ベスタには伝統的な衣装を着せられての出発となった。
しばらくしたらこの衣装は脱いで良いらしい。
エマとミリアがパーティを一時的に抜けるため、ジョゼとレベッカをパーティに入れる事にした。
アタッカーであるエマの代わりにベスタが前に出る事にしてタンクとしてジョゼが俺を守る事になる。
そして斥候のレベッカを入れ未知なる土地の探索を先行して行ってもらう事にした。ダンジョンとは違いフィールドワークを得意としているレベッカは安心できる存在だ。
そしてレベッカの肩には30センチほどの木製のインコが乗っていた。
緑色にカラーリングされているのでぱっと見本物に見える
「これは?」
「ロージーさんがこれを連れていけと……」
大きめのインコが急に話す。「ああ、私ロージー。この鳥はゴーレムでレベッカから操作できるわこの鳥の視覚はレベッカとこちらで共有しているから。遺跡に近いところに行くんでしょ私とフィーネでサポートする」
ってまぁ頼もしいのかな?!
それとシェルパとガイド(案内人)の2人がこの探索に同行してくれるらしい。うちのパーティは女ばかりなのでどちらも女性を選んでくれたらしい。
シェルパはルベリオ山の洞窟まで案内してくれるらしい。
彼女はエマーロ族でこの地域をいろいろ探索しているらしい。
20代後半なのだろうか?綺麗なお姉さんだ。年齢を聞くわけにもいかないし、他の種族では年齢はパッと見てもわからない。「ループ」という名前らしい。
彼女とは出発前に少しいざこざがあった。
長老とムシュリカが紹介してくれた時に
「私は子供の案内はしないぞ」と言われたのだが
長老の一人に「ルベリオ山に登る一行だお前の意見を聞いているわけではない」とピシャリと言われたが、シャンタルの顔を見て「シャンタルがいるのか。なら貴殿が子守りをするという事だな」と確認された。
シャンタルは「子守りされるのは自分の方かもしれないぞ」と釘を刺されたが「フッ」と笑って「あそこの洞窟は危険だからそこまでしか案内できない」と言われ外で待っていると言われたが俺たちにはワープがあるので
「片道だけで良い」と説明したら呆れた顔をしていた。
ガイドは森のガイドで森の切れ目までしか案内しないそうだ。
「森には道がないので私が案内する」ガイドはエルフで見目も美しい。名前は「ジェルトラルト」というらしいが長いので「ジェル」で良いそうだ。
「帰りは二人で帰ってくれて構わない」と伝えたら
二人は顔を見合わせた。
「大丈夫なのか?フィールドウォークは使えないぞ」
「ああ。問題ない片道だけで構わないが、2人が怪我をしても最悪命を落としても引き返すことはしないがかまわないか?」
「ああもちろん構わない。そういう契約で。だが私達は戦力に加算しないでくれ。自分を守ることしかできない」
「わかった」
俺たちのパーティは俺と、ロクサーヌ、セリー、ベスタ、ルティナ、リナ、メーア、キーカ、アナイシャ、シャンタル、ジョゼ、レベッカの12名とガイド2人になる。
そして、ムシュリカからは全員分のいつもアナイシャに変身してもらっている陸上騎乗竜をもらった。
アナイシャは俺を乗せて行ってもいいと言っていたが、それはかなりの負担になりそうなので遠慮した。
当日集合場所に行くとあまりに俺たちが軽装備なのに驚いていた。
ほとんど荷物も持ってなければかなりの薄着である。ガイドの二人は呆れながらも「そのカッコで問題ないか?」と聞かれるも俺が「ああ問題ない」と答えると仕方ないと言う顔で俺たちと出発する。
旅の計画では森の中で1泊、森を抜けた所で1泊そこでガイドの一人は別れ、その後は登山で洞窟の前でシェルパと別れるという事になっている。
空から行けないのかと言われるとたくさんのドラゴンが飛んでいるので地上から行くしかないと言われた。
まぁ三日で帰ってこれるならなんとか間に合いそうだ。
珍しくベスタが自ら自分の意思でやりたいと言っているのだからそれに付き合わないといけないな。俺はそのくらいに思っていた。
出発して1時間くらいで
早速森の前まで到着するとジェルが竜から降りて何やら唱えるとまるで木が脇にどいているかのように道ができる。スキルか何かなのだろう。
