馬に乗りながら
そいつは嬉しそうに手を振っている。
その姿を俺よりもロクサーヌの方が早く見つけて誰よりもすぐにわかった様だ。
ロクサーヌは衝撃すぎて落馬しそうなぐらいだった。
「ミチオー!!!俺だよ俺!!!」と大きな声で俺を嬉しそうに呼んでいた。俺はその声に聞き覚えがある
馬に乗って現れたのは
「ジャッジ?!!!」セリーがその名前を言う。
当然ロクサーヌはいち早く俺たちの馬列から外れジャッジに向かっていく
「貴様!!どの面下げてここにきた!!」とロクサーヌは尋常じゃない程の沸点に到達している。先程のゼロとの戦いとは対照的だ
ジャッジは近くにロクサーヌが近づいてくると
「いやいや待てって。魔王を倒す目的は一緒だろ?ここは共闘しようぜ。なっなっ」
と馬に乗りながら言ってくる。
「どこを信用すればお前と共闘等という言葉が出てくるんだ?!」とロクサーヌはキレている。
「えっ??……タダオに謝っておいてくれって言ったんだけどなぁぁぁぁ」
ジャッジは頭をかきながら答えている。
謝れば全て許されるわけではないがな。
セリーが「それよりもあなたは死んだと聞いてましたが?」
と聞くと、「それに付いても話すから一旦止まろうぜ」
「我々は先を急いでいるのですが」
「大した時間は取らせない」
エマは「一旦話を聞こう。いくらなんでもこの人数と1人なら」
と言うが奴は人数の問題ではない。
「そんな奴の話を聞く必要はありません」
ロクサーヌは断固反対だ
「武装解除できるか?」とエマはジャッジに聞くと
「もちろんだ」
と答えた。そこまで言わせたら止まるしかない
俺たちは1人も武装解除はしていない……
馬を止めると
ジャッジは馬を降りて、両手をあげた
「アナイシャ姫もいるじゃないか?」
アナイシャは「私のことを知っているのですか?」
「ああまぁ。ベスタがここにいると言うことは要塞シャンタルとは会えたと言うことか。今どこに?」
とまるで俺たちのことをよく理解しているかの様に言ってくる。だが2人ともそれ以上何かを答える事はなかった。
ロクサーヌから緘口令が出ているのだろう。
エマが「貴様。以前も私を見た時にその様なこと言っていたな。どう言うことだ?」
「ああ、それは……うーん、順序立てて説明したい。」
「手短に頼む。」
「以前にも話した思うが、俺は魔王を討伐するものだ」
「ああ。以前そう言っていたな。そんなに何人も魔王と言うのは現れるのか?」
「規則性はない。急に現れる感じだ」
エマは「私が生きた中で魔王が現れた記憶がないが……」
「前のやつは100年くらい前でそれほど強くなかったから、記録にも残っていないのかもしれない」
「ちょっと待て!!お前何歳だ?」
「正しくはわからないが、んー700年は生きていると思う」
「「「?!!」」」
セリーが「あなたは長命種なのですか?」
「そうなるな。俺はもう少し未来から来た。その敵はデビル系の魔王だった。そいつも急に現れた」
「デビル系?」
「ああ、魔王にも色々いる。今君たちの戦っているのはゾイック系の魔王だ」
みんなはもう既に話についていけてない……
「俺はデビル系の魔王にやられて過去に戻る『死に戻り』を繰り返していて何度も魔王と戦い弱点を見つけては倒すを繰り返している。ミチオが知っている言葉で言うと「こんてにゅ』と言うのが俺には使えるらしい。」
「お前それは本当か?」当然俺だけが意味がわかったが皆んなにはスルーされた。
「ああ、でもコレはどちらかと言うと、スキルではなく勝手に実行されてしまう。どこに戻るか場所は俺自身が選べるわけではない。
何度もそのデビル系の魔王と戦ったが倒せる見込みがない……だからもっと過去に戻ることになった。そこで目覚めた時ミチオに起こされた。前の世界線にはミチオとタダオ、今回の魔王もいなかった。
だからこそお前を倒す事がデビル系魔王に勝てる条件だと思ったのだが、タダオが現れて、倒すのではなく共闘するのが条件ではないかと思い始めた。
そして新たに現れたゾイックの魔王を一緒に倒すべきなのだとそう思ったからここに来た。そして、今回俺の死に戻りはミチオにあったあの時ではなく、死んだ直後にミチオと出会ったあの場所に戻った。
ミチオを倒す事は条件じゃないと思ったら、今すぐ共闘するべきだと思ったよ。
いま、連合軍と魔王軍で戦っているのだろ?」
「ああ。戦っているのはその通りだが……」突然の話すぎてみんなついて行けてない
だが、ジャッジの話が本当なら話は全部説明がつく。
俺の感じた違和感やみんなの事を知っていることも。
みんな話が理解できないようなので俺が質問した。
「聞いていいか?ロクサーヌをなぜ攫うことに手を貸した?」
「ロクサーヌは前の世界ではヒシャームと結婚してカッシームの最初の女王となった。
だから手を貸した。それが元鞘だと思ったんだ!
