「クーラタル73階になります」とセリーがいつも通り説明してくれる。
「ここはハイエストラビットです。高速移動してくる魔物なので一撃に気をつけてください」
「ハイエストラビットかぁー」俺は全くまだそれに目が追いついていなかった。
リナが隣で「じゃあ私が隣にいますから」とセリーと共に横にいてくれる
ロクサーヌの案内で迷宮を歩き始めると
「来ます」と珍しくアチラから間を詰めてきている
ハイエストラビットは凄いスピードでエマを襲うも寸前のところで縮地などを使って避けていた
エマの戦闘では今まで受けていた所を意識的に避ける様に動くことを模索していた。
俺はと言うと素早くデュランダルを振るのは難しいので、
来そうなところに剣を空中で停める方法をやってみた。
まっすぐ俺の方に向かって来るので、これはこれで結構命中する
いや、リナが俺の剣の方に誘導しているのかそれとも剣にぶち当てているのかわからないが、俺の剣にウサギが命中する
ミリアとロクサーヌはちゃんと追いついている様で追撃して倒していた
俺もいい所を見せたかったので「クロックアップ」を使うとハイエストラビットはゆっくり移動している様に見えた俺は次々にウサギを切ると
ロクサーヌとミリアには俺の動きを追えなかったみたいでびっくりしていた。
「ご主人様すごい!!」
そりゃ褒められれば俺の鼻も高々になる。
途中マッチョのハチノスが出て来ると今度はエマが前衛に立つ
俺の話から攻撃を受けるのをやめたエマは、さらに動きが洗練されたものへと変わっていった。
午前中とは別人かと思う動きで、まるで闘牛士の様な無駄のない動きで1頭また1頭とエマが倒していく。
「ミチオ!!おぼろげながら見えてきたぞ!!ミチオのおかげだ!」
と嬉しそうに俺に抱きつく。
ロクサーヌは楽しくなさそうに、「ほら迷宮内でイチャイチャしないで」とエマに注意する
「自分はいつもイチャイチャしてるくせにぃー」とエマは不満そうに言う
どうやら俺は大きい敵よりも早く移動して攻撃して来る敵の方が得意らしい。俺もルティナみたいにいつでも飛べる様にしておいた方がいいのか?
ボス待機部屋まで来るとみんなの気持ちは和らいでいた。
セリーがこの階のボスキャラについて説明してくれた
「ここの魔物の名前はウェネットと呼ばれています。黒い一角ウサギの様です」
ボス部屋が開くとこの階のボス部屋もかなり大きい
奥の方で煙が集まっているのがわかったが出てきた敵は1匹だけだった……
「1匹?」
それは真っ黒なウサギの顔した戦士で鎧も着ているし、剣も持っている。額には長いツノも生えている
そのウサギ戦士は自分の置かれている状況がよくわからないのかキョロキョロとしている。
みんなが戦闘体制に入るとウサギ戦士は柱に隠れてしまった。
「は?」
今までにないパターンだ……
そしてその柱の影から魔法陣だけが見える
「魔法だ!!」
ウサギ戦士が唱えた魔法はダートウォールだった
地面からボコって大きな音を立ててダートウォールが完成する。次々にダートウォールを唱えて来るが、攻撃が当たるほどではない……
攻撃する意思がないのかなかなか現れないで魔法ばかりを唱えて来る
エマが「奴は頭いいぞ!!一人で大勢と戦う時は隠れて戦う方がいい」
と言っている間にセリーが後ろから蹴りを入れられた。
エマが反撃をするもまたすぐ隠れてしまうが、すぐに俺たちの背後に回ってまたキーカが攻撃される。
キーカは背後から攻撃を受けると転がった
隣にいたミリアが切り掛かるとまたすぐに姿を消す。すると今度は俺に攻撃を仕掛けて来るも、ロクサーヌがウサギ戦士を頭から叩きつける。
ダメージは入ったと思ったが縮地をかけた様に姿を消す。
「ご主人様は私が守ります」とロクサーヌは俺の後方に回る
「なるほどねー」と言ってリナはファイティングポーズを取る俺とルティナでシールドの呪文をかけて、ベスタがもう一方を盾で守るこれで3方向に防御してウサギ戦士の攻撃を防いだ
リナはその中を抜けて部屋の中に一人で歩き出す。
リナの前に出てきたウサギ戦士は1体1で戦いたかったのか
剣を自分の目の間に持って来ると剣に何かの祈りを捧げているのか?
