陽が沈み辺りは暗くなって行く。
だんだんと兵士の視界は悪くなっていきだんだんと遠くが見えなくなってきていた
連合軍はかがり火をつけ少しでも視界が得られるようにしたが、松明の炎の光では10メートルも照らせない。
そのため、柵にも火をつけて少し退却する。
戦っている兵士からしたら目の前に急に魔物が現れる感じがしていた。
兵士が目の前に現れたコボルトに驚いているのがあちらこちらで聞こえる
「うあああぁぁぁぁ!!」
迷宮よりも見通しはかなり悪く魔物からは見えていても兵士達からは見えないのには圧倒的な差がある。かなり厄介な事になっている。
いつもなら全く敵ではないコボルト達も何かに取り憑かれたように前進して攻撃を仕掛けてきてあちらこちらで戦闘が始まる
魔王ユウヤも夜を待ちその準備をしていた。
馬から降りると
「ジャッジ!もう暗くなってきたぞ」馬での移動も困難だ
俺たちは自軍の一番左翼までやってきた。戦闘は主に中心から右翼側で起こっている。
「……ソラリス」とジャッジが魔法を唱えると、打ち上げ花火のように光が登っていきかなり上空まで上がるとそれが弾けると、太陽といかないまでも月よりは遥かに明るい光球が現れ全体を照らす。街路灯ぐらいの明るさで事態は一転した。
魔王軍はもちろん連合軍もこの光球を放った俺達を見る。
「えっ?」
みんなの注目を集めている。
当然連合軍はミチオが現れた事に歓喜した。
俺たちを見つけた敵のコボルトの一団はこっちに向かって来た
慌ててセリーやミリアを中心とした弓で次々にコボルトの頭に矢が刺さり倒れて行く。
「眩しくなくて、昼間より狙いやすい」とセリーも言う
初めて見た矢の攻撃にコボルトは動揺するも、死んだコボルトを使って盾に取り近づくも矢はその死体を貫通して突き刺さる
ナジュドは突然現れた光球を見て
ユウヤに聞いた。
「どうしますか?どうやったかは分かりませんが夜ではなくなったようです。軍を一旦引きますか?」
「いや、数が減ったわけではない。このまま攻めよう」
明るく光っているものを見上げると、照明弾なのだろうか?このまま待っていればいずれ消えるものなのだろうか?
それとも何か攻撃すれば消えるのか?
などと考えたが
仕方ない今しばらく様子を見よう。
近距離の乱戦ではいつものエルダーアースエレメンタルは使えない。
彼らに味方と敵の区別は付かない。目の前の者を倒すだけだからだ。
俺たちは最前線の左翼から中央に向かって行く。
ルティナと一緒に6連続魔法ブレイズストームをかけながら移動する。
あちらこちらで火柱が立つと、コボルトたちの士気は下がり死体の炎が燃え盛っている
右翼に向かって移動しながら、怯んでいるところに攻撃
「スパパパ!!」
旅団が弓で連続攻撃すると少し距離が取れた。
前線で遠距離攻撃して、最前列にいる歩兵部隊は一息つくことができた。
中央に行くと
エステルと合流して、ガイウス、アレクシア、そしてルドルフも中央に集まっていた。
「ミチオ殿!!なかなか来ないから心配したぞ!!あの光はミチオ殿だろ?」
とエステルは安心した様子だった。大軍を任され全滅させてしまっては大事だがその任から解放された。
ルドルフは「どちらにいかれていたのですか?」
「ああ、魔王がいない間に魔王城を落として来た。」
「えっ?はぁ?」ルドルフは何を言っているのか分からず間抜けな返事をしてしまった
「ノボルチェスクの城は無くなったよ」
「そ、そうなんだな。ミチオ殿がそういうなら」
ルドルフは信じがたいという顔で見ていたが
エステルは「だから奴らは転進して来たのか?」
「ああ、なんらかの方法でノボルチェスクが落ちたのを知ったのだろう……だから連合軍を倒してリセリカの城を取る気だろう」
いや、それで説明できるかもしれないが午前中にスパッと城が落とせるだろうか?いろんな疑問がルドルフには残ったが納得せざるを得ない。
ガイウスが「差し当たってはコイツだな」とコボルトを指差す。
