「初めてテオに会ったのは、3週間前くらいになります。まだブラヒム語があまり使えず、バーナ語で、ロクサーヌ姉さんに通訳してもらう事もある時ぐらいです」
「あっそうか、3週間前はブラヒム語あんまり話せなかったな」
「はい、ロクサーヌ姉さんにも習っていたのですが姉さんも忙しいのでなかなか声をかけれませんでした。テオにも釣りをしながらブラヒム語を教えてもらってました」
俺はミリアの話を聞きながら、コップに葡萄ジュースを注いで、彼女の話を聞いた
ハーウェンで釣りを一日中してても飽きない私
魚の心を読んでいると、あっという間に時間が経ってしまう。夢中になりすぎて、以前捕まってしまった事もあったが、ここでなら大丈夫。
ご主人様がちゃんとここの人たちに聞いてくれた
なんか隣に座る奴がいる……邪魔なんだよな
ブラヒム語で声をかけられる
「ちょっと隣で見ててもいい?」
「別にいいよ です、邪魔ダメ です」
「うん」
気にせず、魚を取り上げる、今日一番の大きさだな
「すごい!!あっという間に釣れるんだね。すごいすごい」
「まーな です」
彼も釣竿を持っているのに、なんで釣らない?
「俺はテオって言うんだ、君は?」
「私はミリア です」
「ブラヒム語は苦手?」
「今勉強中 です」
「じゃあ、俺に釣りを教えてくれ。代わりに俺がブラヒム語を教えるよ」
「そうなのか? です」
「そうなのです」
と私をからかった。
一緒に魚釣りすることになったが、もうすでに私は十匹以上釣っているのでもうこのくらいで充分。
後は仕方ないコイツをかまってやるか
「魚の気持ち?を考える です」
「魚の気持ち??考えた事なかった」
「だから釣れない です」
「餌が、海の底にくっつかないように、ゆっくり右、左に動かす です 後は静かに……です」
スススー
「もっとゆっくり……です」
スゥー
テオも手に汗握る。
スゥー
「ストップ シー です」と指を口元に1本つけて
テオはよくわからなかったが、その通りにした
「今!! です」
テオは大きく竿をあげると、魚が釣れている
「ミリアすごい!!魚が釣れてる!!ミリア本当にすごいよ。俺、初めて魚を釣れた。ありがとう」
テオは竿を置き、針から魚を外して網に入れた。
テオは嬉しかったのか、ミリアに何度も話しかけてくる
「俺、釣り好きになったかも〜」
「よーし!もっと釣るぞー」
また釣糸を垂らす
コツを得たのか、しばらくすると、また釣れた
「ミリア また釣れたよ」
嬉しそうに私に見せてくる、まぁちょっと鬱陶しいけど、釣りの楽しさがわかってもらえて、私もちょっと嬉しかった。
テオは上機嫌で竿を桟橋に置こうとした時にバランスを崩して、テオは桟橋から落ちた。
「何してるの です」
「ちょっと興奮したら落っこっちゃった、ははは」
「テオ面白いな です」
「ははは」
その後は沢山話した
テオも奴隷で、自分の食べる分くらい自分で釣ってこいと言われてここにきた事、この近くに最近連れて来られた事、今まではどうしていたかなど、ブラヒム語で沢山話してくれた。
もちろん解らない単語はバーナ語で説明してくれた
私の事はあんまり話さなかった。内密な件も沢山あるし、ご主人様の事、迷宮の事を話したかったけど、やめておいた
「今日はありがとう。魚釣りがミリアのおかげで楽しくなった。俺は多分毎日ここに来ると思うけど、また見かけたら声かけても良いかな?」
「ああ……うんいいよ です」
「ミリアってかわいいね」
「えっ?そうか?です」
「うんかわいいよ。最後のですってつけないとますますかわいいと思うよ。」プププ
「からかったなー」
「じゃあねー」
とテオは手を振りながら帰って行った
バイバイ
4日後……
朝焼けと共に釣りに来た。今日は、朝ご飯前だ