その後は素早くリナを攻撃して来るが
リナはそれを全てかわしている。目の前にいたウサギ戦士が消えると背後からウサギ戦士が攻撃を仕掛けて来るも
なんなくそれをカウンターする
そしてまた消えたと思うとまたリナの背後に現れて剣で攻撃するもリナはカウンターを決める
リナは360°視界があるからできるのだろうか?
次々にウサギ戦士の攻撃をカウンターを使ってダメージを与えていく
「くっ………………」
ウサギ戦士はだいぶ弱ってきている様だ
「3人とも、もう終わりか?」とリナがステップを効かせながら煽る
「えっ?」みんながリナの発言に驚いた。
俺も何を言っているのかわからなかったが、俺以外のみんなは「そう言うことか!!」と言う顔をしているので言い出しにくい
エマは「魔物達は協力はしないのでは?!」
と言っていたが、
リナは戦闘しながらキックをカウンターで決めて答える「元は1匹だよ。だからわかりにくいよね」
1匹にリナがキックをすると肩が脱臼している
なるほど360°見ているだけでなく心眼でも見ているから3匹が隠れ隠れ攻撃しているのがわかるのか
「それがわかれば、訳ないな」と言ってエマと、ロクサーヌは飛び出して3匹に対峙した
ただ動きは確かに素早い。素早いなら俺も戦える。
俺と、ミリアも戦いに参加する
「クロックアップ」をするとウサギ戦士が移動しているのが見える
俺が攻撃を入れるとたまらずバックステップだが本当にバックアタックができるミリアは常にウサギ戦士の背後を取っている
ウサギ戦士は戦々恐々として驚いた所を俺がフィニッシュして倒した。
リナが戦っていたやつは雷撃攻撃でアッパーカットを喰らわすとウサギ戦士は天井まで体が浮いた。
ロクサーヌとエマは普段仲が良さそうには見えないが
こう言う時はピッタリと息があっている。
お互いに連打を喰らわして最後はピッタリ息を合わせてキックで終了。ロクサーヌは顔面にエマはボディに決まった。
ウサギ戦士は立てなくなると煙になって消えた
メーアは「全く見えなかった」と感想を述べると、
ミリアは早速アイテムの回収を始める。
最初に1匹だけしか見えなかったから完全に騙された
奴らはインジビリティも併用しながら巧みに1匹しかいないと思わせて、少しづつパーティにダメージ与えるとは……
魔物の中でも知恵を持った魔物がこれからは出て来るのかもしれないなと不安な気持ちに駆られた。
74階に足を進めた。
ここから74階も攻略するのは無理だろうと判断
今日はここで終わりにした。
1階の攻略に道が、わかっていながらこんなに時間がかかるものなのかと思ったが、いよいよ迷宮の攻略も後半に近づいてきたのかもしれない。
とにかくボスが強くなっている
セリーに聞いても、資料が少ないらしく、弱点を探れるほどではないと言う形の様だ。確かにここまで来るのも大変だからな。
セリーは帰ったら時間のある時には戦闘の記録を一人で記録している様だ。
ダイニングホールに戻って来ると
まだ陽はかげるほどではなかった。
ルティナが「後9日ほどで諸侯会議がありますので、帝都の家に馬車を移動しておいてもいいですか?」と俺に聞いてきた。
なんでそんな事を俺に聞いたのかを考えると、マロルから帝都まで俺が馬車で行くと考えたからか……
でも帝都の家は皇帝陛下の宮殿とは目と鼻の先で歩いた方が早い気がするが……
「実際どれくらいで到着するんだ?」
「3、4日でしょうか?まさか宮殿まで歩いて行くとか言うかとドキドキしました。みんな馬車でくるのに一人だけ歩きなんてダメですよ」
なるほど馬車で行かないといけないのか……
「ああ、じゃあ馬車の移動を頼む」
俺の最新式の馬車を移動する事をお願いしておいた。
実際ここから乗って行くわけではなく当日はワープで家まで向かい、そこから馬車となんとも間抜けな話だ……
すでに帝都にはたくさんの貴族とその家族、護衛の騎士や冒険者が集まっており、今から新年のお祝いと諸侯会議に向けての用意が進められているらしい。
昨日ガイウスにあった時もかなり忙しそうだったからな……きっとこの件で忙しいのだろう。
「そういえばガイウスの娘のジゼルはどうした?」
「えっ?知らないのですか?ジゼルさんはレティシアさんの文官として能力を発揮してもらっています。こないだ見に行った時も楽しそうに働いていましたよ」
「へぇーーーー」と俺は訝しげに返事した
「彼女を連れて行くことはできませんよ」
「そりゃそうだな」
ルティナが俺との話を終えると
エマが「ルティナにお願いがある」
と言い出した。
「なんでしょうか?」
「イリナに会いたい」
「ねぇさんに?」
「私の紫電一閃は元々彼女の使っていた技、彼女から何かヒントを得られればと思う」
「でも教えるタイプにも見えないですけど?」
「教えてもらうのではなく何かヒントがあればと思っている」
「わかりました。じゃあとりあえず行ってみますか?」
「頼む」
「じゃあついでにキーカも行く?カッサンドラ様に言ってなかったでしょ?」
「あ……」と俺は嫌な事を思い出してしまった……
「じゃあリナも行く!!」と言って手を挙げた
「あっ行ってらっしゃい」と俺がいうと
「あれれ?ご主人様行かないの?」とルティナが煽って来る
「俺呼ばれてないし、俺がいってもね。キーカ、カッサンドラ様によろしくな」
「あっうん!!」とキーカは嬉しそうに返事した。
結局俺はルティナ達を無理矢理送った
ベスタはプリン屋さんが気になるのでそちらに行きたいらしい
もちろん行ってきていいよと言うと慌てて用意している様子だった
急なお休みだからな。って全く最近休んでいないのでは?
