ランベルト王はタカシを王城に呼ぶと貴族と従者の前で
「魔王討伐ご苦労であった。タカシ殿よくやった。ノーケルリンフの王であるランベルトが貴君を勇者と認める。素晴らしい功績であった。今後は勇者である事を名乗る事を許そう」
厳かな雰囲気でとりおこなれた王城でのタカシの祝賀会でもあった。
城ではやはり沢山の食事とお酒が並び民達と一緒に魔王討伐を祝った。そしてそんな中ランベルト王はタカシに提案してきた
「フローラ姫をもらってはもらえないだろうか?」とランベルト王は常々タカシを国の中枢に入れようと画策していた。そして呼ばれたフローラも顔を赤らめて満更ではない。これは内々に決まっていたことでもあった。
タカシにはパーティメンバーのアンナと小さな村で拾ったアナスタシアという女性がいたが、あらためてフローラという特別な女性を手に入れた。
フローラ自身も、タカシにはその2人の女性がいることは知っていたが、そんなことは気にしなかった。自分がその中ですぐに一番になるはずと思っていたからだ。
前々からタカシは事前に王から賜りたいものを聞かれていた。いくらかのお金とミチオに憧れて無人島をもらう約束をしていた。王都から程近い島で勝手に立ち入りが禁止されてある島をもらってそこに家を建てていた。
ランベルト王も自分の娘が嫁ぐのだからと事前に立派な家をつけて用意していた。
タカシのパーティも喜びみんなそこでの生活を始めることになったが、生活を始めてすぐわかった事があった。
それは
アナスタシアもアンナもすでに妊娠している事がわかった……
フローラは楽しくなかったが自分もすぐにできるだろうと思っていたしそこまで重要なことではないと思っていたがランベルト王の王妃はいい顔をしなかった。
一般市民と奴隷のような子がフローラの子供の上にいる……と思うと王妃はいたたまれず王に相談したが、
王は「我が息子ミュレスがいるのに後継者問題など起こり得ない。フローラが幸せなら問題ない」と王妃の相談を突っぱねた。
王妃は憤りを覚えつつも王がそういうならと飲み込んでいた
だが自分の実子である第4姫ソーニャは優秀なガリバルト将軍との縁談がなくなるとミチオ殿に鞍替えをソーニャに要求した。
ソーニャは元々ガリバルトとは年もかなり離れていたし、ミチオならとそれほど嫌な気はしていなかった。
ミュレス王子に子供が産まれずに、実子ソーニャとガリバルトとの子が生まれれば、その次がもしかしたら自分の実の孫が次の次にノーケルリンフ王国の王になるかもしれないと王妃は考えていたがもちろん誰にも言った事もなければそれ以上のこともしなかった。
だがガリバルトがああなった以上むしろ国内での縁談は無理と判断すると新たな国王となったミチオの方が可能性があると思った王妃はミチオとソーニャの婚姻にランベルト王に進言したのだが、内気でほとんど部屋から出てこない第3姫シャーロットも興味を示すとは思っていなかった……
一方、タカシ達が与えられた島に到着すると穏やかな海と砂浜そして目立たない大きすぎない家がそこに建っていた。
パーティのメンバーはその豪華な内装に驚き喜んで滞在することになった
アンナは「でもここじゃクエストは受注はできないわね」と言うと、クルーガーとミラとルナは「まぁそうだな」
「誰がクエストをギルドまで見に行くかを考えたらやっぱり……」
とみんながタカシを見る。
「えっ僕?」
「嫌だってフィールドウォーク使えるのタカシしかいないし、どれくらいのを受注すればいいかタカシにしかわからないじゃん」とアンナが言うとみんなは頷く。
「まぁたまには私たちもついていってやるから」となぜか上から目線。
「僕の家だろ?」
「はいはい。みんなの家だから」
「……」
アナスタシアはなんていっていいかわからず、
「私が何かできればいいのですが……」
「アナスタシアは大丈夫。私達がクエストを受けている時もここで留守番をお願いする事もあると思うから」
アナスタシアは特に戦闘用のジョブをとっているわけではないので、家の事を今までもやってもらっていた。
家に帰って食事があると言うのはタカシのパーティには重宝されていた。
この島のことは内密にされており勝手に上陸してはいけないことになっている。
その頃ミチオはルシールが校長を務める魔法学院の入学式に参加していた。魔王討伐で先延ばしになっていた入学式も今日やっとする事ができた。
既にこのマロルだけで50万人の人が集まってきている。