釣り糸を垂らすと、満潮なのですぐに釣れる。今日も爆釣だなぁ、沢山釣れたのでちょっと休憩。もらった銀貨でお買い物をしてみる。正直な所ご主人様には言えなかったが一人でお金を使ったことが無い。今までは、だれかが一緒にいるか、魚と物々交換しかしたことがなかったからだ
初めてのお買い物ドキドキする
もちろんやり方は見ていて知っているが、お金を持たされたことがない。
パン屋があったので恐る恐る覗いてみると、いろんなパンが並んでいる。だが、どんなパンなのかはわからない
一つだけ興味をそそられるパンがあった。
店主に
「これは? 何パンですか?」
「ああ、これはサンマサンドだよ」
魚のパン?!目にハートマーク出ていると思う。
「これ ください!!」
私は2個取った
「20ナールだよ」と言われて迷ったが、銀貨1枚出してみた。
「ミルク ありませんか?」と聞くと隣に売っているらしい
お釣りを80ナールをもらう。お金が80枚増えた。
ご主人様がお金をあまり人に見せちゃいけないって言っていたな。
「ありがと です」
隣に行くと、
看板はついていないし、何を売っているお店か全くわからないが、おばあさんが一人座っていた
「ミルクがください です」
「はいはい」とおばあさんが言うと立ち上がり、手を出す
「??」
「お嬢さん何にミルクを入れるのかね」
「持ってない」
「そうなのね……ミルクを買う時は何か入れ物持ってきてね」
「いま、持ってない です」
おばあさんが木のコップを持ってきてくれた。
「後で返しにきてくれる?」
「うん」
「5ナールだよ」
銀貨を1枚出そうとしたら、おばあさんが
「こういう色のお金持ってないかい?」とさっきもらった銅貨を見せた
「あっ もつよ、違った 持ってるよ」
銅貨を1枚出した。
おばあさんが「5枚ある?」と優しく聞いた
「あるよ」銅貨を5枚出した
「はい、ありがとう」
「ありがとう です」
はじめてのお買い物で無事に買うことができた
後は、ちゃんとこのコップをあのおばあさんに返すだけ、
なのでお店の前の地面に座りここでいただく事にする
サンマサンドを1ついただく。とってもおいしい。
サンマと濃厚なタレがパンに挟んであるとちょうどいい味になる
今度ご主人様にも作ってあげようっと
ミルクのコップを返してまた自分の釣り場に戻ったら
テオがいた
またあいつか……
「毎日来てるのか?」
「やあ、ミリアこんにちは。俺は毎日来てるよ」
「私目当てだったりして〜」とからかったが
「ああ、そうだよ。ミリアかわいいもん」
「えっ?」
「からかわないで!!」
「えっ、からかってないよ。本当だよ。恥ずかしいけど、毎日ミリアを探してから釣りしてた」とテオは顔を下に向け話している
やりづらいな……と正直思った
「だってテオはまだ子供でしょ?」
「俺は16歳になったからもう大人だよ」
「えっ年上?」あんまり大きくないから、勝手に年下だと思っていたが自分よりも1つ年上だった
「ミリアは?」
「15」
「なんだよ、ミリアの方が年下じゃん。お子様扱いして」
「うるさいよ」
「ごめんごめん。また釣りを教えてもらおうと思って。今日沢山釣って来ないと親方にぶん殴られるんだ」
「テオのご主人様、テオの事殴るの?」不安そうにテオを見る
「うん、ぶっとばされる」
「ご飯食べれてる?」
「うんもらっているよ、ちょっと足りないけど」
一つ取っておいたサンマサンドだけど……
「よかったら食べる?」
とミリアはパンを差し出した。
「え?いいの?だってこれ買わないといけない奴でしょ?」
「えっいつも何食べてるの?」
「いつもは、山に生えてるキノコと、葉っぱのスープとパンの端っこ」
「魚は?」
「みんなご主人様に取られちゃうかな……」
ご主人様が違うとこんなに違うんだ…私はお金もらって自分で買い物して、えっ?サンマサンドいくつ買えるんだろう?!