いくら攻撃してもコボルトの勢いは止まらない。
少しづつ連合軍は戦線を後退させていたようだった。
イリナは負傷しながらも俺たちが帰ってきた事を喜んだ。
「ミチオよくやった」と俺が帰って来たということはどういうことかイリナには理解できていたらしい。
「奴らは何かに取り憑かれているように進軍してくる。弱いがいつものコボルトではない。これが魔王の力なのかもしれない」
なるほど。魔王の命令は絶対なのかもしれない。
「八聖剣のイリナまでいるじゃないか?」
とジャッジは驚きを隠せなかった。
「コイツは?」とあからさまな顔をしてイリナはジャッジを指差す。
「コイツはジャッジだ」
「「「「えっ!!、!」」」
そりゃあ驚くだろう。俺を半殺しにした奴がここにいるからな。
「大丈夫なのか?」
「今は魔王を倒すということで共闘している」
ロクサーヌはあからさまに嫌な顔をしていたが
俺がそういうならと言う空気だった。
「ジャッジ、あの光の玉はどれくらい光っているのだ?」と聞くと
「あっ?あれ?2日ぐらいつきっぱなしだぞ」
「そんなに長く保つものなのか?」
「ああ、ただ昼間はほとんど見えないけどな」
「そうか、ならまずはあの大量にいるコボルト達を倒すしかないな」
エステルも「ああその通りだ」と答えた。
「ああ、じゃあ俺は休んでおくわ」とジャッジ
「手伝わないのか?共闘するんだろ?」
「本命は魔王だろ?今魔王に強襲をかけても面倒なのがたくさんいたら勝てるものも勝てないまずは数を減らしてくれ」と言ってジャッジは勝手に休憩に入ってしまう。
「なんならミチオも休んでいた方がいいぞ」
とアドバイスすらする
まぁ俺もそうは言ってはいられない。
弓矢でじゃんじゃん倒しても死体の山が出来上がるだけでコボルト達が怯む事はなかった。むしろこちらの矢の数の方が現地調達でも間に合わない……
そこでルティナとクリエイトピット(落とし穴)を柵の前に横一列に作って落ちたコボルトに油をかけて火をつける事ですごい臭いを発していたが、これは良くなかった
戦線が左右に広がってしまった為より後ろに戦線を移動しなくてはいけなくなった。
魔王軍の攻撃は波があるものの絶え間なくコボルトがやってきて攻撃を仕掛けてくる。
時折ゲネナールが現れて暴れ前線を破ることもあったが旅団のみんなが倒してことなきを得た
連合軍はポーションのおかげもあり、ほとんどダメージが無いがずっと攻撃を仕掛けてくる奴らの精神的な脅威が蔓延して疲労度も上がっていた。
戦闘地域では異臭と奴らの叫び声が不快さを助長している。
兵士達は休憩も食事の時間もなく疲弊し、
連合軍は一度も反転攻撃に転ずることができなかった
「まずいな」とエマが呟く
エマは俺に「鬼人族をこちらに派遣しましょう」
と言ってきた。
「どうやって?」
「ほら、石の門をくぐる奴です」
「ああ、トランスポーターか……仕方がないな。わかった」
バルハにESPで連絡して、次の戦いの用意してもらう事にした。
フィーネとニコルにも鳥型ゴーレムの夜間飛行を頼んだ。
夜と言っても明るいのでなんとかなるだろう。
トランスポーターで鬼人族をこちらに連れてくると皆んな夜中に起こされたようだった。
「すまないな」
「もちろん大丈夫です」
ちゃんと戦闘準備を整えて集まってもらった。
フィーネから連絡があり、大地の割れ目からコボルトがわいているという事だった。
だから絶え間なくコボルトがいるのか。
ロージーとエミリーが操っているゴーレム部隊と鬼人族が時間がかかったが集まった。
連合軍の面々はどこから現れたのかと驚き面妖な出立ちに敵では無いか確認してきた。
シャンタルからも連絡があった。
(ミチオ殿遅くなったまだ間に合うか?)
以前渡したESPリングを使って連絡してきた。
俺は魔法を唱えて連絡した
(今、ムエバズガ近郊で魔王軍と交戦中だ。来れるか?)
(あの光はやはりミチオ殿だったか……あと10分で到着する)
(到着次第、コボルトを空中から焼き払ってくれるか?)
