朝、ロクサーヌの柔らかい唇を感じながら目が覚める。
「ロクサーヌおはよう」
「ご主人様、おはようございます」
「ああ……」
俺は気が重い……
俺は……いままで目立たないようにしてきたつもりだったが
結局俺は今日ガイウスに、新たなる国王としてみんなに紹介される。
そして、明日以降魔王と戦う事になる。
「どうしたのですか?体調が悪いのですか?」
「うん?なんだか色んな重荷を背負うのはイヤなんだけどな……俺はみんなと楽しく過ごす為に色々頑張ってきただけで、世界を救うとか、平和をもたらすとか、国王になりたいとか思っていたわけではないんだがな……」とぼやきに似た事を一人呟いてしまった。
「何かが重くなるんですか?」
ロクサーヌはマイペースにボケてくるが彼女のその言葉にはいつも救われる。
「いや、そう言う意味じゃないんだがな……」
「私はミチオ様が大きな事を成し遂げるとずっと思っていたので何も不思議ではありません。
逆にもっと簡単に考えれば良いのではないでしょうか?」
「逆に?例えば?」
「はい。国王の仕事はレティシアとエマに任せてしまえばいいんじゃないですか?ミチオ様はアイディアだけ言えばいいのではないかと思います。
平和はアデリナとイサキオスに丸投げでいいんじゃないですか?
世界を救うのは……」
俺はロクサーヌの話を聞いていていいアイディアが浮かんだ。
確かに俺はほとんどの問題を誰かに丸投げしてきた。
これからもそうすればいいだけの事。
「そうタカシ!!タカシは勇者だ世界はタカシに救ってもらえばいいんじゃないか?!」
「いや、それは無理です。」と冷静にロクサーヌが答える。
「タカシに手伝ってもらって、タカシが魔王を倒した事にすれば良いんじゃないか?俺はそのサポートで」
「残念ですがタカシ様ではまだ力不足かと……」
「実際は俺が戦うだけど手柄はタカシで良いんじゃないか?あいつは真の勇者になりたいみたいだし」
「それこそ私から見たら意味がわかりません……どうして本当に倒したのがミチオ様なのにタカシ様に手柄を譲るのか?」
「だから俺は表になるべく出たくないんだよ。本当は何もしたくない。でも魔王が俺の住んでいるこの世界をおかしくするならなんとしても食い止めなくてはならない」
「全然わかりません」
「そうか?俺はな!!ロクサーヌとイチャイチャしたいだけだよ」
と言ってロクサーヌをベットに押し倒す。
「キャッ」ロクサーヌは驚いているが決して怒ってはいないむしろ俺を受け止めてくれている。
朝の透き通った空気が窓から注ぐ。ロクサーヌはどこまでも綺麗でキラキラ光っているように見えた。
俺はロクサーヌに抱きつくと、
「もう〜ミチオ様、」少しの間でロクサーヌも色々考えたのであろう
「私にはわかりませんが、ご主人様がそうしたいなら私はそれに従います。もしそうなさるならなるべく早くタカシ様には連絡されたほうがいいですよ」
「うーん確かに……」
俺はロクサーヌの上で考えてしまった
さて、タカシにはなんと言うか?
考えてもしょうがない
とりあえずESP の魔法をを使ってタカシを呼んでみる
(……タカシ………………)
(ミチオさん呼びましたか?)
(タカシ!元気か?)
(あっおはようございます!はい元気です。)
(今、どこにいるの?)
(僕ですか?僕は……)
誰かに町名を聞いているようだ……
(ラヌーフという街に来ています。大蠍を駆除する依頼を受けて昨日には討伐できました)
(そうか!よくやったな。ところでさ、魔王を倒しに行こうと思っているんだけど、タカシも来ないか?)
放課後一緒にサッカーしないか?の軽い誘い方をした。
(えっ???!!!僕にはまだ無理ですよぉ)
(いやなかなか他のやつには頼めないからさ。手伝いでいいんだよ。いい経験値入ると思うんだけどな)
(経験値……)
(そう経験値。だって魔王だぜ?この世界でもかなり優秀な経験値持ってると思うけど……)
ゲーマーの奴には経験値という言葉に弱いはず
(うーん)
(ちょっとだけでもいいんだ。今人が足らなくてさ……変な奴には頼めないし、裏切り者やスパイとかいたらイヤだろ。タカシお前なら信用できるから)
(信用できるから……信用できるから……)
あいつの思念が俺に伝わってくる。
(ちょっと僕の判断だけでは今お答えできないので、後で返事でもいいですか?)
「ああ、もちろんみんなと相談してくれるか?もちろん報酬も払うよ1000万ナールでどうだ?)
(⭐︎?!#1000万ナール?!!白金貨10枚?手伝いだけで?)
(だから信用できる奴じゃないと……俺も後ろから攻撃されるのはイヤだからな)
(いつどこに集まるのでしょうか?)