と思ったら、ロクサーヌが何かを察したのか
「大丈夫です。いずれにしても、諸侯会議が始まったら殆どのものが休みにならざる得ないので」
そ、そうか……なんでロクサーヌ俺が考えていることわかる?
俺に精神攻撃した?
ミリアは孤児院に出かけて行った
「メーアは?」
「私か?何していいなら街に行って美味いもの食いに行く。今ここには美味しいものがたくさん集まっているからな」
「じゃあそうしな」
「ラッキー!!じゃあまたな」
と走って出かけて行った。
「ロクサーヌは騎士団?」
「いえ、騎士団はヴィラントが指揮していますので」
「アナイシャは?」
「私ですか?私は特にどこか行きたいとかはないのですが、ご主人様この後どこかに行くとルティナさんに言ってましたがどこに?」
「えっ?……うーんそうだな。昨日はマロルの街にに行ったから今日はラーゲルでも見に行ってみようかな。アーダの父さんからロクサーヌの居場所を教えてもらったし」
「あっそう言うことでしたら私も行きます。」とロクサーヌが言うと、アナイシャも「私もついていきます」と話す
「そうですね。その後ルーデルクによってアナイシャの村の進捗状況を見に行きませんか?」
「えっ?本当ですか?でもどうしてロクサーヌさんがそれを?」
「セリーが報告書にまとめてくれたのでそれで」
「そうでしたか。ぜひロクサーヌさんにもきて欲しいですが、私達ドルイドは性急な変化は起こさないので多分家もまだなのではないでしょうか?」
「えっ流石に家は作ってもらえると思うよ」
「えーーそうかな……昨日もお話ししましたが、みんないい人なんだけど……服を作りたいと言ったら葉っぱを集めて来る様な人たちですよ」
「えーなにかのジョーダンなの?それとも何かの暗号なの?」
「さぁ?私にはわかりません……」
「まぁとりあえず行ってみよう」
「はい」
俺とロクサーヌ、アナイシャはまずラーゲルのアーダ達の店ニーア商会を訪れる
急な来訪でもアーダは嫌な顔せずに対応してくれる。
「ご主人様。いらっしゃいませ」
「この間はありがとう。ロクサーヌも再びパーティーに参加してもらえた。お父さんのエディングにお礼を言いたい」
「そんなこと気にしないで良いと思います。むしろ違ったら私たち姉妹で、けちょんけちょんに言われる所でしたから、安堵しているのではないですか?」と笑いながら話している
「何か贈り物をしたいな」
「そんなこと考えなくて大丈夫です」
「いやそう言うわけにいかない。何が良いかな?エディングは何に困っているのかな?」
「んんーーー何にこまっていますかね?腰が痛いってよく言ってましたけど……」
「腰か……」
ロクサーヌが「あれが良いのではないですか?」と言って来る
「あれって?」
と言うとロクサーヌが耳元で言う。
「えっそんなこと気安くして良いのか?」
「なぜダメなのですか?私も再びご主人様のパーティに入れた事をとても感謝しています」
「じゃあまぁ良いのかなそう言うものでも……」
持って行くものが決まったので、アーダに実家まで送ってもらった。
アーダは家に入ると「お父さん!お父さん!!」と呼んで父の所在を確認した。
執事の人が「ただいまお呼びします」と言うと俺たちは応接室に案内された。
すぐにエディングは現れ、
「ロクサーヌさんに会えて良かった〜」と本当に心から安堵している様子だった。
俺ももし、エディングからの情報がなかったら今もロクサーヌに会えていなかった事を考えると感謝しかない。
「お礼が遅くなって申し訳ない。エディング本当にありがとう」と言うとロクサーヌも
「私はアデルで今までの記憶がなくあの時ミチオ様に会えていなかったら、私は今どこにいるのか想像もつかない。エディングさんには感謝しきれないです。本当にありがとう」
とロクサーヌも感謝の気持ちを伝えた。
「それでロクサーヌと何か贈り物をしたいと思ったのだが、物はたくさん持っているだろうし、アーダに聞いたら腰を痛めていると言う事なので、魔法を贈りたい」
