謁見が終わると俺たちは自分の島に戻った
「ああ疲れたな……」とぼそっと言うと
「毎日ではありませんので」とロクサーヌがフォローしてくれた。
リタにお願いして、置いて行かれた娘達に食事を用意してもらった。4人はその食事をみて驚いていた。
「こんなにお肉が入っているスープなんて初めて見ました」
ルティナは「沢山食べていいのよ」
やはりあまり食事はできていないようだ。
「でもこんなに食べたら太ってしまいます」
「大丈夫よ。ここの人は毎日食べていても綺麗でしょ?それよりもちゃんと栄養をとって。お仕事は明日から始まるから」
「はい。がんばります」
とルティナは4人に言うと食事を始める。「美味しい」と4人は顔を見合わせて喜んで食べてくれたみたいだ。
食後にメーアを呼び出してランドルについて話を聞いた。
前回の山賊バスクの時にもっと聞くべきだったのかもしれないがいつも戦闘に関しては積極的で正にバトルジャンキー
だったので仇と言ってもただ闘いだけなのかと思っていた……
だが逆に言えば、何かに焦って早く強くなりたいという事の裏返しだったのかもしれない。暇が有ればエマやジョゼのような巧みな戦闘技術を使う者とよく練習をしていた。
メーアと戦闘訓練した事のない者は俺ぐらいだろう。
……「どこから話せばいいか……」
メーアとランドルの話を聞かせてもらった。
「私には兄がいました。族長の父は息子である兄を族長にするべく兄に期待してました。村はこの間行ったリセリカのもっと東にありました。」
10年前のある日……あいつら4人が沢山の海賊を連れて海岸に船で現れ、目に入った村人を次から次に殺戮していった。
200人ほどの村だったがすぐに人数は減っていった。
族長の私の父はみんなに砦まで逃げるように指示した。
私は兄と一緒に砦に避難しました。
「にぃに.おとうと、おっかぁは?」
「後から砦に来る。俺も戦わなくてはいけない」
「ダメ!にぃに行かないでメーアを1人にしないで」
とメーアは兄の足にしがみついた。
村民のほとんどは戦いには不慣れで、彼らにとっては赤子の手をひねるようなものだった。中央の広場に女子供を集めて縄をかけ、食料や金品を一軒づつ回って略奪し終わると家々に火をつけていった。
もう我慢できなくその場で女を犯す者もいた。
「外道が!!」
兄が1人出ていった所でこの状況を変えることはできなかっただろう。
皆で砦に籠り上から石を投げて応戦する。
砦に篭られ海賊達も「時間かかるのは面倒なんだよなぁ。おら、早くこの門を開けろ!!
じゃあ条件出すわ。一騎打ちして、俺らが負けたらこれで今日は帰る。捕まえたやつもみんな返す。だがお前らが負けたら全員殺す。どうだ?!」
族長である父がその申し出を受ける。
父は砦から出る時「奴らが約束を守るとは思えない。闇夜に紛れて非常口からみんなを逃がせ」と兄に言った。
父は武人として堂々と海賊の前に立っていた。年は四十を過ぎていたが、引き締まった筋肉と俊敏な動きは他の戦士をも凌駕していた。
父は自分の名前を名乗ると相手にも名乗らせた
「子供か?生死をかける相手に名乗ることもできないのか?」
「はっはっはっそうかそういうのがあったな。俺の名前はランドル、お前の冥土の土産にしてくれ」
ランドルは槍を構える
父も剣と盾を構えた。
ランドルは槍で連続攻撃をすると、父はそれをひらりと後方に躱した。その突きで相当手練なのがわかった。
周りでは海賊が囲って「逃げてばっかりじゃ勝てないぞ!!」とヤジを飛ばす。
槍の方がリーチが長い分もっと踏み込まないと攻撃を入れられないのは道理。
槍の連続攻撃がなかなか接近を許さなかった。
「どうした?ジジイ俺に勝たないとお前の家族も皆殺しだぞ」
と煽ってくる。これで相手を焦らせるランドルの作戦である。
だが父は冷静だった、海賊が今まで攻めてこなかった訳ではない、いく度となく海賊達と戦い死戦を潜り抜けてきた勝負感はある。
「お前さんはこんなジジイを殺して楽しいのかね?」
「ああ、楽しいね」
「その槍が泣いているぞ」
「黙れジジイ!」
と槍攻撃が一瞬甘くなった。
そこにすかさず父は一歩踏み込んで切り付けた。ランドルの頬からは血が滴り落ちるが致命傷ではない。
「ジジイ!」
ランドルは怒り力任せに槍の連続攻撃を入れる
父はそれを躱していく。
「こんなことをしていて何になる?いつか自分がやられる番が回ってくるだけだぞ」
「そうか?最後まで上手くやれると俺は思っているぞ」
「これは理だ自分のやってきた事はいつか自分に返ってくる」
「何も知らないジジイは黙ってろ!!」
と怒鳴ると槍の攻撃に精彩を欠いた。
一歩踏み込もうとした所でバスクが父の首筋に毒針を投げた。それを避けることもできずに受けてしまった。すでに夜だったのもあるだろう。踏み込みがあまくなった瞬間をランドルは見逃さなかった。
父の腹を槍でついた。
「残念だったな。すぐに家族も後を追わせるからあの世で待っていろ」
とランドルが言うと「一騎打ちではなかったのか?」
「俺らの一騎打ちはいつもこれだが?」
「とことんゲスだな」と言うと父は最後の一撃でとどめを刺された。倒れた父の姿を見て
