嫌な夢を見た。
薄暗い中で子供?!……誰なのかはわからないが、首根っこを掴んでいる骸骨がいる。
タダオが久しぶりに夢に現れた。
俺はタダオに「お前どう言うつもりなんだ!!お前は敵なのか味方なのか?どっちなんだ?!」と俺が聞くと
「ふふふっひひひっ」と不敵に笑うが、
ロクサーヌに「殺せ」と命令すると俺の制止を聞かずにロクサーヌはその子供を刺してしまった。
「やめろ!、ロクサーヌ!!」
「ハッ!!」
悪夢で俺はいつもよりも早く目が覚めてしまった。
タダオが出てきた事、ロクサーヌに俺の制止が聞かなかった事を考えると、まだ引きずっているのかもしれない……
昨日は帰ってきて食事も早々に食べると、『明日の件』でエマが話していた。
80階を過ぎると我々も1流とみなされるが、逆にそれなりの試練が待っていると言う事だ。
それと、モーリスとフィリップは79階で立ち往生してしまったことについて触れていた。
79階のフロアボス部屋前で先遣隊と別れたまま、『戻ってこなかった為引き返すことになった』
我々はそうならない様に万全を尽くすことをエマに言われた。
もしかしたら79階のフロアボスが強いということも考えられる。
80階には何があるのだろうか?
ロクサーヌも俺が起きると起きてしまった様だ。
「悪い夢をみたのですか?」と心配そうに俺をみる
「ああ」
「大丈夫です。ロクサーヌはここにいます」と言うと俺を抱きしめ、ロクサーヌはまたねむってしまうが、俺の目は冴えてしまった。
まだ朝まで時間がある。いろんな思考がどうしてもよぎる
冷静になって俺が進むべき道を考えるためにも今までの事を考えてみた。
俺はこの世界でロクサーヌやみんなを手に入れスローライフを楽しむはずだった。安定的な暮らしをするために迷宮攻略を進めてきて、ある程度冒険者としても名前を知られる様になった。
その後セリーの妹リナを手に入れると、セリーが誘拐される事になった。俺たちはそれを追いかけ取り戻すと結果マロルの領主になることになってしまった。
その後夢に出てきた『タダオ』に会いに行くために旅に出たがその途中でカッシームとの戦いに巻き込まれ、ロクサーヌが行方不明になった。
ロクサーヌを捜索しながらエマが迷宮探索を提案してきたので再開した。
確かにあのままだと俺は何の気力もなくただダラダラと過ごしていたかもしれない……
そして、今回魔王と戦うことになった
なぜ?放っておけばいいじゃん……
『魔王ユウヤ』はなぜ俺が倒さないといけないのか?
あいつはカッシームにも追われている。俺が無理する必要はないのではないか?
奴への包囲網は次第に大きくなりつつも、それを止めることが誰にもできてないところを見ると
放っておいてもいつか俺と戦いになりそうだし、あいつはこの世界をどんどん壊している。いつかそれは俺の目の前までくるだろう。強大な敵になる前に叩くのは筋かもしれない
しかも名前から見て同郷だ。ジャッジが言っていた『日本人は魔王になる』が気になる
もし俺と同じような条件なら発動条件があるはず。タカシもいるので発動条件を知りたい。
俺もいつか魔王になってしまうかもしれない。それを防ぐには奴と会って話してみないとわからない。
じゃあなぜ迷宮を攻略しているか?
それは……迷宮に入ることで俺たちのレベルが上がりやすいからだ。
外で魔物を狩っても、盗賊を倒してもそれほどレベルは上がらなかった。多分俺より強いやつが少ないからだろう。だが迷宮の魔物は確実に強くなり、そしてレベルが上がりやすくなる。
この世界ではジョブチェンジによって得られるスキルがとても重要かつ強力だが、ここの世界の住人はレベルの存在すら知らなかった……
ロクサーヌは俺を抱きしめロクサーヌの胸の中でいつのまにか浅い眠りに着く
朝になりロクサーヌが俺を起こすと、
「おはようございます」
「ロクサーヌ……おはよう」
早速ロクサーヌは俺の装備を用意して装着を手伝ってくれる
「悪い夢をみたのですか?」
「ああ」
「今日の迷宮攻略は不安ですか?」
「そうなのかもしれないな……」
「大丈夫です。ミチオ様は必ず成し遂げます。いえ、私が必ず成し遂げられるようにします」と笑顔で言われて、
俺は少し安心したのか、それとも余計に心配になったのかわからないまま、彼女の笑顔を見ると何故か大丈夫かなっと感じてしまう。
二人でダイニングホールに行くと深夜組が帰ってきていた。
みんなのレベルを確認した後に
リタが早起きしてくれて、
朝食をお弁当にして作ってくれたみたいだ。
「頑張ってください……必ず、必ず戻ってきてくださいね」と渡される時に念を押された。
「ああもちろんそのつもりだ」
セリーの号令で迷宮探索が始まる。