俺たちはその間をすり抜けて走っていく。先頭はジェルでその横にレベッカがいる
レベッカは何度となくオオカミの集団を発見したりして、ある時は避けて通ったりこちらから襲撃もした。
「大丈夫なのか?」とジェルは心配しながらの戦闘開始だったがそれは杞憂だった
セリーを中心にみんなの弓の攻撃が面白いように当たる
セリーに至っては木の裏にいたオオカミすら木を貫通してオオカミを殺した。戦闘開始からわずか1分で20匹以上のオオカミを撃退した。
二人の空いた口が塞がらない……
使用した弓がジェルとループには新鮮に写った
初めて見た弓は驚きの性能だった。自分達の飛び道具といえば石つぶてとボーラの二つしかないが彼女らの使う武器は木と木の間の狭いところでも精密に攻撃ができているのを見て驚いた。
「すごいな……」
さらにしばらく進むと
レベッカから「前方にピックホッグか1頭いますどうしますか?」
「まぁあんまり迂回ばかりもできないからな」
「かしこまりました」
「ジョゼとメーアで退治してもらえるか?今日の晩飯にしよう」
と言うとジョゼとメーアは用意を始める
「晩飯って……」
「ピックホッグは水属性が弱点の猪型の敵です。前足が鉤爪のようになっているのに注意が必要です」とセリーがインフォメーションを入れてくれる。
ジョゼがピックホッグに近づく
ジョゼが声を出してヘイトを稼ぐとジョゼに突撃をかけてくる。
ジョゼよりもはるかに大きいピックホッグだが大丈夫だろうか?
鑑定するとレベル35なので問題ないと思うが……
突撃で衝突する瞬間「シールドバッシュ!!」とその勢いを横にそらした。
次の瞬間メーアが大剣で首筋に攻撃すると頭を落とす。
血が噴き出てあたりは血の海に……
「あーああんなに血を出しちゃって……」とセリーが言うと
セリーが近づき『解体』のスキルを使ってピックホッグの解体を始める。
ルティナが「私が魔法でやろうか?」とルティナが聞くも
「いえ、あんまり使う機会の無いスキルなので使わせてください」
血抜きされ、皮を剥がれ部位ごとに手早く解体された。
ジェルが手伝おうと騎乗竜から降りようとしたら既に完成していた。
キーカが「このお肉を腐らせない魔法があるけど使う?」
とセリーはきかれ「そんな呪文があるの?」と答えると
「あるよ」「じゃあお願い」
解体されたお肉にキーカは魔法をかける
「フレッシュネスロック」
「これでアイテムボックスでも保存できるよ」
「これなら冷蔵庫要らないな」
「そんなに便利じゃないんだけど……お肉とか魚しかできないんだよね。野菜はまた別の魔法になっちゃうんだけど、僕はなんでかは知らないよ」
「そりゃ不思議だな」と俺が横槍を入れると
「ねー」
と言いながら作業をしている俺たちを見て、2人は驚いている。
(あのピックホッグの突撃を打ちのめして一刀両断だと?解体を10秒で終わらせて魔法で保存?!であっという間に食料?!)二人は見たことのない戦闘スキルや魔法に驚いていた。
森の木々は俺たちを避けてくれても地面はとても走りやすくなった訳ではないので決して速いスピードとはいかなかったがそろそろ陽が傾き始めるこらだろうとジェルがいうと、
レベッカとゴーレムバードが辺りを散策し始める。
「野営できる良い所を探します」
5分ほどで「南に自然にできた洞窟があるのでそこはどうですか?」と言ってきたのでまずはそこに移動すると、
反対側から見ると全くどこにあるかわからないような洞窟だった森の洞窟なので一応なかを探索したが特に問題はなく獣の痕跡もなかった。
大きさは結構大きく奥はそんなにふかくはなかった。
もしかしたら雨が降ってきたらやってくる動物はいるかもしれないけどとレベッカが言っていたが、問題ないだろうと言うことでここで1泊する事になった。
ループとジェルは騎乗竜を降りると早速野営の準備に取り掛かる。
焚き火のために木を集めて来たが、既に洞窟内には
セキュアシェルターの魔法で小屋が建っていたので驚いていた。
当初、メイジズ・マグニフィシャント・マンションで異次元の家にすれば毎日帰っているようなものと思っていたが、レベッカに山登りで高度がある為なるべく現地に泊まっておかないと高山病になると指摘を受けて、シェルターにする事にした。
