ロクサーヌの唇が俺の口に感じる
「んんん……どうした?ロクサーヌ……今日はゆっくりのはずだろ?」
「ご主人様おきてください」
とロクサーヌが起こす
「ん?俺が抱きついてるのは……」と見ると
セリーだった。
「セリーどうした?」
「何がどうしたですか?ご主人様が私を無理やり……」
「どうしてセリーが?」
「さっきの話覚えていないんですか?今日は皇帝陛下から招集がかかりました。北方帝国会議にも参加してくださいと言う事です」
「はぁ?なんで?」
「そんな事私が知りません」
「……んん……」やる気ゼロだが行かないわけにはいかない。
早々と用意して仕方なく登宮する
レティシアとエマも一緒に来てくれる。
エマもレティシアも連日の呼び出しと会議で疲れている。
俺との疲れ具合は多分違うだろう。
「なぜ今日呼ばれた?」とエマに聞いても「わからないが何かあったから呼ばれたと言う事だろう」
「それは魔王関連でか?」
「それ以外で帝国会議に呼ばれることはないだろ?」
宮殿に着くと早速会議場に案内される
そこにはエルフのハルツ公爵を含む多くのエルフが集まっていた。その中にはエステル男爵やブルーノ伯爵もいた。
会議にはもちろんガイウスや大臣の面々も揃っていた。
連日集まってもらって申し訳ありませんと言う大臣の言葉から始まった。
エマは知っていたのか知らなかったのか……
地図が正面に貼られ
「ああっ!エルフ領をずっと行けば陸路でリセリカ聖王国に繋がる道があるのか……」
「どう言うことだ?」
「つまり昨日の話ではイリジューム公国からしかリセリカ聖王国に向かうしか方法がないと思われたが直接リセリカ聖王国につながる道がもう一つあった様だ。むしろそこからが最も聖都が近いのか……」
大臣が始まりの挨拶を終えると名前を言う
「八聖剣イリナ殿ご報告をお願いします」
イリナ?
たくさんいるエルフの中にはイリナもいる様だ。
「はい。私がイリナです」
美しい女性が立ち上がったのにみんなが驚く
八聖剣って……強い人なんだろ?あんな綺麗な女性が?
「こう言う場に出ることがほとんどないので失礼がありましたらご容赦ください。先日リセリカ聖王国から書状が届きました。
そこにはリセリカの救援要請でした。かなり前から救援要請は出しているもののなぜか帝国には届いていない様で北回りの道を選んで我々に直接リセリカの白騎士が書状を届けてくれました。」
エマにESPで聴く
(白騎士とは?)
(白騎士はリセリカで最上位騎士でリセリカでも精鋭部隊です)
「現在白騎士は疲労と怪我で療養中です。その者が言うにはリセリカにはかなりの魔王軍がすでに入ってきており現在も攻撃を受けているが、強固な城の壁にまだ阻まれているがいつそれも破られるかわからないと言うことでした、それはつまりもう既に魔王軍は聖都まで来ていると言うことです」
「全て私が話していますが、使者が話していた事をそのままお伝えします。我が聖王国をお救いください。魔王討伐には12億ナールを一括では無いが必ず1年以内にお支払いすると言うことでした。」
エマが「いいねぇ俄然やる気が出てきましたね」
と遠慮なく言う。
まぁそれだけ逼迫しているといことだろう。
確かにはイリジューム公は自国のことばかりで我々を害虫駆除業者と勘違いしている節がある
続けてイリナは「エルフが統治するカルネスからリセリカ聖王国に入った方が良いのではないでしょうか?」
さっきエマが言っていたことか……
小声でエマが俺に言ってくる
「正面作戦と見せかけて2正面作戦にするのはどうでしょう」と俺に提案してきた。
どう言うこと?
すでにリセリカの国内はアンチフィールドウォークがなされて移動はかなり困難だと思いますが、我々にはワープとトランスポーターがあり、それは我々にしかできないアドバンテージがあるのでコレを活かす方法がいいのでは無いでしょうか?とエマの進言だった
会議では、すでにカルネスから進軍する作戦への質問になるが、エマの言う様にカルネスからリセリカの聖都までの道のりは雪深く無いのだろうか?