だがロクサーヌはこの世界線では女王にはなりたがらなかった……だから迷った。そこにゾイックの魔王が現れた新たな違う世界線の魔王が現れた。
コレはミチオお前に謝らないといけないと思った。
……それは本当にすまない」
とジャッジは頭を下げた
「でもあのおっかねーロクサーヌがこんな可愛いお嬢ちゃんとは思わなかったが……」
「はぁ??私、ジャッジに一度も可愛い顔などしていない!!」
と言うか俺がこの世界に来なかったらロクサーヌは女王になっていたのか……
「私!私をなぜあの時助けたのだ?」とベスタ
「いくつか理由はあるが、そう。ミチオを執拗に追いかけなかったのはベスタ、君の存在のせいだ。君は必ず身を挺してもミチオを守る。
前の世界には要塞シャンタルにベスタという子はいなかった。もしくは表舞台に出ては来なかった。そしてシャンタルはずっとステーラに囚われていたはずだった。
だが、ステーラは落ちた……つまりシャンタルは今自由の身って事だろ?
そして君はミチオを愛していると、もしかしたら魔王を倒す一つの要素かもしれない……と思ったらトドメは刺せなかった。そして、ロクサーヌ、エマ、ベスタと武に愛された者がみんなミチオのところに集まっている……コレは普通ではない。俺はそう思った……コレでもまだ俺を信用できないだろうか?」
みんな顔を見合わせる。
セリーが「ジャッジの言っている事は荒唐無稽に聞こえますが、私たちから見たらご主人様も相当荒唐無稽に見えます。だから魔王を倒すまで共闘でもいいのではないでしょうか?」
と俺の顔を見てセリーは言う。
確かに断る理由はない。
ロクサーヌは全く信じている様子ではなかったが、みんながそれで納得なら今は魔王を倒す事のほうが優先順位が高いのだろうと理解した。
「ならば急いで行こう」
馬に乗り目的地へと急ぐ。すっかり夕焼けになっている。
ESPの魔法を使ってフィーネに連絡する。
(フィーネ、どうだあとどれくらいで戦闘が始まりそうか?)
(あと30分と言ったところです)
(わかった)
エマは騎乗中に俺に話しかけてくる。
「何か作戦はありますか?」
「いや、何も考えていないが……」
「先程のノボルチェスクの城は出し入れが可能なのでしょうか?」
「まぁ、できるよ」
「では到着したらまず城を出しましょう。我々は夜戦ができません。そのためかなり接近しないといけませんが、我々が魔王軍よりも優れているのは、機動力と遠距離攻撃です。どちらも視界が必要です。それならと思うのですが」
ジャッジが「城?籠城してどうする。明るくすればいいんだろ。俺に任せろ。それよりも日没までに間に合うか?」
「あと少しだ」
西の空はだいぶ赤くなっている。既に夜の冷たい風が俺の肌を刺している。
遠くから地響きが聞こえる。コレは戦闘が始まった音だろう。
ミチオが思ったように、
既に戦闘は始まっていた。魔王は日没から始めてもいいと思っていたが、先頭が接敵すると勝手に始めてしまった。
まぁたいした差ではないからいいだろうとユウヤは思っていた。
人間たちは簡易的な木の柵を作って待っていた。
つまりそれは俺たちが転進してやってくるのを知っていたと言う事だ。まぁ偵察で知ったのかもしれないし、なんとも言えないが準備する時間はあった様だ。
エステルはミチオが戻ってくるまでの間軍を任されているだけだがなるべく兵を失わないように洞窟での戦いのように何重にも木で柵を作りすこしづつ後ろに下がって行く戦法をここでも利用した。
「ギィィィィ!!」
コボルト達は一斉に襲ってくる
長い槍で柵の隙間から攻撃するもコボルト達の勢いは止まらない。
イリナが「臆するな!!所詮コボルト1匹1匹はたいした事ない!!」と言うと横一閃真空刃でコボルトを薙ぎ倒す。
マロルから連れてきた騎士団が