「いいよ食べて」
「ありがとう」
凄い勢いで食べてる。
「美味しい。美味しい…ありがとうミリア」
「こんな美味しいの初めて食べたよ」
テオは相変わらず、釣りがへたっぴなので、
いろいろ教えてあげる
もう十分教えたと思うけど……
テオに教えてばかりで、全く自分の釣りができてない
「ミリアごめんね。ミリアが釣りできないよね」
「ううんいいよ。たまには」
「ミリア、ブラヒム語上手くなったね」
「です って言わないだけ、だってあなたご主人様じゃないもん」
「それでいいのに」
「そうなんだ」
「テオ、わからないことがあるんだけど」
私はまだ自分のことをなんて言っていいのか、たまにわからなくなるいろんな言い方あるし、ご主人様は俺って言うし、女の子は私って言うし、だから聞いた
「俺?私?自分の事なんて言えばいいの?」
「自分のこと言う時はミリアはミリアだから自分の名前でもかわいいよ。一回言ってみたら?」
「ミリアはミリア。これでいいの?」
「うん、いいんじゃない? かわいいと思うし」
「ふーん、そっかミリアはミリアだしね」
テオと沢山話した。テオはいろんなこと教えてくれるし、とっても優しい子だ。ブラヒム語もできる。私はずっと野良猫だったから、奴隷になった時、ご主人様ができるんだと、ちょっと嬉しかったけど、でもご主人様によってだいぶ境遇が変わるようだ
テオは料理も好きなようで、みんなの分を一人で作っているらしい
テオはミリアに家での事をたくさん教えてくれた。
私は迷宮に入っているとは言えなかった。私の事怖いって思うかな?ご主人様に勝手に人を傷つけたり、武器を出してはダメと言われているので、武器は持ってない。
テオは16才だったら誰かとつがいなのかな?
でも、奴隷って言っていたしな
なんだかさっきかわいいって言ってくれたし、
ちょっとテオが気になるようになった
そんな事言うの他にご主人様だけだし……
十匹釣れた所で「そろそろ帰らないと、家に帰ったら薪割りしないといけないんだ」
「そうか。じゃあね」
「あっそうだ。私が釣った魚もちょっと持って行って。
私は十五匹もあれば十分って言われるから」
「ほんと?ありがとうミリア。また会えるよね」
「うん。次は、、、、いつかはわからないけど、また来るよ」
「じゃあねー」
「うんじゃあねー」
ご主人様、、、この時はごめんなさい。釣れなかったんじゃなくて、テオにあげちゃったんだよね
次、漁村に来るのは、その4日後になります
今日は朝ご飯前に迷宮に行ってから、この漁村に来たからちょっと来るのが遅くなったけど
やっぱり釣りは楽しいな
桟橋から垂らす糸。綺麗な海の景色
今日の夜は女子会だし、お菓子楽しみだな。どんなのがあるのかな?
