食事後は各々やる事が違った。
セリーは俺に「私が直接ルークのところに行って必要なモンスターカードを購入してきてもよろしいでしょうか?」と聞いてきた
「それはもちろん構わないが……」
セリーは全くルークを信用していないところがあるが大丈夫なのだろうか?
「では食後に向かいます」
「必要なマジックアイテムもあったら購入してきてくれるか?」
「そーうですか。わかりました。その判断は私の独断でよろしいのでしょうか?」
「ああ、任せるよ」
「それと今日お見せした黒鉄12号なのですが連続発射したらやはり耐えきれなかったようです。新しい物を作ってもいいでしょうか?」
「ああもちろんだ」
「ご主人様はコレを接近戦武器と紹介したら不思議な顔をしていましたね。どうしてでしょうか?」
「俺の知っている銃と言うのはむしろ遠距離または超遠距離武器だったからだ」
「そうですか……まだ改良が必要という事ですね。遠くになればなるほど集弾能力が悪く、銃身へのダメージが大きくなるのですが……何かヒントはありませんか?」
「ヒント?」俺は思った事をセリーに紙に書いて説明してあげた。
「俺の知っている弾はこう言う形の弾なんだが?」
と山型の形を書いてみせた
「なるほど前回の溝を掘って回転させると球よりもこちらの方が直線的に飛びそうですね」
と嬉しそうにセリーは工房の何人かと買い物に出かける。
ロクサーヌはみんなを引き連れきて「ワープをお願いします」
と言ってきた。
「ああ、そうだったな何階がいいんだ?」
「はい。63階でお願いします」
「63階?」
「まだエルクシールはあった方がいいと思います。何回か周回したいと思っているのですが、この中に料理人になれるものはいますか?」
「うーんと、ジョゼとレベッカとソフィーとナイアラかな」
「共通するは探索者と言う事でしょうか?」
「ああそうだな探索者のレベルがあがり、料理をすると料理人にジョブチェンジできるな。なぜ料理人?」
「レアアイテムのドロップです」
「なるほど」
「ジョゼ以外の3人を料理人にしていただけませんか?」
「3人ともいいのか?」
「はい」
レベッカは斥候と料理人にソフィーは冒険者と料理人、ナイアラは剣豪と料理人にした。
「そんなに料理人が必要か?」
「3チームに分かれようと思っているので」
「わかった」と言うとみんなを希望通りジョブチェンジした。
後で3人にはもう一つのジョブが取れるようアデリナに頼んでみよう
ロクサーヌ達をクーラタル迷宮に連れて行き、みんなの無事を祈ってから帰ってくると
レティシア達がフィールドウォークでやってきた。
「レティシア、どうして用事があるのがわかったんだ?」
「それはもう、引き寄せられるように」
と言っていたがルティナが「あー私が呼んだからです」
「もう、余計な事言わないで」
レティシアはフィーネとニコル、ロージー、そして自らの文官のティナとマリーヌの二人を連れてきた。
「今日は町の視察と聞きましたが?」
「ああぜひ頼む。」俺とエマ、ミリア、ルティナの4人で行きたいと言うと
レティシアは快諾してくれた。
まず俺たちが向かったのは食糧庫
レティシアが解説してくれる。
「既に豊穣の石臼はフィーネさんの活躍により完成しておりますが、まだまだ国民全てを補えるわけではありません。
現在100ほどの石臼が24時間稼働しておりますがコレだけで全てを賄うためには2000ほど必要になるので食料に関しては現在輸入に頼るしかありません。国民が1年間に必要な小麦は最低でも1.7万tになります。
ラーゲル領、ラッセル領、ルーデルク領、リベメール領は去年編入したので税収はなく、買い上げている物と我々のマロルとベイル全て合わせても8000tほどでしたので残りは他国からの購入となります。」
とスラスラと答えてくれた。
「ただ、今はゴーレムによる開墾が進んでいる為、一気に倍増できると思います。畑はラーゲル領までずっと続いています。それと、ラーゲル領ではご主人様のご提案の稲作というのを始める予定です」
「そして、フィーネさんと、ルティナさんの共同で2つの魔法を完成させました。
アーボラジェネシスとソイルアルケミーという魔法です」
ルティナがそこからは説明してくれる
「アーボラジェネシスはご主人様が言っていた事を参考にしました。ご主人様は稲や麦を見て俺の知っているのはもっと実がなっていたぞ
と言うのを聞いて、もっと実になるように植物を改良しました。コレで強くそれでいてたくさんの実をつける植物の改良魔法を発見しました。