「こんな所で死ぬわけにはいかない。今まで地獄のようなトレーニングはここで生き残る為だ!!」と隊長が言うと
「「オーーー!!」」と一斉に盛り返した
「迷宮での戦いを思い出せ!!」とマロルの騎士が鼓舞する。
マロルの騎士団は半年前から迷宮探索訓練を行なって、実際に魔物達と戦って、レベルを上げるという事をしている。
最低でも30階層までパーティで行くというのができないとマロルの騎士団としては不合格で実際のジョブとは関係なく兵隊として格下げされる。
一桁台のコボルトなど実際には敵にもならなかったが数が半端ではない。次々に襲ってくるコボルトにやや苦戦を強いられる少しづつ防柵を後に下げて行った。
そんな中イリナは遠距離攻撃方法があるので次々倒して行くが、目の前に完全に復活したワーウルフのバシルが現れ一騎撃ちとなる。
イリナの側近はイリナの周りを守るように戦闘が始まる。
イリナも大きいが、ワーウルフとなったバシルはさらに大きかった。
「仮面の女、俺が相手になろう」
「少しは骨のある奴が出てきたか?」
横一閃で真空刃を放つとワーウルフはジャンプして一気に間を詰めてきた。
バジルの後ろにいたコボルト達は真っ二つになっていた。
両手で爪での攻撃をしてくる。
攻撃速度は早くそして重たい。
イリナはエマとの訓練で会得した様に、攻撃の速い奴にはコンパクトに剣を構え手を回す様にそれを防いだ。
「キィィン!キィィン!」と爪と剣が何度もぶつかり合う音がする。
力ではワーウルフの方が強く押している。
「ほら!!どうした?!」とバシルはイリナを両手の爪攻撃の間に噛みつきの攻撃もしてくるもそれは致命傷になるので避けた。
バシルは元々背は低く力もなかったのでワーウルフになってからというもの、今まで自分が虐げられて来た暴力で決着をつけるようになっていた。
「まるでガキだな。マスターベーションと暴力覚えたてでなんでも自分の言う通りにしてやる!って言うのが剥き出しだぞ」
とイリナが言うと煽るように手を上下に動かす。
図星だったバシルは余計に腹が立つ。
「貴様!!!もう殺してください!って言うまでナブって痛めつけてから殺してやる!!」
と怒りをぶつけてくる。
バシルの攻撃は怒りで単調になり次々とイリナのカウンターが入るようになるが、回復力の速さですぐに傷口が塞がって行く。
バシルの回復力には、イリナは厄介だと思いつつ一撃で倒さないと奴は倒れないことも悟った。
「ほら!お姉さんは初めてか?もう殺してください!!って言って欲しいだろ?」と煽る。
「貴様!!」
上から飛び上がって攻撃するバシル
いつもならそんな攻撃は受けずに避けるのだが、あえてイリナは剣で受けた。
バシルすかさず左手で横から攻撃するが、多少攻撃を受けても、イリナはさらに間を詰めて超接近戦に持ち込んだ
「うぉぉぉぉーー!!」
イリナは身体と剣を回転させ、バシルの懐の内で何回転も回るとバジルの腕は切り裂かれ、頭は地面に落ちた。
イリナはそのままバジルの下敷きになるが
バシルの身体を横にどかして、血みどろでダメージも受けたがバシルを倒した。
イリナは深傷を負ってはいるがバシルの首を掲げ周りの兵士を鼓舞した。
バジルの首を踏みつけると完全にバジルは倒された。
すぐさま側近の2人がポーションをイリナに飲ましている。
もう既に陽は傾きに東の空は深いブルーモーメントで闇が近づいてきている。
ミチオはこの時やっと最後方のエレオノーラの軍に到着した。
最前線に行くには大きく回って行く必要がある。
後方にいる魔王はナジュドに伝えた
「バシルが死んだ……そろそろ夜になるナジュドも戦闘の用意をしろ」と魔王ユウヤは悲しみを抑えてナジュドに命令する。
いよいよ奴も参戦。
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2025.08.12改編