「いいもん持ってるな」
ランドルは父がつけていた金の首飾りを取り上げた
「戦士の首飾りをお前がつける資格は無い。それは族長がつけるものだ」
「その村は消えるから安心しろ!!」
ともう一撃を亡くなった父に入れる。
私は父の名前を叫んでしまいそうになったが兄がそれを止めた。家族だと言うことがバレてしまうからだろう
その後地下の非常口を使って裏の森に脱出した。
奴らが砦に入った頃には誰もおらず当然奴らは、私達を追ってきて狩りを始めた。
いつも父や母と喧嘩すると私は木の根っこにできた窪みに家出していた。内側から木の皮をその窪みに当てがうとまず見つからないが、子供が1人はいるので精一杯だ。
兄はその窪みの事を知っていたので、私をそこに隠すと
「朝まで絶対でちゃダメだ。声を出しても泣いてもダメだ。そしてあいつらの顔を忘れるな。何度も何度も思い出せ。わかったな?」
「うん」
「明日の朝になったら村には戻らず町に迎え。そこで落ち合おう。町の方向はわかるか?」
「うん。絶対だよ絶対にぃにも来てね」
「ああわかった。必ずだ。じゃあ内側から蓋をして」
最後の内蓋を一枚をつける時に兄は笑顔だった
兄は多分奴らと戦ったのだと思う。町にはいくら待っても来なかったから。そしてゴミを漁って男のような格好をして何とか生き延びたがある時賞金稼ぎギルドに寄ってみたら4人の名前と人相書きが載っていた。ランドルは一目見てわかった。
兄の言う通りに何度もあの日のことを思い出しては泣いていたからだ。
冒険者となりいつか4人に復讐をする為に毎日の訓練も欠かさなかった。
ある日ハインツが討伐されたのを聞いた。私はもうすぐにでも行動に移さないと他の3人を見つけられなくなると思った。一つの町に留まっていてもダメだと思った。他の奴らの情報も集めないといけないと思った時に丁度エークという白髪混じりの老人奴隷商人に出会った。
「私を奴隷として買わないか?」
「はぁ?何言ってんだ?お前みたいな男みたいな女買っても売れないだろ?」
「護衛として雇ったつもりでいい。ただし、私には目的があるからその時はそいつに私を売ってくれないか?」
「じゃあそれまでタダ働きで?ということか?」
「ああ。飯と宿が有れば問題ない。」
「いくらだ?」
「タダでいい一緒に連れていってくれ」
「タダはダメだ。商品をタダで手に入れるのはダメだ。それは盗みと一緒になっちまうからな」
「じゃあ1000ナールでいいか?」
「わかった1000ナールだな」とエークが言うと銀貨を10枚出して渡した。
旅の途中でエークは私の目的に気がついたのだろう。何を調べて何をしようとしてるのかを……
「だからあの時エークはミチオ様に売却しないと言い出したのです。ですがランドルだけは私にやらせてください」
とメーアは懇願する
「気持ちはわかるが俺だって大事なメーアを失うわけにはいかない。今までもそうしてきたしこれからも俺がみんなを守る」
と言うと
メーアは少し恥ずかしそうに顔を赤らめた。
「一騎打ちになるとは限らない。なるべくみんなで倒そう」
とメーアに言うとメーアはコクッと頷く。
レティシアからESPで緊急報告が入った。
(城内で火事です。連続的に起こっているので、組織的な付け火です。何処からかの攻撃の可能性もあります)
と連絡してきた。
ロクサーヌとエマにその事を告げ「俺たちも消火に行こう」と言うと、
エマはそれを制止した。
「いえダメです。狙いはココです。レティシアとルシール、ヴィラントで対応してもらうように言ってください」と俺に言った。
(レティシア、狙いは俺の家だそうだ。エマが言うにはレティシア、ルシール、ヴィラントで対応してくれとの事だ。また何かあったら連絡をくれ)
(かしこまりました)
俺の部屋に集合させると
エマは「すでに始まっています。全ての灯りを消して我々にダークビジョンをお願いします」
エマはすぐさまみんなを招集し「ワイオス作戦を実施する」
とまたエマの考えた隠語で説明をしているので俺には全く意味がわからない。
俺はみんなに『ダークビジョン』をかけるとすぐさま灯りを消した。
最上階の俺の部屋にみんな集まると周りを確認する。
するとすでに小舟で20艘ぐらいがこの島に集結している。全部で100人くらいか……
非戦闘員はシークレットドアで地下の食糧倉庫に避難している。
この島にいる戦闘をできる味方は20人ほどだ
エマが言うには「何人かは生け捕りにしたい。特に指揮系統の奴は注意して捕まえるように」と言ってきた。
生け捕りが上手なミリアが居ればと思ったが、今はそんなこと言ってられない。
「ベスタはミチオを頼むぞ」
というと「必ず私が守ります」とベスタ
セリーは銃ではなく弓で戦闘を始める。
「私は後方から避難できないように船を沈めていきます」と
言うとエマに「頼む。セリーが要だ」と言われると
「いってきます」とだけ言うと姿を消した。
沿岸では確かに火事があちらこちらで起こっている。
まさかこの家に直接攻撃してくるとは……
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