(冬の4日にノボルチェスク近辺に来ていて欲しい)
(えっ1週間ないじゃないですか?)
(フィールドウォークがあるだろ?)
(まぁそうですけど、いずれにしても昼までには返事しますので)
(前向きに検討してくれ)
(はい。チャンスをいただきありがとうございます)
とESPを切った。
ロクサーヌに「前向きに検討するってさ。あの感じならくると思うな。全部面倒なのは丸投げってロクサーヌ頭いいな」
「えへへ」と嬉しそうに笑う。
「じゃあ早速いただきますか」とロクサーヌの胸を露わにする。
「もう、時間ないですよ」とロクサーヌ
セリーが入ってきて「その通りです」と俺にいう
びっくりして飛び上がった。
「ほらロクサーヌさんも用意しましょう」
俺たちのパーティはみんな正装して宮殿に向かう。
ベスタとジョゼ、ヴィクトリアは男装して軍服らしい服装で帯剣する。
2台の馬車に分譲して目の前にある宮殿に行く。
歩いて行ってもいいんだが、そんなカッコ悪い事はしてはいけないとルティナに怒られたのでそれに従う
確かに次々に馬車が宮殿に入っていくが、昨日ほどの混み具合ではない。スムーズに動いている。
馬車降り場では次々に人が降りていく。
確かにこれなら渋滞はないかもしれない。
俺たちも、着くなりすぐ降りて馬車は家に戻らせる。
宮殿の前には衛兵が何人も立っており、我々を待ち構えていたかのように両側に立っている。それはもう道のようになっていて、その道順に進んでくださいと言わんがばかりだった
案内されたホールにはたくさんの入り口があり、
そこを抜けると会場のようだったが、この先は帯剣していると先に進めないらしい。
ベスタが近くにいないのは困る。ノーマルのエストックをジョゼに渡すとベスタだけは、会場に入ってもらい、ジョゼとヴィクトリアにはホールにて待機してもらう事にした。
みんなで入ると、すごい数の人がいたが会場も広かった。
飲み物もなくただ歓談をしているだけだった。
しばらくするとガイウスが2階から会場を見下ろし階段の方に向かって歩き出し、踊り場でみんなに話し始める。
「我が帝国の同士よ、よく集まってくれた。朕は皆を誇りに思う。これから4日間諸侯会議を始める」
と宣言すると何百人と集まったみんなが拍手をする。
「まず最初に先日の魔王軍との戦いで多くの犠牲者が出た。我々帝国の義勇の戦士達がたくさん失われた……だが彼らのおかげで国がなくならず、みんなの家族を守ってくれた尊い戦士達だ。なので黙祷を捧げたいと思う」
近くにいた大臣らしき人が「黙祷」と言うとみんな黙祷を捧げた。
「黙祷やめ」
と言うと、ガイウスは語り始める。
「今までも何度となく魔王は現れては我々は勝利してきた。今回も必ずや勝利するだろう」
時折拍手と喝采がガイウスに向けられる
「現在魔王はノボルチェスクに居城を作るとミッケラ、クオスキュラに行軍しており聖都リセシカ聖王国へと魔の手を伸ばしている。駆逐された街は凄惨な殺戮と略奪が行われているようだ。
我が帝国ではないが、いつその手が帝国に向かうかわからない以上、ここにいるイリジューム公国のイリジューム公爵、そしてリセリカの教皇と共に魔王を倒す事になったが、
先の戦いで今の我々は疲弊し、今後の戦いの準備をしなくてはいけなくなった。
これは帝国全体の問題と捉え帝国西側に位置する者達にも負担を求めると同時に我が帝国には新たな教皇が顕現した!!」
みんなは当然知らないのでガヤガヤとなる
「静粛に」と大臣が諌める。
「マロル領にて教皇アデリナが誕生した」
ガイウスが紹介するとアデリナが現れた。いつの間に帝都に?
と思ったらエマがちょっと前からこちらに来てましたよ。こちらの教皇様に色々ご指導を受けていたようです。と小声で教えてくれた。
「皆様この度教皇に就任しましたアデリナと申します」
と短めの挨拶というか緊張しているのだろう。
すぐに引っ込んでしまった
周りはガヤガヤと小声で話す。「獣人の教皇が顕現されるとは」や「あの若さで」とあまり歓迎の声ではないようだ。
「静粛に、静粛に」と大臣が場をコントロールする
ガイウスは続けて話し始める。
「教皇はマロルの地に顕現された。よって彼の地を古き盟約によって独立させる事を宣言する」
「ミチオ殿こちらに」と俺を呼ぶ
えっーー!!何その展開それって俺がスピーチするっていう流れですよね。
階段一歩また一歩上がる度に俺は緊張してきた。
レティシアをはじめみんなは、スピーチがある事は予想していたから、もちろん本人もわかっているだろうと誰も進言しなかった。
ガイウスは嬉しそうに俺の横に並ぶ。
「まだ子供ではないか……」「なんだか頼りなさそうだな」「もっと堂々としなくてはな」などみんなが勝手な事を言っているの俺に聞こえてますけど?