「んん??どう言う事ですか?」
「ここに、エリクシールを持っているのだが、この2本は皇帝陛下に献上するつもりなので差し上げることができない」
「エリクシール?!!、えっ!!現物を見たのは初めてです!そんな滅相もないです」
「そして私の魔法の中に、『アルケミカルアロケーション』と言う魔法があるのだが、アイテムを使わずとも効果を得ることができるのだが、エディングこの魔法受けてみないか?」
「えっ?今なんと?エ、エリクシールを私に?いや、ちょっと待ってくださいませ」とエディングは腰を抜かしてしまった。
「献上したらもうないから……あるうちにと思って」
「そんな貴重なものを……」
「どうする?」
「はいちょっと待ってください。若返ると聞いていましたがどれくらいの若返るのでしょうか?」
「ロージーは20歳ぐらい若返ったぞ」
「20歳?!!」
……
「んーいや、せっかくのお話ですが、私一人若返っても……妻がいますので……」
「ビアンカさん?」
「じゃあビアンカさんも一緒に」
「?!?!?!」
アーダもすでに驚いているところにさらに驚く……
「ええっ?」
「妻も一緒に???!!!」
「今いますか?」
「ええ、ええ、多分います」とエディングはすでに手が震えている。執事を呼び出すと「ビアンカに至急ここに来る様に言ってもらえるか?」
「はいかしこまりました。」
「大至急だ!!」
と言うと執事は駆け足で部屋から出て行った。
「ミチオ様が自分で使うためにお造りになったのではないですか?」と申し訳なさそうに俺に聞いて来る
「俺が使ってもしょうがないだろ?」
と笑いながら言うとエディングもつられて笑うしかなかった
「はははは」
ビアンカの手を引っ張る執事が「奥様緊急事態ですご主人様がすごい血相でビアンカ様をお呼びです」と言いながら手を引いているのだろう。部屋の外にいる会話が聞こえて来る
「どうしたのですか?あっ、ミチオ様いらっしゃいませ」
明らかにエディングの様子がおかしいのを察して、
「エディングちょっと落ち着きなさい」
とビアンカが言う
「いや、落ち着いて話を聞いてくれ」
「どうしたのですか?」
「ミチオ様が私たちを20歳若返る魔法をかけてくれるそうだ。私は、一人で若返ってもと言って遠慮したのだが、じゃあビアンカもということになって今呼び出したんだ」
「はいはい。そうですか」
とビアンカは冷静に聞いていて、
「ではミチオ様、お願いします」とビアンカは深々と頭を下げた。
「良いのか?」
「なんの問題があるのですか?」とビアンカは平然と言ってのけた
その時ビアンカはちょっと若返るおまじない程度のものだと思っていた。ちゃんとかかったフリをして、喜んであげようと心に決めていた。
俺は二人に目をつぶらせては魔法をかけると
「もう目を開けて良いですよ」
と俺が言うとエディングはビアンカをビアンカはエディングをみて
「えっ?どう言う事?」とビアンカが言うと
ビアンカは慌てて鏡を見るそこには23歳の時の顔が鏡に写っているのをみて、フーっと倒れてしまった。
それを支えるエディング
ビアンカをベッドに移動させると
すぐさま目を覚ました。
「申し訳ありません」
「あっ気が付きましたか?」
「ビアンカ!大丈夫か?」
「ちょっとびっくりしちゃって……すみません」
そりゃそうだよな。いきなり若返ったりしたらこうなるよな
「見た目だけではなく、からだも若返ったから、腰痛もなくなるはずだから」
「気に入ってもらえたかな?」
「ありがとうございます」と感謝の声が途切れなかったが
家から出てアーダに聞くと、
「あれじゃ弟か妹ができそう」と俺に言ってきた。
まぁそうなるかもな……
俺たちはラーゲルへと戻った
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