらず俺とルティナはブレイズストームを放つが
到達する寸前で魔法が打ち消された
「あいつ魔法防御している」
足がグニョグニョと動き出すと俺たちとの間を詰めてくる。
エマとロクサーヌ達は散開する
俺の前にベスタがいるのは安心感がある
サイドに展開したエマは早速互いに協調し合わない敵に
「紫電一閃!!」
と放つと避けることなく足が落ちるが落ちた触手の足もまだグニョグニョと蠢いていて本体は効いているのか全くわからない状態だ
エマの方に向きが変わると目の周りに魔法陣が2つ展開される
「はぁ?」
セリーが魔法中断の矢を放ち命中するも
もう一個は消えない
キーカが「エマさんファイヤーボールです!!」
と言うとエマはそのファイヤーボールを寸前で避けた
「あいつ!!敵の魔法は防御して自分は魔法使えるのかよ?」
ルティナも魔法が使えないとわかると弓に武器を持ち替えている
さっきから何度もあいつの目玉がピカピカと光っている
キーカが「あれは何度も魔法を使っています。恐怖や、混乱、狂化などの魔法を立て続けに使っています。我々は対精神魔法にも耐性があるので何も起こりませんが、時々吐くあいつの息も同様に状態異常を連発しています。もし抵抗がなかったらもうすでにデバフのフルコンボです」
「じゃあ、リナとメーアを連れていたら……」
「今頃石化して、セリーさんと僕が大激怒です」
じゃあ俺もデュランダルに持ち替えて接近戦になるな
アナイシャの魔法も解けて元の姿に戻っている。
「私にはガーディアンがあるので、私の2メートル以内に入ってもらえればガーディアンによる新鮮な空気と魔法防御が得られます。危険になったらこちらに戻って来てください」
「なるほど安全地帯か」
エマとセリー、ロクサーヌとミリアに分かれた
センターの敵には俺とベスタ、ルティナ、キーカであたる
触手が次々と俺を襲ってくるがそれをデュランダルで薙ぎ倒す
俺がベスタの肩を叩くと更にベスタは前進してアイスジャベリンを次々と投げてビボモルに突き刺さっていく
「行くぞ!」とどんどん間を詰めていく
上からの噛みつき攻撃もジャベリンを突き立てベスタは回避した
ファイヤーボールを打って来てもベスタにはまるで効いている様子はなく見事に盾で耐えている
俺はベスタの陰に隠れながらだが、隙を見て攻撃を入れてダメージを入れていく
遠距離からはルティナとキーカが弓で次々と目玉のついている触手を落としていく。
俺も本体まで攻撃が届く距離になり、ベスタが
「ドラゴンブレス!!」と言うとベスタの顔の目の前から
巨大なファイヤーブレスが至近距離から放たれビボモルは触手をばたつかせて自ら延焼させている
「ギューギュー」と鳴きながらも自分の体から出て来ているだろうメタンガスの炎に飲み込まれている。
「炎だ!!」
と言うとセリーはアイテムボックスからウィスキーの酒瓶を2つ取り出して布を入れると
「ミリア!!」と叫ぶ
ミリアに「スパーク」の魔法を使ってもらうと二つの火炎瓶ができた
エマは「もったいない……」と言うが死んでしまっては酒も飲めなくなる
1本をミリアに渡すとミリアは「縮地」を使ってビボモルの背後に回った
エマも当然その酒瓶を取りに来て「縮地」で移動する
「一番燃えそうな所に……気持ち悪いぃ」といってエマはニョロニョロとした足の付け根に火炎瓶を投げつけると一気に炎が燃え上がった
同様にミリアも足の付け根に火炎瓶を投げて
火柱が立つ
暴れるビボモルの触手を冷静に見切って切り落としていく
燃え盛る炎を見てロクサーヌは今までずっと黙っていたが、やっと息ができたようだった
戦闘中全く息をしなかったので
「ふぅー」と息を吐くが吸うと「まだ臭い鼻が曲がる」とこれでもだいぶマシになったのだけど……
魔法攻撃は全く効かず、通常攻撃と通常の炎攻撃しか効かない魔物とは……魔物にも色々いるのがわかる
ここまで来て魔法が効かないでデバフ攻撃をしまくってくる敵
「臭いし、もう戦いたくない……」
と本音が漏れてしまった……
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