ガイウスは
「彼からの話の前に朕から少し紹介させてもらおう。
彼はクーラタル80階を踏破して冒険者としても1流と言えるだろう。そして、マロルには多くの人種が集まり巨大な商圏が誕生しておりマロルだけで人口は50万人を超えている。
また、先日ブルガ王国の侵略もわずが200騎で4000騎を撃破する兵法家でもある。そして……」
アリシアが呼ばれる現れると
女性から声が上がる「えっアリシア様美しい」
「ミチオは朕にエリクシールを2本献上してくれた。そのうちの1本をアリシアに、そしてもう1本を……」
とガイウスがエリクシールを取り出すとそれを飲み干す。
ガイウスはみるみるうちに若返りまさに20歳位の青年にみんなの前でなったので大騒ぎになった。
会場全体がどよめく。
「これで私も、魔王討伐に参加できる!!」とガイウスは息巻いた
拍手喝采となった。
ガイウスが手招きをして俺を呼び寄せ隣に立つと
みんなが静まり返った。
ここで俺かよって思ったが今日の朝のことを思い出した。
「ただいま皇帝陛下からご紹介いただきました、ミチオです。この度マロル領にて国王となりました……」
ガイウスは隣でヒヤヒヤしている。
「私はみなさんが見て分かる通りまだ子供です。まだわからないことや知らない事もたくさんあります。ですが、私には優秀な部下と領民がいます。みんなと力を合わせてこの難局を乗り越えて見せます。では、我が国の具体的な戦略をここで発表させていただきます。レティシア、エマはこちらに」
2人はキョトンとした顔をしているが二人とも階段を登り、踊り場迄来てくれた。
「レティシアは内政官として今まで私の意見を聞きながらマロル領を見事に運営をしてくれた。私が国策を話すよりもレティシアから聞いた方が良いと思います」
レティシアは私?って顔をしているが
すぐさま
「マロル領内政官のレティシアです。我がマロル領は100万人都市を目指しております。
そして我が国をあまねく街道で繋ぎ経済の発展させ貧困問題を解決させ世界有数の経済圏を確立します。」とみんなの前で堂々とそれを伝える
「100万人?!……」
会場はどよめきと拍手に包まれた。
「次に軍事面においてはエマにお願いしております。エマは皆さんもご存知の方も多いでしょう」
エマが嬉しそうに前に出て話を始める。
「皇帝陛下より我らの国の紹介が今し方ありましたが一部付け加えさせていただくとブルガ王国の撃退戦では、
我々は1兵も失わずに勝利を手にしたのは我が君主ミチオである。
そして諸君聞いてほしい!我々はこの諸侯会議終了後魔王軍に対して宣戦布告し討伐を発布する!!」
会場は最高潮に盛り上がり称賛と拍手喝采である
と勝手にみんなの前で堂々と発表してしまった。
エマは今その余韻に浸っている。気持ちいいのだろう。
ガイウスが横で「さぁ次はミチオいよいよ国名を教えてくれるか?」と小声で言われ、
????
「国名?」
大臣も「はい国名をお願いします」
「マロルじゃダメなのか?」
「マロルは都市名です」と大臣
「もしかして考えてないのか?」
「言われてないから」
「えっ?ほらなんかあるだろ?……そうだミチオは名字があったよな」
「俺の名字は『カガ』ですが?!」
「それと、政策はみんなと決めるのか?それともアデリナに信託をもらうか?それとも主にミチオが決めるのか?」
「うーんほとんど俺が決めているかな?」
「魔王と戦うと言ったのは誰?」
「それは俺。」
「よし、わかった」
ガイウスがもう一度前に出ると
「さぁ諸君マロルを首都とした国名はクワガ王国という名前となる。正式な戴冠式は冬の2日にアデリナによってここ帝都で行われる。戴冠式には皆が参加する事を期待する」
とガイウスが締めると
拍手喝采になるが……
『クワガ王国』ってなんだよ?クワガタ王国みたいじゃん?
レティシアとエマも「覚えやすい、いい名前だと思います」
と称賛されたが俺の名前を聞き間違いとは言えなかった。
「ええ?そう?」としか反応できなかった。この世界にはクワガタはいないのかもしれない……
読んでいただきありがとうございます
毎週月曜日、金曜日の22時頃に更新してます。
誤字報告していただけると大変助かります
私情で申し訳ありませんが、次回とその次はお休みして
今度は5月13日を予定しております。
https://twitter.com/kujira_ts
Twitterにて、こんな人をモデルとしていますと言うのと、相関図を出しています。カギがついているので、捨てメールなどでアドレスを作ってアカウント作ってもらい申請してください。
ーーお願いーー
高評価と読み終えたらしおりもお願いします。励みになります