そしてそれを可能にする土壌改良魔法ごソイルアルケミーになります。
コレがないと改良された植物でもすぐ土地が痩せてしまいますのでどうしても必要でした」
「凄いなよくやった」
「フィーネさんのレクチャーがなかったらできなかったと思います」
「ありがとうございます私の知識でこのような魔法を作ってくれて。私も発現できる魔法なので、私がメインで使いたいと思います」
「ああよろしく頼む」
ルティナは「コレで次回は食糧輸出国になれます!!」
「本当かよ?」
「本当ですよ!」
「じゃあ期待しているよ」
レティシアが話し始める
「前回話にあったアルフレール領までの街道の整備、帝都までの街道整備は既に完了しました。それと、オランディエから購入した中古の舟も届いています。夏までに新造艦2隻も届くと思います。
最初の船はロランの推薦でアデルが船長になりました。」
「アデルってアデリナの弟の?」
「はいそうです」
「既に改良も終えてアルフレール領に向かっているはずです」
ロージーが「船に水中ゴーレムを付けて風がなくても航行できるようにしました。フィーネさんが作った船を参考に作りました。それと、先日の魔王戦で夜の偵察ができなかったのを夜も対応できるようにしました。また、偵察ゴーレムを運用できる錬金術師の教育も進んでいます。何せ人材沢山いるから」
ニコルが最後に話し始める。
「前回話したスクロールは好評です。特に攻撃魔法が売れていますが、『マウント』(馬を出す魔法)、『インセクトレペメント』(虫除け)なども売れ始めています。
実際馬を買ったり借りる方が高いので」
「それと……前回話した魔力吸収玉も売れています。遠くから買いにくる冒険者もいるようです。
「場所を移しましょう」とレティシア。
ロランの所に移動することになった。
ロランの家の前まで移動するとロランが家の前で待っていた。
「おーおめえさんを待っていたよ。入りな入りな」
なんでロランは俺がくるのを知っていたんだろ?
「私が連絡したからです」とルティナ。
そういえば簡単なメッセージを送る魔法が有ると言っていたな。
ルティナがそばにいる時はルティナに言えばいいから問題ないが
いなかったら……後でやっぱり聞いておこう。
俺たちはロランの家に入るとロランは俺達にお茶を出してくれた。
「今日はどうした?」
とロラン
「いやロランにこの町で変わったことが無いかを聞きにきただけだ」
「んー変わったことねー街が大きくなったからいい奴も悪い奴も入ってくるからな。その中でもクスリを売る奴が今いるんだよ。
まー昔からそう言う輩はいるっちゃいたんだけど、今度の奴らはなかなか尻尾を出さないんだよ。
ボーラの時のようなチンピラという感じではなく、どちらかと言うと目立たない感じなんだよなぁ」
「目立たない?!」とエマが言う
「ああそうだ。突然金の周りがよくなれば周りの奴はすぐわかる。酒や女ギャンブルだな。でもそういうのがないんだよ。
そのお金は何に使われているかわからない。この街の奴らじゃねぇのかもしれないな。普通ならチンピラを使って売人をやらせるんだが、販売ルートも自分らで手売りだからな。なかなか捕まえられない。盗族って感じじゃねぇ」
俺の国でクスリかよ。絶対見つける。俺は怒りを覚える。
「こう言う時は誰に聞くべきだ?」と聞かれてエマは即答する
「それはノエルとリリカだろ?」
「なるほど」
ロランの家を後にすると今度はノエルとリリカの店にみんなで寄ると
周りの客に「こんな別嬪さんがこの店で働いているのか?」とティナやマリーヌの顔を見て言っている
二人はたじろぎ、「いえ私たちはそう言う者じゃないです」
とおっかなびっくり答えるが
エマが「ガン」っとそんな客に壁ドンする。
「何かようか?」
「えっ?あっもしかしてエマさん?あっすみません……エマさんの知り合いですね。あっすみません」
と逃げるように走って行ってしまった
「ありがとうございます」と二人
エマは当たり前のように入る。あっそうかエマの家はここだったな。
「ノエル〜」とエマが呼ぶと
「はーい」と奥から声が聞こえる。
みんなで奥の部屋に向かう
ノエルとリリカは奥の部屋に居た
「あっエマさんおかえりなさい。もう仕事は終わり?」
「いや仕事で来たんだよ」
「ミチオ様、レティシア様いらっしゃいませ。あっミリアさんもルティナさんもいるんですね。珍しい」
「いやさっきこのマロルで変な薬を売っている奴らが居ると言うのを聞いたのだが……何か知っているか?」
