「おはよう」
待っていたみんなに挨拶する
俺は今し方エマとアーダに連れられて我が家に戻ってきた。
服をどこに置いたのか判らず、裸で帰ってきたのだから
みんなの目は点になっている。「どうして裸?」と聞こえてくるが、
こういうことは堂々としていた方が王としての貫禄が出る。
セリーに「なんで裸?」とはっきり言われるが
堂々としているのが余計に気になるらしい。
俺自身、まんま裸の王様だなと思うと急に恥ずかしくなってきた。
「裸で寝てた所を無理やり連れてこられた」とセリーに事情を話した。
セリーは少し考えると『あーカシア様と朝からHなことしていたな』と理解した。
「これから迷宮攻略ですからお戯れをしてないで用意をお願いします」とセリーが俺のメンツを立てて話してくれる。
ロクサーヌは俺を連れて自室で装備の用意を手伝ってくれながら俺に言う。
「カシア様は綺麗ですからね。でもあんまりオイタが過ぎると大変なことになりますよ」と俺に戒めの言葉を言いながら用意してくれた。第一夫人の貫禄なのか怒っている表情ではないが
俺は「はい、気をつけます」と言うと、
「はい。じゃあよし。今日も迷宮攻略頑張りましょう」
と笑顔で俺に言ってくれた。
この世界の感覚にすっかり俺も慣れ過ぎてしまった。
自分は王となった今なんでもしていいわけではない。だんだんとここの世界の常識からも離れてしまってもそれを戒める人は少ない。ロクサーヌの言うには今はカシア様との関係はほどほどにしておいた方が良いと言うことだった。
ハルツ領からセルマー領を削り取り、帝国の領土でもあるその女王と密接な関係か他の人から見ようによっては外患罪に取れるかもしれないと後でセリーに聞いた。
俺の不埒な行動で戦争に発展することは充分にこれからは考えていかないといけない。ガイウスはすでに気が付いているだろうが、それに甘えるわけにはいかない。
ハルツ公は間違いなく俺に対して良くは思ってはいないだろう……
恩を仇で返した形だ。俺はできるイケメンが気に食わなかっただけだ。
カシアとは動機が全く違う……
魔王戦では兵隊まで出してくれたのに……
色々考えている間にセリーに言われる
「クーラタルの84階になります。この階もボスは判っていません……ただ徘徊する魔物はワイルドボアです。大型の魔獣になるので、迷宮は大きくはなっていますが狭い通路でどの様に戦っていくのかはあらかじめ決めておく必要があります」
エマが「あの直線的な突撃をするイノシシだろ?あんなのが横に二列で並んで突撃してきたらもうそれで終わりじゃないか?」
「考えられる方法は3つです。
1.一撃で仕留める
2.空を飛ぶ
3.姿を消してなるべく接敵しない様にする
ちなみに前回はクリエイトピットで落とし穴を作り、動けなくして攻撃すると言うやり方で倒しました」
「言われてみたらそうだったな」
と俺も思い返してみた
エマは「あの巨体を一撃で仕留めるのはかなり難しそうだな……なら2.3になるが……」
ロクサーヌは「とりあえず前回と同じ方法で倒してみませんか?」
「じゃあ囮役を考えないとな」
「じゃあそれは私が」と手を挙げたのはレベッカだった。
ロクサーヌに従って移動するとすぐさま魔物を見つけてくれた。
まずは2頭だ
トラベルをかけるとみんな空を飛べるようになったが未だ俺は飛ぶことに慣れていない……やはりこれはイメージ差が大きいのだろうか
クリエイトピットを俺とルティナで魔法を使って用意する。
「角を曲がった所にいる」とロクサーヌがレベッカに伝えるがレベッカも当然理解している。
角からレベッカが一人出ると、言われた通りワイルドボアが2頭いる。
ワイルドボアがレベッカを見つけると、勢いよく追いかけてくる
レベッカは慌てて走って今きた曲がり角を曲がった。
ワイルドボアは曲がりきれなくなるほどのスピードで追いかけてくる
露骨にクリエイトピットを飛び越えると罠がバレるため、レベッカも走っているフリだけで実際には地上ギリギリのところを飛んでいる。
ワイルドボアは泥を吐いてくる。それに捕まったら終わりだ
それをうまく避けながらうまく誘った。
落とし穴に1匹が落ちると、『ガン!!』とすごい音がする。
それをみた後続のワイルドボアはその落とし穴を飛び越えてくる。
「えっ?!」
ベスタが「止まらないで走れ!!」とレベッカに大声で言う。
「はいぃ!」
と走り出した。
ベスタとトトが盾を構えて準備している。
もう間近に迫ってくると、「レベッカ滑り込め!!」とベスタに言われるとレベッカはパーティに向かって滑り込んできた