「あっここに居た」
「テオ 元気だった?」
「ミリア会うたびにブラヒム語上手になるね」
「テオのおかげだよ」
「ヘヘヘ。今日も沢山釣ってるね〜。隣いいかい?」
「いいよ」
「ミリア、なんて言うか……綺麗になったね?」
「急にどうしたの?」
「いや、本当に前から綺麗だったけど、ますます綺麗になった」
「んんん、あ、ありがとう」
ミリアは頬を赤くする
「今日さ、釣りした後、入り江の方に行ってみない?」
「うん?でも、私はご主人様に海に入ったらダメって言われているから」
「海には入らないよ。見に行くだけだから。凄い綺麗な所だから、ミリアにも教えてあげようと思って」
「ありがと」
その後は一緒に釣りを楽しんだ。テオも毎日来ているようでだんだん上手になってきた。
「今日はミリアより釣るから」
「テオになんか負けないよ」
「言ったな」
「じゃあ負けたら、勝った人との言う事聞く事」
とテオに煽られて、悔しくなったので
「おお!いいよ。負けないから」
結果は、同点
「重さでは俺の勝ちかなあ」
「えー!そんなルールなかったしぃ」
テオは
「だって同点になるとは思わなかったからな」
じーっと見つめる
「わかったわかったミリアの負け。テオちゃんミリアに何をして欲しいのかな?」
とおどけてみせた
「じゃあとりあえず、さっき言っていた入江に行こう」
「わかったわかった」
テオに連れられて洞窟のようなところを通ると、周りは断崖絶壁で白い砂浜。青い海で波も少ない、周りには誰もいない。
「テオすごい。きれいだね」
「なっ、言ったろ?」
テオはドヤ顔を見せて、ミリアに誇らしげだ。
「砂浜もちょっと熱いけど、白くてきれいだね」
テオが波打ち際に立って「こっちおいで」
と誘っている
「海に入っているわけじゃないから大丈夫だよ」
「うん」
水をかけあったりして、楽しんだ、
「ちょっと日陰で休憩しよう」テオが木陰に誘う
「うん、いいよ」
「なんか食べ物持ってくればよかったね」
とテオが言うと
「はは、そうだね」
テオは次の言葉がなかなか出て来ないので、ミリアがなんか変な事言っちゃったかな?って思っていたら
「実はさ、俺はミリアの事が好きなんだ。こうやって会ってくれるだけでいいから……また会ってもらえないかな?」
ちょっと突然言われて、ドキドキしている
「でも、私は奴隷だよ?いつ来れるかは……わからないよ?」
「俺はいつも、時間があればこの村に来ているから、今日会えて思ったんだ。俺、ミリアに会えてすごくドキドキしてる」
テオはミリアの顔の目の前にいる。
いやー恥ずかしいなー今私どんな顔しているだろう
俯き加減に答える
「そうなんだ」
テオはかなり私に近づいている
「わかったから、ちょっと離れて」
テオの顔が真っ赤になっている
そんなに真っ赤にしてこっちが恥ずかしい
顔をテオが近づけてくる。
とその時、たぶん近所の子供たちが入江に入ってきた。
慌ててテオは私から離れる
子供たちがからかう
「カップルか~?」
テオはかわいい
顔を真っ赤にしている
「さぁそろそろ桟橋に帰ろう。テオも、そろそろ帰らないといけないんじゃない?」
「もっと一緒にいたいのに……」と残念そうに言う
「また会えるから」
と笑顔で答える
「やった〜」
桟橋まで手を繋いで帰る。ミリアも嬉しくなっている
なんか、テオと会っていると身体の中がポカポカする。ご主人様に会っていても、身体がポカポカするんだよね
これってなんだろう
桟橋に戻ると、テオも沢山釣った魚を持って帰ろうとしていたら、
「テオー」と呼ぶ声が聞こえる
「あっいけね、ご主人様だ」
テオのご主人様らしい。猫人族じゃあないみたいだ。遠くでよく見えないが、狼人族で体も大きい男の人だ
私は会釈した
「じゃあまたねー」
「うん、またね」
走ってご主人様の所に行くと頭を小突かれていた