「79階はドリュアスが出てきます。火属性が弱点です。我々には精神攻撃は効かないので問題ありませんが、裸の女が出てくるだけで色々問題です。誘惑してくるのでミチオ様は気をつけてください。こんな所を裸の女がウロウロしているわけありませんから」
とセリーが説明してくれる。
「いや、流石にそれは俺でもわかるよ」
だが始めてみると、裸の女性に魔法をかけたり!切ったりするのはやはり抵抗がある、しかも「助けて!!」とか言うし。
「あれは模倣しているだけで言葉を理解しているわけではありません」とセリーに言われるも、いい気分ではない、
俺は戦闘には参加せずにみんなが戦っているのを後方支援するだけにした。
キーカが「どうしてご主人様攻撃しないの?」
「いや、ちょっと戦いにくい……」
「優しいんですね。でも魔物ですよ。ご主人様の様な男性を養分にしているんですよ」
「いや、わかっているよ。もちろんわかってる……」
そう、自分が甘いのはよくわかっている……
ロクサーヌを中心にみんなが次々に撃破していく。
ドリュアス達の無情の声、断末魔の声も俺の耳に残る……
ロクサーヌは「ご主人様、大丈夫ですか?」
「ああなんとか……」
「あれは植物です。ご主人様が気に病む必要はありません」
とは言われるものの見た目は裸の人間、魔物と言われてもあまりピンとこないのが現実だ
彼女達に戦闘を任せる事2時間、フロアボスの部屋の前まで来た
エマも「ミチオ大丈夫か?」
「ああ」
魔物自体は精神攻撃が通じなければ弱い方の部類になるだろうが、人の体が切り刻まれている様に見えるその戦闘では流石に滅入る。それもみんな裸の女性だ
「まぁあいつらはそう言う生き物で、決して人間ではない。言語を話しているわけではなく、オウムや九官鳥みたいに同じことを繰り返し言うだけの模倣の言葉を言っているだけだ」
改めてエマに言われるがそんなに簡単に割り切れるものではなかった。
俺の不調を察してかフロアボス部屋の前で少し小休憩をする。
セリーが「79階のフロアボスはドライアードです。ドリュアスと間違えやすいのですが、奴らは魔法を使ったりしてきます。やはり言葉は通じません」
キーカが「エルフが堕落するとドライアードになると聞いたことがあります。なので私はよくドライアードに間違われたりしました」
ルティナも「確かにそう言う話は聞いたことがあります」
「じゃあエルフなのか?」
「うーんミンミン達ハーフリングが堕落するとグールに成ると言ってましたから、もしかしたらそうかもしれません。正しい事は分かりません……」
セリーも「それ以上の情報はありません。やはりこの魔物も記録がないので……」
「まぁ入ってみればわかるな」とメーア
「私がご主人様の盾になるので」とベスタ
「じゃあ私はご主人様の剣ですね」とロクサーヌ
「じゃあ私はご主人様の魔法です」とルティナ
「お前らは……」とエマが頭を抱える。
扉を開けるとやはり78階と同じ様に次々に蔦と根が張り巡らされる
煙は中央に集まると美しい女性が半裸の状態で出てくる。
左にいたドライアードが手の平をこちらに向けると、その手からは下の階のアルラウネと同様に種をマシンガンの様に飛ばしてくる。
俺たちはベスタの大盾の後ろに隠れ種から身を守った
右側のドライアードが魔法の詠唱を終えると土壁が生成する
エマが「キーカ!、昨日の植物を枯らす魔法を頼む!!」と言うと
「わかった!!」とキーカが答えると「……ブライト!!」
キーカが植物を枯らす魔法を唱えるとみるみるうちに足元から枯れていく。そして木の根達はキーカの周りを避ける様にして
いる
真ん中のドライアードの呪文の詠唱が終わると、ドライアードの後ろに黒い渦が現れそこから魔物が現れた。
「セリーあれは?!」
「分かりません!」と答えると、エマが答える「あのおおきさは、ハイオークだ!!」
3メートルほどある大きさで灰色の体に口から牙が見える
巨大な棍棒を持って現れた
現れたハイオークにドリュアスの一人が取り憑き『魅了』の魔法でハイオークを自在に操る。耳元でハイオークに何かをコソコソと語っている
するともう一匹ハイオークが現れた。
そいつにも同じ様にドリュアスが取り憑いた
「そういうのを召喚するのって反則だろ?」と
俺が嘆いても奴らが聞く耳を持つわけがない。
リナとエマで一匹のハイオーク担当する
ミリアとメーアでもう一匹を担当する事にして
残りは3人のドライアードに集中する
リナがハイオークの前に立つとリナは小柄の為めちゃくちゃ大きく見えるがハイオークにも全く引けを取らないオーラをだしている
ハイオークが棍棒を振り上げ攻撃してもリナはするりとその攻撃を避ける
ハイオークはなかなか攻撃が当たらない事に段々とイライラしてくるが逆にリナは涼しい顔をしてそれを避ける