ベスタの盾の下を通るとベスタは大盾を地面に打ちつけた。
セリーがレベッカの頭が低くなったのを確認すると
ワイルドボアの前足に矢を放つ
それは見事に命中してワイルドボアは転倒した
ゴロゴロと転がってくるワイルドボア
勢いは消えてない。パーティの目の前に来ると
2個目の落とし穴に落ちた
「落とし穴2つ?」とレベッカが言うと
「一応な」
「もう早く言ってくださいよぉどうなるかと思いました」とレベッカも安堵した。レベッカは斥候のスキルで早く走ることができる。それにしてもワイルドボアは直進するスピードが凄い
ロクサーヌは楽しそうに「この方法でどんどん倒していきましょう」と言うとみんながげっそりした表情なのでロクサーヌは「私は普通に倒していいですよ。飛べるんだし」と言っているのにはみんなはドン引きになっている。
だが本来なら迷宮攻略というのはみんなで攻撃して倒して行くのが筋なのかもしれないが……
「ミチオ様、以前話していた銃の試作品が完成しました」とセリーがいってくる。
「フィーネ様とロージー様のご助力を得て完成した魔銃、黒鉄(クロガネ)12号です」と見せてくれたのは、小さいハンドガンであった。
「セリーの事だからものすごく大きい物を想像していたよ」
「私しか使わない事と私の身長だとこれくらいが妥当な大きさだと思ってこうしましたが、使い勝手がまだ悪くて……」
二人が一緒に作ってくれたということは大体とんでもない物だよな……多分
「今の所はまだ弓の方が使い勝手が良いので遠距離は弓を使っていますが、中距離は以前使っていた聖槍を少し短くして短槍に仕立て直しました。そして中距離、接近戦でこのクロガネ12号を使おうと思っています」
「接近戦で?」
「はい威力が魔物相手では弱いので威力を高めてあります。中距離なら溜めて撃てばそこそこの威力になると思いますが、両手持ちするために短槍は片手で使える様にしました」
セリーは俺が望んだ様にオールラウンダーとしてどの距離の敵とも戦える様になっている。
「使うタイミングがあれば見せてもらおう」と俺がいうと嬉しそうにしていた。
「ご主人様どうしますか?あの角を曲がったところに3匹のワイルドボアがいます」
「じゃあ今度はミリアがやる!!」と大きな声で言い出した。
その声でワイルドボアが近づいてくる様だった。
みんなにトラベルの魔法をかけて飛べる様にした。
アナイシャはアラクネに変身すると飛べない俺を抱えて天井へと避難する。
みんな天井に移動するとミリアと、ベスタ、トトが地上に残った。
ルティナが、ワイルドボアを確認すると一直線にこの3人に突っ込んでくる
ルティナが寸前で「フリーズウォール」を唱えるとベスタとトトの目の前でワイルドボアが激突したが、それは突破される
だがすぐには加速できずトトとベスタは突撃の衝撃をだいぶ救われた。激突すると、凄い音が廊下に響きわたったがなんとか2匹のワイルドボアを盾で止めた。
「ガン!!」
凄い!!車がぶつかった様な音がする
ミリアとエマが二人で一頭を倒すと
ロクサーヌがもう一匹攻撃をするとベスタがアイスジャベリンで額から口の下まで突き刺した。
後からもう一匹が突進してくると、死体のワイルドボアに激突そのままトトを押し付ける。
ミリアとエマはぶつかる寸前に天井に飛び上がった。
ぶつかった後キバでワイルドボアの死体を押し上げようとするが動けなくなっている
セリーが天井から降りると先程の魔銃を取り出し、ワイルドボアからは見えない死角から
セリーが構えて魔銃を撃つと
「パン!!」という音とともにワイルドボアの身体の半分が吹き飛んだ。
「は?」俺はそれを見て目を疑った。セリーはその返り血を浴びて大変な事になっている。明らかに俺の知っているどんな銃よりも威力がある様だ。それはまるで近距離でロケットランチャーを打ったのではないかと思うほどの威力と砕け方をしていた。
魔物を倒したので地上にアナイシャが降ろしてくれた。
「セリー大丈夫か?」
「あっはい。でも血まみれです」となんだかいつも難しいことを言っているセリーがギトギトになっている姿を見て、少し可愛いと感じてしまった。
俺はすぐに「クリーン」の魔法をかけてあげるとすぐさまドロドロのセリーは綺麗になった
「ありがとうございます」
「あんなに威力があるならもう少し離れてもいいんじゃないか?」
「でも外したら大変なので」
セリーは遠距離武器のスキルをたくさん持っているはずだ
それでも無理なのか?