と言う質問には寒さはあるが例年それほど雪が強く降る地域では無いと言うことだった。
2正面作戦のことは言わずにいた。
もしかしたらこの中にスパイがいないと言う確証はなく
もしかしたらリセリカからの使者が来なかったのも誰かの陰謀で抹殺されていたのかもしれない。現に白騎士と呼ばれる精鋭の騎士も傷を負っていると言うのは妨害工作があったと見て間違いない。
ガイウスもカルネスからの進行で話を進めていった。
エマは軍事面でどのようにカルネスに人を集め、補給や作戦の指揮などなどの細かい話を詰める。
レティシアはお金の補助や見返りなどの話を詰めている。
俺はやることはない。ただ聞いているだけ。眠くなるが俺が魔王を討伐するのにここで寝てはいけない。
正直現場では何が起こるかわからないから会議は程々ていいと思うのだが……
後でエマに聞くと、言った言わないが後々出てくるのとお金授受はさらに問題になる。いい様に言いくるめられて、しまいには国賊にされる可能性だってあると聞かされると
黙って聞いているしかない。
もう一つイリナは重要な話のピースを持っていた。
「全然関係ない話かもしれないが……カルネス近くのストールセーという町にブルックと言うものが現れその近くの村が一つ消え失った」ということだった
「ブルック?!!」
俺のしていた指輪が反応し指輪の中にいるてケルスが出てきてしまう。
会場は混乱した。
会議室に上位霊のスペクターが現れたので聖騎士たちがガイウスを囲みすぐさま俺たちも囲まれ会議場の周りにも騎士が配置された。
「彼女はスペクターではあるが皆さんに危害を与える者ではありません。ブルックという人物に並々ならない怨みで霊となり復讐を果たす姿として現世に現れているだけです。」
「いや、だが魔物だろ?」とガイウス。
「魔物の中には意思疎通できるものもいます。もしかしたらそれを魔人と呼ぶ方が正しいかもしれませんが、私たちが知らないというだけで無闇に敵対するのはどうかと思います。もしかしたらハイコボルトも魔人に相当するのかもしれませんが現在調査中です。
少なくとも我々がクーラタル80階で出会ったハイコボルトは種族が違う以外我々とそれほど差はなかったと思います。我々の世界で見るハイコボルトは悪いハイコボルトで良いハイコボルトもいる。それは人族も同じでしょうといい人族もいれば悪い人族もいると言ってました。」
「そうかもしれないが……それは飛躍しすぎていないか?」
「いずれにしても彼女は攻撃しなければとてもいい霊です。彼女が現れてここに住んでいた悪い霊は全て消えてしまったそうです」
「喋るのか?話せるなら話してみたい」と好奇心旺盛なガイウス。
ケルスは少し前の貴族の格好をしている。魔法使いらしく大きな帽子を被り美しい女性の姿だ。
ガイウスはケルスの前まで行くと
「私はこの国の代表である皇帝のガイウスと言うものだ」
と頭を下げる。
するとケルスも膝を降りスカートをもって貴族らしい挨拶で
「私は元人間の魔法使いケルスです。よろしくお願いします。」と丁寧に返した。
見た目が半透明になっていること以外なんら問題なく意思疎通できるのと、ファンタジーの世界なのにアンデットというのを見るのが初めての人が多い
ガイウスは「おおっ」と驚くだけだった。
ガイウスにはブルックとケルスの関係は知らないので少し説明した。
ケネスは「私は魔王なんてどうでもいい勝手に討伐でもなんでもすればいい。私はブルックを追う」
「えっ?!!」みんな驚くがエマとレティシアはそうでもなかった。
「でもケルスさんだけでブルックは倒せるのですか?」とレティシア。
「ミチオは言った。ブルックを倒すのを手伝うと……約束を違えるのか?」
俺は「いや、ブルックも倒すがまず魔王だ」
エマは「自らの手で葬り去りたいのだろう?だが報告では魔法剣士だぞ?魔法は効かないだろうし、剣技だって無かろう?無事魔王を倒した暁には私の体を貸してやって2人で倒すでもいいぞ?」
「うーん……いやエマは属性が違うのでうまく憑依できない……あの女の方がいい」とイリナを指差した。
「私か?」
「あの女ならうまく憑依できる。私に協力しろ」
「私もミチオと一緒に魔王を倒しに行く。どうしてもいうなら一緒に魔王を倒してからだ」
「うーん……情報も少ないし、魔王が先か……わかったそうしよう。後でやはりブルック討伐は行かないというのは無しだぞ?!」
「ああ、エルフの名にかけて命があれば付き合おう」