ミリアはそんな事された事ない、当たり前のように、テオの頭を殴っている姿を見ると、胸が苦しくなる
なんかすごい言われている
ちょっとかわいそう……
その後もテオの事を考えて魚釣りをしていたが、ちょっと上の空だった。いつの間にか周りに子供が沢山集まっている。
テオ、また会えるといいな
と思っていたら、ご主人様が迎えに来た
やった〜ご主人様〜きた〜
私の優しいご主人様。
「ご主人様〜」
「たくさん釣れたよ」
「ミリアすごいな。ボレーってこの辺りで取れるのかな」
「ボレー?あそこのおばちゃんに聞いてくるー」
「おばちゃんおばちゃん」
「おやおや、最近有名な釣り師のミリアだね。」
「えへへ」
「どうしたの?」
「ボレーって知ってる?」
「これだろ?」と言って貝を見せてくれた。
「お魚と交換できないかな?」
「ああ、いいよ。あなたの釣る魚は大きいからね」
「ちょっと待っててねー」
走ってご主人様の所にもどる
「ご主人様、魚さんと交換してくれるって」
「ミリアいいのか?」
「このあいだベスタちゃんが美味しそうに食べてたから好きなのかな?ベスタちゃんのためにでしょう?」
「ああそうだよ」
「じゃあ交換してくるね」
とおばちゃんと魚とボレーを交換した
「ご主人様ご主人様」
「今日ねあそこの入江の崖に友達と行ったんだよ」
「海には入ってないよな?」
「うん。見に行っただけ」
「すごい綺麗なところだから今度一緒に行こうねご主人様」
「そうだな今度一緒に行こうな。じゃあ帰ろう」
周りの子供達にバイバイした
ミリアは葡萄ジュースを飲み切りグラスを置く。
「そして今日になります」
私が釣りを始める前になんとなく気になって周りにテオがいないか確認した。いなかったので、ちょっと残念だったけど、いつもの桟橋で釣りを始める
ご主人様と約束したし、今日も沢山釣るぞ!!
さっそく、沢山釣れる。いやー釣りは楽しい。私に釣りを教えてくれた人が言っていたもん
「一生楽しく過ごしたいなら、釣りを始めろ」って言ってた。本当にありがとう。釣りのお陰で捕まっちゃったけど、結果的にとってもいいご主人様に出会えたし。
しばらくしたら、テオがやってきたが、様子がおかしい
「テオ?どうしたの?」
テオの顔が腫れていた。
「いやー、ちょっとご主人様に殴られちゃって……」
口から血が出てる。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。ごめんね心配かけちゃって。そんなことより、一緒に釣りしよう」
「う、うん」
テオはかなり沈んでいる
「テオ?」
「お、そうだミリアの為にいい所見つけたんだよ。この近くに川があるんだけど、今日はそこで釣りしない?」
「うん、テオがそうしたいならそうしてもいいよ。夕方までに戻って来れる?」
「そんなに離れていないから大丈夫だよ」
「うん……」
手を繋いで、山道を歩いていくと、川があった
きっと、さっきの海に繋がっているのだろう
その先には少し開けていて川の入江になっている所がある。
「どう?ここで釣りしない?」
「うんいいよ」
川魚でも、基本は同じ。魚の気持ちを考えれば、あっという間に釣れる
川魚だからちょっと小さいかな、でも天ぷらにしたら美味しそう。
「ミリアは川でもすぐ釣れるんだね」
「テオもしてみたら?すぐ釣れるようになるよ」
「うん」
テオもすぐ釣れた。
でもあんまり嬉しそうじゃない
「やっぱり帰ろうか?」とテオが言う
「どうして?だって来たばかりだよ、テオ変なの?」
「……」
ちょっとしたら、狼人族の大きな男の人が2人でやって来た。
「こんなところでいちゃついてダメだろ」
男の一人が私を取り押さえようとするので、逆に後ろに回って突き倒し首を足で押さえた。
「今捕まえようとしたでしょ何するの?」
