そろそろアランの所に行くか
「ロクサーヌ、そろそろ行こうか?」
「かしこまりました」
特に場所を言わずにロクサーヌに相槌を求めた
「じゃあ行ってくる」
ベイル亭の横の路地に出た。ここからアランの所は目と鼻の先だ
コンコン
使いの者が出る
「これはミチオ様。よくいらっしゃいました」
「いつも急に来て申し訳ないな」
「滅相もございません」
応接室まで案内される
遅れて、アランもやってくる
「ミチオ様、今日はどういったご用件でしょうか?」
「先日のセリーの妹リナについて聞きたくて来た」
「そうでしたか……」
「どうした?」
「実は先日、ここの領主のマロル男爵が来店しまして、リナに興味を示されました」
「すでに売却済みか?」
「いえ、お取り置き状態ですが……」
「リナはいくらになる?」
「マロル様にも同じ金額を提示しましたが、16万ナールになります」
「じゃあ俺が今日購入すると言ったら……どうする?」
「リナをですか?」
「ああ。先日、話を聞いて大変悩んだが、セリーは大変よく働いてくれて、利益を生み出している。屋敷の手配もできたし、一人くらいそういう者が居ても問題なさそうなので、購入を考えている」
「ご健勝のようで何よりです。マロル様のお取り置きを差し置いてお譲りするのは、私の商売的にも色々問題になりますので、お許しいただきたいのですが……」
確かにロクサーヌを購入した時もアランは支払いを待ってくれた。そしてロクサーヌを途中で売却するような事もしなかった
「お取り置き状態はいつまでだ?」
「あと3日間になります」
「なるほど…では、手付けだけでも支払うと言うのはどうだろうか?」
「かしこまりました。では半額の8万ナールを手付けという形でお受けします。マロル様がご購入の意思を示さなかった場合、自動的に購入権がミチオ様に委譲されます、このような形でよろしいでしょうか?」
「ああ、構わない」
「では、今回の件は問題になるかもしれませんので、書面にしてもよろしいでしょうか?」
「そうしてくれ」
「では、しばらく離席させていただきます」
契約書を2通作って持って来た
ロクサーヌに読んでもらうが、特に問題はないようだ
「購入しても何日かはこちらで面倒を見てもらいたいのだが、問題ないか?」
「かしこまりました。それくらいはサービスさせていただきます」
俺は前金の金貨8枚を払った
「残金は他のものが持って来ても問題ないか?」
「できればご本人が来ていただきたいです。奴隷とはいえご主人様がなかなか来ないのは心配になるので……それとインテリジェンスカードの書き込みはミチオ様がいないとできないので、ご来店していただく必要があります」
「わかった。4日後に必ずくるよ。」
「かしこまりました」
アランはミチオの急な心境の変化に驚いているようだったが、セリーとリナはやはり一緒にいた方が幸せか。と、アランも納得するのであった
外に出ると、ロクサーヌに聞いた
「ロクサーヌはマロル領主を知っているか?」
「マロルとベイルが主な街の領主です。他にいくつかの村が点在しておりますが、私は把握してません。先代は勇猛果敢な方と聞いておりましたが、当代は人族の美形というのは私には判りませんが、美形との噂です。迷宮攻略には消極的でほったらかしていますね」
確かにベイル近くの迷宮攻略もあんまり進んでないみたいだしな、荒事が苦手なタイプかもしれないな。それにしてもイケメンか……爆発してしまえ
ロクサーヌはイケメンよりも、戦闘できるのかどうかの方が大事なことが伺える
「じゃあ、ルークの所に行こうか」
「はい」
クーラタルのオークション会場に行くと、受付でルークを呼び出してもらった
応接室に案内してもらった
座ろうとすると、慌ててルークが入って来た
「お待ちしておりました」
「今回はクーラタルの50階層突破おめでとうございます。私も翌日に冒険者ギルドに行ったらもうすでにいなかったので、ご挨拶が遅れました。」
「ああ」
「私も、ミチオ様の代理人として鼻が高いです」
「そういうものなのか?」
「はい。ゴスラー様からご伝言があるのですが」
「ああ、明日の正午にロッジに来て欲しいという内容だろ?」
「はい、どうしてそれを?」
「たまたま昨日、ハルツ公爵様から聞いた」
「そうでしたか、よかったです。なかなかお見えにならないので、心配しておりました」
「で、オークションはどうだ?」
「私の全財産が大した事ないので、あまりご用意できませんでしたが、いくつか良さそうなのを競り落としました」
「芋虫1枚、蝙蝠2枚、スライム2枚、羊1枚、サイクロプス1枚、牛2枚、蝶1枚、トカゲ1枚、コボルト8枚の全部で19枚になります」