「これフィーネさんに無反動にしてもらったんだけど、まだまだ全然反動が大きいんですよね」
「爆発した様に見えたぞ」
「はい。魔力で体内に入ると爆発する様になっています。だから謝って他の人に当てたら大変な事になるので、接近戦で使う様にしました」
もしかしたらそれが賢明なのかもしれない。
ルティナも今の爆発には興味があるみたいで、セリーに色々聞いていた。後で聞いた話だが、弾には魔鉱石を使っているみたいだ。なるほど口に含むと爆発するアレか。
フィーネがその爆発プログラムを少し変えたそうだ。
なるほどそれなら爆発した意味もわかる。
その後も何度か戦ってみたが、みんなは狭い所でも問題ないらしく俺の様な者は最初から天井に張り付いていた。
ロクサーヌが「ミリアそっち行ったよ」と言うとセリーは弓で脚を射ると動きが遅くなりミリアは難なくワイルドボアの首を切る。
あれだけ苦戦したワイルドボアもこの階まで来ると連携も上がり簡単に倒している様に見えた。
ボス部屋の前まで来ると、セリーが
「ボスはワイルドボアの系譜だと思われます。土魔法を使う魔獣だと思われます。あらかじめバフを充分にかけて臨みましょう」
お互いに充分なバフをかけて挑む
扉が開くと大きな部屋が待っていた。その中心には煙が集中して行く、巨大な煙の中からイノシシが出てきた。牙が6本ありたてがみにはバリバリと稲光が帯電している。
大きさは大型トラック並みの大きさだ
鑑定すると
イルハーグ lv84
「セリー、奴の名前はイルハーグというらしい。名前でわかる事はあるか?」と大きな声で聞くとセリーは
「イ、イルハーグ?!ですか?イルハーグは昔話に出てくる神獣です」
他の魔物は出てきていない。奴一匹だけだ
ルティナが「クリエイトピット」を連続で唱える
イルハーグ走り出してきた
エマは「左右に逃げろ!!」
ルシールが「グランドウォール」唱えて
走って回り込める様にした
俺は逃げながらセリーに聞く
「なんで神獣がここに?」
「私が知りたいです」とセリーが答える
凄い勢いで突撃してくるイルハーグ
「このコースは!!」とルティナもガッツポーズ
真正面にルティナがいると逃げずに構える
落とし穴を挟んで真っ直ぐにルティナに向かってくる
「よし!あと少し!」とルティナは見守るが落ちた!と思った瞬間、イルハーグの足元には土魔法でしっかりと道が作られている
「はぁ?やばい!」とルティナは逃げる準備をしていなかった。まさか落とし穴には落ちずに自分で自ら土魔法で道を作るとは……
そこに霧化したトトが間に入り両手に持った大盾で斜めにイルハーグをいなした。
その威力は凄まじくガリガリと盾に傷跡を残して、力を逃した。
イルハーグは壁に激突するかと思ったが
バンクを土魔法で作り壁に対して斜めの道を作る事でぶつかる事なく壁を走って行く。
「トトありがとう、大丈夫?」
「うん大丈夫。ちょっと手が痺れたけど腕がちゃんと付いてるから平気」
次にイルハーグはルシールが作ったグランドウォールに向かって走って行く。
影に隠れて何人かいるがエマが
「そこからにげろ!」と大声で言う。
エマはわざわざそちらに向かって行くのは破壊する気があると言う事だ。
ルシールは退避しながらもグランドウォールの呪文を唱えながら後退する
案の定、グランドウォールはイルハーグを止めるのには至らなかった
「バコッ!!」壁にぶつかってはそれを牙で破壊して行く。
「なんて奴だ」
「みんな空中に逃げろ!!」とエマが言うとアナイシャはアラクネに変身して俺の事を拾い上げて空中に飛び上がると高い天井まで一気に行った。
ジョゼも俺からはなれない様にしてくれている。
空中に逃げたみんなをどうするのかと見届けていると、イルハーグはまるで3Dプリンターの様に一瞬で土で道を作りそれを駆け上る
「ナニぃ」これにはエマも驚いた
その道は空中に逃げたルシールに向かっていた。
ルシールはさらに上に逃げようとする。
ルシールを捉えたイルハーグは道を途中までしか作らずに一気に加速して崖からルシールに飛び降りて突撃してきた。
「ヒィ」とルシールが頭を抱えているとベスタが羽を出して間一髪で助けてくれた。
そのまま壁に激突するかと思いきやそこからまた壁越しに道を作り出す。
「あの巨体で空中戦もできるのかよ」
イルハーグがさらに走り出すとたてがみから無数の雷が発生する。
その雷は「バリバリバリ」と雷鳴を鳴らしている。
一斉に雷が放たれると、みんなにその雷が向かっていく
俺にはアナイシャが守り、その前でジョゼが前に出てきてくれた。ジョゼは魔法ダメージを軽減する盾を持っていた為ダメージを食らったが耐えて見せた。
ベスタ、ベスタが助けたルシールそしてロクサーヌは全属性防御があるのでダメージを受けていない。それ以外の味方はイルハーグの神の雷をモロにくらっている。気を失っている者もいた……
まーだちょっとペースがわかっておらず投稿遅れてしまいました
文字稿も終えていないがとりあえず眠いので
出してみる。明日文字稿します。
次週は土曜日の22時に出せる様に頑張る。
読み終えたらしおりをしてね。