もう一人がテオを捕まえ、ナイフをテオに突きつける。
「そいつを離せ、ちょっとはできるようだな。こいつがバラバラになっちまうぜ」
私は仕方なく足を離すと、すぐさま後ろで固く縄で縛られた。縛られた後、目隠しまでされてお腹を蹴られた
「乱暴はやめて」とテオが言う
「おめえは黙ってろ」
とぶん殴られているようだ。
私とテオは運ばれていく。どれくらい運ばれているかわからないが、どこかの小屋に運ばれたようだ
二人は酒を飲み始めたらしく、声も大きくなっている、私は違う部屋で縛られて、目隠しされたままだ
「うまくいったな」
「ああ、うまくいった」
「乱暴はしないって言ったじゃないですか?」
「あいつが乱暴な奴だったからな、仕方がねぇだろ」
「お前も同罪だろ、偉そうに言うな」
「おら、テオなんか飯作れよ」
「……はい」
しばらくは静かになった
テオが盗賊にご飯を作らされているのだろう。
かわいそうに
男二人はご飯を食べているんだろう。食事をする音が聞こえる
「約束、約束は守ってくださいお願いします」
「はぁ?なんの約束だっけ?」
「彼女を誘拐するふりだけで、ご主人様からお金を貰ったら、彼女と俺を解放してくれるって約束したじゃないですか?」テオが言う
「おめえは、本当にバカだな」
「頭悪い」
「どうやって金もらうんだよ」「ひょこひょこお金をもらいに来ましたって貰えるわけないだろ」
「俺らは、最初から、奴隷商人に売るつもりだよ。こんな山賊からでも引き受けてくれる奴隷商人がいるんだよ、かわいいからな、いい値段になりそうだぜ」
「今なら一回くらいやっちまってもいいぜ?童貞だろ?彼女でやっとけ、はっはっは」
「お前のかわいい顔が受けるらしいから、次も頼むからな」
「話が違うじゃないか!」
「アホか、最初から俺はそのつもりだよ。そしてお前は彼女を裏切り、売り飛ばす。もう今さら、後には引けるわけないだろ」
高笑いをしている
男の一人が、
「うまくいったな、こりゃ祝杯だな。酒買ってこよう」
「相棒、テオとこの女見張ってろよ。って言ってもチビと縛ってある女だから簡単だろ」
「ああわかった」
一人が出ていくと、もう一人がこっちに寄ってくる。
「かわいいな。テオがやらないなら、俺がやっちまうか」
私の胸を触って来た、
「やめて、触らないで」
「暴れるなよ。売り飛ばされたらもっとすごいことされるから、今のうちに慣れとけよ」
「ドス」とすごい音がした。血の匂いがする
「ごめんごめんよ。ミリアごめんね」
「あいつらにそそのかされたんだ、ミリアとずっと一緒にいられると思って」
テオはロープを解いている
「ミリアもこれで、奴隷じゃなくなるから、この方がいいと思ったんだ。本当にごめん。絶対ここから出すからね」
縄を解くと、私は目隠しを取った
一人の狼人族の大きな男が血を出して倒れていた。包丁が彼の脇腹に突き刺さっている
「さぁ逃げよう」と
玄関から出る
「あいつは村の方に酒を買いに行ったからこっちの山の方へ逃げよう」
真っ暗な山を歩きながらミリアと話す
「ミリアごめんね。あいつミリアをこないだ見た時から、攫ってくる方法ずっと考えていたみたいなんだ、
俺、ミリアとずっと一緒に居たくて、あいつに騙された。
ミリアもご主人様と一緒にいるより、俺に着いて来てくれるって勝手に思っていたんだ。俺騙されて……」テオは泣きながら謝る
「ごめんなさい」
「テオ私も謝らないといけないことがある。私ね、テオと同じくらいご主人様も好きなの。だからこれからもご主人様と一緒に居たいと思っているの。テオの事も好きだから私のご主人様の所に一緒に行こう。だめかな?」
「だって俺はミリアを裏切ったんだよ、もうそんな事できないよ」