「それとですね、大変珍しく中々市場に出回らないのですが、ミチオ様の代理人という事で、オークションには通さずに直接売買交渉する者も現れました。これは珍しく皆さん欲しがるので、すでに購入してあるのですが……」
と、肩掛けのバッグを持ち出した
「こちら、潤沢のカバンというマジックアイテムです」
「その、潤沢のカバンというのはロクサーヌ知っているか?」
「すみません存じ上げません」
「それはどういったものなのか?」とルークに尋ねる
「こちらはミチオ様のようにアイテムボックスを持っている方には無用かもしれませんが、1トン近くの重さまで、カバンの重さが変わらずに入れることができます」
「すごいな。でも、値段もそれなりにするだろ?」
「はい」
「いくらだ?」
「こちらの商品は市場価格45万ナールですが、30万で購入しました。私の手数料10%を入れて33万ナールでどうでしょうか?」
「俺がいらないと言ったら、それどうするんだ?」
「ミチオ様の代理人という事で、相手方も売ってくれました。そのため、勝手には売れなかったのですが、いらないという事で有れば、私が45万ナールで売却します」
「ルークは正直だな。じゃあいらないと言ったら、ルーク大儲けだな」と笑いながらいう
「そのマジックアイテムというのは珍しいのか?」
ロクサーヌが答える
「はい。私も見るのは初めてです」
「購入させていただこう」
「スキルカードはいかがなさいますか?」
「スキルカードは全部でいくらになる?」
「全部でえーっと1,2,3,4,……5万2000ナールになります」
全部で38万ナールか……
ロクサーヌを購入した時よりも高いが、現金を持ちすぎても危険だしな。
「購入させてもらおう」
「ありがとうございます」
俺は38万2000ナールをルークに支払った
でも、いい買い物をさせてもらった
ルークに雑貨屋を聞いて地図を描いてもらった
「ではルーク、また頼む。良いものが出たら落札してくれ。カードなら5万ナールくらいまでで頼む」
「かしこまりました」
「武器や防具は要らないが、マジックアイテムのようなものが直接交渉で出たら、ルークが売っても元が取れるものならば買ってくれ」
「はい、そうさせていただきます」
ルークとの挨拶を済ますと雑貨屋に寄る
オークション会場から近くだったので歩いて行く
雑貨屋でポーションを入れる瓶を購入しに来た
その瓶もいずれ自分たちで作ろうと思っているが、初期ロットは人が作ったものでも構わないだろうと思い雑貨屋で購入することにした
雑貨屋で色々見るのだが、透明で軽量かつ持ち運びやすく、見た目の良いものと思うと、中々良いものがない
小さな一輪挿しにコルクで蓋をするようなものしかない
もっときれいめな瓶を探しているのだが、これがこの世界の普通かもしれないな。だが、蓋がコルクなのは……アルコールじゃないから、腐りそうだし…うん?そうか……
防腐処理もしておかないと、水が腐るな
腐らないようにするには、アルコールだよな
最初からワインを入れて、作れば良いのか……
でも……
ロクサーヌに飲ませるとあっという間に酔っ払いになるな
かわいいロクサーヌが見れるから別に問題ないかな
蓋はとりあえずロウ紙かな……
ガラスの蓋というのは、あまり実用的ではないな。動くと
カタカタうるさいし
実用性を考えると、見た目一輪挿しの瓶に、ロウ紙に紐で結んで、ロウ付け
まぁ実用的だな。ゲームで思っていたデザインとはかけ離れているが……持ち運びのことを考えたらこうなるだろう
とりあえず200個くれと言ったら慌てて出して来た。しかもみんな大きさ違うじゃん、透明と言っても黄ばんだりしているものも結構あるんだな
この精度の低さが参るよな。まぁ遠目で見ればみんな同じ大きさか……
いつかまともなものを作ろうと固く決心した
一個25ナールで5000ナールのはずだが3割引が利いて3500ナールとなった
雑貨屋でだいぶ時間を使ってしまった
ワインも買って行く必要があるな。近くの盛り場でワインとエールの樽もいくつか買った。本当に大した金額ではなかった
まぁ、ただこれでどれだけの防腐効果があるのかは謎だ
全部潤沢のカバンに入れても全く重さは変わらなかった
湖畔の館に戻ってきた
「うわっ!なんだこの臭い」
「もう……すでに出来上がっているようですね」
「さっそく小屋に行こう」
小さい部屋でガレージの3分の1くらいの大きさに煙突が付いている。入ると、ベスタとエミリーは驚いていた
「うわっ」
二人はエプロンとマスクをして大きな鍋を二つ各々かき混ぜていた