『アイテム』で小さくしておいた家具などを大きくして洞窟内に置く魔道コンロもちゃんと持ってきている。
そう言う事で今日は珍しく俺も料理に参加する。
せっかく豚肉が取れたので、生姜もある醤油もみりんもあるならと今日は生姜焼きにする事にしよう。
大きいフライパンを二つ魔道コンロに乗せて薄く切ってもらった肉を俺が焼いていく。
メーアが「何の匂い?すごく食欲をそそるなぁ」
もちろんその間に米も炊いている。キャベツを千切りに切ってもらった
ロクサーヌとセリーにはポトフを作ってもらって
みんなに振る舞った。
「全くピクニックじゃないんだぞ。こんな匂いの出る物作ったらフロストジャイアントが寄ってくるぞ?!」とループはジェルに言うがジェルは生姜焼きというのをもらおうとみんなの列に並んでいる。
「ほらループも早くきなって」とジェルがループを呼ぶ。
「彼女達はさぁそんな難しい事考えていないんだよ。それにあの洞窟の入口見たかい?魔法でこの場所にはそう簡単には入れなくなっているし、何やら外には見張りみたいのもいるし」
みんな席に着いて「いただきます」と言うと食事の時間が始まった。
「生姜焼きうまっ。ご飯に合うわー」と俺はいいながら1年ぶりに食べた生姜焼きを噛み締めて食べる。
「ポトフもうまいな」とロクサーヌに言うとロクサーヌが「はい美味しいですね」嬉しそうに返事した。
ガイドの二人はこんなに具の多いスープと生姜焼きに驚いた。
まさか探索中にこんな料理が食べれるなんて思っていなかったからだ。自分は干し肉とコンソメスープを食べる予定だったがこんな見たこともない食事にありつけるとは思っていなかった。
「それにしてもおいしい」とループから言葉が漏れてしまう。
「そうだね。」とジェルは笑いながら答える。
俺の食卓ではみんな美味しそうに食べている。
セリーは「この料理は初めてですよね?」
「ああ。そうかもしれないな」
「ご主人様はまだこんな美味しいレシピをたくさん持っているのですか?」
「どうだろう」
「前に食べたとんかつも美味しかったですがこれも甘辛いソースが美味しいです」とセリーは正直な感想を言った。
「セリーに気に入ってもらえて嬉しいよ」
セリーは周りを見ながら
「……何だか懐かしいですね。こんな風に食べるの」
「そうだな前はもっと俺も作っていたからな。今はリタが居るからな。リタが大体俺たちの食事作ってくれるからな。手早いし美味しいし」
「確かにそうですね。でもたまには変わったご主人様の料理も食べたいです……」とセリーが言うと
ロクサーヌは「セリー過ぎますよ。でも一緒に作るのもたまにはいいですね」
とセリーを注意しつつもロクサーヌも同意見なのだろう。
「まだ二日あるからな」と笑いながら言うと
「そうでした」とロクサーヌも笑った。
食事の時間が終わり、ベスタがプリンをみんなに配ってくれた。「おっプリンか」とベスタの作ったプリンやはり美味しいな。
ガイドの二人は食べた事がなかったようでこれにもジェルとループは驚いていた。
特にジェルは口に入れた途端「んーーーー!!」と言葉にもでなかったようだ。
食後はみんな焚き火の周りに集まって暖をとった。標高が少し高いのか夜は寒くなる。
セリーが俺に聞いてきた
「ジェルさんが弓に興味を持ったみたいなのですがどうしますか?」
「山賊の奴らが持っていたから全くない訳ではないようだから動物を狩る様の弓なら教えても良いんじゃないか?」
「はい」
元座っていたところに戻ってジェルとループに作り方を教えているようだ。
続いて矢の作り方も説明していた。ヤジリはエルフの彫金能力で簡単に作れるようだった。
セリーが弓の使い方を教えたらすぐに使えるようになっていたのには驚いた。セリーの教え方がうまいのか、彼女のセンスなのか見事に習得した。
俺たちは夜になっても焚き火の前で何かをつまみながら話を楽しんでいた。
そして外には見えていないはずなのに近づくこともなく中の様子を探るように遠くから見ているものがいた。
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