「ミリアはそういうのよくわかんないから。だって助けてくれたじゃん?ご主人様は優しいからきっと許してくれるし、一緒に住めるよ。私も一生懸命お願いするから、ね?」
「えっ!?そんなの無理だよ」
少し、テオは困惑していた
「困るな〜そういうことするの。相棒殺して、そそくさと女と逃げるなんて」
「逃がすわけないだろ、俺の鼻いいんだぜ?」
とさっき家を出て行った男が追いかけて来た
テオが私の前に立ち庇う
「ミリアは渡さない」
「ミリアは大丈夫だから、逃げて」
男は2本のナイフを投げて来た、1本は私に来たので、受け取った。もう一本はテオに刺さっている
「はあ?」
「テオ大丈夫?」
男は慌ててもう一本投げて来た
それも受け取った
「なんだこいつ、ナイフを受け止めやがった」
ミリアはナイフ2本をその男の両足に投げて命中した。
「ウゴッ」
男は動けなくなっていた
テオを座りながらかかえる。
「ミリアすごいんだね。ごめんね僕は一緒にはいけないみたいだ…たった3週間だけど…僕に取っては最高の3週間だったよ……ミリアに会えてよかった…ミリアの笑顔が見れてよかった…ミリアの事が好きになってよかった…最後はちょっと、かっこ悪くなっちゃったけど、ミリアは、いいご主人様に会えたんだね…悔しいけど、大事にしてもらってね…」
「ダメ、ダメ、テオ、立ち上がって…」
「なんかちょっと、寒くなって来たよ…魚釣りの競争で、勝った人の言うことを聞くの、覚えて…る?お願い…俺の事抱きしめてもらえないか?俺、ずっと…一人だったから…」
「わかったから…抱きしめるから、死んじゃダメ…」
「ミリア、大好きだよ…」
「ダメ、死んじゃダメ、戻ってきて!」
「こんな時呪文が使えたら、もう、もっと勉強して魔法が使えるようになっていればいいのに。ごめんね。テオごめんね。死なないで」
私は今どこにいるかもわからなかったので、ずっとそこで泣いてました。しばらくすると、ロクサーヌ姉さんとエマさんが来たので、私助かったんだって思いましたが、テオはもう死んでました。私の腕の中で。
「これがミリアとテオの一部始終です。私にはご主人様がいるのに、テオの事、テオの事……ごめんなさい」
とミリアが謝る
俺は、
「もう少し早くに気がついていれば、助かったのかもしれないな。ミリアごめんな。夜明けになったら、一緒に入江に行ってお墓作ってあげよう」
「うん、ありがと……ござい…ます」泣きながらミリアはお礼を言う
夜通しミリアの話を聞いていたので、すぐに朝が来てうっすらと明るくなって来た。
俺とミリアは彼の遺体とお花を持ってハーウェンの村に来た。そして、ミリアに案内されて入江の高台に来て、ここならいつでも海見えるな。
魔法で土を掘り、ゆっくりとその中にテオを入れる。
ミリアは、泣きながら花をたむけ、テオの周りにたくさんの花を置いていきながら俺に喋りかける
「ご主人様、あのね?私野良猫だったから、好かれた事ないんだ……ミリアは、お馬鹿さんだし、野良はみんなすぐ死んじゃうし……」
「テオね?いい奴なんだよ。私のこと好きって言うの。そんなこと言うのご主人様とテオだけだから……」
「テオもお馬鹿さんだから騙されちゃったんだね……」
「私は……私は……」と泣きながら
花を沢山テオの周りにたむける
「テオは魚釣りへたっぴだから、私の釣竿あげてもいい?」
「そうだな、大事にしてくれるんじゃないか?」
ミリアの釣竿も一緒に埋めてあげる
「砂かけるぞ」
二人で砂をかける
ある程度かけたところで
魔法で砂を上からかける
ミリアが石を3個積み上げて、
「テオ、私の事好きになってくれてありがとう」
と手を合わせて拝む
朝焼けが眩しい
帰り際に歩きながら、ミリアが言う
「ご主人様、ちゃんと集合場所にいなくてごめんね」
「迷子になったら、あまりそこから動くなよ?俺が必ず迎えにいくから」
「うん」
2024.09.01改編