「ああ…合わさると凄いな、この臭い…」
俺はカバンから
ワインを取り出し2つの鍋に入れる。
振り返るとすでにそこにはロクサーヌはいない……
鼻が利くだけにたまらないのだろう
ベスタと代わって美食家を選択してベスタに問う
「こっちは滋養丸で良いのか?」
「はい、そうです…ケホッケホッ…」
スポーツドリンクの味と匂いに変換。色を白濁色に変換すると臭いが全くなくなる。恐ろしいスキルだ
「こっちのは火から下ろして、冷ましてから隣の氷室に運んでくれるか?」
「かしこまりました」
エミリーと代わる
「じゃあ、こっちが強壮丸で良いんだな」
「はい、そうです」
じゃあこっちはせっかくワインを入れたんだから、ぶどうジュースにしよう
味と匂いを変換して、色は葡萄の濃い紫色にした
あたりから急にいやな臭いがなくなり安堵した
「ふー。じゃあこっちも同じようにして氷室に入れてくれ」
「かしこまりました。ご主人様すごいですね、こんなの初めて見ました」
「ああ、俺も初めてやったよ。2人ともよくやってくれた。ちょっと休憩してくれ」
部屋から出るため扉を開けると、みんなが安堵している
「いやー、すごい臭いでしたからね。中で人が倒れてるかもしれないから誰が見に行くか考えていたんです」
と湖畔の住人の女性の一人が言った
「大丈夫だよ」
隣の氷室に入り、アイスウォールを5回唱えて、5個の大きな板氷を作った まぁ冷凍庫にはならないが、冷蔵庫になら問題ないだろう
エールの樽もここに出しておこう
ロクサーヌと一緒にセリーのところに行く
広間に居た「一通りみんなの装具を作りました。」残りの20個の装具を一人で作っていた
「今日はご苦労だったな」
スキルカードの融合をお願いしようかと思ったが、セリーは今日たくさんいろんなものを作った。今日はこのくらいにしないと負担だよな
「先日、ギルドでオークションがどうとかと言う話をしていたけど、どうなった?」
「主に装備品で高く売れそうなものはオークションにさせてもらいました。その他にも、マジックアイテムを見つけましたので、それは別にとってあります。それと売れそうにないものはインゴットの鋼鉄3つダマスカス鋼2つにしました」
「どんなものがあるんだ?」
セリーはアイテムボックスを広げ
「すみません、装具が忙しくて失念してました。とても良いものもあります。まずは魔法のランタンです
おそらく、暗くなると勝手に灯りが灯されるものです。ずっと灯りっぱなしですが……それとESPの指輪が2個。これは、相手に自分の思考を送れるものです。それと、守りの指輪はベスタが持ってるものと同じです。こちらのマントがエルフの外套で姿を一時的に隠せるものです。そして、呪文貯蔵の指輪ですが、あらかじめ魔法をこの指輪の中に閉じ込めておくことができて、魔法を使えない様な者でも魔法が使える様になります」
ゴソゴソとアイテムボックスからいろんなものをセリーが取り出す
「えーっと、その他に、水上歩行の指輪は水上が歩けるようになります。それと力のベルトは少しだけ力が上がるようです。それと潤沢のカバンはたくさんの荷物を入れられます」
「セリー、これどうやって調べたの?」
「ギルド所属の防具屋さんと武器屋さんに鑑定してもらいました、どれも30万ナールを超す物品なので、ご主人様に聞いてからと思いまして」
「カバンは今さっき、同じ物を買ってきたんだよ。まぁでも、セリーとルティナに持ってもらおう」
「セリーのカバンの中は何か入っていないか?」
「あっ!金貨が20枚入っている!それと、ペンダント?」
とセリーが持ち上げると
遠くから
「それは?!」と大きな声でジョゼが慌てて近づいてくる
「これはジョゼのカバンだったのか?」
「あっはいそうです。ですが、もうご主人様の物です。私にはもう権利がありません…差し出がましいのですが、このペンダントはいただけないでしょうか?」
セリーと俺は目が合うが、セリーがうんうんとするので、
「ああ、そうだな。ペンダントは返そう
カバンとお金は良いのか?」
「はい、これをいただけるのなら、他のものはご自由に使ってください。もう私には要らない物なので」
「そうか、
みんなに装具を渡したいから、広間に集まるように言ってもらえるか?」
ジョゼにお願いする。彼女の中で何かが整理ついたのかもしれないな。よほど大事な物なのだろう
「かしこまりました」
ジョゼはここの館の住人みんなに声をかけて広間に集まってもらうように言って回った
俺にはジョゼがペンダントをもらう時に泣いているようにも見えた
2024.09.01改編