(ええ、わかったわ)
「あと10分でシャンタルが来る。シャンタルの攻撃後我々も攻撃に転じる。」
とみんなに伝えた。
長い夜が終わり東の空が青くなってきた。
シャンタルの竜達が空を埋め尽くす。
シャンタルが「行け!!」と叫ぶと
次々にブレスを吹くために急降下を始める。統制が取れ無駄なくブレスが絨毯爆撃のように辺りを火の海にした。
ドラゴンの出現に立ち上がってユウヤも驚く。
「あれほどのドラゴンが……」
ユウヤも戦況を注視していた。無限コボルトで疲弊した敵軍を明け方には一気に攻めるつもりだったらしい
エステルが大きな角笛を吹くと
反転攻勢の突撃が始まった。
全く予想していなかった反撃にユウヤも驚き戦闘に参加する事になる。ナジュドも横にいた。
俺たち旅団は大きく迂回して直接魔王本陣に奇襲攻撃を仕掛ける。
鬼人族、ゴーレム、騎士団は大地の裂け目とコボルトの残存兵を叩く。
そして空からは絶え間なくドラゴンのブレスが吹き次々と焼かれていった。
騎士団が先頭に立ちくさびを打つ。そこにはガイウスやイリナが入っている。ガイウスもここぞとばかりに高揚し雄叫びを上げている。イリナは先陣を切って次々にコボルトを倒しながら先に進む。
ガイウスは「やっぱり戦いは楽しいな」と徹夜明けなのに嬉しそうにコボルトを切っている
イリナはそんなガイウスを見てコイツはヤバい奴だなと確信した。
俺たちは大きく迂回しながらも直接本陣を狙った
もちろん魔王もそれに気が付いていた。
魔王が手勢50ほどのワーウルフを連れこちらに向かってくる。
「またおまえか!!邪魔するな」と俺に声をかけるが
「そういうわけにはいかない」
横からドラゴンがブレスを吐きながら着地。
その間にワーウルフを4匹仕留めた
そしてそこからジャンプしてシャンタルが現れ斧を投げる。
魔王はそれをひょいとよける
もう一つの斧で高速連続攻撃するも全く当たらない。
「じゃあこちらからも行くぞ」
と魔法詠唱なしでファイヤーボールを連打してくるが、シャンタルは小さい光の盾を目の前に展開するとそれを防ぐと
他のファイヤーボールも次々にその光の盾でシャンタルは冷静に防いだ
地面に刺さっていた斧を足でユウヤに蹴り飛ばしたが魔王はまたもやそれをかわした。
この乱打戦で反撃してくるとは……
魔王は距離を詰めてパンチをしてくるがそれをシャンタルは光の盾で防ぐが魔王の勢いは止まらず、シャンタルごと吹き飛ばした。
ベスタが俺の前に来てそれをキャッチした。
「お母さん……大丈夫?」
「ミチオ様の方に飛んだと思ったのに……」
いやあんたって人は……っていうかあいつ魔法を無詠唱で使ったぞ。
カマルが言っていた悪魔の目玉を食べたのだろうか?
昨日とは全然違う……
俺に跪き「遅れて申し訳ありません」
「いや、来てくれてありがとう」
俺はユウヤに言った。
「これからは山奥でひっそりと誰の迷惑にならないように生活できるのなら見逃すがどうだろう……でなきゃここで倒す」
ロクサーヌやエマには反対されたが俺の譲歩案を提示した。
「お前にとやかく言われる筋合いはない。ここに召喚されたんだから俺に好きにさせてもらう。この力を使ってこいつらを支配して何が悪い。こんな未開人は俺に支配されている方が幸せだろう?」
「まぁお前ならそういうよな」
ワーウルフ達と俺たちの戦いが始まった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
前回は申し訳ないです。どうしてもこの話で書かなくてはいけない部分があるのですがどうしてもうまく接続ができずに荒れていました。
うーんここはもう少しか描き直すかもな、、、、
それと致命的な間違いがあったのですがコボルトゲイナールではなくゲネナールでした。少しずつ直していきますが、気づいた方報告していただけるとありがたいです。
毎週月曜日、金曜日の22時頃に更新してます。
誤字報告していただけると大変助かります
https://twitter.com/kujira_ts
Twitterにて、こんな人をモデルとしていますと言うのと、相関図を出しています。カギがついているので、捨てメールなどでアドレスを作ってアカウント作ってもらい申請してください。
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