ステーラから連れてきた奴隷達の中には教育者も多数含まれており、その者達を中心とした学校も作って今日から始まる。
まさか自分が好きではなかった学校を作る時が来るとは思ってもいなかった。当然内政官の凄まじい努力の結果だろうが、多くの子供達が給食をもらえ飢えずに今日から少しずつ学問を習うことになる。
その最終目標は魔法学校に入学した全員を魔法使いに昇格させることだ。
まずは今年80名の生徒がこの魔法学校に通うことになった。
ルシールもミチオ同様まさか自分が魔法学校の校長に就任するとは思っていなかった。落ちぶれた貴族に生まれ、最底辺の生活をしてきた冒険者だった自分が気がついたら賢者になりこの魔法学校を束ねる者となった。
全てミチオ様のおかげだ。
その名に恥じないようにと心に誓った。
俺ミチオが挨拶を頼まれた。
えっ聞いていない……
当然俺の事を知っている生徒はいない。俺の名前を呼ばれるまで会場のなかで俺が誰なのかわかるものは少なかったが、名前を呼ばれるとまさか俺がここにいるとは思わなかったのかどよめきが起こった。
「初めまして、先日クワガ王国の国王に教皇様より任命されました、カガミチオです。皆さんはこのマロルでも優秀な者たちばかりだと聞いています。皆さんはこの国の為にと思って集まってくれたのだと思いますが、ですが私はそうは思っていません……」
会場がどよめく。
「「「えっ……」」」
「私は皆さんが今生きているこの世界をもっとよくするためにこの学校を作ることにしました。この世界をもっとよくする為、みんなの好奇心を刺激して、面白く、幸せになるためにどうすればいいのか?
そして、どうしたら人は助け合えるのだろうか?そんな事をここで学んでほしい。人を陥れたり、攻撃魔法を覚えて人を攻撃するための勉強ではありません。
知恵を持って人を幸せにする魔法を皆さんはここで覚えて沢山の幸せを作ってほしいそんな願いを込めています。皆さんはその1期生となりました。ぜひ頑張ってください」
と俺が言うとシーンとなった。
それを聞いていたロクサーヌが1人大きな拍手をすると、周りのみんなも大きく拍手してこの会場中が拍手喝采となった。
ロクサーヌは涙を見せて嬉しそうにしていた。
それはルシールやジョゼ他のみんなも大きな拍手をして涙を流していた。
俺は一瞬やっちゃったか?と思ったが拍手喝采になってホッとした。やらかしちゃったのかと思ったがなんとかなってよかった。
ルシールもこう言うのは事前スピーチありますよといって欲しかった。全く……
午後は建築現場をフィーネに案内された。
次々に移民してくる国民の受け皿の家を建設中だ。ドワーフやエルフいろんな民族がいるので、生活洋式に違いもあるのである程度棲み分けてもらっている
ここの都市の大きさもナバ平原まで繋がってしまいそうな勢いである。
フィーネの都市計画は順調にいっているようだ。町が大きくなると人と物が大量に集まってくる。
食料確保や治安維持など人が集まってきたら集まってきたで次の問題が発生している。
その日の夜はロランの爺さんと会うことになった。
「おめえさんは忙しいんだろ?俺のところになんて大丈夫か?」
「まぁ夜は大した事ないよ」
「じゃあちょっと飯でも食って行くか?」
「もしもらえるなら」
「いやぁおめえさんはすごいな。このマロルをあっという間に巨大な都市に変えちまった。毎日風呂に入るって言うのは本当にいいな」
「気に入ってもらえたんなら嬉しいな。沢山の移民が来てロランも大変だったろ?」
「そりゃそうだろ?!って言うのは冗談だが楽しかったぜ」
「大丈夫まだ大きくなるから」と笑いながら言うと
「本当におめえさんは無茶苦茶だ」
「ああそれはよく言われる」
「ハハハッ……いやでも、アデリナ嬢がまさか教皇になるなんてな。弟のアデルも驚いているぜ」
「アデルはどうだい?」
「今は漁師として頑張ってるよまだ一人前とはいかないが自分で自分を支えるんだって調子乗ってるよ」
「そうか」
「まぁちょっとは酒をのんでみろ」と少しだけ注がれる。
本当に少しだけ飲んでみたが苦くてまずい……
「どうして大人はみんなこれが好きなのか?」
「大人になると苦い物や思い出に鈍感になるらしいぜ」
「そうなのか?」
「ああ、マロルも順調になってきた時に足元すくわれないように気をつけないとな」
「話がよく見えないな」
「もう酔っ払ってるって事だよ」