「当たらなければ同じ事!!」と言うとジャンプしてハイオークの横っ腹に強烈な一撃を与えたがダウンを奪えるほどではなかったが効いているのだろう
もう一匹はメーアが正面から対峙している
メーアも同様にギリギリで攻撃を避けてはカウンター攻撃を命中させる。メーアは目もよく戦闘センスは初見の敵でも臆する事なく次々に命中させている
俺とルティナで『ブレイズストーム』を唱えキーカは『ブライト』を唱えて攻撃する
本来ならその魔法の守り手としてハイオークを召喚したのだろうが、ハイオークはドリュアスに魅了されてしまいドライアードの守護を忘れてしまっている。ドリュアスが攻撃に転じているとその間には空間が開き守護できないでいる。
火炎魔法はやはり有効な様だ
慌ててドライアードは範囲系耐性魔法を使いもう一人は改めて召喚魔法を詠唱する
詠唱を始めたドライアードをセリーが魔法中断の矢で攻撃すると魔法陣がかき消された
慌てて、もう一度唱え始めるもロクサーヌがその腕を切り落とした
隣のドライアードが種攻撃をするも素早く撹乱するとロクサーヌに命中する事はなかった
地面の蔦からドッジボールぐらいの大きさの玉が出てくると割れて牙が剥き出しになって噛みつこうとしてくる。それが意思のある鞭の様に動き回る
素早い動きだったが、
俺が『クロックアップ』を使うとそれは止まっているのとそれほど変わらなかった
次々にそれを切り落とすとキーカが逃げれない距離で「ブライト!」と植物を枯らす魔法を使うと腕を切られたドライアードと蔦を使ってきたドライアードの二匹を枯らしてチリとなった
もう一匹は慌てて距離を取る
エマとリナが対峙しているハイオークはリナにいい様にサンドバッグにされていて、フラフラになっている。
無防備にフラフラしているハイオークの顎にアッパーを決めると肩に乗っていたドリュアスをエマが仕留めた。
ぶっ倒れているハイオークにリナが近づくと頭にセリーが作ってくれた小手
パイルバンカーでハイオークの頭を杭で撃ち抜いた
エマは肩から落ちたドリュアスを切って終了させた
メーアたちは
手負のハイオークの振るう棍棒を剣で真正面から受ける
力と力のぶつかり合い激突音が響く
何度も打ち合うがメーアは全く疲れている様子はなかった
ミリアはバックアタックで易々とドリュアスの後頭部をナイフで突き刺すと、ドリュアスの目がグルンと上を向き
「アガアガアガッ」と泣き出しそのまま倒れた。支配を急激に失ったハイオークは混乱状態に陥る
そこを見逃す事なくメーアは顎から頭頂部まで剣を突き刺して勝負を終わらせた
魔物はすぐに残り一匹になった……
隠れていてもキーカがブライトの魔法を使って草木を枯らしていくともう残りわずかになった
最後にドライアードが現れ種で攻撃するも、ベスタに阻まれそのままシールドバッシュで壁際に押し付けられて潰され、ベスタのカラドボルグの雷で焼却された
やはり魔物達の連携ができていない……
ハイオークがドリュアス達に魅了されてドリュアスの言うことを聞く様になってしまったのが良くなかった。
しっかりとハイオークで前衛をして、後衛のドライアードを守りながらが魔法を使っていくスタイルならもっと手こずっていたかもしれない。
ドライアードはあくまで支援魔法を多く唱えている様に見えた戦闘はハイオークに任せて召喚とバフで相当な戦力だっただろう。
ただ魔法がよく効いたので早く終わらせることができたのだろう。
アイテムを回収して、お弁当を食べてから80階に移動する事にした。
セリーが「80階の魔物はどんな魔物なのでしょうか?」
「セリーにもわからないことがあるんだな」
「もちろんありますよ。でもなぜ80階の魔物の姿や名前が伝承されないのでしょうか……?とてつもなく強い敵なのでしょうか?」
俺はサンドイッチを食べながら話しているがセリーは食べていない
「どうした食べないのか?」
セリーはお弁当箱をもガシッと持って
「食べます。取らないでください」とサンドイッチを身に呈して守っている
取りはしないよ……
エマとロクサーヌが80階に行く準備をしている。
「さぁそろそろ行きましょう」とロクサーヌ
「そうだな」
80階に行く前にバフをつけたり、インジィビリティーの魔法を唱え準備が終えた順に80階の中に入って行った
中に入ると驚いた……
とても明るくのどかな雰囲気で50階の時よりもこの階層の方が遥かに広い。遠くにはなんと畑が見える……
えっどう言うこと?
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さぁいよいよミチオ達も80階層まで来ました。
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