「ええ、もちろん知っているわ。気持ちが大きくなるんでしょ。その薬を飲んで来る客もいるから……興奮剤の一種みたいで高揚感が得られるのと幻覚が見えるらしく女の子に手を出したりするのも居ますから困っています。」
「どんな奴らが売っているんだ?」
「私たちは直接はもちろん知りません。クスリをきめちゃったやつをしばらく捕まえて誰から買ったのか聞いたら、今まで見たことのない奴だったけど、ローブを着ていて顔を隠していたけど、ローブの下にバロル教の服を着ていたからバロル教となんか繋がりがあるかもしれないとまでは聞き出したんだけど、相手が宗教だとうちもこれ以上は追求できないからね」
エマが「バロル教か……」と困った顔をしている。
「エマは知っているのか?」
「ああもちろん。帝国では正教会を国教としていますが、
バロル教では人族だけが神に愛されていてそれ以外は家畜として扱っていいと言うのが正教会と一番違う所ですね。人族の人はバロル教に入っている人も結構いますね。奴隷の整合性をとるのにはとてもいい宗教でもありますから」
「どう言うこと?」
「先ほどに話しにもありましたが、連作障害が起こりやすい小麦は育てるのが難しい上に一粒から取れる小麦の量が少ないんです」
とエマが説明するとレティシアも頷いている。
「だから休眠地で家畜を飼ったり、冒険者が迷宮に入って食べ物をとってこないと我々は定期的に飢餓が起こり、口減しをしなくては行けなくなる為、数をあまり増やせません。増やせない分、奴隷達を使って自分たちがしているキツい労働や迷宮に奴隷を使って国力を上げてきたあまりいい歴史ではない部分があります。だから先ほどの話は私からしたら僥倖です」
続きをレティシアが説明する
「人族はブラヒム語を使いますが、エルフはエルフ語、ドワーフはドワーフ語、そして猫人族や狼人族、竜人族はバーナ語を話していました。
その為差別が生まれました。言葉の通じないのは我々とは意思疎通できないとし、捕まえて奴隷としていた過去があります。
その為どの種族もブラヒム語を使えるものが現れたのです」
「言葉が通じないから奴隷?」
エマが答える
「豚や牛、鶏は言葉を喋っている様には見えないだろ?だからあれと同じ扱いを人族が始めたのがキッカケだったわけだ
でも亜人も言葉を喋っている事がわかると
バロル教の教義では問題になり、もっと融和性の強い今の『正教』が生まれたんだ
だが、お互いにまだ傷は癒えていない。心のどこかで、バロル教の教義の方が正しいのではないか? 人族は亜人をいつか全部奴隷にしようとしているのではないか?とお互いに疑心暗鬼になっている人も少なくないと思う。
エルフ達はいち早くブラヒム語を覚え帝国から自治領を得ることができる様になり、カッシームもブラヒム語を使うことで、自分達も支配者層だと言うこと知らしめるためにブラヒム語を使い始めましたが、田舎の方に行くとまだバーナ語を使う人も沢山います。
人族も亜人達が沢山住んでいる地域ではバーナ語の方が多く使える為バーナ語を覚える者も少なくありません。もうどちらも『言葉』と言う点ではそこに差別はなくなりましたが、宗教だけが残ってしまった結果になります」
レティシアが俺に聞いてくる
「ミチオ様はコレらの宗教についてどう思っていますか?」
「うーん俺の住んでいたところでは神様と言うのは『神は至る物にも宿る』と言う考え方だったな。俺自身は無宗教だったが……」
「何も信じていないと言うことか?」とエマに改めて聞かれると
ニコルが答える「そうでなきゃ聖職者ギルドが怒るわけないと思うよ。魔物をパンチで倒したら聖職者の魔法が滝に打たれられれば巫女の魔法が使えるなんて教義、無神論者じゃなきゃ思い付かないもん」
と言うとみんなは爆笑していた。
「確かに……」
「まぁ確かにあったことないからな」とエマも言う。
「こんなこと言ったら確実に怒られると思うけど、俺から見たらそれらの教義は支配者が見えないものを使って支配するための教義じゃないか?男同士で結婚できないのも女同士で結婚できないのも教義にあるんだろ?」
「ああ」
「それを許したら族が滅びるからないんだよ」
「なるほど。では他種族との間に子供を成せないのですか?」
「いやできるんだよ。だってコボルトはできているじゃないか?何かの作用で出来なくなっているんだよ」ニコルがエマの質問に答える。
「じゃあいつか私とミチオの間に子供を作る話は少しだけ近づいてきたな」とエマ
その時はまだもうできるんだが……とは言えなかった