俺は気がつくと朝自分の部屋で目が覚めた。
「あれ?俺はどうやって帰ってきたんだ?」
ロクサーヌが答える「私とベスタで迎えに行きました」
「そうだったのか……ありがとう」
「今日は?」
「今日は特に予定はないようですが、ルティナを連れてアレクシアの所に行ってみてはどうですか?」
「そうかロクサーヌは来ないのか?」
「私はアレクシアがデレデレとご主人様としていたら切ってしまいそうです」
「……そうか」
という事で、ロクサーヌを置いてルティナと出かけることにした。
「下着屋の様子はどうだ?」
「はい。帝都とマロルのお店は順調です」
「その荷物は?」ルティナは、潤沢の鞄を持ってきた
「ご主人様と2人でお出かけなので色々準備してきました」
「怖いな」
「じゃあアレクシア領に行こうと思うんだが……」
「アレクシア領ではなくて、アルフレール領ですね。でもその前にオランディエに行ってみませんか?」
「オランディエって?なんだっけ?」
「えっ?!覚えていないのですか?」
「ああすまん。覚えていない」
「ほら、諸侯会議の時に言い寄ってきたオランディエの娘がいたでしょう?」
「ああ名前なんて言ったっけ?」
「アンリエットです」
「そうあの胸がこぼれそうな女の子」
「なに、ご主人様そんなところばっかり見て」
「まずはあの子を食べ……じゃなかった話に行って船を買ってきましょう」
「ルティナ……」本当に大丈夫か?
俺は行ったことがないからワープが使えない。
「ルティナはオランディエに行ったことがあるのか?」
「ええ先日行って来ましたのでフィールドウォークができます」
「先日行ったの?」
「ええ、まぁ」
と言葉を濁してフィールドウォークの魔法を唱えると
「さぁ行きましょう」と話題を逸らしたかのように言った
オランディエの港にやってきた
港には何隻もの大きな船が停泊している。
「すごいな」町全体は港になっており海賊から守る為海岸線に砦も立っている。
ゆっくり歩いていると朝の漁を終えた船が魚を下ろしている。
「本当にすごいですね」
「ああ、将来のことを考えたらここからも輸入する必要があるかもしれないな」
「そうですね」
港から少し離れた場所にあるオランディエ領主の家に到着した。ルティナが門番に「ルティナと申します。アンリエット様にお会いしたいとお伝えください」と言うと少々待つようにと言われた。しばらくするとアンリエットが慌てて出てきた。
「ルティナ様!ってミチオ様もご一緒ですか?」
「今日は外洋に出れる大きな船が欲しくてやってきたのだが……」
「はい。もちろん用意しております」とアンリエットが言うとすぐに屋敷に案内された。
アンリエットの両親オランディエ領領主と俺、ルティナ、そしてなぜか俺たち側にアンリエットも座っている。
「ミチオ様当家においで頂けるなら事前に言っていただければもっとちゃんと用意しましたのに……」と言うが
「お忍びできているし、そんな心配は無用です。お互いに利のある話をしましょう」
「そうでしたか、では……」とオランディエ領の話から始まり、今後のことについて話し合い、契約もすることになった。
オランディエの領主は信頼できるし、中古船とはいえ何かダメなところがあるようには見えなかったし、今後のことも領主は考えているようで決して高い買い物ではなかったように思った。
そして大型の外洋船とは別に乗組員も五十人ほど借りることにして、しばらくマロルに住んでもらうことにした。
料金は1200万ナールらしい。一瞬値引きを……と思ったがオランディエが苦しいと言っていたのを思い出すとそれをすることはできなかった。
俺は白金貨を12枚出すと領主は驚いていた。
「即金で?!ありがとうございます。では早速船を出航させる準備を整えさせます」
「それはありがたい。この船とは別にもう2隻同等船を新造してほしい。その値段の見積もりも頼みたい」
この値段交渉はルティナに頼んだ。彼女にも値段交渉のスキルがあるので割引が聞いたようだ。
2隻で2600万ナールで最終的に交渉できた。
前金の1300万ナールを払い出来上がったら残金を払うことになったので、即金で白金貨を13枚出して支払った。
領主は大変喜びし、アンリエットに感謝もしていた。
そして港町の案内を領主に頼まれるとアンリエットは喜んで俺たちを案内してくれた。
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