イリナはやはり綺麗になってから自信に満ち溢れている。とてもルティナとカシアの姉妹に見えない。
エマは自分がブルックと一騎打ちができると思っていたのに少し残念そうだった。
お前はハイコボルトのアリビーナと一騎打ちしてギリギリで買って満足したんだろ?と思いつつも欲張りなエマを見て嬉しく思う。
「ミチオ何ニヤニヤしてんだ?」
やっと会議が終わりギリギリ若獅子帝国会議に間に合った。
会議場に行く途中でマキシムに「今日はロクサーヌとダンスをするんだろ?大丈夫か?」と聞かれたが
「何が?」と俺が聞くと
隣にいたエマが「あいつはそんなタマじゃないから大丈夫。」
となぜかエマが答える。
俺はギリギリで到着するとロクサーヌが待っててくれた。
「ご主人様。お待ちしておりました」
周りが一斉にこちらを見る
「えっ?!あの方の?」
俺はここでは有名人だ
「ここはあなたが来るようなところではないわ」と女の子の1人が言う。
「どう言う事?」
「昨日までは、人族やエルフのデビュタントをしていたみたいだけど今日はなに?狼人族?ここは獣の来るところではないわ」
「……そんなに可愛い顔して、そんなこと言うと顔が醜くなるよ」
と俺が言うと
「私を誰だと思っているの?」
会場はざわついている。
「誰ですか?」
「私はイリジューム公国の第一王女、リュドミラよ」
ああなるほどあの親にしてこの子ありか……
「今魔王軍で大変な事になっているそうですね」
「ええそう。でもお父様が帝国との約束を取り付けてくれたわ。帝国軍が我々のイリジュームの領地を回復してくれるわ。私も皆様に感謝しようと思ってここに来たのに、狼人族がいるなんて!!」
とご立腹のようだ。
俺も強気で行こう
「誰にものを言っているんだお嬢ちゃん?」
「えっ?!あなた失礼よ謝りなさい!!」
「失礼なのはお嬢ちゃん君だよ?俺はイリジューム公とそんな約束していない」
「はぁ?なんであなたがそんな事言ってるの?関係ないでしょあなたも名乗りなさい!」
「俺か?俺はクワガ王国国王ミチオだ」と面白くなってきたのでドヤ顔で言ってみた。
「ええっ?!えっ?ここで何してるの?えっ意味がわからない」
「さぁ帰ってお父様に言いなさい。ミチオという失礼な奴に謝れ!!っていってきたわってな」
彼女の顔が顔面蒼白になっていくのがわかる。そして膝から崩れ落ち「あわわわわっ」と床に座ると漏らしてしまったようだった。
そして逃げるように会議場から付き人に連れ出される。
ロクサーヌが「いいのですか?」
「ああ、ちょっとぐらいいいんじゃないか。少しは横柄な態度が改まるといいな」
「まぁまるで子供のいたずらですね」
確かに終始ふざけ気味で言ったので、これでうまく収まるといいんだけど。
後で彼女がイリジューム公になんて言われるかは確認しないとな。バルハたちに頼んでおこう。
ロクサーヌだって元貴族こんな場でもなれているのかと思いきや全く慣れていないようだった。
「父からは武芸ばかりだったので……」
今日デビュタントをするのは?と聞かれると
ロクサーヌも「はい」と嬉しそうに手を挙げる。
俺からしたら3日目なのだが
やはりロクサーヌのドレス姿で一際綺麗に見えた。
会場に入場してロクサーヌの前で跪くと、
「私と一曲踊っていただけませんか?」と手を出すと嬉しそうにロクサーヌはその手を取った。
曲が始まりダンスを始める。
ダンスは特訓のおかげで問題なく踊れている。
運動神経が優れていると、同じ動きをするダンスは特に問題ないのだろう。
「待っている時は何か言われなかったかい?」
「ええっ言ってくることはありましたが、殴りかかってきたわけではないので笑顔で答えてましたよ」
「ははははっじゃあ殴ってきたら?」
「蹴散らしますけどね」
「じゃあ今頃ここには2人だけだったね」
「それもありだったかもしれませんね」とロクサーヌは笑顔で答える
「もうすぐ結婚式だね」
「はい。楽しみにしています。いつまでも可愛がってください」
「ああ」
クルクルっと回りながらたくさんの会話をした。
「せっかく結婚するのですから結婚生活をするために必ず生きて帰ってきましょうね」
「ああ当たり前だ。ロクサーヌがいれば負けることはない」
「その通りです。私がミチオ様を守りますから」
「そうだったな」
「ロクサーヌ愛しているよ」
「私もです」
この日はずっとロクサーヌと踊っていた。
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